古畑 任次郎事務所・日誌。

東北関東大地震で被災された方々にお見舞い申し上げます。古畑は元気です。

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高遠小彼岸桜 in 会津

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          (鶴ヶ城・郭内 県立博物館脇の高遠小彼岸桜’07 会津のKomachi様提供)

 
 高遠の桜の見事さは、小ぶりながら、花の色の赤味にあると思っている。
 
 高遠城は廃藩置県後、他所同様、城棄却の憂き目に合う。「伊那郡高遠本町松島屋徳次郎旧高遠城建物等落札届(明治六年三月)」が残っている。これによると、高遠城の構造物はもとより、小石類、庭石、ついには郭内外の諸木まで売却の対象となり、城は一木一石もない殺風景な赤裸となった。

 みかねた旧藩士が城地のうち、高遠町が内務省より管理をまかされていた本丸、笹郭、勘介郭、南郭に旧馬場の小彼岸桜を移植したものである、と伝わっている。明治七、八年の時期のことであろう。
 
 旧藩には、三峰川の河原沿い天女橋の上あたりの「柳の馬場」、藤沢川河原の(現在も馬場と呼ばれる)「紅葉の馬場」、郭内の「高田馬場」、そして、河南・小原の「桜の馬場」。四ケ所の馬場があった。それぞれが単独の木で統一されているのが嗜好であったのか、どうか。

 ともかく、移植元は「桜の馬場」のモノであったと考えられる。本丸、二の丸、笹郭を中心に移植された桜樹は、桜の時期には、近郊住民の花見どころになったことであろう。さらに、口伝えで年月を経る毎に城址公園は、桜を愛でる人々で賑合うようになる。

 昭和9年、城址公園の一角に、東京で整形医として成功した内田孝蔵揮毫の「天下第一桜」の碑が建てられた。余談ではあるが、この高遠町出身で、日本美容外科(二重眼瞼術)の先駆者・内田孝蔵は、どういう訳か土地では今一つ知名度が低い。それは別にして、この頃には高遠は、押しも押されもせぬ関東甲信越・中部の桜の名所となった。
 
 マメザクラとエドヒガンの交配種の一系である、と云われる高遠小彼岸桜は、昭和35年、長野県の天然記念物に指定され、平成2年「国際さくらシンポジウム」では、高遠固有の桜の種類である、と認定される。この固有の桜保護のために地元では「桜憲章」が制定され、苗木は門外不出とされている。

 天然記念物であるから厳格な保護がなされているようであるが、しかし、例外的に保科正之の縁故地、会津若松と内藤家の下屋敷(内藤新宿)のあった東京都新宿区には親善交流都市、姉妹都市のよしみで、献木された(鶴が城の郭内[県立博物館東側]、新宿御苑、にそれぞれ数本)。また、最近の情報では東京世田谷・盧花公園にも植樹されているとも知った。
 
 気にかかっていることがあった。高遠小彼岸桜は会津、東京の地で高遠城址公園のようなピンクの花を咲かせているのだろかということである。特に我が会津の場合。
 
 思うのには理由があって、この桜、樹木としては何処でも生育するが、高遠以外の地では、花は白く、赤みの強いピンクに発色しない、という気掛かりな情報を耳にしていた。また、高遠においても「開花時期にぽかぽか温かい日が続いたら色が出ない」なる地元の古老の話を耳にしたこともある。実際に赤みの弱い桜を見たこともあった。
 
 高遠ですらそうである。地味も標高も寒暖のサイクルも異なる高遠以遠の地の桜は、果たして赤いのか、白いのか。
 これは実地見聞しかない。しかし、春の限られた桜の開花の時期は、なにかと所用が多く、地元の新宿御苑の桜ですら、チェックしそびれている。まして、会津においてをや、である。

 ならば、百歩譲って、電子情報に頼るか。春先には桜の写真を載せるHP、ブログはあまたあるが、新宿御苑の高遠小彼岸桜、会津の数本の高遠小彼岸桜(いずれも目立たない場所)に限った写真はひっかかってこない。こちらもシーズンが過ぎれば忘れる。この繰り返しで幾歳かの時が流れた。
 
 心に潜り込んだ小さな気掛かりを、過日、会津のブロガ−さんが、いともたやすく解消(我が願いを容れ、記事に)して下さった。写真の掲載も快諾して頂いたので、桜の時期尚早ながら披露する次第である。会津のブロガ−さんに感謝、感謝である。この写真は当年のものではないにしても、御覧のように、原産地高遠と変わらない「ピンク色」なのである。良き哉。

 なにやら、苦手科目の宿題を四苦八苦でやり上げた小学生のような気分になった。
 余人にとって他愛いもないことであろうが、古畑にとって最近の欣快なのである。

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閉じる コメント(28)

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桜の色、確かに気になります www

白は白で見てみたいですね。

2009/3/7(土) 午前 0:44 夢灰桜

任様、スズメと鳥のももが桜見物のメインメニューでした。塩味、たれ味とありました。どちらの鳥や味も5分々の人気といったところでした。

2009/3/7(土) 午前 7:26 kazenokoron

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この春、鶴ヶ城の花見を兄弟5人で予定しています、画像撮れたら嬉しいです。。。

2009/3/7(土) 午後 0:39 [ ちょいワル爺さん ]

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りょうんさん
植物の美しさ、愛でるということの少ない不粋な古畑が珍しくも「‥美しいヤ」と思ったのが、高遠の城址公園に満開の桜と蒼い空でした。赤みの濃い花は新鮮でした。

2009/3/7(土) 午後 0:42 古畑 任次郎

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kazeさん
花より団子ならぬ、焼く鳥ですね。これは子供から大人の酒のアテまでファンがありそうですね。塩とたれが存在しますか。桜と焼き鳥と脂の焼けるにおい‥三河の花見ですね。

