ヘ短調作品34

ルブランの回想録の link 先はゲストブックを御覧ください。

エミール・ネリガン

[ リスト | 詳細 ]

記事検索
検索

全11ページ

[10] [11]

[ 前のページ ]

イメージ 1

今日もケベックの詩人エミール・ネリガンの “Béatrice” 「ベアトリス」とした。初恋の女性の代名詞となったダンテの恋人ベアトリーチェのフランス読みのつもりである。今まで読んできたケベックの詩人は、フランス語やカトリック教会にアイデンティティを求める意識が強かった。題材としてはケベックの自然を詠んでいる詩が多かった。ネリガンは今のところ、ケベックという都会あるいは想像上のパリの一市民である。

絵はアメリカの画家ホイッスラーの「白い服着た少女」だが、この詩のベアトリスよりちょっとお姉さんだろうか。


Béatrice

D'abord j'ai contemplé dans le berceau de chêne
Un bébé tapageur qui ne pouvait dormir ;
Puis vint la grande fille aux yeux couleur d'ébène,
Une brune enfant pâle insensible au plaisir.

Son beau front est rêveur; et, quelque peu hautaine
Dans son costume blanc qui lui sied à ravir,
Elle est bonne et charmante, et sa douce âme est pleine
D'innocente candeur que rien ne peut tarir.

Chère enfant, laisse ainsi couler ton existence,
Espère, prie et crois, console la souffrance.
Que ces courts refrains soient tes plus belles chansons !

J'élève mon regard vers la voûte azurée
Où nagent les astres dans la nuit éthérée,
Plus pure te trouvant que leurs plus purs rayons.

Emile NELLIGAN (1879-1941)


ベアトリス

僕がまず目にしたのは樫の揺籃
中にむずかり寝そうもない坊や。
つぎに黒い瞳のお姉さんが登場
髪は黒く、色白で、すましている。

ウットリする顔だが小生意気
とても似合う白いドレス着て
彼女は魅力的で元気な美少女
明るく、汚れなく、無邪気な娘。

ねえ君、成り行くままに任せて
望み、祈り、信じ、苦を慰めたら。
短いルフランでもっと良い歌になる!

僕は紺碧の空に視線を向けると
エーテルの夜空を星が進み行く
清い光よりもさらに清い君を見る。

エミール・ネリガン

イメージ 1

今日のエミール・ネリガンはボヘミアの平原に空想の翼を広げ、羊飼いの娘と出会い思い出を持って帰った。題名は “Bergère” 「羊飼いの娘」である。羊飼いの娘に恋心を抱くのは伝統的なテーマである。その場所もボヘミアという、想像上ではあるが郷愁をかき立てる国での恋の物語にした。月並みといえばそれまでだが。

絵はブグロー (William-Adolphe Bouguereau)の作品。ミレーの絵が愛らしいが、あまりに幼くて、宗教的である。恋愛の対象になりにくい。


Bergère

Vous que j'aimai sous les grands houx,
Aux soirs de bohème champêtre,
Bergère, à la mode champêtre,
De ces soirs vous souvenez-vous ?
Vous étiez l'astre à ma fenêtre
Et l'étoile d'or dans les houx.

Aux soirs de bohème champêtre
Vous que j'aimai sous les grands houx,
Bergère, à la mode champêtre,
Où donc maintenant êtes-vous ?
- Vous êtes l'ombre à ma fenêtre
Et la tristesse dans les houx.

