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ロシア

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 史上最良といわれた独露関係の風向きが、人権重視のメルケル独新政権の登場によって変わりつつある。

 ロシア外務省は三月末、ベルリンにある旧ソ連軍記念碑が何者かに冒涜されたとしてドイツに抗議する声明を出し、「前例のない破損行為で正当化できない」と批判した。この記念碑はこれまでも何者かにペンキを塗られたことがしばしばあったが、ロシアが抗議声明を出すのは異例のことだ。

 メルケル首相は一月中旬に初めて訪露した際に、ドイツ大使館に人権活動家らを招き、「ロシアの強権的政治体制を憂慮している」と述べ、連帯を表明した。さらに首脳会談後の共同会見でも、チェチェンでの人権弾圧を批判し、隣にいるプーチン大統領を刺激した。

 プーチン大統領と異様に緊密な盟友関係にあったシュレーダー前首相は、ロシアの嫌がるテーマには決して言及しなかったが、メルケル首相は真っ向からロシアの人権問題に切り込む構えだ。仏独露三国の「反米首脳会談」はもう開かれそうにない。

“欧州最後の独裁者”ルカシェンコ・ベラルーシ大統領は三月の大統領選後、「ドイツの選挙干渉」を批判し、第二次大戦中のドイツの残虐行為に暗に言及した。ルカシェンコ大統領を“擁護”するロシアも歩調を合わせ、今後ドイツの干渉に反発し、「大戦の記憶」に言及する可能性がある。

 今年はドイツに代わって中国がロシア最大の貿易相手国になる見通し。独露蜜月が終了しそうな気配だ。

(フォーサイト2006年5月号)

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 ロシアとグルジアの関係が一段と悪化し、プーチン政権は、グルジアからの分離・独立を目指している南オセチア自治州の併合を狙っている。

 人口十万人の同自治州は、ロシア連邦内の北オセチア自治共和国と国境を接し、南北の合併によるロシアへの編入を望む住民が多い。ソ連解体後、ロシアが支援する南オセチア自治州軍とグルジア国軍は内戦を展開。一九九二年の停戦協定でロシア軍が平和維持部隊として南オセチアに駐留している。

 だが、今年二月、グルジア議会は親米派のサーカシビリ大統領の意向を受け、南オセチアに平和維持部隊として駐留するロシア軍を多国籍軍に変更するよう求める決議を採択。緊張が一気に激化した。

「ロシアはソ連邦解体によって広大な領土を喪失したが、プーチン大統領は南オセチアを併合することで、領土を拡大した大統領としての名誉を獲得したがっている」(ロシア政府筋)。南オセチア州民の大半はロシア国籍を持っている。ロシアが自国民擁護を名目に停戦協定を破棄して一気に併合を狙えば、主権国家への侵略として欧米が猛反発するのは必至。グルジアでは約百人の米軍部隊がグルジア軍の訓練に当たっており、内戦が再燃すれば“米露直接対決”にもつながりかねない。

 グルジアは北大西洋条約機構(NATO)入りを熱望しているが、領土紛争を抱えたままでは加盟条件を満たせない。首都トビリシの外交筋は、プーチン政権がグルジアのNATO加盟承認とロシアの南オセチア併合のバーターを持ちかけてくるのではと見ている。同じく分離・独立を目指すグルジア内のアブハジア自治共和国(人口三十万人)も完全独立に向けてロシアと接近しており、グルジア情勢は不気味なものになりつつある。

(フォーサイト2006年4月号)

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 ロシアと米国はこのほど、ロシアの核閉鎖都市などでの数百トンもの核物質の保管状況を点検するため、米国の専門家が立ち入り査察を行なうことで基本合意に達した。

