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 スーダン南部で展開中の国連平和維持活動(PKO)への自衛隊参加をめぐり、外務、防衛両省が水面下で激しい鍔(つば)迫り合いを演じている。五月のアフリカ開発会議(TICAD)、七月の北海道洞爺湖サミットで国際貢献の目玉が欲しい外務省がスーダン派遣を提起、これに防衛省が抵抗している構図だ。

 外務官僚が描くのは、まず首都ハルツームにある国連スーダン派遣団(UNMIS)本部へ自衛隊連絡官を派遣して現地情勢を把握した上で、地雷除去などのため陸上自衛隊を現地に送るという計画。深刻な人道危機にある西部のダルフールと違い、UNMISが展開する南部は治安が比較的安定しており、非政府組織も活動中で、「自衛隊を出せない理由はない」(外務省筋)というわけだ。

 しかし、防衛省は「現地へは陸路何時間もかかり、自己完結の復興支援は容易でない」(同省幹部)と及び腰。外務省の河相周夫・総合外交政策局長が防衛省の高見沢将林・防衛政策局長に直談判し、連絡官派遣までは了承を取り付けたが、事務方トップの増田好平事務次官は依然、首を縦に振っていない。

 陸自幹部は「得点稼ぎの外務省と、外務主導が気に入らない背広組(防衛省)の勝手な綱引き」と冷ややかだ。

(フォーサイト2008年5月号)

 新冷戦と呼ばれる米露関係に輪を掛けて険悪な英露関係は、プーチン大統領が首相として院政を敷く五月以降、さらにこじれるかもしれない。英国が四月、元クレムリン担当で反体制に転じたロシア人女性記者の政治亡命を認めたからだ。

 この記者は露有力紙コメルサントなどの大統領番だったエレーナ・トレグボワ氏。連邦保安局(FSB)長官時代のプーチン氏にモスクワの日本レストランに誘われた体験を暴露した本をロシア国内で出版、記者生命を絶たれた。

 その著書によると、プーチン氏は政財界要人の密会の場として知られた「イズミ」を貸し切りにして人目を避け、トレグボワ記者を招待。「新年をどこで祝うのか」と尋ね、記者が「まだ決まっていません」と答えると、「私はサンクトペテルブルクで、と思っているのだが……」と語尾を濁したという。それはまるで「誘いのようだった」とトレグボワ氏は書いた。彼女は、夫を亡くした友達を慰めるという口実で「招待」を断ったという。

 出版後、トレグボワ氏はクレムリンから締め出された上に、暗殺未遂にあったと主張。昨年、生命の危険を理由に政治亡命を求めた。

 英露関係は、ロンドン在住の元FSB要員リトビネンコ氏毒殺事件で悪化、英当局が求めたKGB(旧ソ連国家保安委員会)出身の容疑者の引渡しをロシアが拒絶した。さらに拍車を掛けたのが今回の亡命劇で、せめぎ合いが当分続きそうだ。

(フォーサイト2008年5月号)

 アジア各国でコメの輸出を制限する動きが相次ぎ、コメ価格のいっそうの高騰は避けられない見通しになってきた。

 インド政府は四月はじめ、食糧価格の高騰を抑え、インフレ率のさらなる上昇を防ぐために、高級なバスマティ種をのぞくコメの輸出を全面禁止する緊急措置を発表した。

 年間四百万トンの穀物を輸出する世界第二のコメ輸出国インドが輸出を制限すれば、当然ながら、その影響は日本を含む世界全土に及ぶ。

 インド商工省によると、三月までは五%台だったインフレ率が、食品に加えて鉄鋼製品などの大幅な値上がりで、四月に入って七%となり、三年ぶりの高水準になった。

 輸出が許されるバスマティ種に関しても、最低輸出価格を一トンあたり千二百ドルに引き上げることで輸出の勢いに水を差し、搬出できる港をカンドラ、カーキナーダ、コルカタ、そしてムンバイの四つの港に限定した。

 インドだけでなく、ベトナム、タイ、中国、エジプトといったコメ生産国も、国内消費を優先するため輸出を制限する方向に動いており、すでに輸入国に影響が及んでいる。世界全体のコメの貯蔵量は、過去二十五年間で最も低いレベルに落ち込んでしまった。

 インドから月平均十二万トンのコメを輸入し、コメの総輸入量の五割以上をインドに頼るアラブ首長国連邦は、インドからの輸入が途絶えると備蓄は一週間分もないことに気づいて慌てている。また、世界最大のコメ輸入国フィリピンでは、コメの輸送車が襲われる事件が起きている。

(フォーサイト2008年5月号)

 厚生労働省から「体細胞クローン技術で生産した牛と豚を原料とする食品の安全性」を評価するよう求められた食品安全委員会は「虚しい作業」にとりかかる。安全かどうか以前に、クローン家畜を普通の家畜と区別する科学的な技術はないからだ。

