ヘ短調作品34

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ロバート・ヘリック

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葡萄の木 -- へリック

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「今日の詩」は久しぶりに17世紀イギリスの聖職者ロバート・へリックRobert Herrick (1591- 1674)の詩 “The Vine” 「葡萄の木」である。聖職者が作詩した葡萄だから聖書に関係があると思ったら大間違い。彼は猥雑な詩で後世に名を残した。このぐらいの詩が書けないようでは、人気のある説教師にはなれなかったろう。気さくで陽気で人気があったそうである。生涯独身を通した人ならではの猥雑な詩である。詩は英雄韻といいたいところだが、一部疑問がある。

絵はラファエル前派のウォーターハウスJohn William Waterhouse(1849 – 1917)の絵である。今日の詩の挿絵ではなく、サンザシを採る乙女たちはへリックの詩に関連した絵である。


The Vine

I dreamed this mortal part of mine
Was metamorphosed to a vine,
Which, crawling one and every way,
Enthralled my dainty Lucia.
Methought, her long small legs and thighs
I with my tendrils did surprise:
Her belley, buttocks, and her waist
By my soft nervelets were embraced
About her head I writhing hung
And with rich clusters (hid Amoung
The leaves) her temples i behung,
So that my Lucia seemed to me
Young Bacchus ravished by his tree.
My curls about her neck did crawl,
ANd arms and hands they did enthrall,
So that she could not freely stir
( All parts there made one prisoner).
But when I crept with leaves to hide
Those parts which maids keep unespied,
Such fleeting pleasures there I took
That with the fancy i awoke,
And found (ah me!) this flesh of mine
More like a stock than like a vine.

Robert Herrick.


葡萄の木

下司の拙者が葡萄の木になる
夢を見た次第であります。
葡萄の木はいろんな方向に延び
拙者の愛しのルシアを誘惑します。
蔦になった拙者は彼女の長くて可愛い
足と腿を驚かせようと考えました。
彼女のお腹、お尻、腰の周りを
拙者の葉脈で抱きしめ、彼女の顔は
拙者が身を捩じって垂れ下がり
(葉の中に隠れた)葡萄の房で
拙者はこめかみにぶら下がりましたので
拙者のルシアはまるでバッカスが
彼の木にうっとりするようでした。
蔓は彼女の首に這い上がり
腕と手を縛りつけましたので
彼女は思うように動けず
(すべて囚われの身となりました)。
拙者は葉に隠れて、乙女達が必死に
守ろうとする部分を這いまわり
つかの間の喜びを感じましたが
この空想で拙者は目を覚ましましたら
なんと拙者の体は葡萄の木ではなく
木の幹のようでありました。

へリック

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「今日の詩」はバラや若い女の子の詩を書いた17世紀の詩人ロバート・へリックを送ってきた。趣向は同じだが、今回は猥雑さを感じさせない。


To Daffodils

Fair Daffodils, we weep to see
You haste away so soon;
As yet the early-rising sun
Has not attain'd his noon.
Stay, stay,
Until the hasting day
Has run
But to the even-song;
And, having pray'd together, we
Will go with you along.

We have short time to stay, as you,
We have as short a spring;
As quick a growth to meet decay,
As you, or anything.
We die
As your hours do, and dry
Away,
Like to the summer's rain;
Or as the pearls of morning's dew,
Ne'er to be found again.

Robert Herrick


水仙に寄せて

麗しき水仙、悲しくなるよ
お前は急ぎすぎる。
早起きの太陽がまだ
中天に届かぬうちに。
急ぐことはない
足の速い太陽が
晩の祈りに
走り去るまで。
共に祈り
共に行こう。

お前同様われらも長くはない
春は短い。
お前も万物は
速く育てば速く枯れる。
われらは死ぬ
お前の盛りが終わり
夏の雨の後に
枯れるように。
朝露の珠が
戻らぬように。

