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南アフリカ共和国経由の不法入国者に悩むイギリスが、南アからの旅行者に対して半年以内の滞在ならばビザを免除する措置を見直すかもしれない。
きっかけは昨年四月、イギリス捜査当局と連携した南ア警察が、インド人ビジネスマン、イナヤット・パテルのヨハネスブルクの自宅を捜索したところ、南アの偽造パスポートを使ってイギリスに送り込んだ八十九人のインド人の名前が書かれた手帳が見つかったことだ。南アからイギリスへはビザなしで入国できることを悪用し、パテルらは組織的にインド人の渡航を仲介していた。
仲介料は一人十万ランド(約百四十三万円)で、これにはインドから南アへの旅費(合法的な渡航)、南アでの滞在費、南ア政府の官僚に偽名を使った本物のパスポートを作らせるための賄賂、イギリスへの旅費が含まれている。
極秘捜査の過程では、英ヒースロー空港での手荷物検査の際、組織の一員の鞄から手帳を密かに抜き出し、コピーして戻すといった手法も使われた。こうした詳細は、今年になって公表されたイギリスでの裁判の記録から明らかになった。
これまでに何人の不法入国者が南ア経由でイギリスに入ったのかは不明だが、組織のボスであるユスフ・メワスワラは六千人を送り込んだと豪語していたという。
だが、イギリス政府が最も警戒するのは、インド人の不法入国そのものより、同じようなルートでパキスタンで軍事訓練を受けたイスラム過激派テロ組織アル・カエダのテロリストがイギリスに潜り込むことだ。
(フォーサイト2008年4月号)
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