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 米アップル社の人気携帯電話「iPhone(アイフォーン)」が国内ではソフトバンクモバイルから七月十一日に発売されることが決まった。アイフォーンをめぐっては、同じ第三世代携帯「W―CDMA」の通信規格を採用するNTTドコモとソフトバンクが国内販売権の争奪戦を展開。ドコモが有力と目されていた。しかし条件面でアップルとの隔たりは大きく、交渉は難航。「最近は(アップル側と)全くやりとりがない状態」(ドコモ関係者)だったという。

 ドコモは顧客獲得競争でソフトバンクやKDDI(au)に水をあけられ続けており、アイフォーンは失地回復の絶好の武器と見られていた。ところが、孫正義社長のソフトバンクに逆転で契約をさらわれてしまった。六月二十日就任の山田隆持ドコモ新社長は出鼻を挫かれた形だ。

 ドコモでアップル側との交渉役となっていたのが辻村清行取締役だ。新体制で副社長に昇格し、「固定電話系の経験が長く、携帯に不案内な山田社長に代わって、実質的な指揮を執る人物」(関係者)とみられている。ところがアイフォーンでいきなり失点となった。ドコモはなお諦めず、国内二社目の販売権の獲得を目指す。

 先の契約交渉では、アップルがドコモなどに対し、携帯契約者の月々の通信料からの一部支払いを求めたことが障害となったが、最近アップルはこの要求を取り下げた。これで早期に合意を取り付けられるか、ドコモ新経営陣はいきなり岐路に立たされる。

(フォーサイト2008年7月号)

 「派中派を作るべきではない」
 永田町のキングメーカー(?)森喜朗元首相が苛立っている。原因は、弟分である中川秀直元幹事長の動向だ。

 森氏が最高顧問を務める町村派(旧森派)の派閥事務所はグランドプリンスホテル赤坂旧館一階にある。その上の階で、六月四日、「中川勉強会」と銘打った、町村派の政策委員会が開かれた。中川氏が先に出版した著書を派閥の所属議員で勉強するという趣旨だ。直前に開催が決まったにもかかわらず、派内の国会議員三十三人が出席し、代理出席も二十人にのぼった。出席者からは「中川代表を尊敬致します」「中川代表の考えを派閥の考えとすべきだ」など、派閥の代表世話人・中川氏への賛辞が相次ぎ、場はさながら“中川氏への忠誠を誓う会”とでもいうべき、異様な雰囲気に包まれた。

 その翌日に開かれた町村派の定例総会。日ごろ発言しない森氏が、突然マイクを握り、「福田首相の足を引っぱるようなことをすべきではない」と苦言を呈した。著書で過去の女性問題にも触れ「禊をすませて次期総理候補に名乗りを上げた」と評される中川氏の目立った行動に釘を刺した形なのだが、派閥総会に出席していた議員たちの多くは「首相ではなく、自分の足を引っぱるなと言いたいのだ」「森氏のお家芸が始まった」と受け止めた。

 自らを含め四代連続で首相を出した町村派のオーナー・森氏の力の源泉は二つといわれる。

 一つはこれまで参議院を牛耳ってきた青木幹雄・前自民党参院議員会長との結束。だが、早稲田大学雄弁会時代からの森氏の盟友、青木氏も参院での「少数派転落」でかつての神通力はない。

 もう一つの強みが、小泉内閣で国対委員長、政調会長、安倍内閣で幹事長と要職を歴任した中川氏との師弟関係。中川氏は実際には小泉長期政権の中で力をつけたのだが、森氏の顔を立てて、党内の実力者たちとの調整役を務めてきたのである。

 かつて森氏は、事務所に戻ると、秘書に対して「おしぼり、それと中川君」が口癖だったと言われるほど、中川氏を可愛がり引き立ててきた。その中川氏が力を付けすぎると、相対的に自分の出番がなくなる。だから、これまでも中川氏を決して派閥会長にはしようとしなかった。多くの派閥議員が森氏の苦言を聞いて思い描いたのは、そうした図式である。

 そもそも歴代の旧森派内閣に対して、森氏の影響力は全くなかった。小泉政権時は、派閥に入ったばかりの小池百合子氏の入閣は「一〇〇%ない」と断言したにもかかわらず、翌日小池氏が入閣。「福田さんが先だ」と言っていたのに、安倍晋三氏が総裁選に出馬し首相となった。

