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「五万トンの水を蓄えた下に劇場を配置して、仮にテロに遭えば、どのような惨事を招くのか」「古都北京の景観にまったくそぐわない。まるで黄身の漏れ出した毒卵だ」−−人民大会堂西隣に建設中の「国家大劇院」に、批判が飛び交った。奇抜なデザインや豪華設備を競って財政資金を浪費、人民の怒りを買っている政府機関ビルや公共建築を厳しく批判し、今後の建設を禁じた中国の胡錦涛政権。三月に開いた全国人民代表大会(全人代)と全国政治協商会議のいわゆる「両会」では、胡の決定に乗じたかの如く、複数の代表から首都の三大浪費として国家大劇院、北京五輪のメインスタジアム(通称「鳥の巣」)、中央電視台(CCTV=国営テレビ局)の新本社が槍玉にあがった。

 中でも、江沢民前総書記が小蜜(若い愛人)である海軍政治部歌舞団所属の歌手、宋祖英にプレゼントしたと揶揄される国家大劇院への批判は要注目だ。二〇〇四年に胡系統の中国共産主義青年団の機関紙「中国青年報」が一度だけ安全性に疑問を呈する記事を載せたが、江周辺から「強烈な圧力を受け」、批判はタブーとなっていたからだ。

 ただ、多くの人民は国家大劇院批判が行なわれたのを知らない。党中央宣伝部が両会に際して通達した「和諧(調和)を破壊するような報道は慎め」に抵触したためだ。国内向け一般報道はなく、幹部向け内部通信のみが「毒卵」批判などを伝えた。

 対抗するかのように、軍機関紙「解放軍報」は、少将の位をもつ宋祖英の功績を称える写真つきの記事をネット上に掲載。さらに、曾慶紅国家副主席の妹の曾海生・軍総参謀部管理保障部政治委員(少将)が、全人代で国連平和維持活動に関する立法を提案したと伝え、江と密接な関係の二人の女少将をアピール、江の影響力を誇示した。

(フォーサイト2007年5月号)

 さらに中国は、東南アジア諸国連合(ASEAN)十カ国とも合同軍事演習を実施する方針を固め、ASEAN各国に働きかけている。インドネシアの外交筋によれば、曹剛川・中国国防相の名でASEAN加盟各国の軍部あてに、合同軍事演習プランを盛り込んだ書簡が既に送られているという。

 合同演習については、一月にフィリピンのセブ島で開催された東アジアサミットで、胡錦濤・中国国家主席が各国首脳に非公式に打診、大半の加盟国から前向きの反応があったという。中国側は七月にも演習を実施したい意向のようだ。

 前出の外交筋は「中国はASEANとの関係を経済面だけでなく、軍事面にも拡大しようという長期的戦略を立てている」と分析、「東南アジア地域で上海協力機構と同様の安全保障機構の構築を狙っている」とみている。

 中国は一月、国連安全保障理事会でミャンマーの人権状況の改善を求める米英提出の決議案に拒否権を行使、同案を葬ったが、これは国連の動きに反発を強めるASEAN各国に配慮した措置で、合同演習実施への布石だったとの見方が有力だ。

(フォーサイト2007年4月号)

 今夏の七月十八―二十五日、中国とロシアは仰々しくも「平和の使命―二〇〇七」と銘打った共同軍事演習を、ロシアのボルガ・ウラル軍管区のチェリャビンスク市で実施する。〇五年八月、中国山東省で総勢一万人が参加した大規模演習の第二弾だ。

 三月初め、バルエフスキー・ロシア参謀総長が訪中し、「反テロ」を掲げ双方が一個連隊三千人規模を派遣する骨格が固まった。前回は国防相や駐在武官ら数人の観閲にとどまった中央アジアの上海協力機構加盟国も、カザフスタン、ウズベキスタン、タジキスタンは一個中隊規模、キルギスは一個小隊規模の兵員を送り込む計画という。

 ロシアのプーチン大統領は最高司令官として観閲する方針を早々と決め、昨秋から胡錦濤総書記も参加するよう中国側に打診している。ただ中国は、米国への配慮に加え、契約済みにもかかわらずロシアの武器・軍事技術の供与が遅れていることに「大いに不満を募らせている」と、中国軍幹部は語る。

 四月には、ロシアのセルジュコフ国防相が就任後初の外遊先として中国を訪問する予定。もともとは昨年九月に国防相訪問を予定していたが、中国の不満の矢面に立ちたくない当時のイワノフ国防相が渋り、延期していた。

