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 タイ政府は、来年末に任期が切れるアナン国連事務総長の後任としてスラキアット副首相を擁立している。日本政府は、事務総長の交代までには「まだ時間があり、検討中」として事実上、同氏への不支持を打ち出してきたが、最近になって外務省内に「このままでは危ない」との声が出始めている。

 タイ外務省は、世界に散る若手外交官の中から特に優秀な層を選抜して本国に呼び戻し、スラキアット氏への支持取り付けに向けた各国への根回しを行なうタスクフォースを組織。ワシントンのコンサルタント会社とも月額百五十万バーツ(約四百万円)でロビー活動の契約を交わすなど、選挙活動を本格化させている。

 スラキアット氏は国連での知名度が低く、多国間外交の経験もない。だが、米ハーバード大学ロースクールで博士号を取得後、わずか三十歳で当時のチャチャイ首相の政策顧問に就任し、九五年のバンハーン政権では三十七歳で史上最年少の財務相に抜擢されるといった赫々(かっかく)たる経歴を持つタイ有数の超エリートで、まだ四十七歳。英ケンブリッジ大で博士号を取ったスタワン夫人は、シリキット王妃の姪に当たる。

 同氏の国連事務総長立候補を巡っては、東南アジア諸国連合(ASEAN)に続いて中国も正式に支持を表明。同じアジアからはスリランカのダナパラ元国連事務次長も次期総長に名乗りを上げているが、現時点でスラキアット氏の圧倒的優位は動かない。

 さて日本は、となると、日タイ関係は、観光や投資面での結びつきは強いものの、両国外務省同士の関係は、実はかなり冷え込んでいる。

「日本は国連安保理常任理事国入りが果たせず、一方、相性の悪いタイから国連事務総長が出たら……」。日本の外務省関係者は、“最悪のシナリオ”を危惧する。

(フォーサイト2005年7月号)

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