ヘ短調作品34

ルブランの回想録の link 先はゲストブックを御覧ください。

ヘルツォーゲンベルク書簡集

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193.ブラームスからエリーザベト・フォン・ヘルツォーゲンベルクへ

[ブダペスト、1886年12月22日]

 親愛なる友へ

  私がずっとあなたに書いてきましたように、私はあなたからお手紙を頂くとどれほど楽しかったでしょうか。この間文通がないのがどれほど不本意だったことで しょう。私は情けないほど仕事に追われていますし、私の作品を見たいように言われるので、協定を結びませんか。私は時々何も書かずに作品だけ送ります。そ の見返りにあなたはすてきなお手紙を――とくに生意気な意見を下さい。

 近々何かを送りたいと思っています。あなたが多少自由な時間がある時に届けば、生意気な意見を付け足して送り返えしていただけます。あなたの親切な長い手紙は、残念ながら三部作分、ろくでなし(1)によって邪魔されましたが、私はそれほど不快に思ってはいません。

 残念ですが、今お手紙を手許に持っておりません。持っておれば、適切な返事が書けるのですが。つまり、あなたの意見に同意できる(2)ことがあります。たとえばフロイライン・シュピースのこととか、フラウ・ヨアヒムが最前列に位置していることは否定できません。他の女性はいろんな理由で追 いつけません。でも彼女は室内よりも演奏会場向きの素質があるでしょう。ウィーンでは水準の高い歌唱を聴くことはめったにないですから、彼女の成功は自然 でもあるし、いいことです。私はヘル・ハイニの新曲、とりわけ交響曲を期待しています。私は2曲の三重奏曲と3曲の四重奏曲(3)が最高水準ですから、それを軽く越えることを期待します。

 もし送るとすれば、気が乗らないのですが、バイオリンのパート(4)を送ります。人と一緒に原稿を初見するのは通常は満足のいくものではありません。楽しいものであれば、一人でくつろいで演奏した方がいいでしょう。

 リハーサル(5)に行かなければいけません。それから良いクリスマスを祈ります。あなたの宛先はあったかな。

 それでは、ライン川で言うように「もうすぐまで」――では失礼します。

誠実なるあなたのJ.Br.より



(1) 文通の中断に責任のある人物。

(2) ブラームスが「わがまどろみ」の6-4和音の反対に同意したかどうか疑わしい。歌の熱狂的興奮に相応しいとして、彼が意識的に書いていることは明らかである。ハンスリックは(ヘルマン・リンクの)歌詞を薦めたが、内容も形式もブラームスにはしっくりしなかった。”singt im Wald”と”Willst du mich”の 後の歌の切断は認めがたいが、これは最後の眠りにつく前に聴き取ってもらおうとする病める乙女の最後の努力とみなすことが出来る。理想的に解釈されて歌わ れるならば、彼女の生命を犠牲にしてしまうという印象をあたえるであろう。なぜならば、彼女の呼び声に応ずるのは彼女の恋人ではなく、死だからである。ビ ルロートは8月18日にトゥーンのブラームスから受け取り、返事を出した。「君の付曲したH.リンクの死の淵にいる乙女の詩が一番感動的だ。感動的な女の子らしい声で率直に歌われることを想像し、恥も外聞もなく終わったときには泣いていた。」この歌曲の成功はビルロートの選択を正当化している。この6-4の和音の連鎖は永遠に残るであろう。

(3) ヘルツォーゲンベルクの作品27と42。

(4) イ長調のバイオリン・ソナタ。

(5) 第四交響曲。

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192.エリーザベト・フォン・ヘルツォーゲンベルクからブラームスへ

ベルリン、1886年12月2日(1)

