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 世界最大のイスラム人口を抱えるインドネシアで、イスラム系宗教団体「アフマディア」に対し、最高検察庁が解散を勧告。政府も活動禁止令の発令を検討したことから、「信教の自由に反する」との批判が起きている。
 アフマディアは十九世紀末にインドから広まったイスラム改革運動で、アフマディア側の説明によるとインドネシアでの信者は約五十万人。最後の預言者はムハンマドでなく運動を創設したアフマッド師であるとして論議を呼んだ。
 こうした解釈が「反イスラム」だと判断した最高検が解散を命じた結果、それに乗じたイスラム急進派グループがアフマディア系モスク(寺院)を襲撃して放火するといった動きが激化。治安部隊が警戒にあたるなど宗教対立の様相を呈している。
 一部のイスラム教学者や弁護士らは「勧告は信教の自由に反する」と強く反発。背景には米政府の諮問機関で各国の信教の自由に関する調査を行なう「国際宗教の自由委員会」が、〇八年年次報告でインドネシアを「要監視国」と位置づけたことなど、イスラム急進派に対する国際社会の厳しい視線があり、インドネシア政府は検討中の活動禁止令の扱いに苦慮している。

 イランの鉄道建設にインドが手を貸すことになった。計画されているのはオマーン湾に面する港チャーバハールとその西北の内陸部ファーラジを結ぶ六百キロの鉄道路で、アジア横断鉄道計画(沿線二十六カ国、総延長八万一千キロ)の一部でもある。

 鉄道が開通すればインドのメリットも大きい。インド鉄道局のK・C・ジャーナ局長は語る。

「インド北西部の港から船でアラビア海を渡って貨物をチャーバハールに運び、そこから鉄道に載せれば、イラン経由でロシア、あるいは中央アジアやヨーロッパに物流ルートができる」

 また、バンダルアンザリなどイランのカスピ海沿岸の港まで運べば、対岸のロシア・アストラハンからの鉄道網を利用して、モスクワやサンクトペテルブルクへの物流路も確保できる。

 インドが協力するのは、線路の敷設、運行システムや信号・電気系統システムの改良、職員養成、列車や部品の提供など。国際鉄道連盟の下部組織として中東鉄道アカデミーをイランに設立する支援も行なうという。

(フォーサイト2008年6月号)

 昨年五月、モンゴル政府が電撃的に資源税を導入したのに対抗し、米国のロビー団体がモンゴルへの経済援助を全面中止する法案を採択するようブッシュ政権に要求している。二〇〇五年十一月のブッシュ大統領のウランバートル訪問後、米国がモンゴルに約束した経済援助は総額二億八千五百万ドル。同時多発テロ後に米国が設立した「ミレニアム挑戦公社(MCC)」の業務として実施されるこの経済援助は、モンゴルが〇三年以降イラクに百八十人、アフガニスタンに五十人の兵士を派遣したことに対する謝意のしるしとして約束されたものだ。

 ロビー団体が動いたのは、モンゴル政府が外資の資源開発企業を標的として〇七年五月に施行した「爆弾課税」のためだ。世界有数の資源保有国として知られるモンゴルは、金、銅、ウラニウム、タングステンなどの天然資源を開発・販売する外資企業に対して一定以上の利益の六八%を徴税する法律を制定。進出した外資企業の猛反発を買っている。

 米ナスダック上場のアイバンホー・マインズ社のロビイストは、「モンゴル政府の措置は資源の国有化も同然で、ベネズエラのチャベス大統領のやり方と全く同じだ。MCCの援助は自由経済と民主化を促進するために行なわれるのだから、資源国有化を強行するなら支援は全面的に中断されるべきだ」と主張。「モンゴルに投資した資源開発企業は開発鉱山までの道路などのインフラを自ら整備しなければならず、開発費用は予定額をはるかに超えている」と訴えた。

 モンゴル事情に精通する米議会関係者は、「イラクとアフガンに派遣されたモンゴル兵が合わせて二百三十人でも、モンゴル軍が総勢八千六百人だということを勘案すると、人口比の派兵規模では米国、英国に続き世界三位。イラクに関わる限りブッシュ政権は決してモンゴルをなおざりにはできず、外資企業に不合理な税が課されようと、イラク問題の終結まで、経済援助をやめる可能性は低いだろう」と展望した。

(フォーサイト2008年6月号)

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 サイクロンの直撃を受け、死者が「十万人を超える恐れがある」(ビラロサ米代理大使)事態に陥るミャンマーで、被災の最中に刑務所で騒乱が発生、多数の死者が出ていたことが人権団体の報告で明らかになった。

 五月三日にミャンマーを襲ったサイクロン「ナルギス」は、死者・行方不明者多数の他に約百万人が家を失う甚大な被害をもたらした。国際社会の援助申し出に対しミャンマー軍政は受け入れに消極的で、救援要員の入国に制限を設けるなど新たな人道問題を起こしている。

 そうした中、隣国タイに拠点を置く非政府組織(NGO)の「ビルマ政治犯支援協会」は、中心都市ヤンゴン郊外にある政治犯収容施設として有名なインセイン刑務所で大きな騒ぎが発生し、治安当局の発砲で受刑者三十六人が死亡、七十人が負傷したことを明らかにした。

 同協会によると、刑務所の収監施設の屋根が吹き飛んだため受刑者約千人を移動させたところ、雨に濡れ寒さを訴えた一部の受刑者が廃材を燃やして暖をとろうとした。これを不穏な動きと誤認した刑務所側が治安部隊を招集、現場に駆けつけたところで丸腰の受刑者との間で騒乱に発展。治安部隊が実弾を発砲して鎮圧に乗り出し、多数の死傷者を出す事態となった。

 死亡した中に政治犯はおらず、この騒ぎで脱走した受刑者もいない模様だが、サイクロン被害の報道の陰で、こうした人権侵害について軍政は一切沈黙を続けている。

(フォーサイト2008年6月号)

 マレーシアのアブドラ首相が四月六日の会見で「ナジブ副首相を自分の後継者とみなしている」と明言、この時期に後継を指名した真意をめぐって憶測が飛び交っている。

 アブドラ首相とナジブ副首相は、マハティール前首相時代はともに次期首相候補としてライバル関係にあった。ナジブ氏は国防相などの要職を務めたが、マハティール氏が後年切り捨てたアンワル元副首相と近かったことから後継レースから脱落。だが、軍への影響力が強く、無視できない存在であるため、アブドラ首相も副首相兼国防相という要職で遇してこざるを得なかった。

 今年三月の総選挙では連立与党第一党の統一マレー国民組織が歴史的敗北を喫し、マハティール氏がアブドラ首相の引責辞任を要求。アンワル氏も政治的影響力を復活させてきたことを背景に、マハティール、アンワルいずれかの陣営にナジブ氏が取り込まれるのを防ぐため、この時期の「後継指名」になったとの見方が出ている。

(フォーサイト2008年5月号)


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