Emile NELLIGAN (1879-1941)


羊飼いの娘

ボヘミアの草原に日が暮れて
モチノキの下、僕が愛した君
田舎娘の衣装した羊飼いの娘
君はこの夕暮れを覚えている?
君は僕の窓にまばたく瞬く星
モチノキの黄金の星であった。

ボヘミアの草原に日が暮れて
モチノキの下、僕が愛した君
田舎娘の衣装した羊飼いの娘
君は今頃どうしているだろう?
君は今や僕の窓をさえぎる陰
モチノキの悲しい想いなのだ。

エミール・ネリガン

イメージ 1

今日のエミール・ネリガンは “Caprice blanc” 。「白の戯れ」と訳した。ネリガンはランボー並みの早熟な少年であったが、20歳で精神を患い、以後回復することはなかった。

今日の詩も十代の少年ネリガンの作とすると、詩に登場する気になる女性も十代であろう。彼女はコクニー訛りの御者の馬車に乗るカナダの支配階級の「ミス」である。フランス系のネリガンには高嶺の花である。今日のネリガンはフランス象徴派のお好みの題材である、「貴婦人に叶わぬ恋心を抱く道化役者」に似ている。

絵は十代の少女とは言いがたいが、有名なクラムスコイ(Ivan Kramskoy:1837 – 1887)の作品。日本では「忘れえぬ女」と呼ばれている。


Caprice blanc

L'hiver, de son pinceau givré, barbouille aux vitres
Des pastels de jardins de roses en glaçons.
Le froid pique de vif et relègue aux maisons
Milady, canaris et les jockos bélîtres.

Mais la petite Miss en berline s'en va,
Dans son vitchoura blanc, une ombre de fourrures,
Bravant l'intempérie et les âcres froidures,
Et plus d'un, à la voir cheminer, la rêva.

Ses deux chevaux sont blancs et sa voiture aussi,
Menés de front par un cockney, flegme sur siège.
Leurs sabots font des trous ronds et creux dans la neige ;
Tout le ciel s'enfarine en un soir obscurci.

Elle a passé, tournant sa prunelle câline
Vers moi. Pour compléter alors l'immaculé
De ce décor en blanc, bouquet dissimulé,
Je lui jetai mon coeur au fond de sa berline

Emile NELLIGAN (1879-1941)


白の戯れ

冬は霜の筆で凍ったバラ園の
パステル画をガラス窓に塗る。
凍った槍は生かして家に戻す
貴婦人やカナリヤやならず者。

だがミスはセダンでお出かけ
白い外套を身に纏い、毛皮姿
吹雪にも痛い寒さにも負けず
それにあれこれ夢を見ながら。

全身白い二頭の馬と白い馬車
コクニーに御されて知らぬ顔。
馬の蹄は雪に丸い空洞を残す。
夜空は一面の粉で薄暗くなる。

彼女は巧みに瞳を僕に向けて
過ぎて行く。僕は白い装飾や
隠した花束が汚れないように
僕はセダン見送り心を投げた。

エミール・ネリガン

イメージ 1

今日のエミール・ネリガンの詩は “Billet céleste” 「天上の招待」と訳した。音楽会の招待も天上の音楽会は最高である。彼は夢の中で招待され、音楽家、オルガン奏者の守護聖人である聖セシリアの演奏を聴く幸運に恵まれた。詩の良さは、フランス語の韻律はおろか、発音も定かでない私には分からない。

だが今日の詩に登場する聖セシリアといえば、ヤン・ファン・アイクのゲントの祭壇画を見逃すわけにはいかない。この名画で訳の拙劣さを補っていただきたい。


Billet céleste

Plein de spleen nostalgique et de rêves étranges,
Un soir je m'en allai chez la Sainte adorée,
Où se donnait, dans la salle de l'Empyrée,
Pour la fête du Ciel, le récital des anges.

Et nul garde pour lors ne veillant à l'entrée,
Je vins, le corps vêtu d'une tunique à franges,
Le soir où l'on chantait chez la Sainte adorée,
Plein de spleen nostalgique et de rêves étranges.

Des dames défilaient dans des robes oranges ;
Les célestes laquais portaient haute livrée,
Et, ma demande étant Cécile agréée,
Je l'écoutai jouer aux divines phalanges,

Plein de spleen nostalgique et de rêves étranges !

