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「影のオオカミ」と呼ばれる追跡専門部隊が、アメリカの対テロ戦争の最前線であるアフガニスタン国境に投入される。部隊は、ナバホ、スー、ラコタ、アパッチなど複数の部族出身のネイティブ・アメリカン(インディアン)で構成され、先祖伝来の追跡技術を駆使してタジキスタンなど周辺国で、アフガニスタンとの間を行き来するテロ組織メンバーの動きを追う。

 一九七〇年代、メキシコからの麻薬の密輸入を取り締まるため創設された「影のオオカミ」は、メキシコと国境を接するアメリカ西部アリゾナ州の砂漠地帯を中心に活躍。密輸業者を次々と捕まえたことで、その名を馳せるようになった。

 なかでもトホノ・オ・オドム居留地出身のナバホ族ハロルド・トンプソンとゲアリー・オルテガは、荒野の中でも、折れた小枝や枝にからんだ髪の毛から人の通過を察知し、一切れの肉や魚がどれくらいの時間そこに放置されていたかを把握する追跡技法の達人だ。

 米国防総省は、二千五百万ドル(約三十億円)の賞金をかけてもオサマ・ビン・ラディン一人見つけられないばかりか、タリバンやアル・カエダと関係のある人間がアフガニスタン国境を易々と越えて往来していることに危機感を覚えている。「影のオオカミ」は最後の切り札だ。

(フォーサイト2007年5月号)


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