 中国は胡総書記が三月末、「ロシアにおける中国年」を記念して訪露する計画を決めた。表向きは「最高指導者が一年に二回も同じ国を訪問することはありえない」という建前を掲げるが、一方で「多数の国が参加する軍事演習参観は、一国訪問とは別勘定」との二段構えを準備していると、先の軍幹部は明かした。ロシア国防相訪中で、供与遅れの解消にとどまらず、さらなる先端軍事技術・武器で協力する方向が決まれば、そこで中国側は「胡は演習を参観するだろう」と持ちかける腹だという。

(フォーサイト2007年4月号)

「この人が、胡錦濤総書記(党中央軍事委員会主席)を支える最有力の長老になります。“太いパイプ”と信頼関係を築くチャンスですね」――中国軍の関係者は、九月にも来日する予定の曹剛川・党中央軍事委副主席兼国防相(政治局員)に注目すべしと語った。中国の公式報道は、同じ副主席ながら軍政(党の軍指導)担当の曹より軍令(作戦用兵)担当の郭伯雄・政治局員を上位で伝えるが、実は「高官限定の内部資料や通知は、序列を逆転させ、すべて曹を上位に置いている」からだ。軍権の完全掌握に向け、胡は「しばらく曹の後ろ盾を必要としている」という。

 七十一歳の曹は、引退年齢規定に沿って今秋に開催予定の第十七回中国共産党大会を機に副主席・政治局員など党内の職務を退き、来春の全国人民代表大会では国防相も辞し、第一線から退く。だが曹は、二〇〇四年八月の党中央軍事委拡大会議で、引退を渋っていた江沢民前総書記(同委主席)に引導を渡し、「軍における胡時代をお膳立てした最大の功労者」だ。胡は、軍内に根強い江沢民派の影響力を削ぐため、曹の手腕を必要としている。

 影響力を削ぎたい相手の筆頭が郭副主席なのはいうまでもない。郭は江沢民べったりでのし上がり、江引退後も講話では一貫して「江の軍建設の重要思想」に言及するなど、忠誠を尽くしている。だが、六十四歳の郭は癌を患い体調は万全でない。曹や胡周辺は「治療専念のため」郭を引退させる方向で軍内をまとめようとしているという。

 二〇〇〇年の朱鎔基首相来日時に基本合意した自衛隊と中国海軍の艦艇の相互訪問も、曹来日直前の八月に中国側艦艇が日本に寄港する方向が固まった。本来なら郭が仕切るべき艦艇の相互訪問計画だが、胡の対日方針をにらみながら曹が「最終的に決断した」。曹と同じ軍政畑から党大会直後に郭に代わって筆頭副主席に昇格する可能性の高い徐才厚・党中央軍事委副主席(書記局員)が、「軍内の具体的な調整を担当した」という。

(フォーサイト2007年4月号)

「百万人じゃない。正確には百五十万人が目標です」。中国政府筋は、二〇〇八年八月に北京オリンピックが開幕する直前の六月末までに、「北京市から他の地域に流出する」出稼ぎ労働者(民工)の人数を明言した。

 昨年九月、北京市の「二〇〇八環境建設指揮部」は、五輪関連の建設で集まった民工について「雇用している企業と政府関連部門が協力し、帰省できる制度を整えなければならない」とし、物議を醸した。北京市としては五輪期間中の安全と安定を確保する「当然の策」だが、国内で「百万人の民工が首都から強制排除される」と報じられ、国際人権団体からの批判を呼んだ。当局は急遽、会見を開き「報道は誤っている」と釈明した。

 同筋によると、五輪関連の建設が一段落する来年の年明け以降、「民工は新たな職を求め自ら移動し始める」手はず。党中央・国務院は、天津市の「浜海新区」など近隣地域に一部を差し向けるほかは、おもに湖南・湖北・安徽の三省を中心とした中部地区に誘導する考えだという。三省はそもそも民工を送り出した地域でもあり、民工の望郷の念を刺激しながら都市建設で蓄えたノウハウを伝える役割も期待する。国務院が軸となり、三省や河南など近接する各省から大規模プロジェクトの提案を募る一方で、海外の華僑にも「投資と技術移転を求める根回しを始めた」そうだ。

 胡錦濤総書記はかねて、将来的な連邦制をにらみ中部地域で「大行政区(広域行政圏)」を試行する構えを見せている。「中部大建設」が動き出せば、必然的に江沢民前総書記が打ち上げた「西部大開発」の影が薄くなるのである。

(フォーサイト2007年3月号)


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