|
戦車専門誌「PANZER」が本屋にあったので少し立ち読みしたのですが、TK-Xに関する記事は相変わらずわけのわからないものでした。 従来どおり「小さいから弱い」という前提に立って述べています。 以下記憶を頼りに書きますので、正しい文章を確認されたい方はPANZERをご覧ください。 まず筆者のTK-Xへの疑問を要約すると、こういうことのようです 果たしてTK-Xは、これからの時代の脅威に対応するためにきちんと設計されたのだろうか? TK-Xは小型化の必要性とそれに基づく要求によって今のサイズに決定したようだが、ではサイズが大きいレオパルド2やエイブラムスがでたらめに設計しているかと言えば、そうではない。 これらの戦車も様々な必要性を鑑みて、あのサイズになったのだ。 一方でTK-Xは小型化で性能を犠牲にしている、まるで旧日本軍の兵器のようだ。(以上要約) そもそも戦車として必要なサイズを算定すると、レオパルド2やエイブラムスと同程度のサイズ・重量になるという法則が無いんです。 両国の戦後第三世代戦車は元々共同プロジェクトとして始まり、その計画が破綻した後、それぞれの国の要求を踏まえて仕様を決定し開発されたものです。 納品はレオパルド2が1979年から、エイブラムスも80年代から行われました。 当時の装甲技術を踏まえてソ連のT-72戦車などに対抗できうるものにしたわけです。 基礎設計がTK-Xより圧倒的に古いのですから、ある防御力を達成するために必要な材料の重さも容積も現代のものより多くなりますし、パワーパックも大きいので、必然的に内部容積は大きくなりサイズが拡大します。 その基礎設計の延長線上に現代の両車があるわけですから、今の日本の基準で見るとやたら大きいのは仕方の無いことなのです。 一方でTK-Xは現代の技術を土台にし、従来的な戦車戦とゲリラ戦における普通科支援の両方に耐えられるように設計されました。 サイズと重量を制限する要求はありましたが、それを現実のものにしたのは現代まで蓄積された技術です。 それはレオパルド2やエイブラムスが開発された時代の技術とは全く異なりますし、だからこそ要求を満たす仕様を決定できたともいえます。 TK-Xもレオパルド2もエイブラムスも、それぞれ各国の要求と脅威への対応を念頭に置き、実用可能な技術に基づいて開発されたというのが正しい認識です。 どちらかがまじめに開発し、どちらかはいい加減に開発したなどということはありません。 例えばTK-Xは油圧機械式無段変速機を採用することで起動輪出力を上げることに成功し、一方でエンジン自体は90式比で2気筒減らした8気筒4サイクルディーゼルエンジンとし、出力を1200馬力にしています。 伝達効率を向上させたからエンジン自体を小さくできる、これは技術発展の成果です。 当然ながらレオ2やエイブラムスの時代には、このようなことはできませんでした。 だからTK-Xと比べればエンジンサイズが大きくなり、結果として内部容積が大きくなって車体長も長くなり、車体が長くなるから重量も重くなるのは当たり前の結果だったわけです。 このそれぞれの技術の違い、技術の違いからくる仕様の違いが、必要性に鑑みて設計した結果と言うものです。 さらにわけがわからないのは、旧軍兵器との比較です。 おそらく九七式中戦車あたりのことを言っているのでしょうが、戦前の国産戦車の不幸は想定外の運用を強いられたことです。 元々この戦車は欧米の中戦車とは異なり、歩兵の火力支援用の車両でした。 だから戦車は機関銃座や歩兵砲を潰せればそれでよかったのです。 装甲は当時としては平均的なものでしたが、機関銃座や歩兵砲を潰すには当初はそれほどひどいものでは無かったはずです。 ところが実際に戦争が始まってみると、待っていたのは戦車同士の戦いです。 元々戦車と戦う設計ではないのに、戦車と戦わなければならなくなったのです。 おまけに相手はM4にしても、最初から戦車戦を想定した車両。 結果として彼は我のアウトレンジから有効な攻撃が可能となり、逆に我の主砲は対戦車戦闘では火力が不足したのです。 厳密な例えとはいえませんが強いて言えば、歩兵戦闘車である89式装甲戦闘車が重MAT抜きで主力戦車と撃ちあうようなものです。 あるいは96式装輪装甲車が、105mm砲を装備したセンタウロ装甲車と交戦するとか。 それは苦しい戦いになるのはやむをえないでしょう。 しかしこれはTK-Xにはあてはまりません。 筆者が外国の戦車やゲリラを仮想脅威として主張しているのであれば、それはTK-X開発においても織り込み済みであり、九七式中戦車が強いられた戦車戦とは類似性の無い状況といえます。 技術に裏づけがあって小型化したTK-Xと、開発時には想定外であった対戦車戦闘を強いられた戦前の中戦車の共通項とはいったいなんでしょうか? さらに読み進めていくとTK-X自体の仕様について見解を述べているのですが、そこで筆者は「TK-Xには40t、44t、48tの三つがあり」と述べた上で、「40tは74式戦車と同程度の防御レベルにある」といったことを書いていました。 一字一句同じではありませんが、はっきりと74式戦車と同程度と書いてありました。 この意味の解釈は二通りあります。 