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 穀物だけではない。日本は豚肉など畜産物の調達も難しくなっている。危険部位が見つかったから米国産牛肉を食べない、などと言っていられるのは今のうちかもしれない。

 輸入豚肉市場に異変が生じたのは三年ほど前からだ。かつては米国産とデンマーク産がそれぞれ約三割、カナダ産が約二割(いずれも重量ベース)を占め、安定した市場だった。しかし、デンマーク産は二〇〇四年度に三一%で米国産を抑えてトップになって以降、毎年シェアを落としている。〇七年度は二一%とカナダ産に抜かれて三位に転落した。

 ユーロ高で輸出価格が割高になるという事情もあるが、背景には、日本よりも運送距離が短く、高い値段で買ってくれるロシアに輸出した方が良いという戦略転換がある。かつては同じ豚肉でも「ロイン」など高級部位を日本へ、「フォアエンド」と呼ばれる低級部位やくず肉をロシアへ輸出していたが、最近は高級部位もロシアへ流れる。中期的にみても、欧州の厳しい環境規制の中でデンマークの豚肉増産は難しい。このため高級部位は少しでも高い値段で売れるところに出すだろう。水産物で顕著になっている「買い負け」が豚肉でも生じているのだ。

 今のところ、日本市場ではデンマーク産の減少分を米国産やカナダ産が補っており、供給不安は表面化していないが、穀物相場の高騰で飼料価格が上昇すれば、両国からも「儲からない日本市場からの撤退」に踏み切る業者が出てくるかもしれない。特に高級部位は中国などとも奪い合う時代になるだろう。トンカツが「トンでもない高級料理」になる可能性も否定できない。

(フォーサイト2008年6月号)


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