ヘ短調作品34

ルブランの回想録の link 先はゲストブックを御覧ください。

キップリング

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キプリングの兵舎のバラードの一編。古代ギリシャの元祖シンガー・ソングライターのホメロスが竪琴を壊して引退する頃には模倣者が続出した。彼は著作権を督促して回った。だが著作権を払った吟遊詩人は大衆から一向に受けない。この話はイリアッドの有名な逸話なのかどうか確かめられなかった。

いずれにしても下層階級出身の兵士の激しいコクニー訛りが面白い。単語の先頭の h,t 音は飛ばされるし、know の過去形が knowed にもなるのは始めて聞いた。いつもながらキプリングの詩はコクニー訛りの勉強になる。

When 'Omer Smote 'Is Bloomin' Lyre

When 'Omer smote 'is bloomin' lyre
He'd heard men sing on land and sea,
An' what he thought 'e might require
'E went and took--the same as me!

The market-girls and fishermen
The shepherds and' the sailors too
They 'eard old songs turn up again
But kep' it quiet--same as you!

They knew 'e stole; 'e knew they knowed
They didn't tell, nor make a fuss
But winked at 'Omer down the road
An' 'e winked back--the same as us.

Rudyard Kipling


ホメロスが竪琴を絶った時には

ホメロスが今や盛りの竪琴を断った時には 
彼はいたるところで歌われているのを聞く
彼の自作だから彼は金を請求して当然
ホメロスは取ってきた ― 俺みたいに!

市場の女の子も漁師も
羊飼いも船乗りも
懐かしい歌を聞いたが
沸きはしない ― お前さんみたいに!

歌手は盗作がばれたことを知った。
みなは何も言わず、騒ぎ立てもしないで
道端のホメロスにウィンクする
そしたら彼もウィンク ― わしらにするように!

キプリング

雌 II― キプリング

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キプリングは雌と雄の違いから女性の参政権にも触れる。今回の訳詩は私には荷が重いのか、どうも釈然としない箇所がある。釈然としなくて答えが正しいことはありえない。後日再検討することにしよう。

The female of the Species II

She who faces Death by torture for each life beneath her breast
May not deal in doubt or pity - must not swerve for fact or jest.
These be purely male diversions - not in these her honor dwells -
She, the Other Law we live by, is that Law and nothing else!

She can bring no more to living than the powers that make her great
As the Mother of the Infant and the Mistress of the Mate;
And when Babe and Man are lacking and she strides unclaimed to claim
Her right as femme (and baron), her equipment is the same.

She is wedded to convictions - in default of grosser ties;
Her contentions are her children, Heaven help him, who denies!
He will meet no cool discussion, but the instant, white-hot wild
Wakened female of the species warring as for spouse and child.

Unprovoked and awful charges - even so the she-bear fights;
Speech that drips, corrodes and poisons - even so the cobra bites;
Scientific vivisection of one nerve till it is raw,
And the victim writhes with anguish - like the Jesuit with the squaw!

So it comes that Man, the coward, when he gathers to confer
With his fellow-braves in council, dare not leave a place for her
Where, at war with Life and Conscience, he uplifts his erring hands
To some God of abstract justice - which no woman understands.

And Man knows it! Knows, moreover, that the Woman that God gave him
Must command but may not govern; shall enthrall but not enslave him.
And She knows, because She warns him and Her instincts never fail,
That the female of Her species is more deadly than the male!

Rudyard Kipling


雌 II

雌は乳房にすがる命のために死の苦痛に直面するが
疑念も無念も抱く暇がない――事実や冗談ではわき道に外れない。
この二つは男には気晴らしになるが――女は生来その気がない――
その他の法則は我々が日々の指針であるが、女こそは法則そのものである。

女は幼児の母になるしお友達の愛人になれるが
女は人生に有用な力量をなんら持ち合わせていない。
幼児も男もいなくて権利も無いのに、女(と腰肉)の権利を
主張する女もいるが、女としては何ら変りない。

大きな結びつきがない場合――女は信念と結婚してしまう。
女の目的は子供である。天は女を持たざる男を助く!――
男が優しい議論に出会わず、たちまち出くわすのは
配偶者や子供のために闘う野蛮で熱狂的な目覚める雌である。

挑発されないのに恐怖の攻撃を仕掛ける――闘う雌熊しかり
滴る唾液の音、牙が蝕む音、毒を注ぐ音――噛み付くコブラしかり
犠牲者を悶え苦しませて生きている限りは
神経を科学的に生体解剖する――イェズス会士と女の関係しかり!