 一世代前の技術である「受精卵クローン」は野放し状態。農林水産省が確認しているだけで、一九九三年以降、日本では三百頭以上のクローン牛が食肉として処理され市場に流通した。北米では受精卵クローンの家畜に関して流通上の規制はなく、もちろん表示義務もない。輸入牛肉の中にクローン牛が混じっていたかどうか、だれもわからない。一方、日本では受精卵クローン牛を「Cビーフ」と表示することが「推奨」されたが、まったく普及しなかった。任意表示なのに、わざわざ消費者が敬遠するようなシールを貼る業者はいない。

 その後、クローン技術は、「受精卵」より大量にクローンを作り出せ、かつ遺伝子組み換え技術の応用もできる「体細胞」に移った。いま各国はこの最先端技術で鎬(しのぎ)を削っており、特にクローン牛の分野で日本の技術はトップクラスだ。

 今のところ、体細胞クローン家畜を原料とする食品は、日本だけでなく、欧州、米国、韓国、豪州でも出荷が「自粛」されている。しかし欧州食品安全機関(EFSA)が一月に牛と豚について「食品の安全性に問題がない」とする報告書を発表。続いて米国食品医薬品局(FDA)が、牛、豚、山羊について「危険でない」と宣言した。欧州連合(EU)が主導する「食の安全」の国際標準づくりで外堀を埋められた日本の食品安全委員会に「問題なし」という評価を出す以外の選択肢はない。

 体細胞クローンの家畜には、胎児が育ちすぎる「過大子」が多く死産率も高いなど未解明なことがまだまだ多いが、食品流通はなし崩しに容認されかねない。いや、すでに流通しているのかもしれない。

(フォーサイト2008年5月号)

 中国政府に対するチベットの抗議行動を弾圧したことへの批判として、八月に開かれる北京オリンピック開会式をボイコットする動きが各国首脳に広がる中、中国政府がパブリックディプロマシー(宣伝外交)に打って出ようとしている。

 二〇〇七年の米ロビー活動実績ナンバー1のワシントンのロビー会社「パットン・ボッグス」のアジア担当者はこう語る。

「元々中国政府は、ワシントンのロビー会社を使ってアメリカ人政治家のオリンピックへの来場を働きかけるロビー活動を計画していた。しかし〇五年、中国海洋石油総公司(CNOOC)がカリフォルニアの石油会社ユノカルの買収に失敗した教訓から、ロビー会社ではなく、PR会社を使っての宣伝を優先すべきという結論にいたった」

 CNOOCはユノカル買収のため、ロビー実績第二位(昨年)のエイキン・ガンプ・ストラウス・ハウアー&フェルド社をパートナーに選び、対議会ロビーを行なったが、米国内の反対論を跳ね返すことができず、結局、買収を諦めた。一方、エイキン・ガンプはこれ以降、国益に反して中国企業のためにロビー活動をしたと国内で非難された。

 消息筋によると、オリンピック広報のために中国が接触しているPR会社は、英系と米系の企業で、なかでも最有力候補は、ワシントンの本部に加え、全米七カ所に支部を持つパブリック・ストラテジーズ社で、二〇〇〇年、〇四年の大統領選挙でブッシュ現大統領の広報映像をほとんど独占的に製作した、共和党に近い会社である。

 ワシントンのシンクタンクのあるアジア専門家は「韓国政府がワシントンのロビイストを雇って、米韓ビザ免除協定の締結に成功した事実を中国は熟知している。しかし、ロビー会社は法律によって多くの制約を課されているうえ、中国が隠したい秘密情報も公開することを要求してくる。それもまた、より隠密な姿勢で仕事が出来るPR会社をパートナーにした理由だ」と解説する。

 こうしたPR会社の臭いがプンプン漂うのが、四月二十六日にニューヨーク中心部のコロンブス・サークルで開かれる予定の大規模親中デモだ。中国が動員をかけているのはワシントンとニューヨーク周辺に暮らす中国人留学生と在米中国人で、集会は過去最大規模のものになると予想されている。

 三月半ばのチベット騒乱以後初めて行なわれた親中デモは、三月二十九日にカナダで開かれた「在トロント大学生集会」だ。「ワン・チャイナ」と書かれた揃いの赤いTシャツを着た二千人あまりが、中国旗を振って、北京オリンピック開催を支持すると訴えた。この集会は、最後はチベットの独立を訴えるデモ隊との衝突で終わった。

 米シンクタンクの中国専門家は、「三月末ごろから、在米中国人がよく見るウェブサイト北美華人網(www.huaren.us)内のブログやeメールを通じて、親中集会参加運動が始まった」と語る。

 アメリカには約三万七千人の中国人留学生がいるが、この専門家は、「集会参加者の半分以上は大学生ではなく、お金で雇われた『日雇い労働者』だ」とも言う。

(フォーサイト2008年5月号)


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