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 厚生労働省が日本経団連などの後押しで今国会提出を目指す労働基準法改正案の目玉「日本版ホワイトカラー・エグゼンプション」だが、当面は日の目を見ない可能性が高い。この制度は、管理職一歩手前の社員らを対象に労働時間を本人の裁量で決められるようにするというもの。雇用側にとっては労働時間規制が外れれば残業代が不要になるが、連合は「過労死を助長する」と批判、労組側は猛反発している。

「ルーティンではない仕事をする方が自己啓発の時間を取れるようにする制度です」。柳沢伯夫厚労相は一月九日、自民党本部で中川秀直幹事長に対し法案の国会提出を直談判した。だが、中川氏は「国民が理解できるよう努力を」とつれない返事。財界の意向を受け、従来なら推進に回ってもおかしくない自民党だが、夏の参院選では労働者の票も取り込もうとしており、幹部が「今回は連合の代弁をする」と言うほど。

 厚労省幹部は連日、「対象は年収九百万円以上でごく一部」と与党幹部の説得に回っているが、お手本の米国ではファストフード店の副店長まで対象が広がっており、「高額所得者のステータスシンボル」という導入当初の印象は雲散霧消した。

 法案の国会提出に懸命なのは厚労省の中でも旧労働省サイド。国会対策を受け持つ官房長、官房総務課長ともに旧労働省出身のため、旧厚生省出身者は冷ややかに見ている。

 政府内にようやく「少子化対策は経済支援より働き方の見直しで」という合意ができつつあるというのに、今回の制度は方向が逆。旧労働省の考えの甘さが露呈した格好となっている。

(フォーサイト2007年2月号)

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