 …さて話題を変えましょうか、ヘル・マカールト(2)。 美しいソナタに感謝の意を表させていただきます。わたしは徹底的にこの曲を研究してみたいと思っています。ハウスマンとおそるおそる二度弾いたぐらいでは 到底満足できません。この曲は新しくて、聴いた時の興奮が強烈で理解されないでしょう。このくらいの新しさにすぐに真面目に取り組めというのは無理な話で す。沸き返る興奮、感情の激発、それ自体の輝かしさにどうしても魅入られてしまうからです。今のところ、わたしは第一楽章に非常に興奮しています。作曲技 法の熟達度、迸る進行、簡潔な展開、一方、第一主題が戻るところでの拡張は大いなる驚きです。言うまでもありませんが、優美な旋律的なアダージオに感銘を 受けました。とくに嬰へ長調への美妙な復帰の響きの美しいこと。わたしは本来活気のあるスケルツォをあなたが――あなたが鼻息を出して演奏する(3)――弾くのを聴きたいのです。わたしの心にかなった演奏をする人はほかに誰もいないでしょう。不安と勢いにもかかわらずlegato で、急かされずに、揺 れ動いてなければなりません。わたしはこの楽章を修得できたら、さらに最終楽章も熟練の域に達したいと思います。ここには擬似叙情的な主題があり、他の楽章の「偉大な」様式と強烈な対照をなしています。しかし、言いましたように、再び聴いてみて演奏の仕方を学びたいと思います。

  わたしはあいにくハウスマンが戻ってから以来彼とは会っていませんが、彼がいつソナタを受け取れるかは聞きだせます。それからバイオリン・ソナタはどう なっているのですか。なぜ来ないのですか。ウィーンにいる知り合いが多すぎて、数日間でもこちらに回せないというのですか。ヨアヒムにすぐには弾かせたくないのですか。彼がひそかに願っていることを知らないのですか。わたしが今話しているのはわたしの懇願ではありません。懇願でしたらわたしは誰にもひけを取りません。彼はその曲に一番の権利があるのに、彼、ヨアヒムをなぜそんなに待たせるのですか。それは残酷というものです。あなたは急いで大きな包み紙を 探して彼に送るべきです。

 わたしは今告白します。許して頂きたいと思いますが、シュピースのコントラアルトの歌曲(4)を写して大変惹かれています。ですが、毎度の厚かましさで、二つ反対意見を表明したいのです。嬰ハ短調の歌(5)の中で6−4の 連続した和音、とくに第二節の――ト長調、変ロ音と変ニ音が交互にそしてすべて転回、あなたはこれがお好きですか。以前にはこのようなものを書かれたこと はないはずです。あなたの音楽でこんなに粗い楽節は知りません。ここのところで、この詩の情熱的な憧憬に別の表現の仕方があるはずだと思いました。あなた が与えたい印象ははっきり理解できますが、実際の効果はいつものブラームスよりはるかに美しさで劣ります。はっきり言って悲しいです。柔らかで夢のような 歌曲をいきなりの衝撃で台無しにするのは残念です。わたしは深遠な詩(6)のついたイ長調の暖かい旋律の流れが大好きですし、歌ってみてとても楽しいのです。さらに、最後のカデンスも正しくないと思われます。何度もそれになれるまで歌ってみて、イ長調だと感じるようになりましたが、最初は馴染めませんでした。イ音がニ音の属音のように思えます。引き出しにはもっと歌曲がないのです か。そのうち一曲でも、古き良き時代にそのために取って置かれたシュトラウスのワルツで包んで頂けませんか。さあまたわたしを大事にしてください。わたし が喜ぶことをご存じのはずです。

 さようなら、お友達。わたしは何かを――ハイニの新作「ア・カペラ合唱曲」――お送りしたいと思います。この曲はすごく良いと思います。あなたは本当に見てくれるのでしょうね。

 わたしに優しい言葉と思いやりを下さい。長い、長いご無沙汰の間願っていたことです。
 昔から忠実なあなたのエリーザベト・ヘルツォーゲンベルクより

 ウィーンでのシュピースの歌唱はどうですか。彼女は少しも進歩がないように思われてなりません。わたしはフラウ・ヨアヒム(7)の 声がますます充実してくるのを思うにつけ、コンサートの仕事と私生活がこの人の場合逆にいい加減にしているように思えるのです。彼女の歌い方はまるで見ながら朗読しているようです。根は真面目で良い娘ですから、あなたのような方が警告してほしいと思います。わたしが意見しようにもほとんど効き目がないで しょう。彼女は甘やかされて、人の意見に耳を貸しません。きつく言うべきです(8)。



