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 昨年末の大統領選の結果を巡って暴動と政治の混乱が続く東アフリカのケニア。だが、国内外からの「不正選挙」との非難を意に介すこともないキバキ大統領の頭痛の種は、実は政治の混乱よりも妻の素行かもしれない。ファーストレディのルーシー・キバキ夫人の奇行は、国民が「最大の国家機密」と冗談混じりに話すほどケニアでは広く知られている。

 二〇〇五年には「自分を批判する報道を行なった」として、ケニアの高級紙『ネーション』の社屋に乱入。四時間にわたって社内に居座り続け、カメラマンをひっぱたく騒ぎを起こした。ところが、その後、夫人を激怒させた報道を行なったのは別の新聞社だったことに気づき、慌てて退散する始末。

 この種の「ご乱心」は数限りなく、昨年末にはある政府高官の頬を公衆の面前で張り倒し、問題になった。夫人が激怒した理由は、この高官が夫人に声をかける際、誤って大統領の愛人と噂される女性の名で呼んでしまったからだ。

 遂に今年二月四日には、与党の国会議員ギトブ・イマニャラ氏が記者会見を開き、夫人を「暴行」の罪で告訴する意向を表明した。イマニャラ氏が大統領官邸で他の議員と話をしていたところ、パジャマ姿に裸足の夫人が現れた。夫人は日ごろから同氏を快く思っておらず、大声でわめきながら同氏の顔にパンチを食らわせたという。大統領官邸は「事実無根」と反論するが、国民の多くは「また夫人のご乱心か」と呆れ顔だ。

「不正選挙」を指摘される夫と、傍若無人な振る舞いで知られる妻。この二人が君臨するケニアでは、選挙後の一連の騒乱で千人近い市民が命を落としている。

(フォーサイト2008年3月号)

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