ヘ短調作品34

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エミール・ネリガン

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今日のエミール・ネリガンの詩は “Le lac” 「湖」である。今でも人口を上回る湖の数があるという。20世紀初頭には何倍あったのだろう。まだ名前が付いていない湖がいくらでもあるという。その湖の悲劇を上手な韻文に仕立てた。

ケベックに住むパリジャンだったネリガンだが、今日はせっかくだからトム・トムスンに登場願おう。彼はアルゴンキン湖をおおく描いている。今日もその一つである。


Le lac

Remémore, mon coeur, devant l'onde qui fuit
De ce lac solennel, sous l'or de la vesprée,
Ce couple malheureux dont la barque éplorée
Y vint sombrer avec leur amour, une nuit.

Comme tout alentours se tourmente et sanglote !
Le vent verse les pleurs des astres aux roseaux,
Le lys s'y mire ainsi que l'azur plein d'oiseaux,
Comme pour y chercher une image qui flotte.

Mais rien n'en a surgi depuis le soir fatal
Où les amants sont morts enlaçant leurs deux vies,
Et les eaux en silence aux grèves d'or suivies
Disent qu'ils dorment bien sous leur calme cristal.

Ainsi la vie humaine est un grand lac qui dort
Plein, sous le masque froid des ondes déployées,
De blonds rêves déçus, d'illusions noyées,
Où l'Espoir vainement mire ses astres d'or.

Emile NELLIGAN (1879-1941)




想い出してみてよ、金色の夕べに
この地味な湖から流れ行く波の前
不運な二人の恋人の船がここで
悲鳴を上げながら沈んだ夜のこと。

この辺りみな苦しみ泣いているよ!
風は岸辺の葦に星の雨を降らせ
百合は鳥が舞う青空と見詰めて
浮いているものを探しているよう。

だが二人の恋人が抱き合いながら
死んだ所からは以後何も浮ばなく
水は黄金の砂浜沿いに黙って流れ
二人は冷たい水晶の水に眠ると言う。

人の一生は大きな湖、波紋広げる
冷たい仮面かぶりて眠り、挫折した
金色の夢と埋没した幻想に満ちて
希望は空しく黄金の星を見詰める。

エミール・ネリガン

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若いネリガン一度は訪問した廃墟と化した修道院を訪れたのだろうか。今日のテーマはロマン派以来の定番である崩れた修道院。彼が立て続けに書いた一連の詩と考えてよいであろう。

絵は私の好きなフリードリヒの修道院の絵である。


Christ en croix

Je remarquais toujours ce grand Jésus de plâtre
Dressé comme un pardon au seuil du vieux couvent,
Echafaud solennel à geste noir, devant
Lequel je me courbais, saintement idolâtre.

Or, l'autre soir, à l'heure où le cri-cri folâtre,
Par les prés assombris, le regard bleu rêvant,
Récitant Eloa, les cheveux dans le vent,
Comme il sied à l'Ephèbe esthétique et bellâtre,

J'aperçus, adjoignant des débris de parois,
Un gigantesque amas de lourde vieille croix
Et de plâtre écroulé parmi les primevères ;

Et je restai là, morne, avec les yeux pensifs,
Et j'entendais en moi des marteaux convulsifs
Renfoncer les clous noirs des intimes Calvaires !

Emile NELLIGAN (1879-1941)


十字架上のキリスト

古い修道院の入口でいつも見てきた
贖罪するイェスの大きな石膏の立像
黒い仕草で厳粛なこの処刑台の前で
僕は、聖像参拝者恭しく腰を屈めた。

だが、ある黄昏、コオロギがはしゃぎ
ほぼ暗くなった頃、僕は青い眼差しを
夢見て「エロア」と繰り返し、お洒落な
エフェヴェに似合の髪型を風に靡かせ

気付いたのは、破片になった壁に加え
古くて重い十字架と崩れ落ちた壁土が
サクラソウの中に大きく堆積していた。

僕は悲しくなり、物想いに目は沈みがち
さらに僕が耳にする激しく響く金槌の音
内なるゴルゴダの黒き釘が打ち込まれる。

エミール・ネリガン

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今日のネリガンは早熟な少年と(住み込みの)家庭教師とのお色気シーン。家庭教師は黒っぽい服装をしたジェーン・エアの暗いイメージである。女に白い服を着せるのが趣味のネリガンは白い服の家庭教師を登場させた。

もちろん空想の世界の家庭教師の絵は見つかるはずもない。上の絵はヴィクトリア朝の家庭教師である。私は黒い服を白くする高等な技術は持ち合わせない。

Le berceau de la muse

De mon berceau d'enfant j'ai fait l'autre berceau
Où ma Muse s'endort dans des trilles d'oiseau,
Ma Muse en robe blanche, ô ma toute Maîtresse !

Oyez nos baisers d'or aux grands soirs familiers...
Mais chut ! j'entends la mégère Détresse
A notre seuil faisant craquer ses noirs souliers !

Emile NELLIGAN (1879-1941)


ミューズの揺りかご

僕が幼い頃の揺りかごも今では
僕の女神が小鳥のトリルで眠っている
白い服着た僕の女神、ああ、僕の家庭教師!

