ヘ短調作品34

ルブランの回想録の link 先はゲストブックを御覧ください。

ヘルツォーゲンベルク書簡集

[ リスト | 詳細 ]

記事検索
検索

全59ページ

[1] [2] [3] [4] [5] [6] [7] [8] [9] [10] [11]

[ 前のページ | 次のページ ]

イメージ 1

236.ブラームスからエリーザベト・フォン・ヘルツォーゲンベルクへ

[ウィーン、1888年11月6日(1)]

 私はフラウ・シューマンにはっきりと書かなかったようです。彼女はソナタをすぐに送るよう、あなたに言ってほしいと私に書いてきました。私はsffz (2)で強調して要請します。彼女はまもなくベルリンに行き、ヨアヒムと演奏したいのです。彼女は良心的だから、その準備をしておきたいのです。――皆さんによろしくお伝えください。

あなたのJ.Br.より



(1)書簡234と書簡235は行き違っている。
(2)できるだけ強く(sforzato)。

イメージ 1

235.エリーザベト・フォン・ヘルツォーゲンベルクからブラームスへ

[ニース、1888年11月6日]

 親愛なる友へ

懐かしいト長調(1)が今到着し、わたしは感動しました。あなたが結局怒ってはいないしるしです。大変感謝します。

ニ短調のソナタは暗譜でき大変喜んでおります。吸収して自己の物にし、陶酔して弾けるのは口では言えない喜びです。アマンダ・レントゲンとわたしは今日最終楽章もおぼえたことを確認し、互いに微笑みを交わしました。しかし、展開部でかなり混乱しました。どうか、シンコペイション(2)を見ていただけませんか。変ロ短調からです。とくに低音部が嬰ハ短調(3)のテーマになる小節です。その後の大きなクレシェンドでは理解できます。そこでは律動の揺れと広がりで助かります。でも嬰ハ短調のパートはフィドゥルに与えられる和声の重要な記号の位置がよくなくて複雑です。全体として見事で効果的な楽章のほんのシミに過ぎません。このあたりの小節には強い拍子の記号がないので、抑え続けるのに大変難儀します。どんな名バイオリニストでも同じだと思います。楽章の残りの響きが良いのにここだけ駄目なのは残念です。これは演奏家だけが理解できる話で、望ましくはないと思いませんか。

もう一つ提案があります。スケルツォの和音はピチカートにすべきです。響きが良くなります(4)。この部分は弓(arco)で演奏すると、この部分は抽象的になります。音符は聞こえるけど音がつながりません。楽章全体が複雑なのに、つながりを追うのが困難になります。わたしの和音にトップ記号を加えまと、非常に明快になります。ここカラバセルNO.27だったら、勝手なことしても構わないでしょう。

{楽譜挿入}(5)

これをバイオリンに任せてしまうと暗くてはっきりしません。これをピチカートですれば音は現実味を増し、両方しても傷つきません。どうかピチカートに同意されるか知らせてください。それとも無意味と思われますか。

 もう一度この見事な曲に感謝します。その美しさはわたしの前で充分に現れました。構成はますます目を見張るばかりです。このように美妙に凝縮されず、ロマネスク教会のファサードの様な比例関係を保っていなかったら、こんなに早く記憶できないでしょう。….. (6)







(1)ブラームスはこの小包を第三番の手紙の前に発送している。

(2)作品108の28ページ。

(3)28ページの第1小節と第9小節。ブラームスはこの極度に難しい楽節を改めなかった。

(4)ブラームスはこの示唆に部分的に従った。反復部(20-21ページ)で、バイオリンの弦にはピッチカートが記され、一方ではバイオリニストは、弦は出来る限り広い音域で、もちろん弓で演奏するようレガート記号で指示される。

(5)17ページ第9小節。

(6)2枚目の便箋は紛失している。

イメージ 1

234.ブラームスからエリーザベト・フォン・ヘルツォーゲンベルクへ

[ウィーン、1888年11月3日]

親愛なる奥様
千の感謝を送ります。しかし、ソナタの手紙で有頂天になりましたが、もう一通の手紙(1)よりも疑いたくなります。「ジプシーの歌」 がそんなに結構なお言葉をいただけるとは期待していませんでした。私は偽善的行為とせずに判断の誤りと考えたいのですが、さしあたりは、急ぎではあるが、深い感謝の意を表したいと思います。

