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 世にも珍しい「性賄賂」なる刑法上の罪が、中国で法制化される公算が強まっている。現金のみならず、純金製の毛沢東語録や月餅、高級輸入車などあらゆる財貨が党・政府幹部への賄賂となるが、いま最も喜ばれるのは「鍵を握った美女(=愛人つきのマンション)」。胡錦涛指導部は法制化で、党内の腐敗幹部に警告する新たな手段を得る。

 摘発を受けた腐敗官吏の九五%は愛人をもつとの調査結果もあるほど、腐敗と愛人は密接不可分。賄賂として“愛人”を贈る業者も絶えない。ところが、取り締まろうにも使えるのは女性に対する売春罪だけで、それすら、幹部との間に金銭の授受がなく「自分の部屋に招いた男友達がたまたま幹部だった」ならば罪に問えない。一方の幹部側は不適切な男女関係を「生活作風の問題」と定める党規律に反するだけ。江沢民自身が有名歌手らと浮名を流すなど、前指導部時代に有名無実化した規律を正すべく、刑法改正を検討中なのだ。「性関係の事実」と業者および幹部の「利益追求目的」を構成要件とするという。

 ただ、法学者らの反対・慎重論も根強い。財貨でもない非物質的な「性関係」を利益と算定できるか、「自由意思に基づく恋愛」と主張されたら対抗できるのか、どんな基準で量刑を行なうか、一人より十人の愛人を抱えた方が重いのか、百人と一回ずつの性関係と一人と百回の性関係の罪状をいかに量るか……。

 だが最近、全国人民代表大会弁公庁に勤める教え子に請われ、党中央・国務院・全人代幹部らに内部講話した法律系有力大学の老教授はこう語る。「出席者は、法学論争にはほとんど関心がなかった。問題を放置してはならない、何とかならないかといった意見が続出した。胡総書記の意志は堅いと実感した」。

(フォーサイト2008年1月号)

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