 最近ではテレビ番組で「首相はサミット後の内閣改造を考えていないのでは」と発言したが、数日後の加藤紘一元幹事長らとの会合では「改造しないということもないかもしれない」とおかしな言い回しで前言を撤回。要は「実力者と近い」という虚像の演出こそが、森氏の政治生命を危うく繋ぎとめているのではないか。ちなみに最近の永田町では「内閣改造アリ」というのが常識で、“キングメーカー”の発言はあまり当てにしないほうがよさそうなのである。

(フォーサイト2008年7月号)

 スーダン南部で展開中の国連平和維持活動(PKO)に続いて、アフガニスタンへも自衛隊派遣問題が浮上した。防衛省幹部は「アフガンへの陸上自衛隊派遣が取り沙汰されるのはテロ特別措置法による補給艦のインド洋派遣以来のこと。当時、できないと結論づけた話を今なぜ進めるのか」と、自衛隊派遣で外交のポイントを稼ぎたい外務省に冷やかな目を向ける。

 政府は六月八日、自衛隊制服組を含む政府調査団をアフガンに派遣したが、防衛省幹部は「北海道洞爺湖サミットで自衛隊派遣をアピールしたい官邸と外務省が防衛省抜きで調査団派遣を決めた。防衛省は後手に回っている」と舞台裏を明かす。

 米英軍によるアフガン攻撃後、現地の治安情勢は悪化する一方だ。前出の防衛省幹部は「今年一月、補給艦をインド洋に再派遣した根拠法の補給支援特別措置法は活動を洋上補給に限定しており、アフガニスタンへの自衛隊派遣は認めていない。派遣には新法が必要になるが、ねじれ国会が続く限り、成立はまず無理」とみる。

 結局、高い確率で実現しそうなのは、スーダンPKOの司令部に数人の自衛隊幹部を派遣することぐらいだ。

(フォーサイト2008年7月号)

 五月二日・三日にミャンマーを直撃したサイクロン「ナルギス」は、死者・行方不明者十三万人、被災者二百五十万人という大被害をもたらした。同二十五日に旧首都ヤンゴンで開かれたミャンマー支援国会議(国連・東南アジア諸国連合の共催)で、ミャンマー軍事政権は復興支援予算に百六億七千万ドルを要請したが、国連の試算額は二億百万ドルにとどまった。要請の五十分の一以下である。冷たい反応にも見えるが、ここには外貨レートのマジックがある。

 現地通貨チャットは、政府レートが一米ドル=約六チャットなのに対して、市場レートは現在、千百三十五チャット。政府は市場レートの二百倍という法外なレートを設定している。これは、一本一円のバナナが政府レートだと二百円になる勘定だ。当然、国連筋はこの二重レートを念頭に、軍政を牽制しつつ、相手のメンツも少しは立てて、実勢よりやや割り増しした金額を提示したとみてよい。

 そもそも、軍政の要請額は復興支援にかかる費用をきちんと積算したものではない。緊急人道援助すら拒む軍政に、復興支援の発想はもとよりない。周辺国の誰かが、軍政トップに知恵をつけたと考えるのが自然だ。この金額は、IMF(国際通貨基金)などがミャンマーのGDP(国内総生産)を試算した数字に近い。軍政はGDPの近似値を国連側にぶつけてきたのだ。

 ダメモトで要請し、首尾よく復興予算が懐に入れば使い道を考えようというのが軍政である。日本も復興に関わるなら、こうした軍政の手口をしっかり見抜いた上で支援することだ。

(フォーサイト2008年7月号)

 ロシア経済の牽引車である原油生産が四月、四カ月連続で減少。高度成長に浮かれて設備投資を怠ったことに加え、主力の西シベリア油田の枯渇傾向が生産面に影を落とし始めた結果とみられる。子飼いのメドベージェフを大統領に据え、異例の長期支配を目指すプーチン体制に綻びが生じようとしている。

 ロシア産業エネルギー省の公式データによると、四月は日量九百七十二万バレルと、ソ連崩壊後最大だった昨年十月の九百九十三万バレルから大きく落ち込んだ。それでもロシア政府は今年の年間生産量を前年比一%増と強気の見通しを崩していない。だが、前年比十一%増だった二〇〇三年のピークに比べると減速傾向は明らか。

 慌てたプーチン政権は、新たな油田開発を急ぐ方針で、先の福田首相との首脳会談では、東シベリアの共同探鉱で合意した。しかし、北方領土問題の進展が全くない中で日本政府がつぎ込める資金は「かなり控えめ」(業界筋)という。

 ロシアの石油企業の効率の悪さは世界一と言われるが、メドベージェフ新大統領が会長を務めるガスプロムの石油部門ガスプロム・ネフチの生産落ち込みが特に著しいことも、新体制の門出に水を差した形だ。

(フォーサイト2008年6月号)


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