フラウ・シューマンに手紙を出したところです。彼女がソナタを見たがっている場合には、すぐに彼女のところに転送願います。その後で写本をなんとかしましょう。

私の作品であなたに関心があるのはないだろうかと思いました。手許には、移調と編曲があるだけですが、特定の作品を(バイオリン・ソナタの一番とか)言っていただければ、手に入れましょう。プラーテン物(2)は私よりもアストールに頼んだ方が簡単でしょう。

もう一度深く感謝します。この前の手紙が本当の親切心より砂糖を多めにしたのであれば、つぎは胡椒を利かせてください。

感謝するあなたのJoh.Br.より



(1)書簡232。

(2)作品32(書簡232の「夜中にはねおきて」を含む)はリーター・ビーダーマンから出版されている。

イメージ 1

233.エリーザベト・フォン・ヘルツォーゲンベルクからブラームスへ

ニース、1888年10月30日


 親愛なる友へ
10月30日はわたしの記憶にいつまでも鮮やかに残ることでしょう。今朝貴重な分厚い巻物(1)が 届いたときのわたしの気持ちは表現しようがありません。わたしたちは朝食を取っておりましたが、殻から種を慎重に抜き取るとき、わたしの心臓の鼓動が早く なりました。ハインリッヒは原稿をわたしからもぎ取ろうとしましたが、わたしは握って放さず、アマンダの部屋に駆け上がりました。そこで多少は髪が乱れて(mal coiffees )いましたけれど、嬉しい期待に胸を膨らませ、演奏するために座り込みました。

わ たしたちは、あなたの呪文を感じつつ、曲の精神をすぐにくみ取りました。目はバーからバーへと飛び、熱狂と喜びは頁ごとに高まり、指は難しい部分に挑戦してたちまち成功を収めた、われを忘れてしまいました。わたしたちはつぎつぎに美しい部分を把握し、第一楽章が不断に生み出す、新曲の驚くべき感覚にもかかわらず、すぐにくつろいで気分になれました。

展開部の冒頭(2)では、わたしたちは息をのみました。妙なるペダル音がすべてを吸収しています。イ音が逃げだすけはいを見せず、それに織り込まれた見事な繊維を通してしっかり 自分を維持して行くにつれ、わたしたちの驚愕と喜びは高まっていきました。わたしの親指は曲の圧力で浮かれ喜びました。プロテウスのイ音(3)に嬰へ短調、テーマの抑制された再帰――モルト・レガート ――まで、徐々に潮が引くように弱まります。おお、ここは本当にあなたの見せ場ですよ。すべてあなたの手柄だというのではありません。 あの潮‘ das flutend stromt gesteigerte Gestalten’ (4) に手柄はあなたのものだという確信を与えたからです。この曲のおかげで、なんと、なんとわたしは嬉しいことでしょう。先日感じたことを隠す必要がなくてとってもよかった。この曲はわたしの現在の喜びを表現する自由をさらに与えてくれました。

すべて書くには新しすぎますが、一、二点強調しなければなりません。コーダ(5)の繊細なトランキロ(tranquillo )と最後のすこし短いペダル音(6)が、ソナタ形式の構造を強調し、イ音とニ音のペダル音を結合し黄金の指輪にしているのです。心は最後の頁にどう向けられるでしょうか。バイオリンのサステイン記号がピアノの左手の二分音符と美しい反対方向の運動で結びついています。感情とともに揺れうごき、リテヌートで 強められ、ペダル音が終わり、バイオリンが半音階になるところで、クライマックスに達します。この点に到達したとき、わたしたち三人は納得した表情を交わし、その表情はあなたが聞きたいことをすべて物語っていました。あなたがここに居てくださればとつくづく思ったことです。そして、この偉大な贈り物への感 謝の念であなたの手を握り、ピアノに座ってもらい、演奏を聴けたら、この制作の楽しい付随事件になるのだけど。このソナタで嬉しいのはその素晴らしい一体 性です。4楽章がまぎれもなく一家族の構成員です。一つの目的が全員を支配し、一つの色彩設計が全員を抱擁しながらも、それぞれの生命力は独自の方法で表現されています。