2009/3/7(土) 午後 0:47 古畑 任次郎

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ちょいワル爺さん
ご訪問、コメントありがとうございます。兄弟5人で鶴ヶ城の花見を、それはお楽しみなことですね。鶴ヶ城の春もえもいえない風情がありますね。良い写真を撮って、また拝見させて下さい。

2009/3/7(土) 午後 0:52 古畑 任次郎

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桜なのに濃いピンクは見ていてなんか得した気分になりますね。

やはり紅が強い分“華やか”に感じるんですよね。

2009/3/7(土) 午後 6:22 夢灰桜

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りょんさん
開花から満開まで極めて時間の短いサクラ。はらはらと散りはじめる風情に、日本人の消滅に対する愛惜のようなメンタリテイが刺激されるのでしょうかね。また、ここのサクラの赤味には謂れがあります。天正10年の織田軍団によってこの城は落城し、多くの人が戦死した「その血を吸っているサクラだからこそ赤い」と。いずれにしても美意識と伝承のなせるところの高遠桜です。

2009/3/7(土) 午後 9:19 古畑 任次郎

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タカトオコヒガンザクラ里「高遠城址公園」の開花予想は4月5日です。
是非、お出掛け下さい。Myブログでも更新しま〜す。

2009/3/7(土) 午後 10:03 [ AZR ]

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あ〜、「血を吸う桜」伝説、ここにもありましたか www

そういう話は、桜の花の色に付加された日本人の美学ですよね。
ただの美しさではなく、
その美しさにある種の“妖気”をまとわせる www
それでどきどきしながらその迫力を愛でるんです www
逆を言えばそれほどに美しい紅色、ということになりますね。

これがフランスとかだとどうなんだろう?
イギリス人は大喜びしそうな話ですよね f^^;

2009/3/8(日) 午前 10:30 夢灰桜

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酒をチビリチビリやりながら、夜桜。

最高ですね・・・寒いから、熱燗がいいなぁ。

2009/3/8(日) 午後 7:38 ぶんちゃんです

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AZRさん
高遠小彼岸桜の地元からの訪問、コメントありがとうございます。高遠のサクラホテルか、竹松旅館さんに泊まる。そして、城址公園でディレクタ−チェアを据え、独酌(妄想に耽りながら)で、高遠小彼岸桜のライトアップされた夜の艶美を楽しみたい。と思いつつ‥。今後ともよろしく。

2009/3/8(日) 午後 9:27 古畑 任次郎

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りょんさん
そうですよね。自然現象としての具象をさらに心象までに浸透させるには「妖気」あるいは「譚」のような触媒を求めているのかもしれないですね。日本人の感性としては‥。花見というのも考えてみれば妙な行事で、さらに夜桜となるといっそう。「妖」気が電磁誘導されるのかもしれないですね。花見は「見る」んじゃなくて感じるんでしょうね。そのためにも酒精が必要なんだろう‥、と(これは酒のみのこ理屈か^^)。アイリッシュなら受けますね。フランス人なら、重層の蒸留酒にしてファンファンと楽しませてくれるかもしれないですね。

2009/3/8(日) 午後 9:53 古畑 任次郎

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ブンちゃん
高遠では一度はチビリチビリやりながら、小彼岸桜を(それも夜桜)堪能したい。けれど、不粋なことに古畑は日本酒は飲めない >_< ので、ホットウイスキーかな、あるいは(桜に合わせて)赤ワイン、ブランデーくらいで夜桜を愛でたいと思います^^;

2009/3/8(日) 午後 10:03 古畑 任次郎

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ほんとに日本人の花に対する感性は独特ですね w

2009/3/9(月) 午前 0:07 夢灰桜

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県立博物館、行きましたね。昔。。
懐かしい。高遠ゆかりの桜があったなんて。

保科公を大河にというのが読売の県版にもとりあげられていました。ついでに木曽義仲もだって・・・こっちはあり得ないと思うのですが。。。

私はある日思いました、
長野県民気質と会津人気質は似ているかも!!と。
で、夫はどちらも苦手としている!と・・・。

2009/3/15(日) 午後 4:57 [ sal*l*231* ]

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りょんさん
農票経済社会だった、複雑な自然環境、人間相互の角逐が他の国からくらべると浅い分、自然照鑑が芽生えたものなんでしょうね。

2009/3/16(月) 午後 9:17 古畑 任次郎

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讃良さん
そうですか、木曽義仲も大河狙いに走ってる訳ですか。信濃の国に盛り込まれていることだし、知名度全国区ですしね‥。古畑、長野の北信、東信、中信は体感としてよく知らないので(在京の出身者はいますが)県人の気質まで一般化できませんね。ただ、ぼんやりと長野県人の方が会津人に比べ(濃淡はあるにしろ)「明敏さ、賢さが」表に出るようなところはありますね。会津についてもなかなか総括的な把握が出来てませんが(イメージはあるにせよ)東北人、井上ひさし氏が「会津は東北ではありませんよ」と公言されたのが印象的ですね。直感的なところで同調できる気がしてます。会津と長野の気質の同質性難しい問題ですね。コメントの最後に「夫は‥」はうまい締辞になってますね^ ^。

2009/3/16(月) 午後 9:31 古畑 任次郎

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会津に行って来ました^^;

これが高遠桜「小彼岸桜」見事に咲き誇っていました。
: http://blogs.yahoo.co.jp/nikoniko86ip2000/51468790.htm

2009/4/19(日) 午後 4:54 [ ちょいワル爺さん ]

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ちょいワル爺さん
コメントありがとうございました。小彼岸桜のこと気に掛けてくださって感謝です。

2009/5/23(土) 午前 1:08 古畑 任次郎


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