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2008年02月

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 過熱する米大統領選挙。共和党ではマケイン上院議員が候補指名をほぼ手にしたと思いきや、思わぬ疑惑が噴き出した。
 マケイン候補は、三月のロシア大統領選の後も実権を握るプーチン大統領を、日頃から激しく批判していた。だが、プーチン政権と近いロシアの富豪オレグ・デリパスカ氏と国外で接触していたñ@ñ@と米紙にスクープされたのだ。マケイン候補の足を引っ張るためのリークがあったようだ。

 デリパスカ氏はソ連崩壊の混乱に乗じて利権を握りエリツィン前大統領にも食い込んだ狡猾な政商で、現在は世界最大手のアルミニウム企業UCルサルのオーナー。推定個人資産は百六十八億ドル(約一・八兆円)で同国長者番付二位。

 この大物政商とマケイン候補が二〇〇六年に二回、スイスなどで接触していたという。特に二回目の接触は、米国務省がデリパスカ氏の米国での事業に問題があるとして査証発給を拒否した後だっただけに、キナ臭い。

 マケイン候補はかねがね、プーチン政権と富豪の癒着を批判しており、「ロシアをG8(主要八カ国首脳会議)から追放しろ」が持論。報道に対し「会ったが、便宜は図らなかった」と主張しているが、失点は免れない。

 マケイン氏との会談はデリパスカ氏から持ちかけたとされ、その狙いは、米国での商機拡大と、共和党中枢とのパイプづくりと見られる。クレムリンの悲願は米国への石油輸出だが、一度試験的にタンカーで輸出したきり頓挫している。

(フォーサイト2008年3月号)

 ロシアでは今年五月九日の対独戦勝記念日にモスクワ中心部の赤の広場で、ソ連邦崩壊以来久しく見られなかった大規模な軍事パレードが行なわれる見通しだ。

 モスクワの消息筋によれば、このパレードでは多数の兵士や戦車、戦闘機に加え、移動式大陸間弾道弾(ICBM)や最新型ミサイルのトーポリMなども公開される予定。最大の目的は「強大なロシア」の復活を内外に宣伝するためで、プーチン大統領の強い意向で実施が決まったという。また同大統領は、自分の後任に選んだメドベージェフ第一副首相が三月の大統領選挙で当選した後、新大統領に就任する今年五月に合わせ、このパレードを計画したという。

 同消息筋は「レーニン廟の前に観覧席が設けられ、最上段にプーチン、メドベージェフ両者が並ぶ中、その前を戦車とICBMがパレードするという旧ソ連式軍事パレードの再現になろう」と予想する。

 ロシア筋によれば、戦車やミサイルが参加した大規模な軍事パレードが赤の広場で最後に行なわれたのは一九九〇年十一月七日のロシア革命記念日。その後、九五年五月の対独戦勝記念日の際、退役軍人らによるパレードが催されるなど、小規模に挙行されたケースはあるものの、ソ連時代のような本格的なパレードはなかったという。

(フォーサイト2008年3月号)

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 アメリカの俳優シルベスター・スタローンが演じる映画シリーズ『ランボー』の最新作「ランボー 最後の戦場」がミャンマーの人権蹂躙を描き、軍政を厳しく批判する内容になっていることから、民主化運動団体や海外亡命ミャンマー人の間で大人気となっている。

 映画はベトナム帰還兵のランボーと傭兵部隊がミャンマー国軍に囚われの身となったキリスト教宣教師を救出する単純なアクションものだが、ミャンマー国軍が市民や少数民族を容赦なく殺戮する姿が描かれている。

 東南アジアではまだ公開されていないが、早くも海賊版が出回って人気を呼んでいる。シンガポールでは反軍政組織が二月三日に上映会を開催。映画を見たミャンマー人には「これは作り話ではなく、ミャンマーで実際に起きていること」「国軍の残虐性がよく描かれている」などと大きな支持を得た。

 厳しい報道管制を敷くシンガポール当局が、こうした公開前の映画、それも東南アジア諸国連合(ASEAN)内の外交問題に発展しかねない内容の映画の上映会を許可するケースは稀。「ついにシンガポールもミャンマー軍政に批判的な立場を鮮明にしたのか」と、シンガポールへの評価が高まっている。

