琴の糸

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琴の糸 その13

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「ね〜」
「ジャリ、ジャリって言うから、砂利って言うのかな〜」

前を歩く美恵は、楽しそうに歌うように話しかけてくる。
まるで「ルンルン」と聞こえてきそうなほどに。

昨日会った、京大生二人と約束した
京都御所の、池のほとりに向かう途中。

古都「京都」で、
英語で話すアルバイト体験は
私にとって、
忘れる事のできない興奮と感動をもたらし、
素晴らしい時間を過ごす事ができました。

それなのに、
何だか、嫌な予感のする昨日からの展開。
美恵は、私の心配など関係ないというほどに
楽しげ。




昨日よりも、
ちょっとだけ「ちゃんとした格好」で現れた二人

その場で、名前を紹介しあって。

東京の事とか、京都の事とか…
誰でもがするような、たわいの無い会話。
それにしても、二人が何かを言いよどんでいるような感じ。

午後の新幹線に乗る予定だから
あまり時間が無いし。
このまま話が終わってくれたら、
私の思いも杞憂に終わるのだけれど。

小一時間ほど話をしていたでしょうか?

男の子二人が声を合わせたように

「時間もあまり無い事だし」
「カップルに分かれて、一時間ほどしたら」
「此処でまた、待ち合わせしようよ」

私は、嫌だな〜、と思ったのに。
美恵は、いつもの展開通り、私の方も見ずに

「良いわよ」
「こちらの希望は無いから、そちらでカップルを決めて」

その言葉を聞いた男の子二人は
ちょっとだけ後ろに下がり、私たちに背中を向けて
二人で相談し始めました。

最初は、私たちに聞こえ無いように
ひそひそと話をしていたのですが
お互いの意見が合わ無いのか?
だんだん声が大きくなり始めて
私たちにも、聞こえて来るようになり始め。


「どうせ、一時間くらいだし」
「そんな事、関係無いじゃ無いか」
「だったら、お前が止せば良いだろ」

その言葉が聞こえてきた時

やっぱり、私を選びたく無いから
二人が揉めているのだと…

遠い昔に忘れてきたと。
そう思っていた、小学校の時の事を思い出しました。
あの日の遊園地の事を…

そのうちに

「だって、ボインが好きなんだから…」
「俺だって、ボインがいいよ!」

と、数年前から深夜番組で言われ始めた
流行り言葉が、聞こえ始めました。

それを聞いた美恵は、突然に狼狽え始め

「あなたたち、何を言っているのよ!!」
「もう、帰るわ!!」

と言い放ち、足早に歩き始めました。

私は、どうしたら良いのかもわからず
体の動くまま、美恵の後を追いかけていました。

小走りに走って、追いついてきた二人は執拗に

「今度、東京でゆっくり会おうよ」
「住所だけでも教えてよ」
「今度も、四人で会うからさ〜」


それは、美恵にとって
生まれて初めての屈辱だったのかもしれません

今まで、女王として生きてきた!?

いえ、私に対する「異性との優位性」を
根底から覆されたのですから。

琴の糸 その12

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私たちが休憩しているところへ
話しかけてきた男の子二人。