つまる所、男は卑怯であり、みなが寄り集まり
仲間と会議するが、女には席を設けないのである。
生活と信仰で争いながら、なんとも不可解な正義の神を
受け入れる――女には理解しがたいことである。

男は分かっている!その上神が男に与え給うた女は
口を出しても手をださない――男を唆しても男を使役しない。
女は分かっている!女の勘は外れなく、女は男に警告するのは
分かっているからだ、動物の雌は雄よりも獰猛なのである。

ルディヤード キプリング(1865-1936)

雌 I ― キプリング

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今日から二回に分けて、訳が仕上がったばかりのキプリングの時局の詩「雌(The female of the Species)」を投稿する。彼1911年の作とあるから、女性の選挙権運動がようやく実現しかけた時期だろうか。キプリングは雌に雄並みの権限を与えることを憂慮する男性諸氏に代わって弁を振るう。生物学上の雌雄の性差を語ると見せかけ、人間の雌の知的のみならず、道徳的・政治的な不適応性を列挙して喝采を浴びた。我々が聞きなれた話が多いが、例によってキビキビした調子で雄弁である。女子学生(フェミニスト)が引用するのに好都合な箇所が数多くあるためか、彼の詩の中で最も女性に読まれている著作だそうである。私には楽しい訳詩作業であったが、各詩節は格言であり、いつものキプリングの数倍は難儀した。誤訳があっても不思議ではないので、これを機会に興味を持たれた方には権威ある訳の参照をお勧めしたい。


The female of the Species I

When the Himalayan peasant meets the he-bear in his pride,
He shouts to scare the monster who will often turn aside.
But the she-bear thus accosted rends the peasant tooth and nail,
For the female of the species is more deadly than the male.

When Nag, the wayside cobra, hears the careless foot of man,
He will sometimes wriggle sideways and avoid it if he can,
But his mate makes no such motion where she camps beside the trail -
For the female of the species is more deadly than the male.

When the early Jesuit fathers preached to Hurons and Choctaws,
They prayed to be delivered from the vengeance of the squaws -
'Twas the women, not the warriors, turned those stark enthusiasts pale -
For the female of the species is more deadly than the male.

Man's timid heart is bursting with the things he must not say,
For the Woman that God gave him isn't his to give away;
But when hunter meets with husband, each confirms the others tale -
The female of the species is more deadly than the male.

Man, a bear in most relations, worm and savage otherwise,
Man propounds negotiations, Man accepts the compromise;
Very rarely will he squarely push the logic of a fact
To its ultimate conclusion in unmitigated act.

Fear, or foolishness, impels him, ere he lay the wicked low,
To concede some form of trial even to his fiercest foe.
Mirth obscene diverts his anger; Doubt and Pity oft perplex
Him in dealing with an issue - to the scandal of the Sex!

But the Woman that God gave him, every fibre of her frame
Proves her launched for one sole issue, armed and engined for the same,
And to serve that single issue, lest the generations fail,
The female of the species must be deadlier than the male.

Rudyard Kipling(1865-1936)


雌 I

ヒマラヤの百姓は偉そうな雄熊に出会った時に
大声で脅してみる。雄熊が退散するのは稀ではない。
雌熊は近くに寄っただけで百姓を食い千切る。
雌は雄よりも獰猛なのでなる。

とぐろ巻くコブラでさえも人間の足音を聞くと
踏まれないように体をよじり脇に移動するものである。
雌はたとえ人間の通り道から外れていても違うのである。
雌は雄よりも獰猛なのでなる。

ヒューロン族やチョクトー族に伝道したイェズス会士は当初
女房たちの復讐に会わないように祈ったものである。
狂信的な神父たちでさえ青ざめたのは戦士でなく女どもであった。
雌は雄よりも獰猛なのでなる。

男の小さな心臓は発言しないことで破裂しそうである。
神が男に与え給うた女は男の心臓なぞただでも貰わない。
狩人が雄に出くわす度に話の正しさを互いに確認する。
雌は雄よりも獰猛なのでなる。

男、多くは熊であるが――虫けらでも蛮族でもよい――
男は交渉を提案するし、男は妥協を受け入れるものである。
男が杓子定規に論理を突き詰めて最終的に
とんでもない行動を結論するのは極めて稀である。