ア ダージオが中間部で邪魔されていないので嬉しいと思います。時々言っておりますように、中間部がいかに素晴らしくても、熱中できません。対照があまりに人 為的である気がします。わたしにとってアダージオが素晴らしいのはその連続性です。この理由で、この簡潔な楽章は引き締まった形式にも表現力があり、わた しはとくに好きです。このせめぎ合う和音が広々とした旋律の流れにいかに素晴らしい対照を形成していることか。なんと美しく響くことでしょうか。またプレ ストはなんと滑稽なので(良い意味で、楽しくて笑ってしまう)しょう。その息もつかせぬ急ぎにおいて驚くほど独創的で、すべてのメロディーがなんと陽気で、なんとユーモラスで、豊かなのでしょう。ピアノ・パーツは魅力的に書かれていて、最初から最後まで楽しく、弾きやすく、その色彩効果で最初の読み合わせで操作が可能です。わたしたちは文字通り楽しくて笑いました。しかも他との釣り合いがなんと完璧にとれているのでしょう。気分を損なうことなく、非常な 真面目さに緊張していた精神の自然なくつろぎです。フィナーレのプレストは最初把握が困難でしたが、すぐにそれがいかによくなっていき、全体にいかに合った王冠であるかをすぐに感じ取ります。しかもフィナーレに必須の質を――抑えることのできない衝動――最高度に保持しています。あの見事な絵画(7)にあるオーロラの馬のように突進し、穏やかな第二主題が厳粛に登場するまで休息を与えません。知り合ってから間がないのですが、最初(8)から、バイオリンが第三小節に入るところの美しいニ音の経過音と愛らしいpp 楽 節と展開部のクレシェンドにも気付いていました。最後のところを除いて、何と愉快に遊ぶのでしょう。ここは無慈悲です。わたしは大喜びで顔が赤くなるまで 弾き続けて、一休みし、さらに最初から演奏するのは控えました。アマンダのせいでこれはできずに、今晩に取っておくことにしました。その間が楽しみです。 今日のお祭りをお知らせするために、数語を書きたかったのですが、これは少なくとも電報よりはましです。

感謝いたします。ソナタを送るという善行に、この最上の曲を書かれ、お与えくださったことに感謝します。マクベス夫人の野心も充たされました。

あなたは先日のことで怒ってはいませんね。あれが誠実な尊敬以外の何ものでもないことを理解していただけましたね。こうするより他はなかったのです。今日の感じがいっそう嬉しくなりました。

感謝し、傾倒するあなたのリーズル・ヘルツォーゲンベルクより

このプレチッシモのなぐり書きの失礼を許してくださいますね。わたしは言うべきことをよく考える時間がなかったのです。結果は見落としとシミばかりになりました。



(1)バイオリン・ソナタニ短調、作品108の写本。

(2)6ページ第13小節。

(3)7ページ台19小節。

(4)ゲーテ。

(5)12ページ第19小節。

(6)12ページ第19小節他。

(7)ローマのロスピリオージ宮殿(Palazzo Rospigliosi)のグイド・レニ(Guido Reni)によるフレスコ画。ブラームスはラファエル・モルクヘン(Rafael Morghen)の銅版画をウィーンの彼の音楽室に飾っていた。

(8) 作品108、24ページ第30小節。

パールマンとバレンボイムのバイオリン・ソナタ第3番


イメージ 1

232B.エリーザベト・フォン・ヘルツォーゲンベルクからブラームスへ

さて「セレナーデ(Standchen )」(23)つ いては何をお話ししましょうか。最初ちらっと見たときには、あなたが手を一振りすれば授与できる魅力と独創性の刻印が押してあるものと思いました。しかし よく見ると、ブラームスの霊感からの作品というよりはブラームスの工場からの作品です。わたしはやむなく告白――わたしは告悔の台に膝をついています―― いたしますが、わたしはこの曲には和めません。クラウス・グロートの「霜が降りて(Es hing der Reif )」(24)では3/4のリズムが気になります。変わることのない二部音符と一緒に聴かされると、これは怠慢と大きな障害の効果を与えます。非常な レガートで、一人で歌ってみれば、わたしの言うことが分かるはずです。

言い残したことがあります。わたしは作品105第3曲(25)が大好きです。最初の二曲は前から好きなものです。でも嬰ハ短調(26)の6/4の連続和音と和解したわけではありません。
「ジプシーの歌」は 演奏すればするほど好きになります。あの病室にいたので、わたしが情熱を持って曲を楽しめなかったとお考えでしょう。間違いではありません。実に見事な活 気あふれる曲です。突進し、躍動し、踏みならし、やがて滑らかで優しい流れに落ち着きます。この美しくも文化果つる所ではうまく試せないのです。悲しい欠 乏です。でもわたしはどんな音がするか生々しく想像できます。生命力に燃える最初の二曲、No.6の 魅力的なユーモア、変ホ調によるつぎの曲の崇拝すべき、感傷的な熱情――わたしはいつも第二部で感動の涙を流します。それから、ささやくようなト長調の不 思議な色彩。ソロの音声が離れていく時がきわめて適切であり、再登場が実に爽やかです。数人の音楽愛好家でこの傑作の演奏会を準備するなんて、考えただけでも浮き浮きします。この演奏会の冬が待ち遠しくてなりません。

