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 国民会議派を中心とするインドの連立与党を支えてきた左翼四政党が七月九日、政府が米国との原子力協力協定締結へと歩を進めたことに抗議し、閣外協力を解消した。与党は一部野党の取り込みにめどを付け、左翼なしでも下院での過半数維持がとりあえず可能と判断。左翼の反対で長らく宙に浮いていた米印協力の実現に向け、賭けに出た格好だ。

 協定はインドの民生用原子炉を国際原子力機関(IAEA)の査察下に置くことを条件に、米国からの核技術や燃料の供給を可能にするもの。二〇〇五年にシン首相とブッシュ米大統領が基本合意したが、左派共産党を中核とする左翼ブロックが「協定はインドの核政策や外交政策を縛りかねない」と猛反発。協定の前提となるIAEAの査察受け入れへと動けば、閣外協力を解消すると警告していた。

 そうなると連立与党は過半数割れし、下院解散、総選挙の前倒しへとつながる。インフレ率が二桁に乗り、物価が上がっている現状では早期総選挙は連立与党に不利だ。特に国民会議派への支持はこのところ低調で、地方の州議会選では負け続き。「早期総選挙は何としても避けたい」――。これが米印協定を事実上の「凍結状態」に追い込んでいた最大の理由だった。

 米印協定をブッシュ大統領の任期中に発効させるには、今が「ぎりぎりのタイミング」(印政府筋)といわれる。しかし、ブッシュ政権との合意を反古にするリスクを冒してまで決断を先送りした割には、会議派の支持低下に歯止めをかけることはできなかったようだ。

(フォーサイト2008年8月号)

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