憎むべき仇を打ち倒してしまう以前に
恐怖や愚かしさから恐るべき敵との裁判を認めてしまうのである。
性的スキャンダルに対する怒りも低俗な喜びでわき道にそれ
疑念や憐憫の情で事の対処を混乱させるものである――

神が男に与え給うた女、女の体の全繊維は
ただ一つの事柄に向けられており、そのために装備されている。
ただ生殖を失敗させないがため、唯一の事柄に奉仕するのである。
雌は雄よりも獰猛なのでなる。

ルディヤード・キプリング(1865-1936)

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東と西の物語

東は東、西は西、両者が互いにまみえるのは
天と地が神の座す最後の審判に出席する時。
地の果てから来ようとも偉大な二人が対峙する時は
東も西も国境も家系も育ちも血統もない。

カマールは二十人の手下と国境荒しに出かけ
大佐の自慢の雌馬を盗み出した。
夜が明ける前に厩舎の扉から引き出し
カーキンをはずして遠くへ駆けていった。
しばらくして斥候隊を連れた大佐の息子が言った
「カマールの居場所を知っているのはおらんか?」
しばらくしてレサルダールの息子のモハメッド・カーンが言った
「朝の霧の方角を調べれば、奴の見張りの居所は分かりますぜ。
夕暮れにアバザイを荒らし――明け方にはボネイアに行きます。
ブクロー砦をとおり、隠れ家で飯を食うにちがいありませんぜ
ブクロー砦まで鳥のように駆けなされば
神のお恵みで、奴がタング・オブ・ジャガイに着くまでに捕まえられましょう
だが奴がタング・オブ・ジャガイを越えていたら、すぐに戻ってくるがええです
この恐い平原にはカマールの手下がどこにもいますぜ。
左手には岩、右手には岩、間には低く傾いた棘がありやす
人間が見えないときは、撃鉄を引く音がしますぜ」。
大佐の息子は馬に乗った、馬は若造の灰色の馬
膨らんだ口は鐘のよう、心は地獄、思いは絞首台。
大佐の息子は砦に着き、食事をして行けと言われたが――
国境の盗賊を追いかけるので食事もそこそこにした。
彼はブクロー砦を発ち、できる限り速く馬を飛ばした。
ついに彼はタング・オブ・ジャガイの水路で雌馬を見付け
ついに彼はカマールを乗せた雌馬を見つけ
そして彼は雌馬の白い目が見える距離で、ピストルを鳴らした。
彼は一度、二度と発砲したが、弾はうなりながら外れた。
「撃ち方は兵隊みたいだが」とカマールはいった。「乗馬も見せてもらおうか?」
タング・オブ・ジャガイも越えたし、砂の悪魔は吹き荒れ
灰色馬は十歳の雄鹿のように逃げるが、雌馬は雌鹿のよう。
灰色馬は馬銜傾け、頭を上に上げるが
赤い雌馬は馬銜棒とじゃれ、乙女が手袋と戯れるよう。
左手には岩、右手には岩、間には低く傾いた棘があり
人が見えないのに、撃鉄を引く音を三度聞いた。
連中は空から低い月を追い払い、蹄は曙を呼び出す
灰色馬は手負いの牡牛のようだが、雌馬は生まれたての雌鹿のよう。
灰色馬は水路で崩れ――彼はドスーンと落馬し
カマールは赤い雌馬を引き戻し、騎手を引っ張り出した。
カマールは手のピストルを鳴らし――争う余地はほとんどない
「わしの情けだ」とかマールは言った。「随分長く乗ったからな。
二十マイルは岩一つも、木立もない
どこにも膝にライフルを立てた手下が一人はいる。
もしもわしが下げている手綱の手を上げたなら
逃げ足速いジャッカルどもが並んで大騒ぎだ。
今上げている頭を下ろしたら
上の凧も落ちるまで口笛を吹くが、吐きそうな声をだすだろう」
大佐の息子は静かに答えた――「鳥や獣に施すがよかろうが
宴会の前に腐った肉を食いにくる人を勘定してみたらいい。
千の剣が次々に僕の骨を持ち去ったとしよう
多分ジャッカル一匹の肉の値段は泥棒では払えまい。
刈り取り前の穀物を馬に、貯蔵した穀物を手下に食べさせ
厩の屋根藁は家畜を殺す火に使われる。
だがもし公正な値段だとお考えなら――仲間は食事を待つ
猟犬はジャッカルに似ている――吠え、付け回し、呼び出す!
高い値段をお考えなら、子牛、金、干草で
お父さんの雌馬をくれないか、僕はきっと戻ってくる!」
カマールは彼の手を握り、彼を立たせた。
カマール言った。「狼と灰色狼は犬の話はしない
わしのせいで実際苦しいのなら、わしも恥ずかしい。
どんな修羅場をくぐると、死を迎えながら無駄口が叩けるのかね?」
大佐の息子はあっさり答えた。「僕は一族の血筋にこだわっている。
お父さんの贈り物として雌馬を受けてくれ――雌馬は真の男を乗せたのだ!」
赤い雌馬は大佐の息子に近寄り、彼の息をすり寄せる
「二人とも大物だが、雌馬には若い方がいいらしいな」
馬泥棒からの持参金としてトルコ石の象嵌の手綱
刺繍入りの鞍と鞍敷きと銀の鐙を雌馬に持たせよう」。
大佐の息子は銃口の部分を握って拳銃を取り出し
「あなたは敵から拳銃を受け取ったが、友人を仲間に入れますか?」
「贈り物には贈り物を」カマールは真面目に言った。「手足には手足を」
お前さんの父親はお前さんをよこした。わしは息子を送ることにしよう!」
彼は口笛吹いて一人息子を呼びつけた。息子は山の頂上から落ち――
彼は春の牡鹿のように草を踏み、休める槍であった。
「お前のご主人だ」とカマールは言った。彼が斥候隊を指揮し
路肩を行くときは盾として左側を行かなければならぬ
死かわしが結びつきを断つまで、野営のときも食事や寝るときも
お前の命は彼の命――知恵で彼を守るのがお前の宿命だ。
お前はだから白い女王の肉を食べねばならぬ。女王の敵はお前の敵
お前は国境線の治安のため父親の砦を攻撃せねばならぬ
お前は部下を鍛え、権力への道を切り開かなければならぬ――
おそらく、わしがペシャワールで吊るされる時、お前はレサルダールに昇進していよう。