さて止めなくてはと思っていますが、もう一度総括させてください。わたしは今まで以上にあなたの音楽が好きになり、崇拝しております。しかし、崇拝は疑念につながります。なぜ金貨(夜警や教会の墓地) を鋳造できたし、これからもできる人がそれを惜しむのでしょうか。なぜわたしたちは銀貨ではぐらかされるのでしょうか。それ自体の長所を考慮すれば価値も 魅力もあるのでしょうが、わたしたちが極上品に慣れてしまったのは魔法使いのせいです。その魔法使いのから出てきたにしては失望を感じます。

さ らにもう一つ。この手紙に腹が立ったら、部屋の一番暗くてほこりっぽい所に投げ捨てなさい。でも筆者まで投げて捨ててはいけません。仮にはずみでそうした としても、またしばらくして彼女を捜し出し、まだ我慢しており、友情を撤回する気はないと言うべきです。おそらくその気はさらにないでしょうけど。

昨日、プラーテン(27)のレクラム版を買いましたが、その中の見事な詩を二、三喜んで読みました。わたしは「夜中にはねおきて(Wie rafft ich mich auf)」をピアノにおいて、あなたの妙なる歌曲(28)を 次々に思い出しては楽しい気分になりました。ここではもちろん音楽がありませんし、ベルリンの屋根裏にしまい込んでいますから、送ってもらうわけにもいき ません。こんな状況ですから、わたしはつい図々しくお願いしたくなります。あなたのいらない楽譜がありましませんか。歌曲、ト長調のソナタでも何でも構い ません。それを荷造りしてニースに送っていただければわたしたちは幸福になれます。どうしても思い出さないことがありますが。脳味噌をしぼります。ハンガリー舞曲以外には何もありません。フランスの屑がいっぱい。ビゼーは別ですが、わたしたちにはすべて不可能です。さらに現代的なドリーブ(29)は不快です。ドイツ人であり、あなたの同胞であることに感謝しなくては。

もっとも忠実で傾倒するあなたのE.H.より



(23)“Der Mond steht ??ber mein Schlummer“ 作品106第1曲。
(24) 作品106第3曲。
(25) 嘆き(Klage)。
(26)「わがまどろみはいよいよ浅く(Immer Leiser wird mein Schlummer)作品105第2曲。
(27) アウグスト・プラーテン伯(Graf August Platen, 1796-1835)、詩人。
(28) ブラームス、作品32第1曲。
(29) レオ・ドリーブ(L??o D??libes, 1836-1891)、作曲家。オペラでは、「ラクメ(Lakm??)」、「王様のお言葉(L’roi l’a dit)」。バレーでは「コッペリア(Coppelia)」、「シルビア(Sylvia)」。

全59ページ

[1] [2] [3] [4] [5] [6] [7] [8] [9] [10] [11]

[ 前のページ | 次のページ ]


.
fminorop34
fminorop34
非公開 / 非公開
人気度
Yahoo!ブログヘルプ - ブログ人気度について
1 2 3 4 5 6 7
8 9 10 11 12 13 14
15 16 17 18 19 20 21
22 23 24 25 26 27 28
29 30 31

過去の記事一覧

検索 検索

スマートフォンで見る

モバイル版Yahoo!ブログにアクセス!

スマートフォン版Yahoo!ブログにアクセス!

よしもとブログランキング

もっと見る

[PR]お得情報

数量限定!イオンおまとめ企画
「無料お試しクーポン」か
「値引きクーポン」が必ず当たる!
ふるさと納税サイト≪さとふる≫
実質2000円で好きなお礼品を選べる
毎日人気ランキング更新中!

その他のキャンペーン


プライバシー -  利用規約 -  メディアステートメント -  ガイドライン -  順守事項 -  ご意見・ご要望 -  ヘルプ・お問い合わせ

Copyright (C) 2019 Yahoo Japan Corporation. All Rights Reserved.

みんなの更新記事