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 六月二十四日から自衛隊艦艇として初めて中国を訪問した海上自衛隊の護衛艦「さざなみ」。入港先の広東省湛江で、“事件”は起きた。

 中国海軍の幹部約二十人を招き、さざなみの幹部食堂で海自主催の昼食会が開かれたときのこと。メニューは天ぷら、刺身などの日本食。大きな重箱に詰められ、各自の席に置かれたが、中国側はだれ一人として手を付けようとしない。いくら「どうぞ」と勧めても、ビールをちびちび飲むばかり。気まずい雰囲気のまま、昼食会を終えた。腕によりをかけた調理員たちが気落ちしたのは言うまでもない。

「これほど自衛隊への不信が強いとは」と海自側。予定された交流行事に暗雲さえ漂った。思えば四川大地震で航空自衛隊のC130輸送機がテントを運んで支援する話も、中国軍内の強い反発から中止になった。さざなみは毛布三百枚や缶詰約二千六百食を「お見舞い」として提供する気配りをみせたが、やはりだめだったのか――そんな重苦しい空気の中、その晩、海自主催の夕食会を迎えた。

 すると、どうしたことか、中国海軍の幹部たちが、昼間とは別人のように料理に手を伸ばし始めたのだ。メニューには昼と同じ天ぷらや刺身もある。昼食にはだれも手を付けなかったのに、なぜ――。

「ハッとしました。昼食は各人の目の前に置かれた重箱だったが、夕食は立食形式にして大皿に盛った。昼は毒の混入を警戒し、手を付けなかったに違いありません」と海自幹部。ある意味、軍人として立派な心がけだというのが海自の総括だが、「昼食は日中双方好きなところに座らせるロシアンルーレット方式にすればよかった。もちろん毒なんて入っていませんがね」。

(フォーサイト2008年8月号)


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