1 40tバージョンは側面の増加装甲をつけないので、74式と同程度の古典的戦車戦を想定した防御、つまり戦闘正面を限定する防御となっている。 2 40tバージョンは増加装甲をつけないので、防御力は74式戦車と同じだ。 1だったら問題ありません、その解釈の通りだと思います。 40tの状態では側面の増加装甲はつけないでしょうから、それは戦闘正面を限定するという古典的な戦車戦を想定しており、74式戦車の考え方も同じです。 ただ…それだと内容が不自然であると感じます。 なぜ90式戦車ではなく、74式戦車との比較なのでしょうか? 古典的戦車戦を想定し、正面は現代的な戦車主砲に耐えられる防御力を有し、側面は大口径の機関砲などに対する定格防御力を有すると言う点では、90式戦車に用いられた考え方はTK-Xの40t状態と同じなのです。 しかもTK-Xは90式戦車の技術を発展改良させたものによって作られていますから、比較するなら74式戦車より90式戦車の方がふさわしいはず。 もしかして、もしかして、40tという重量は74式戦車の戦闘重量38tと同じぐらいであることから、筆者は防御力も同じぐらいと思っているのではないでしょうか? 先述のTK-X批判を考えても、2の解釈のほうが合点がいきます。 今更ですが、日本の専門誌はあんまりじゃないですかね…。
もちろんメディアによると思いますが。 2chの軍板以下ですよ…これでは。 TRDIの公開資料すら見ていないとしか思えません。 |
全体表示
[ リスト ]




専門誌とは名ばかりで、考えられないほど程度が低いのですね・・・よく恥ずかしげもなく「専門誌」と名乗れるなぁと、別の意味で感心してしまいました
2010/1/15(金) 午後 2:05 [ タチコマvsウチコマ スリーポイントシュート対決 ]
タチコマさん
PANZERといえば、過去にはフランスのルクレール戦車について「モジュール装甲は外装式。砲塔の外側に何個もついている箱がそれ」という壮大なデマを流し続けたことがありました。
実際は砲塔や車体の外部装甲板と内部装甲板の空間に挿入する内装式で、砲塔の外側についている箱はただの用具箱だったのです。
後でちゃんと取材した人の記事を読み、正しい情報を得られました。
そういう意味では以前から、話半分で読むべき雑誌ではあるのですが。
2010/1/16(土) 午後 0:04 [ fou*_u*d*r_stro*e ]
はじめまして♪
専門誌として読むから腹が立つのであって、出来の悪いライトノベル、趣味誌程度で認識していれば腹なんか立ちませんよ。ぶっちゃけ、ああいう趣味誌は「その内容に相応しい読者にの大多数よって支えられて」いるので、何を言っても変わりませんし。
どちらかというと、「何故にあの雑誌のグラビアに自衛隊(広報)が積極的に関わっているのか」という点が大問題だと思っています。
広報は公式には雑誌社に協力しているのではなく、写真家に協力していると嘯いていますが、実際問題、誤った内容だらけの事象専門誌に広報が間接的にであっても協力している、という事実は恐ろしい事に、機甲以外の自衛隊員さんにとっては自衛隊お墨付きの記事と受け取られる事が多く、そのオフセットがあるが故に内部の人間ですら国産装備品をゴミ扱いする人が少なからずいる。という点ですね。正直写真家も出禁にしても良いと思うんですが。
2010/1/16(土) 午後 11:39 [ mon*oo*_pr*d*cts ]
monsoon_productsさん
ごらん頂ありがとうございます。
Panzerの過去の実績を考えると、既に腹が立つという心境は通り過ぎてはいますね。
いつものことかと。
ただ一応こういうことでも書いておいたほうが、ごく一部の人でもメディアとは異なる見解を知ることはできるだろうということで、不肖の身ながら書いています。
出入り禁止の話は難しいのではないかと思っています。
PANZERレベルで出入り禁止にするとなると、大半のメディアは出入り禁止になってしまいかねませんから。
5W1Hで明らかの嘘、例えば自衛隊がしてもいないことをしていると書くのなら、確かに出入り禁止も可能かも知れません。
しかし政策や事業に対する評価は色々あるものなので、ある程度分かる人が「でたらめ書いているなぁ」と思うことでも、許容する範囲なのかなと思っています。
メディアへの反論や批判は自由にできますから。
むかつく内容でも取材の自由を認めるのも、言論や報道の自由の範囲かな、と。
2010/1/21(木) 午前 0:44 [ fou*_u*d*r_stro*e ]
それにしても日立金属製の高性能冷間工具鋼SLD-MAGIC(S-MAGIC)の自己潤滑性の評価が高い。塑性加工金型のカジリを防ぐメカニズムが最近わかったようで、摩擦面に自動的にナノベアリング状の結晶が生成されるとのこと。耐カジリ性の指標であるPV値も通常の鉄鋼材料の6倍と世界最高水準と報告されている。
これはどういうことかというと、例えば自動車のエンジンや動力伝達系部品のしゅう動面積を1/6にすることを意味し、大幅な軽量化による低燃費化が期待できることを意味している。トライボロジー技術にはまだまだ発展する力学的な未知が多いように思われる。
2014/5/20(火) 午後 8:07 [ 鋼の日本力 ]