(1)  フラウ・フォン・ヘルツォーゲンベルクのブラームスとの文通はお節介焼きの情報のせいで1886年の3月に突然停止した。結局まったく根拠がないことが判明した。ブラームスはその事実を無視あるいはそのように振舞った。彼は「チェロ・ソナタ」を送ったが、伝言は一切なかった。

(2) 画家ハンス・マカールト(Hans Makart)は無口で有名だった。彼がある晩餐会で、そばにいたジョセフィーネ・ガルマイヤー(Josephine Gallmeyer)が長い沈黙の後、彼に向かって言った。「さて話題を変えましょうか、ヘル・マカールト。」

(3) ブラームスはしばしば鼻息を出して演奏し、聴衆に聞こえることがあった。

(4) ブラームスはヘルミーネ・シュピースにトゥーンで作曲した二つの曲を歌う許可を出していなかった。「メロディーのように(Wie Melodien zieht es)」と「わがまどろみはいよいよ浅く(Immer leiser wird mein Schlummer)」作品105の第1曲と第2曲。しかし、フラウ・フォン・ヘルツォーゲンベルクは見ることは許された。ヘルミーネ・シュピースの「回想(Ein Gedenkbuck ),3ページ」

(5) 「わがまどろみはいよいよ浅く」。

(6) 「メロディーのように」の歌詞はクラウス・グロートである。ブラームスはしばしば深遠な詩に魅力的なメロディーを付けて成功している。さらに一例を挙げれば、リュッケルト(R??ckert)の「四十歳で(Mit vierzig Jahren)」、作品94の第1曲である。

(7) アマリエ・ヨアヒム、旧姓シュネーヴァイス(Amalie Joachim nee Schneeweiss, 1839-1899)。彼女の結婚前はアマリエ・ヴァイス(Amalie Weiss)であった。彼女は女声リーダー歌手として有名になり、シューマンの歌曲の解釈では右に出るものはなかった。1863年彼女はヨアヒムと結婚。1866年にはベルリンで生活したが、1882年には別居した。(英訳者注)。

(8) ブラームスはこの要請に先んじて、11月4日 の手紙で冗談めかして書いている。「夢の中で、あなたが半小節の休止を飛ばし、八分音符を四分音符で歌うのを聞いてしまいました。」これに対して歌手が答 えた。「私の音感が悪いのを夢の中でしか気が付かれなかったのですか。なんて親切な方でしょう。私は夢の中だけではなく、長年気付いていましたのに。」

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191.ブラームスからハインリッヒ・フォン・ヘルツォーゲンベルクへ

[ウィーン、1886年10月28日]

 了解しました。そのパートを写されたらよいと思います。私はこの件でヘル・マンディチェウスキー(1)に会うことにします。彼の努力のおかげでこの版ができました。きちんと演奏したら、非常に聴き応えがあると思います。

誠実なるあなたのJ.Br.より







(1) 教授オイセビウス・マンディチェウスキー博士(Professor Dr. Eusebius Mandyczewski, 1857―)、作曲家、評論家、シューベルト作品の編集者、ウィーン樂友協会司書。ブラームスの最後の10年間たゆまぬ筆記者であり、もっとも信頼できる音楽上の相談相手。

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190.ヘルツォーゲンベルクからブラームスへ

ベルリン、クアフルステン・シュトラーセ 87

1886年10月26日

 親愛なる友

 あなたの小包とお手紙頂戴し夫婦ともども喜んでおります。私は二つの版(1)の全体からも細部からも多くを学びました。そしてあなたからの感謝を頂戴し喜んでおります。ヨアヒムは最初の版を聴きたいでしょう。この部分を写してもいいでしょうか。どのくらい貸していただけますか。

