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 かつてインドネシアで長期政権を誇ったスハルト元大統領が、肺浮腫などで心肺機能が低下、一月四日にジャカルタ市内の病院に入院し、重体に陥った。

 そんな中、国会第一党のゴルカル党が、ユドヨノ大統領にある「書簡」を送っていた。同党の前身ゴルカルは、一九九八年の政権崩壊まで約三十年間、スハルト政権を支えた。

「書簡」の中身は、大統領在任中の巨額の不正蓄財に関する民事訴訟も含め、スハルト氏に対する訴追の中止を求めるもの。「疑惑は疑惑だがインドネシアを地域の経済大国に成長させるなどの功績は功績であり、重体に陥った元大統領の訴追は寛容の精神に反する。過去の過ちは許すべきだ」としている。

 これに対しスハルト氏の弁護団が「書簡は過ちを犯したことを前提にしており認めるわけにはいかない。過ちだったのか否かがまさに係争中である以上、承伏しかねる」と反発した。

 ゴルカル党内の、スハルト政権時代の側近や支持派は「元大統領への『特別配慮』があくまで目的で、有罪を前提にしたものではない」と抗弁するが、一部のゴルカル党員からは「書簡は勇み足だ。責任者は謝罪すべき」との強硬論も出ている。

(フォーサイト2008年2月号)

 昨年末の福田首相訪中を経て、四月上旬にも中国の胡錦濤国家主席が来日する方向だ。日本側は、東シナ海の領土領海問題が重要課題と位置づけるが、中国軍筋は「大きなプレゼントを用意している」とし、これまで国内調整で最大の障害だった「軍が一歩譲る」と明言した。

 内容は調整中だが、領有権や境界線の問題は棚上げし、まずは共同開発の枠組みを話し合いの俎上に載せる方針。すでに操業中のガス田は除き、鉱脈が日中中間線をまたぐガス田の共同開発は「ぎりぎりまで柔軟に対応する」。同筋によると、中国外務省は「棚上げは譲歩ではない。日本企業が共同開発に名乗りをあげる可能性もほぼない。残る権益比率の交渉でも優位に立てば、名実ともに中国の勝利だ」と軍を説得したという。

 胡の軍権掌握が進みつつあることが影響している。十一月に初来日した南海艦隊副司令官の肖新年少将は、帰国後の内部報告会などで強調した。「実際に日本軍人と言葉を交わして初めて理解した。かつてわが国を侵略した日本軍と自衛隊と、まるで別物だ。責任ある立場として、海軍に関しては中日両国が干戈(かんか)を交える可能性はなくなったといえる」。「責任ある立場」とは「胡・党中央軍事委員会主席の意を体して」と同義だ。

 両国識者による歴史共同研究委員会も七月上旬をメドに報告書を提出する。中国は八月の北京五輪に向け日中友好を打ち出したい。胡は訪日で正式に「天皇陛下や皇族を開会式に招きたい」と提案する予定。それに先立ち事前準備のため来日予定の唐家〓国務委員が「陛下は無理としても(訪中していない)皇太子はいかがですか」と打診する見込みだ。

(フォーサイト2008年2月号)

「文字通り命懸け、最近は悲壮感さえ漂ってきました」――中国国務院筋は、温家宝首相が“職務に専念”するため張※莉夫人と一昨年秋に離婚していたと明かした。大陸中国人として初めて英国宝石鑑定士資格を取得、北京ダイヤモンド宝石公司トップとして中国宝石協会副主席までキャリアを積み上げてきた張夫人だが、温の首相就任を翌年に控えた二〇〇二年以降、ビジネスから身を引いたと伝えられていた。だが、旺盛な事業意欲を抑え切れなかったようだ。

 温の家族をめぐっては、長男・温雲松、長女・温如春が父の威光を笠に金融企業のトップに就き暴利を貪っているなど、台湾・香港発の報道が絶えない。昨秋にも台湾のテレビ局が「張夫人は前年の宝石展示会で二百万元の宝石を(自分用に)買った」と伝えるなど、真偽不明の情報が飛び交う。

 噂の出所は「すべて南の大都市」(同筋)。上海閥を率いる江沢民前総書記や曾慶紅国家副主席らが陰で糸を引く構図だ。温は「宝石商売は親民を唱える平民宰相のイメージにそぐわない。“彼ら”に口実を与えないよう、離婚を決断した」という。

 温支援を強めるのは胡錦濤総書記。昨年大晦日には〇五年の国慶節休暇に続き異例の天津再訪に踏み切った。天津は温の出身地。胡は「〇八年は故周恩来首相の生誕百十周年。盛大な記念大会など様々な活動を準備している」と呼びかけた。「天津ゆかりの周と温」を並べ、いまも人民に敬愛される周と温のイメージを重ねるのが胡の狙いだ。

 三月五日に開幕予定の全国人民代表大会で温政府の二期目が始まるのを前に、二月下旬には幹部人事や国務院機構改革案などを最終調整する第十七期党中央委員会第二回総会が開かれる。食料品の物価高騰など経済失策を“彼ら”が攻撃するのは確実で、経済を主管する温は矢面に立たされる。温の秘書グループは緊張を和らげようと、学校参観やスポーツ試合観戦など「子供や若者と接する機会を増やそう」と相談中だという。

※は草かんむりに倍

(フォーサイト2008年2月号)

 十一月六日、インド洋モルジブ共和国のヒマンドゥ島で、剣や鉄棒で武装した覆面集団九十人と地元兵士百人との間で衝突が起きた。周囲七百五十メートルのヒマンドゥ島には五百八十三人の住民しかいないが、以前からワッハーブ派イスラム原理主義者の温床として知られていた。複数の情報筋によると、この島は二〇〇六年秋から冬にかけて、南アジアや東南アジアからアフリカのソマリアに向かうイスラム義勇兵の中継地として使われていたという。

 衝突があったのはダー・アル・クイア・モスクで、ここには九月二十九日に起きたイスラム過激派によるテロ事件に関与したとされる活動家が少なくとも二人匿われていたという。首都マレで起きたこのテロ事件では十二人の外国人が負傷した。

 地元警察によると、テロ活動資金を提供していたのは、パキスタンとイギリスのイスラム系NGO(非政府組織)で、ひとつはアル・カエダとも関係するパキスタンのテロ組織「ラシュカレトイバ」と関係の深いNGOだという。モルジブには無人島が数多くあるため、アル・カエダが訓練施設として活用するだけでなく、洋上で大規模テロを企てる際の拠点としても使われる危険があるという。

(フォーサイト2008年1月号)

 二〇〇七年九月の民主化要求デモが軍事政権に鎮圧されたミャンマーで、いま、仏教の高僧による説法CDが地下販売され、密かに人気を呼んでいる。

 軍政はデモに参加した多数の僧侶を拘束。他の僧侶たちは弾圧を逃れて山岳地帯に避難したり、僧服を脱いで地下に潜伏したりしている。このため、熱心な仏教徒が多い同国では、僧侶による日々の托鉢もなく寺院の行事にも支障が出るなど、市民の精神的拠り所が失われてしまった。

 そんな中、高僧として有名なニャニッサラ師、カウヴィダ師の説法を録音したCDが密かに作られ、旧首都ヤンゴンの市場などで売られているという。

 両師はCDの中で「善を装って悪を行なうのは罪であり、破壊を招く」「罪深き人々は地獄に堕ちる」など軍政を厳しく批判。投獄や拷問を恐れ表立って軍政批判できない市民がこぞってCDを買い求め、当局は慌てて摘発に乗り出しているという。

(フォーサイト2008年1月号)

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