ロバート・ヘリック

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「今日の詩」は以前紹介したことがある。作者 Herrick のカタカナ表記を「ハーリック」としていた。今日リーダーズで調べたところ、「ヘリック」となっていたので、改めて披露する次第である。さらにラファエル前派のヘリックの詩を題材にした絵が見つかったので、併せて紹介する。

ヘリックは僧籍にあり信者にお説教をしたこともある。現在では極めて現世的というより猥雑な感じがする詩で知られている。17世紀のイギリスは信仰心が厚く、信徒のお布施も多かったろう。家柄が貴族ではない頭のいい子にとって、お坊さんになるのは良いキャリアだったのだろう。

生臭坊主だったかと思えば、彼は独身で人生を終えた人であり、女性体験があったのかどうか疑わしい。エロティックな文学の作者はえてして真面目な人によって書かれるものらしい。


Delight In Disorder.

A sweet disorder in the dress
Kindles in clothes a wantonness:
A lawn about the shoulders thrown
Into a fine distraction:
An erring lace, which here and there
Enthralls the crimson stomacher:
A cuff neglectful, and thereby
Ribbands to flow confusedly:
A winning wave (deserving note)
In the tempestuous petticoat:
A careless shoe-string, in whose tie
I see a wild civility:
Do more bewitch me, than when art
Is too precise in every part.

Robert Herrick


乱れている方が

衣装の色っぽい乱れは
内緒の浮気の始まり。
肩に引っ掛けたローンは
目の保養。
レースの乱れがあちこち
深紅の胸飾が魅力的。
袖口が無造作だから
リボンもめちゃくちゃ。
愛嬌たっぷりの波が(注目!)
乱れたスカートに。
だらしない靴ひもの結び方
作法が乱れています。
完璧な作法よりも
私は魅惑されます。

ヘリック

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Robert Herrickの「バラの格言」の全文が見つかったので紹介する。なお最後に素人の私が生意気だが韻文詩である場合に構造を解説しておく。解説に誤りか要領を得ない 場合にはご指摘頂きたい。また私も友人の英語の先生に確かめる努力をするつもりである。


To the Virgins, to make much of Time

GATHER ye rosebuds while ye may,
Old Time is still a-flying;
And this same flower that smiles to-day,
To-morrow will be dying.

The glorious lamp of heaven, the sun,
The higher he's a-getting;
The sooner will his race be run,
And nearer he 's to setting.

That age is best which is the first,
When youth and blood are warmer;
But being spent, the worse, and worst
Times still succeed the former.

Then be not coy, but use your time
And while ye may, go marry;
For having lost but once your prime,
You may for ever tarry

Robert Herrick

第一詩節の各行の単語は、m(ay), a-fl(ying), to-d(ay), d(ying)である。この括弧の中の発音の同一性から 、mayと to-dayそして a-flyingと dying が対になっている。 対をなしている単語を同じアルファベットで表すことにする。この場合、第一詩節は (a, b, a, b) で韻の構造を表現することにしよう。この操作を4詩節、16行のこの詩に適用しよう。

第二詩節に関しては、s(un), g(etting), r(un), s(etting)で構造は(c, d, c, d)で表そう。

第三詩節に関しては、f(irst), w(armer), w(orst), f(ormer)で構造は(e, f, e, f)で表そう。

第四詩節に関しては、t(ime), m(arry), pr(ime), t(arry)で構造は(g, h, g, h)で表そう。

したがってこの詩の構造は、

(a, b, a, b), (c, d, c, d), (e, f, e, f), (g, h, g, h)

