古畑 任次郎事務所・日誌。

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壬生義士伝・DVD観賞会

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【壬生義士伝】
監督:滝田洋二郎 原作:浅田次郎 脚本:中島丈博 音楽:久石譲 出演:中井貴一  佐藤浩市  三宅裕司  中谷美紀  夏川結衣  村田雄浩  塩見三省ら。 制作:2002年「松竹」 上映時間:137分
○ 見どころ:浅田次郎の同名ベストセラー小説を滝田洋二郎監督&豪華キャストで映画化。幕末の新撰組を舞台に男同士の確執と友情、家族のきずなを描く人情時代劇。
○ストーリー: 幕末の京都・壬生。盛岡から新撰組に入隊した吉村貫一郎。腕は立つが金銭にどん欲で愚直な彼の態度を許せない斎藤一は嫌悪を抱く。しかし故郷の家族と仲間のために戦う貫一郎の純粋な生き方にひかれていく。(松竹広報より)

 秋の一日、狭い「古畑任次郎・事務所」に仲間が集まった。時ならぬDVD「壬生義士伝」の観賞会。なんで今頃「壬生義士伝」なのか?こらんどば(この人たち)にたいそうな理由はない。浅田次郎の原作を読んだあと「映画見てみたいな‥」と呟いた。それで、安濃スクラ氏が、中古DVDを入手したことからにわかに「観賞会」の運びとなった。あくまでB型人的発想なのである。

◇アフター観賞会◇

♥助手アベナ:「よかったぁ!泣いちゃったよ。佐藤浩市サイコ−だったね。渋過ぎぃィ!」

◆安濃スクラ氏:「貴一ちゃんも好演だったド。佐藤浩市と横綱相撲とってた。重い南部弁もうまくこなせていたし」

◆田圃青年:「堺雅人の沖田総司はイイ味出してましたしね。塩見三省の近藤勇も俗ッ気を集約したようで、あれはあれで面白かった。あと、フィクションと割り切れば済むことなんでしょうけど、気になったのが時代考証。鳥羽伏見の戦いなんでしょうね、戦闘のシーン。薩・長軍にガトリング砲が出て来たけど、あれは変ですよね。

 あの時期の日本にガトリング砲は、越後・長岡藩に2丁、幕府・軍艦に1丁備え付けられていただけ。いずれも佐幕側の所有。それから冒頭の『大野醫院』の場所はどこなんでしょうか?斉藤一の晩年は会津でしょ。だったら、会津?必然性がないでしょう?盛岡だとすると、斉藤一が盛岡の『大野醫院』にわざわざ孫連れて行ったの? もうひとつ『大野醫院』明治30年に満州へ移住とか?」

♥助手アベナ:「父とミツの雪の別れんところね、殆どモノクロ。泣いちゃったよお。セリフは子役の『トド‥』の連呼だけ。日本映画人情ものの定番なのにね、解かり切ってるのにね。泣かされてしまったよお。」

◆喜寿美堂:「映像ってほんとに情報量が多いですね。改めて感じましたよ。役者の好演が目立った作品でした。逆言えば、作る側の、例えば、山田洋次監督作品に見られる観客を唸らせるたぐいの見せ場は少なかったような‥‥」

◆古畑任次郎:「浅田次郎の原作は作意が透けて、うるさい書き込みが多い。泣かせようとしすぎた。映画ではすっきりしてほしかったが。この脚本でもそれ消化しきれてない」

◆喜寿美堂:「伊東甲子太郎が、貫一郎と斉藤に御陵衛士への参加を働きかけるくだりは、原作にはなかったでしょう?あの辺りは何を狙ったンでしょうね。焦点がずれたような、やはり、中島丈博脚本の課題の一つでしょうね」

◆田圃青年:「吉村貫一郎の『義』は何だったんでしょうか?」

◆王慶申:「カゾクデショ、サムライノ『ギ』ジャナイネ。プライドステテゼニカセギ。ジブンノシュクンハカゾク、ソウイワセテイタヨネ」

♥助手アベナ:「武士道と対置するところにある『義』?でもさぁ、一人で新政府軍に斬り込んだのは何なの?あれって、侍としての義じゃないの?結局、テーマとして不明確な『義』とやらのために命張ったんだよ。家族への『義』はどうなっちゃったのさ?」

◆安濃スクラ:「武士の『一分』だべさ。観念が二重構造になってるとこだべな。基調は圧搾空気のような武家社会の中の家族への愛かな。そいより、地元東北出身だから言うわけじゃないけど、南部・盛岡の頑強な精神風景も見てやってけさまい」

◆喜寿美堂:「主題とは別に『南部の武士は、女子供でもまげではならぬ義の道を知っておりやんす。ならば、わすは南部の魁となって戦いやんす』これ、痺れましたね。南部弁独特の抑揚。沈みの中にある気骨。このセリフ中井貴一の口で発せられると、しびれるような感動で伝わりますね。これは活字では味わえない。見せ場でした」

◆古畑任次郎:「南部文化論の一つとして見ると、別の興味が出てくる。固陋の家族主義、文化、含羞、一徹、結晶としての至純と‥」

◆田圃青年:「吉村が、土方からの斬首の褒美の金子を不服とするシーンの演技は、もう一工夫の余地ありだったような気がしましたね」

♥助手アベナ:「そうそう、ワシィ、ぎゃはは‥下北弁が取れなくなっちゃったぁ!‥もとい、もとい、私めもそう思ったよ。納得いかなぁぁい!!吉村の『守銭奴』振りを演じたかったんだろうけどね、あの芝居はないよね。軽格といえども吉村貫一郎、武士でござんすよ。それも南部・盛岡の。あの演技では近江商人じゃあん。(>_<)」

◆喜寿美堂:「『ぐるりおだがい山々に囲まれで、城下を流るる中津川は、桜の馬場の下で北上川と合流いたしやす。イヤーッ、こったら絵に書いたような美しい所はこの日の本に二つとなござんす』このくだりは、原作で読んだ方が詩情が湧きますね。情景描写に精神性を付与しようとする。家族愛と同一線上にある郷土愛の発露ということでしょう。

『日の本に二つとなござんす』の情景の中に南部人がいる、親しい者がいる、そして、家族がいる。南部ナショナリズム、テーマのコア、あるいは補助線というとこでしょうか。情に訴える道具立ての一つ一つはすぐれていますよね」

◆王慶申:「セガレノカイチロウネ−、ハコダテセンソウニイカセルノワ『ギ』ノショウテンボケル、センソウイクコンキョキハクヨ。『ギ』ウスッペラクナッチャッタヨ、アレナシヨ」

◆喜寿美堂:「私もそう思いました。原作のあの部分はカットした方がよいように思いました。それから貫一郎の最期のモノローグはうるさいですね。点景だけの回想でよかったと思いますよ」

♥安濃スクラ氏:「貫一郎の最期の報告を聞いていた夏川結衣の表情はよかっダど。一条の涙をはらっと落としてね。『旦那様は、私らのために銭っコ稼いで、ほんとに御苦労様でやんした‥』あれ、南部女の従容!泣けた、泣けた。‥あのシーン、キャスティングの勝利だべ。夏川以外の女優は思い浮かバネ」

◆古畑任次郎:「それはそうと、王さん‥、今日のラーメン手抜きしてナイカ‥?」

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