 多分、スコアの所有者はこのパートの写しを持っている、それともまだでしょうか。
 ハウスマンが堅信礼を受けたばかりの気分でウィーンから戻ってきました。あなたは美しい作品を見せましたね。彼はチェロ・ソナタ全曲とバイオリン・ソナタのインテルメッツォ(2)についてまくし立てていました。彼は今晩こちらに来ますが、話すことが山ほどあるでしょう。

  私はあなたの手紙では理解できないのですが、私のソナタの変奏への導入部について嫌われる理由は何でしょうか。教えていただきたいと思います。ところで、 あれはもともとなかったものとする私の正式の了解があるのです。あなたに夫婦のいずれが手紙を書いても、ささやかな善意からです。あなたがゾッキ本につい 関心を持たれるのであれば、多少のことで思い悩むことはありません。

 私たちがスコアを写譜できるのか、直ちに送り返すのか知らせてください。

 あなたは今年の冬にベルリンに立ち寄られるか、直々来られて宿泊されるでしょう。あなたはニ短調(3)をわが校の優秀な小編成のオーケストラの演奏を聴けますし、数日一緒に過ごすことができます。

 私自身と妻からの心からの挨拶を送ります。

いつまでもあなたのヘルツォーゲンベルク夫妻より



(1) シューマンの交響曲。書簡189。

(2) ブラームスのへ調のチェロ・ソナタ、作品99。

(3) イ調のバイオリンとピアノのためのソナタ、作品100はチェロ・ソナタ同様トゥーンで作曲された。インテルメッツォとはアダージオのことであろう。

(4) シューマンの交響曲。

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189.ブラームスからヘルツォーゲンベルクへ

[ウィーン、1886年10月]

 親愛なるともへ

  あなたとヨアヒムはここに同封物にかなり関心を持たれ、喜ばれるものと思っております。これはシューマンの当初の楽想で印刷されたニ短調交響曲のスコアを編集したものです。彼は謙遜して、ほんの下書きであると言っていますが、これは正しくないと思います。あなたはもちろん状況はおわかりでしょう。至って単純なことです。

 シューマンは最初のリハーサルの出来が悪くて動揺した結果、質の悪い不完全なオーケストラに慣れていた、このデュッセルドルフで管弦楽法を改めたのです。

 私は最初のスコアにずっと惹かれてきました。明るく自然なものがゆとりと優雅に対応しているのを見るのは本当に楽しいものです。私はこれを見て、モーツアルトのト短調を(ほかの点では比較しません)思い起こします。そのスコアも私は持っています。すべてがきわめて自然であり、その違いには気付かれないでしょう。あじけない色調もわざとらしい効果もな い、等々。一方では、改訂版を聴いてみるとまざりけがないとはいえないと思いませんか。目と耳には矛盾が生じるように思えます。

 私が指摘したいのは、20頁(ホルン)、25頁、30頁、128−9頁(バイオリンとコントラバス)、141−2(第一と第二バイオリン)、148−9頁,163−4頁です。この曲は冗漫ではありますが、どの頁も楽しめるものです。

 マイニンゲンの四重奏が頼りになっていたら、以前にそこで試していたでしょう。ヨアヒムは弦楽で苦労しているのでしょうか。

 さて質問ですが、オリジナル・スコアを出版するという私の考えに同意していただけますでしょうか。その場合には責任を持っていただけますか。この写しは私のものではないのでできる限り早く送り返してください。

 私はあなたが送っていただいた小包には手短に――新たに羽ペンを切る必要があります――お礼申し上げます。しかし、私はハウスマンの演奏を今か今かと期待していますし、とくに、最初の2頁の削除を希望はしますが、フィナーレ(1)の多くの箇所を早く聴いてみたいと思っています。

 奥様によろしく。近々返事を頂戴したいと存じます。

あなたのJ.Br.より



(1) たぶんヘルツォーゲンベルクの「チェロ・ソナタ」作品52の最終楽章であろう。この曲はハウスマンに献呈された。

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