二人は互いに目を見て互いの誠を確かめ合い
二人はパンと塩で義兄弟の契りを結んだ。
カイバルの短剣の柄と奇妙な名前の神にかけ
火と刈った芝で義兄弟の契りを結んだ。
大佐の息子は雌馬とカマールの息子は灰色馬に乗り
独りで旅立ったブクロー砦に二人に帰還した。
守備隊に寄ると二十本の刀がさっと抜かれた――
全員が山岳部族と確執していた。
「もうよい!もうよい!」と大佐の息子は言った。「鋼鉄を腰に納めよ!」
お前たちは昨晩まで国境の盗賊を攻撃してきたが――その男は今晩から斥候隊員だ。

東は東、西は西、両者が互いにまみえるのは
天と地が神の座す最後の審判に出席する時。
地の果てから来ようとも偉大な二人が対峙する時は
東も西も国境も家系も育ちも血統もない。

ラドヤード・キプリング(1865−1936)

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キプリングの「東と西の物語」の最後の場面である。カマールと大佐の息子の二人の偉大な人物の結末は私が想像していた以上のものであった。あくまでキプリングの創作であるが、カマールの決断は東に対するあらたな伝説を生みかねない気がした。

III

“No talk shall be of dogs,” said he, “when wolf and gray wolf meet.
May I eat dirt if thou hast hurt of me in deed or breath;
What dam of lances brought thee forth to jest at the dawn with Death?”
Lightly answered the Colonel’s son: “I hold by the blood of my clan:
Take up the mare for my father’s gift—by God, she has carried a man!”
The red mare ran to the Colonel’s son, and nuzzled against his breast,
“We be two strong men,” said Kamal then, “but she loveth the younger best.
So she shall go with a lifter’s dower, my turquoise-studded rein,
My broidered saddle and saddle-cloth, and silver stirrups twain.”
The Colonel’s son a pistol drew and held it muzzle-end,
“Ye have taken the one from a foe,” said he; “will ye take the mate from a friend?”
“A gift for a gift,” said Kamal straight; “a limb for the risk of a limb.
Thy father has sent his son to me, I ’ll send my son to him!”
With that he whistled his only son, that dropped from a mountain-crest—
He trod the ling like a buck in spring, and he looked like a lance in rest.
“Now here is thy master,” Kamal said, “who leads a troop of the Guides,
And thou must ride at his left side as shield on shoulder rides.
Till Death or I cut loose the tie, at camp and board and bed,
Thy life is his—thy fate it is to guard him with thy head.
So thou must eat the White Queen’s meat, and all her foes are thine,
And thou must harry thy father’s hold for the peace of the border-line.
And thou must make a trooper tough and hack thy way to power—
Belike they will raise thee to Ressaldar when I am hanged in Peshawur.”