私は、男の子恐怖症?
というより、もう男性の事は自分の時間に無いと、
信じて生きてきたこの数年。

だから、街などで誰かが話しかけてきても
聞こえないふりをして、無視してきたのに…



私の気持ちなど知らないふりをして
美恵はもう男の子と話し始めて

「あら!あなたたち東京弁じゃないの」

「私たちは、昨日まで京都の観光案内をしていたのよ」

「あなたたちより、私たちの方が京都は詳しいと思うけど…」

「どの様な処を案内してくれるの?」


と、上から目線で、男たちの気勢を削ぎながらも
嬉しそうに話し。



男の子たちは、ちょっとだけ怯んだ後に

「僕たちは、二人とも東京出身だけど、京都大学だよ…」

「ま〜、観光案内はやめて、
  何処かでお茶でも飲みながら、ゆっくり話をしない?」

と、誘ってきます。


どうする?
という様な目で美恵が私を見たから、
私は、男の子にわからない様に、地面を見ながら
赤ちゃんの様に、小さく首を左右に振りました。

それなのに、

「今日は、二人でゆっくりもう少し見たいから」

「明日帰る前の、午前中なら少しだけ付き合うけど…」

「京都御所でも散歩しない?」

と、勝手に誘って…

結局、明日の午前中に会う事にしてしまいました。


男の子たちが離れて行った後、美恵に抗議をしても

「いいじゃない。どうせちょっと散歩しながら話すだけだし…」

「京大生に知り合いがいたら、何か良い事あるよ…」

と、自分勝手な事を言って。
いつもの様に、私の気持ちなんて考えようともしないで。


円山公園から、八坂神社に向かい
本殿を見ながらも、気持ちは何処かへ行ってしまっていて。

「おみくじ、引くでしょ!?」

美恵の声に、現実に引き戻されたみたい。

心の中の、わからないモヤモヤへの
回答でも出るかと思い、おみくじを買ってみたら。

「大吉!」

美恵の声とは、正反対の私の目の前のお札の
黒い「凶」の文字

明日へと続く
「時間の門」の表札の文字の様に

私がこれからくぐる「凶」いう運命が
暗く覆いかぶさってきました。

琴の糸 その11

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私の夢に近い、アルバイト

京都のホテルでの観光案内

美恵と私は、2週間のアルバイトのために
まだ話したことも無い「ネイティヴ スピーーカー」の人たちと
英語で話せる嬉しさと、不安を抱いて、京都に向かいました。

私たちに与えられた部屋は、従業員用では無く、
父の会社の人の計らいで、お客様用の部屋。

ホテルは洋風なのに、私たちの部屋は和室でした。
8畳の畳の部屋と、その先に一間の奥行きで二間の幅の板の間。
籐の涼しげな応接セット、同じ籐のロッキングチェアー。
カーテン代わりに、障子のある窓。