で表される。各詩節とも一行おきに韻を踏んでいる。



乙女よ 時をのがすなかれ

バラのつぼみは採れるうちに採っておいで
時はすぎ去っていくもの
今日ほほえむ花も
明日はしぼむのがさだめ。

空に光りかがやくお日さまも
高くのぼればのぼるほど
それだけ盛りはすぎるわけさ
それだけ日ぐれに近づくわけさ。

としは始めうちが
若くて血があたらしいうちが一番だよ
それをすぎると、だんだんわるい
時がとってかわるもの。

ためらって時をのがしてはいけないよ
いいうちに、そういいうちに
いったん盛りの時をのがすと
出おくれてしまうよ。

ロバート・ハーリック

ヘリックの詩

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ロバート・ハーリック(1591–1674)の「バラのつぼみ」は6月末に紹介した。かなりの数の詩がウェッブにのっていたが、それぞれ脈絡はない。最初の三詩以外、格言めいたさわりを取り上げたのではないかと思われる。もうすこしまとまったのが見つければまた紹介しょう。ちょっぴり猥雑な感じがする詩人である。

http://www.bartleby.com/100/163.html

Cherry ripe, ripe, ripe, I cry,
Full and fair ones,―come and buy!
If so be you ask me where
They do grow, I answer, there,
Where my Julia’s lips do smile,―
There ’s the land, or cherry-isle.

熟したサクランボだよ、ほんとに熟しているよ。
味も形もいいよ。ぜひ買っておくれ!
いったいどこでとれたんだいと
いわれましょう。それがしはお答えします。
それがしのジュリアがにっこりしている唇、
ここが産地、サクランボ島ですよ。

Some asked me where the rubies grew,
And nothing I did say;
But with my finger pointed to
The lips of Julia.

どこのルビーかといわれます、
それがしは黙って
指さします
ジュリアの唇を。

Some asked how pearls did grow, and where?
Then spoke I to my girl
To part her lips, and showed them there
The quarelets of pearl.

真珠はどうして大きくなるの、どこでときかれます。
それがしはあの娘にいいます
口をひらいて、見せてごらん
真珠の産地を。

A sweet disorder in the dress
Kindles in clothes a wantonness.

衣装の色っぽい乱れは
ないしょの浮気のはじまりでさ。

A winning wave, deserving note,
In the tempestuous petticoat;
A careless shoe-string, in whose tie
I see a wild civility,―

ペティコートのウェーブが
はげしく、目立つとき、
靴ひもの結び方がだらしないとき、
あやしいぞとおもいます。

Do more bewitch me than when art
Is too precise in every part.

作法をきちんと守られるあなたさまより、
くだけたあなたさまに惑います。

You say to me-wards your affection ’s strong;
Pray love me little, so you love me long.

あなたさまはそれがしを強く愛するといわれます。
でも強くなくてもいい、ずっと愛し続けてください。

Gather ye rosebuds while ye may,
Old Time is still a-flying,
And this same flower that smiles to-day
To-morrow will be dying.

バラのつぼみは採れるうちに採っておいで
時は過ぎ去っていくもの
今日ほほえむ花も
明日はしぼむのがさだめだよ。

Fair daffadills, we weep to see
You haste away so soon:
As yet the early rising sun
Has not attained his noon.

ああ美しき水仙よ、なにゆえに
汝はかくも急ぐのか
日は昇り、
まだ昼になっていないのに。

Thus woe succeeds a woe, as wave a wave

波が波の後を追うように、悲しみは悲しみの後を追うものだ。

Her pretty feet, like snails, did creep
A little out, and then,
As if they played at bo-peep,
Did soon draw in again.

あの娘のかわいい足はカタツムリのよう、
少しだしては
またすぐにひっこめる、
いないいないばーをするみたい。

I saw a flie within a beade
Of amber cleanly buried.

琥珀のビーズには
ハエが埋められていたよ。

Thus times do shift,―each thing his turn does hold;
New things succeed, as former things grow old.

時はうつりゆき、すべて順番がくるものさ。
新しきものが来れば、古きものは去る。

Out-did the meat, out-did the frolick wine.

なんといっても肉、なんといっても陽気な酒。

Attempt the end, and never stand to doubt;
Nothing ’s so hard but search will find it out.

疑い立ち止まることなけれ、目的に向かうべし。
求めればかならずみいださん。

But ne’er the rose without the thorn。

バラには刺がある。

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