They have looked each other between the eyes, and there they found no fault,
They have taken the Oath of the Brother-in-Blood on leavened bread and salt:
They have taken the Oath of the Brother-in-Blood on fire and fresh-cut sod,
On the hilt and the haft of the Khyber knife, and the Wondrous Names of God.
The Colonel’s son he rides the mare and Kamal’s boy the dun,
And two have come back to Fort Bukloh where there went forth but one.
And when they drew to the Quarter-Guard, full twenty swords flew clear—
There was not a man but carried his feud with the blood of the mountaineer.
“Ha’ done! ha’ done!” said the Colonel’s son. “Put up the steel at your sides!
Last night ye had struck at a Border thief—to-night ’t is a man of the Guides!”

Oh, East is East, and West is West, and never the two shall meet,
Till Earth and Sky stand presently at God’s great Judgment Seat;
But there is neither East nor West, Border, nor Breed, nor Birth,
When two strong men stand face to face, tho’ they come from the ends of the earth.

Rudyard Kipling


東と西の物語 その三

カマール言った。「狼と灰色狼は犬の話はしない
わしのせいで実際苦しいのなら、わしも恥ずかしい。
どんな修羅場をくぐると、死を迎えながら無駄口が叩けるのかね?」
大佐の息子はあっさり答えた。「僕は一族の血筋にこだわっている。
お父さんの贈り物として雌馬を受けてくれ――雌馬は真の男を乗せたのだ!」
赤い雌馬は大佐の息子に近寄り、彼の息をすり寄せる
「二人とも大物だが、雌馬には若い方がいいらしいな」
馬泥棒からの持参金としてトルコ石の象嵌の手綱
刺繍入りの鞍と鞍敷きと銀の鐙を雌馬に持たせよう」。
大佐の息子は銃口の部分を握って拳銃を取り出し
「あなたは敵から拳銃を受け取ったが、友人を仲間に入れますか?」
「贈り物には贈り物を」カマールは真面目に言った。「手足には手足を」
お前さんの父親はお前さんをよこした。わしは息子を送ることにしよう!」
彼は口笛吹いて一人息子を呼びつけた。息子は山の頂上から落ち――
彼は春の牡鹿のように草を踏み、休める槍であった。
「お前のご主人だ」とカマールは言った。彼が斥候隊を指揮し
路肩を行くときは盾として左側を行かなければならぬ
死かわしが結びつきを立つまで、野営のときも食事や寝るときも
お前の命は彼の命――知恵で彼を守るのがお前の宿命だ。
お前はだから白い女王の肉を食べねばならぬ。女王の敵はお前の敵
お前は国境線の治安のため父親の砦を攻撃せねばならぬ
お前は部下を鍛え、権力への道を切り開かなければならぬ――
おそらく、わしがペシャワールで吊るされる時、お前はレサルダールに昇進していよう。

二人は互いに目を見て互いの誠を確かめ合い
二人はパンと塩で義兄弟の契りを結んだ。
カイバルの短剣の柄と奇妙な名前の神にかけ
火と刈った芝で義兄弟の契りを結んだ。
大佐の息子は雌馬と今は追跡者のカマールの息子と出発し
独りで旅立ったブクロー砦に二人に帰還した。
守備隊に寄ると二十本の刀がさっと抜かれた――
全員が山岳部族と確執していた。
「もうよい!もうよい!」と大佐の息子は言った。「鋼鉄を腰に納めよ!」
お前たちは昨晩まで国境の盗賊を攻撃してきたが――その男は今晩から斥候隊員だ。

東は東、西は西、両者が互いに会まみえるのは
天と地が神の座す最後の審判に出席する時。
地の果てから来ようとも偉大な二人が対峙する時は
東も西も国境も家系も育ちも血統もない。

ラドヤード・キップリング

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