Emile NELLIGAN (1879-1941)


天上の招待

陰鬱な記憶と初めての夢で
崇拝厚き聖女を詣でた夜に
天国の大広間では天使達の
音楽会が宴に催されていた。

広間を見張るものはいなく
僕は入り、ガウン着た一団
陰鬱な記憶と初めての夢で
崇拝厚き聖女を詣でた夜に。

貴婦人は皆オレンジの礼装を
召使達は皆上等な制服を着用
僕の希望はセシール、皆賛同し
神聖なる指が奏でる曲を聞く

陰鬱な記憶と初めての夢で。

エミール・ネリガン

イメージ 1

唐突ではあるが、しばらくトム・トムスンの絵は休ませていただく。今日は詩人の紹介が主で、写真はおまけである。フランス語圏の詩人のデータ・ネースを見ていてエミール・ネリガン(Émile Nelligan)を発見した。ケッベクの詩人であるが、彼をケベックの詩人で括るのは問題がある。ケベックに住みながら、心はパリで象徴派の詩人と語り合っていた。ウィキペディアによれば、ランボーみたいに早熟な詩人だそうである

名はフランス風であるが、姓はアイルランド風である。父親がアイルランド人で、母親がフランス系カナダ人である。移民国家ならではの縁組は確かにカナダでは良く見かけた。言葉も出身国も違うが、宗派は同じという夫婦がいた。両親はカナダでは少数派のカトリック教国の出身である。

写真はケベックのノートル・ダム聖堂である。

Automne

Comme la lande est riche aux heures empourprées,
Quand les cadrans du ciel ont sonné les vesprées !

Quels longs effeuillements d'angélus par les chênes !
Quels suaves appels des chapelles prochaines!

Là-bas, groupes meuglants de grands boeufs aux yeux glauques
Vont menés par des gars aux bruyants soliloques.

La poussière déferle en avalanches grises
Pleines du chaud relent des vignes et des brises.

Un silence a plu dans les solitudes proches :
Des Sylphes ont cueilli le parfum mort des cloches.

Quelle mélancolie ! Octobre, octobre en voie !
Watteau ! que je vous aime, Autran, ô Millevoye !

Emile NELLIGAN (1879-1941)




沼が豊かになるは頬を染める時
天の文字盤が晩祷の鐘鳴らす時!

樫の落葉が捲る長いお告げの祈!
近くの教会の祈りのなんと優しい!

モーと鳴く青緑の目の雄牛の群
大声で呟く若者が通り過ぎて行く。

砂埃が氾濫する灰色の水に散乱し
葡萄の樹と風の熱い悪臭が満ちる。

沈黙は近寄る孤独の中に降り続く。
風の精が摘むのは鐘の死の臭気。

なんたる憂鬱!十月、十月の途中!
ワトー!君を愛す、オトラン、ミユヴォワイエ!

エミール・ネリガン

全11ページ

[10] [11]

[ 前のページ ]


.
fminorop34
fminorop34
非公開 / 非公開
人気度
Yahoo!ブログヘルプ - ブログ人気度について
1 2 3 4 5 6 7
8 9 10 11 12 13 14
15 16 17 18 19 20 21
22 23 24 25 26 27 28
29 30 31

過去の記事一覧

検索 検索

スマートフォンで見る

モバイル版Yahoo!ブログにアクセス!

スマートフォン版Yahoo!ブログにアクセス!

よしもとブログランキング

もっと見る

[PR]お得情報

CMで話題のふるさと納税サイトさとふる
毎日お礼品ランキング更新中!
2019年のふるさと納税は≪12/31まで≫
数量限定!イオンおまとめ企画
「無料お試しクーポン」か
「値引きクーポン」が必ず当たる!

その他のキャンペーン


プライバシー -  利用規約 -  メディアステートメント -  ガイドライン -  順守事項 -  ご意見・ご要望 -  ヘルプ・お問い合わせ

Copyright (C) 2019 Yahoo Japan Corporation. All Rights Reserved.

みんなの更新記事