 一方、ミャンマー警察当局は二月一日、露天商やCDショップに対し、『ランボー』新作映画の仕入れ・販売を禁止する命令を出し、市民の視聴を封じようとしている。だが中心都市ヤンゴンなどでは、すでに海賊版が露天商により売りに出され、密かに買い求める学生や知識人が後を絶たない状況だという。

(フォーサイト2008年3月号)

 二月十八日の総選挙に向け、パキスタンで選挙運動を展開中のナワズ・シャリフ元首相に対し、サウジアラビアが身辺警護を申し出ている。

 シャリフ元首相が率いる野党パキスタン・イスラム教徒連盟シャリフ派(PML―N)パンジャブ州事務所のラジャ・アシュラク・サルワル事務局長によると、昨年十二月にベナジル・ブット元首相が暗殺されたことを受け、サウジアラビアは元首相と弟で同党幹部のシャバズ・シャリフ氏に護衛の提供をもちかけたという。その詳細と、シャリフが申し出を受けたかどうかは明らかでないが、PML―Nはパキスタン政府がシャリフ兄弟に十分な警備を与えていないと非難する。

 シャリフとサウジ王室との関係は一九九〇年代に遡る。とりわけ、九八年五月にパキスタンが核実験に成功してから緊密度は増した。翌年五月には、スルタン王子(現皇太子)がパキスタンを訪問。当時首相のシャリフ自らウラン濃縮施設と中距離弾道ミサイル・ガウリを製造する工場を案内した。この時、王子にブリーフィングを行なったのが、パキスタンの「核の父」と呼ばれたA・Q・カーンである。

 シャリフが首相だった九〇年代、パキスタンの核およびミサイル開発を間接的に支えていたのが、実はサウジアラビアだった。核技術と引き換えにパキスタンが北朝鮮からガウリの基となったノドンミサイルを手に入れた頃、パキスタン経済は崩壊寸前だった。それを救ったのがサウジアラビアだ。

 サウジアラビアのアブドラ国王は、同国に亡命していたナワズ・シャリフが帰国する際、選挙運動用に防弾仕様のベンツ複数とヘリコプター一機を貸し与えている。

(フォーサイト2008年3月号)

 軍政による事実上の報道管制や検閲が常態化し「報道の自由、表現の自由」がないミャンマーで、数少ない国外からの情報入手手段として国民が活用し、民主化運動組織の重要な情報源となっていたのが、ノルウェーを拠点とする「ビルマ民主化の声」や中東カタールの「アルジャジーラ」などの衛星放送。それを受信するためのアンテナディスクの所持認可料金が一月二日、突然値上げされた。

 認可料金は、これまでの年額六千チャット(約五百円)から百万チャット(約八万三千円)へと一気に百七十倍。百万チャットは国民の平均年収の三倍にあたる高額で、大半のアンテナ所有者は支払いが不可能になるのは明らかだ。

 ミャンマーでは、ヤンゴンなど主要都市を中心に約六万個の衛星放送受信アンテナが個人所有で取り付けられている(二〇〇五年の統計)。軍政による今回の料金値上げで「アンテナの大半は違法所持になり、早晩、撤去されるのは明白。ますます情報鎖国化が進む」と、民主化支援団体は深い憂慮を示している。

 アンテナが撤去されると、一般市民は国営テレビMRTVと数少ない民放の番組しか視聴することができなくなる。国営テレビは軍政によって完全にコントロールされたニュースしか流さず、民放も全て軍政への配慮から軍政に不利な時事問題や国際情勢は一切伝えず、歌番組や娯楽用のドラマしか放送していない。

 民主化団体は、周囲を高い塀で囲ったり、半地下や電波を通す素地でできた覆いなどでアンテナを巧妙に隠蔽することで、今後も衛星放送の受信を続ける市民が多くなると推定しているが、反軍政の市民感情に火がつき、再び治安状態が悪化する引き金になる恐れも十分にある。

(フォーサイト2008年2月号)

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