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この季節になると、21歳という若さで亡くなったKくんのことを思い出す。
彼と出会ったのは、18年前。 Kくんは13歳だった。 Kくんは、先天性多発性関節拘縮症と、その他いくつもの障害があり、ずっと寝たきりで、自発呼吸ができないため、24時間人工呼吸器をつけていた。 瞼も口も閉じることが出来ず、声も出ない。 初めて会った時、彼とどうやってコミュニケーションをとろうかと悩んだものだった。 痙攣を起こした時以外、彼が手足を動かしたところを見たことがなく、唯一動いているのを確認できたのは眼球だけだった。 そこから何とか彼の意思を読み取ろうと、何時間も顔を見つめ続けた。 しかし、瞼が閉じないので、彼が起きているのか眠っているのかさえ判断がつかない。 わたしの声は彼に届いているのだろうか。 それよりも意識というものがあるのだろうか。 それすらわからない状態が何ヶ月も続いた。 Kくんは、自分で体温調節が出来ないため、一年中電気毛布にくるまっている。 それでも薄っすらと汗はかくので、濡れタオルで顔や手足を拭くことが日課になっている。 そして、それは9月にしては、やけに蒸し暑い日のこと。 冷たいタオルの方が気持ちが良いのではないかと思い、洗面器に氷を少し入れてみた。 その水に浸して絞ったタオルで顔を拭くと、確かに顔の火照りは和らいだが、果たして気持ち良いと感じているのかどうかはわからなかった。 その時、べッドの端にあったKくんの腕が、何かの拍子にずり落ちた。 その先には氷を入れた洗面器があり、彼の手は水に浮かんでいる氷に触れた。 すると彼の腕がゆっくりと上がってきた。 そして途中で止まると、力尽きたようにバタンと再び洗面器の中に落ちた。 そして、またゆっくりと腕を上げてきた。 これを二、三度繰り返したあと、Kくんの腕は上がらなくなった。 筋力のあまりない彼のことだから疲れてしまったのだろうが、痙攣以外で彼が体を動かしたのを見るのは初めてだった。 これは明らかに氷を冷たがっている。 彼にもちゃんと皮膚感覚があり、自分の意思で腕を上げたのだ。 ほんの些細なことかも知れないが、何だかとても嬉しかった。 出会って5ヶ月目にして、やっと彼の意思を目にすることが出来たと思った。 そこから、もう迷いはなかった。 ちゃんと彼には意識がある。 言葉を掛け続ければ、それは彼に届いているはずだと信じることが出来た。 その後、仕事の関係でKくんと会えなくなり、3年後、彼の訃報が届いた。 讃美歌を歌い、彼を送った日から、もう10年。いくつもの季節が過ぎていった。 今でも、冷凍庫の角氷を目にするとKくんのことを思い出す。 |

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こころさんおはよう
先天性多発性関節拘縮症のKくんとの時間の中でこころさんが真っ直ぐな心で向き合い語りかけてきたことが彼には嬉しかったでしょうね(^.^)氷の冷たさを感じたKくん、こころさんも一緒に喜びを分かち合ったように思います
21歳で逝った彼は我々より早く宿題を終わらせたんだろうから、次に生まれ変わる準備をしてるかも!!
私も病室で知り合ったお姉さんを思い出します(^.^) 彼女が逝ったのは9月1日でした…。
こころさんの温かい心感じて心穏やかな朝です
2015/9/2(水) 午前 6:27
おはようございます。
なかなか接するのが難しいパターンですね😰
相手の意思を読み取ろうとしてもなかなかうまい事行か無いとこちらも焦ってきます😱
やっぱり何かのきっかけで上手くいくのですね(^o^)/
2015/9/2(水) 午前 7:41
ココロちゃまん、お早うございます♪
今まで、そんな重い症状の方の看病をしたことがないので、
ココロちゃまが氷水でお顔を拭いて上げようと思われるように
私は気遣いが出来るだろうかと不安になりました。
Kくんは瞼を閉じることさえ出来ないのですね?
よくドラマで声を出せない患者さんに画用紙の文字を瞬きだけ
で選ばせ言葉に変える方法が有りますが、患者さんのお気持ち
が解る手段として役立ってますよね?
其れさえ出来なかったKくん、歯がゆかったでしょうね。
天国では美味しいご飯やジュースを飲んで、沢山笑っていらっ
しゃるといいなって願います☆
私は四角い氷を見ると、暑い夏に自分の口に含んで大好き
だった彼とキスをしながら、彼の口の中に氷をお引越し
させた20代後半の出来事を想い出すの・・・(∀`*ゞ)エヘヘ
自分の思うままには生きられない方の事を考えると、人の役に
立つ事をどれだけ出来るかも人生には含めるべき時間だと
感じました。
ココロちゃま、有難うございます☆
2015/9/2(水) 午前 8:29
想像でしか言えませんがKくんは、良い出会いがあったのですね。。。
もしかして・・・それまで誰かに意志があると分かってもらえていたのかどうか
自分のことを少しでも分かってもらえる人と出会えたっていうことほど幸せなことはないって私は思うんです
こころさんにとっても良い出会いだったのかな。。。
だからこそ、今も忘れずにいるのかな
彼の顔は、知らないけれどなぜか笑顔でいるような
そんな気がしてなりません。。。
2015/9/2(水) 午後 4:04
> あみさん
こんにちは。
あの頃は悩みながら時間が過ぎていったような気がします。
冷たさを感じているとわかったのも偶然のようなものですが、その時はとても嬉しかったのを覚えています。
わたしたちの宿題はまだまだたくさん残っているけれど
いつか再会した時には、胸を張っていられるように努めたいと思います。
2015/9/2(水) 午後 5:58
> 青ちゃんぱぱさん
こんにちは。
そう簡単にはいかなかっただけに、根気が必要だなと思いました。
このきっかけも、彼が与えてくれたものなんでしょうね。
2015/9/2(水) 午後 6:00
> Bonheurさん
こんにちは。
わたしにとっても初めてのことだったので
本当に手探りの状態が続きました。
痰が溜まれば吸引器で吸い取り
人工呼吸器のアラームが鳴れば体位を変えたり
胸をさすったりしていましたが、
彼が感じていることをずっと知りたいと思っていました。
冷たさが分かるということは
痛みや痒さ、その他の感覚もちゃんとあったのでしょうね。
それに気づく術がなかったのが、今でも残念です。
今は体の束縛から解放されて
楽しく過ごしていると信じたいですね。
2015/9/2(水) 午後 6:13
> 猫うさぎさん
こんにちは。
わたしにとって、とても大切で
そして忘れられない出会いでした。
もっと彼のことを知りたいとずっと願っていました。
やり残したこと、まだまだ出来ていないことはたくさんありますが、彼との出会いがあるから乗り越えていけそうな気がします。
2015/9/2(水) 午後 6:19