 戦略兵器削減条約(START)に基づく核弾頭などの廃棄作業については相互査察が可能とされている。だが、保管状況の監視をめぐっては包括的な合意がこれまでなかった。

 ロシアは、解体した核弾頭から取り出したプルトニウムのテロ組織への流出を防ぐため、米国から多額の資金や物資の支援を受けている。そのため、今回は一方的な査察受け入れの圧力に屈せざるをえなかった。米国の支援は保安システムを構築する大量のコンピューターや核コンテナなどを含め総額七十億ドル分を超えるが、有効活用されているかは疑問視されている。

 基本合意にあたってロシアは、見返りとして米側の施設の査察も要求したが、「米国は(ロシアから)支援を受けていない」と一蹴された。クレムリンは、核戦力の心臓部である閉鎖都市に外国の一方的な査察が入る事態が軍部の反発を招くことを憂慮し、合意について公表しない方針を決めたという。

(フォーサイト2006年3月号)

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 二〇〇五年十一月のプーチン・ロシア大統領訪日で、日露関係はロシアの思惑どおり経済協力重視路線へと移行した。この“成功”を受けてプーチン政権は以後、対日政策の権限を大統領府からロシア外務省に移管する方針を固めた。

 理由は、領土問題解決を関係改善の「入口」ではなく「出口」にするという日露関係の大枠が固まったこと、大統領が今後内政問題で多忙を極めることなどだ。

 ロシア外務省には旧ソ連時代の対日強硬論者が多数残っている一方で、政治的決定能力はない。そうした官庁が対日政策を担{にな}うことになれば、今後のプーチン政権下では北方領土問題の進展はありえないことになる。その兆候は、大統領の訪日前から出ており、日露共同声明を採択しないというロシア側の方針は露外務省がイニシアチブを取った結果だった。

 プーチン大統領は朝鮮半島政策についても、北朝鮮の金正日総書記と大統領の気質が合わなかったことなどから、外務省に丸投げ。その結果、ロシアの朝鮮政策は中国を追従するものとなり、独自性も消えた。対日政策においても、これからはロシア側に官僚的な杓子定規の対応が増えそうだ(ちなみに、対中政策は引き続き大統領府が統括するという)。

 もっとも、小泉政権もプーチン大統領同様、対露政策は外務省に丸投げしている。そのため「外交構想力や戦略志向のない日露両国の外務官僚による不毛の領土論争が延々と続く」(日露関係筋)ことになるとみられる。

(フォーサイト2006年1月号)

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 ロシアのプーチン大統領が九月末のテレビ会見で、二〇〇八年の退陣を確認し、大統領の三選を禁ずる憲法の改正を明確に否定したことで、モスクワでは後継者論議が始まった。政治学者の間で有力視されているのが、ドミトリー・コザク南部連邦管区大統領全権代表だ。

 コザク氏は現在四十六歳で、大統領と同じレニングラード大学法学部卒。サンクトペテルブルク市庁舎でともに働き、現在も引き続き腹心のひとり。サンクト派のリベラルな法律家グループに属し、大統領再選委員会委員長など要職を務めた。

 大統領も「わたしの任務は若いテクノクラートが国を運営し、長期的に発展させる基礎を作ることだ」と世代交代の必要性に触れている。そのことも、若いコザク氏を意識した発言との見方がある。

 クレムリンの内情に詳しいベリコフスキー国家戦略研究所長は、「コザクは少ない睡眠時間で猛烈に働き、大統領が最も信頼する部下だ。大統領はコザクが後継者になれば、ロシアはもっとリベラルになると期待している」と話す。コザク氏は大統領から大統領府長官や首相のポストを打診されたものの固辞し、テロ対策などで決して楽でない現在のポストを選んだという人物でもある。ベリコフスキー所長は、「後継者はプーチンの身の安全を保証する重要任務があり、コザクならプーチンは最も安心できる」としながらも、コザク氏はクレムリン治安機関派と関係がよくないため、後継の座が確実になるまでに妨害を受ける可能性があるとみている。

(フォーサイト2005年11月号)

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