夕暮にはいつも素敵なキスが聞こえるはず ...
しっ!うるさい僕の頭痛の種の音が入り口に
いやなスリッパをきしませてながら!

エミール・ネリガン

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今日のネリガンの詩のタイトル “Le boeuf spectral” 「不気味な牛」である。写真にあるように牧歌的であればいいのだが。“ boeuf” は去勢された雄牛である。英語の “ox” である。食肉となる運命である。今日はことのほか不機嫌であり、うろついている。みなさん夜お帰りのときはご注意ください。


Le boeuf spectral

Le grand boeuf roux aux cornes glauques
Hante là-bas la paix des champs,
Et va meuglant dans les couchants
Horriblement ses râles rauques.

Et tous ont tu leurs gais colloques
Sous l'orme au soir avec leurs chants.
Le grand boeuf roux aux cornes glauques
Hante là-bas la paix des champs.

Gare, gare aux desseins méchants!
Belles en blanc, vachers en loques,
Prenez à votre cou vos socques !
A travers prés, buissons tranchants,

Fuyez le boeuf aux cornes glauques.

Emile NELLIGAN (1879-1941)


不気味な牛

白い角の大きな赤牛が
静かな野原をうろついて
日暮れに恐ろしい
しわがれた呻き声を出し続ける。

夕暮の樹の下楽しい会話も
歌もすべて静まった。
白い角の大きな赤牛が
静かな野原をうろついている。

よからぬ事に注意して!
白い服のお嬢さん、ボロ着た牛飼いさん
一目散で走りなさい!
刺のある藪を通り抜け!

白い角の牛をさけてお帰りなさい!

エミール・ネリガン

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今日のエミール・ネリガンはフランスのシャンソン風の詩 “Frisson d'hiver” tashou直訳すれば「冬の身震い」であるが、仮題「冬のガス灯」にした。パリでは信じられない寒さのケベックであるが、ガス灯など舞台道具は揃っているので、演歌にすれば「ケベック冬景色」といったところか。

困ったのは各詩節に出てくる “Gretchen” という女の子の名前をどうカタカナ表記するかである。もちろんこれはゲーテのファウスト博士が誘惑した純情可憐な乙女の名前である。移民社会のカナダで純然たるドイツ系の “Gretchen” がいてもおかしくはない。ただ彼がこのドイツ娘の名前をどう発音したのか不明である。

余談になるが、“Gretchen” はフランスで非常に有名なドイツ娘の名前だそうである。ネリガンが詩を書いていた頃の歴代のフランス政府は、反ドイツ感情を煽り、国論を統一しようとしてきた。その犠牲になったのが “Gretchen” 。彼女はデブで、無教養で、田舎くさく、さらに貞操観念のないドイツ娘のイメージを植え付けられ、ドイツ文化全体の蔑称として大いに利用された。

ネリガンがフランスで不人気な女性を登場させた意図を詮索するのは差し控えよう。一応「グルシャン」とカタカナ表記しておいた。日本人には知らなくてもロマンチックに響く「グレートヒェン」も寒いケッベクの「グルシャン」になるとくしゃみが出そうな寒い感じに響く。


Frisson d'hiver

Les becs de gaz sont presque clos :
Chauffe mon coeur dont les sanglots
S'épanchent dans ton coeur par flots,
Gretchen !

Comme il te dit de mornes choses,
Ce clavecin de mes névroses,
Rythmant le deuil hâtif des roses,
Gretchen !

Prends-moi le front, prends-moi les mains,
Toi, mon trésor de rêves maints
Sur les juvéniles chemins,
Gretchen !

Quand le givre qui s'éternise
Hivernalement s'harmonise
Aux vieilles glaces de Venise,
Gretchen !

Et que nos deux gros chats persans
Montrent des yeux reconnaissants
Près de l'âtre aux feux bruissants,
Gretchen !

Et qu'au frisson de la veillée,
S'élance en tendresse affolée
Vers toi mon âme inconsolée,
Gretchen !

Chauffe mon coeur, dont les sanglots
S'épanchent dans ton coeur par flots.
Les becs de gaz sont presque clos...
Gretchen !

Emile NELLIGAN (1879-1941)


冬の身震い

ガス灯は消えかかっている。
僕の心を暖めておくれ
僕のすすり泣きで溢れる君の心
グルシャン!

僕の心が君に悲しい話を知らせたように
僕の神経のクラブサンは早く散った
あのバラにリズムを合わせる
グルシャン!

顔を見せておくれ、手を握らせておくれ
君は青春の道をいく僕の
大事な夢の宝物だ
グルシャン!

霧がいつまでも消えることなく
冬にはヴェニスのガラスと
よく合うとき
グルシャン!

僕たちの二匹の大きなペルシャ猫が
火が音を立てる暖炉に近付き
嬉しそうにしているとき
グルシャン!

夜のパーティーで震えながら
僕の慰まぬ心は驚くほど優しく
君の所へ飛んでいくよ
グルシャン!

僕の心を暖めておくれ
僕のすすり泣きで溢れる君の心。
ガス灯は消えかかっている
グルシャン!

エミール・ネリガン

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