毎朝、窓を開けると
目の下を流れる鴨川の水面の光と
さわやかな草の香り
暑い京都の夏とは無縁の
部屋とロビーを往復する2週間でした。

フロントフロアの一角に設けられた
「外国人に対応するための、特設の観光案内所」

そこにいる、
日本語のうまい、「コニー」と言うアメリカ人女性の補佐役。

私と美恵は、可愛い着物を着せられて、赤い鼻緒の下駄。
外国人が喜ぶスタイルだったのでしょうか。

コニーが応対して、
私たちは、お客様の希望する場所へのルートを
地図を見ながら、説明する役でした。

流石に、
初日は「英語」が思ったように頭に浮かばず、
照れ笑いをしながら、指をさして
単語を言うので精一杯

でも、コニーが

「知っている単語だけで、十分通じるから…」
「無理に会話にしようと、しないで…」

と、言ってくれて、気が楽になり。
最初の照れが嘘のように、笑顔で応対できるようになりました。

一生懸命になって日本語を英語に変えて…
何て思っていたことが、まるで馬鹿みたいに。

話そうというよりも、日本語や英語、ジャスチャーで
相手に伝わる嬉しさに、時間の経つのも忘れました。

ですから、2週間もあっという間。
もう少し、居たかったけれど、
勉強のことを考えると、帰るしかありませんでした。

2週間分の「お給料」をいただいて、
後二日だけ、部屋を使うことも許されて。

美恵と私は、初めて自由な時間を一日獲て、
東山近辺から歩き始めました。

円山公園の東屋に日陰を求め
休憩している時でした。

私たちと同年代くらいの男の子二人が
近ずいてきて。

「初めてだったら、京都を案内しましょうか?」

と、京都弁では無く、標準語で話しかけてきました。

琴の糸 その十

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この年になって考えたら

小学校5年生、10歳

男も女も、異性を好きになるポイントは、
原始人と同じ発想

食べるために必要な「狩をする男」
待っている女のために「頑張る男」

自分の悩みは、
遠くまで空が澄んでいた「昔の景色」
世界がまだアナログの時代の、純粋な心。

「性」の本当の意味さえ知らないし、
ましてや、男女の交際なんて。
本当には考えていない…
と、わかるけれど。

その時の私には
「男の子」に嫌われていると。

その事を忘れる為に、
勉強に一生懸命になりました。



父が話してくれた「パリ」
そして、父の会社関係の人がくれる
「海外のお土産」

時間とともに

「英語を話せるようになって、外国と関わる仕事をしたい」

その思いが強くなり、
男の子よりも「夢」を追いかけ
机に向かう方が、好きになっていきました。

同時通訳は出来なくても、
ガイドとしての通訳なら出来るくらいになりたい。

そして、
海外のたくさんの人と知り合い、
日本の美しいところを紹介したい。

そして、
私が海外に行き、
日本へ海外の美しさも紹介したい。


「夢という、美しい花を開かせ、現実にするために」

高校、大学生活は「英語漬け」の日々でした。




大学2年の夏休み

同じ大学に進学した美恵は、初めての夏休み

「京都に行って、外国人観光客のガイドしない?」

「アルバイト程度の、ホテルの観光案内…」
「期間は、2週間。良ければ、延長できるらしいけど…」

それは、父の会社のグループ会社のホテル

私の「夢」への、練習ができる!

そう考えた私は、美恵の話に即決で、
夏休みに入った7月末、京都に向かいました。

琴の糸  その九

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その日は、
夏休み前の日曜日

「梅雨明け」はしていないけれど
雨は降っていなくて
光る霧の様な白い雲が立ち込めて
明るいのに閉じ込められた様な世界。

それはまるで私の心を表している様に
中途半端な天候でした。


「小学生が遊びに行ける遊園地」
今なら、色々あるでしょうけれど。

その時代では、遊園地といっても
「おもちゃ?」と思われる様な
小さな観覧車や、お猿の運転する小さな電車とか…

その遊園地の入り口で待ち合わせをして

私と美恵は、家から一駅の遊園地へ向かいました。

美恵が約束した「男の子たち」は、
電車でも30分以上離れた都心の住まい。
学校を挟んで、私の家と反対の方向でしたから
その子たちにとっては、遊園地に遠征の様な気持ちで。

私たちが待ち合わせ場所に着いた時には
もう、随分待っていた様でした。

美恵の友達といっても、美恵の一年上。
私と同学年でしたが、
クラスが違うので知らない顔でした。

美恵が私を二人に紹介して…

でも、その時の雰囲気で
その二人とも、美恵のファンで
私は、そこにいるだけ。
と、すぐにわかりました。

4人で話をしていても、
観覧車に乗っていても。

やっぱり、
私は、そこにいるだけ。

でも普段からあまり話をしない私は
美恵から見たら、その日もいつものまま。
そう思っていたようです。

勿論、男の子二人は
美恵に自分の方こそ気に入ってもらおうと
一生懸命に美恵に話掛けて。

私がどの様な顔をしているか?
見てもいませんでした。

「自分が目立ちたい」と、
一生懸命な、二人の男の子にとって
地味で静かな女の子は
居ても居なくても、関係無いでしょうし
最初から、美恵のファンだから
美恵と遊園地に来るのが
目的だったのでしょう。

わかっていても。

自分が「女の子」として
認められていない様な気がして。
時間とともに
悲しさが満ちてきました


「女ごころ」
と云う年齢では無いでしょうが

「魅力が無い」
と、証明された様で
これからも
ずっと男の子に認められ無いのだろうか?
と、心に残る「大きな傷」ができた気がしました。

そして、それは時が経ち、
身体が大人になる年になっても

新たな傷をつけられる
手始めでした。

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