fpdの「映画スクラップ帖」 (名作に進路を取れ!)

★日曜劇場「ノーサイドゲーム」(池井戸潤原作)7月7日スタート。

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「空気人形」というタイトルだけでは、映画を見る気がおこらなかった。
 
しかし、日本アカデミー賞で、ベ・ドゥナ(1979年生まれ)が優秀女優賞に入り、最優秀は獲得しなかったが、印象に残るという評価をあちこちで目にして、ようやくきょう見た。ベ・ドゥナは、韓国女優。
 
「空気人形」は、まったくベ・ドゥナの映画。この女優については、まったく知らなかったが、1999年に日本映画「リング」のリメイク版「リング」で、貞子役を演じて、映画デビューしている。シリアスな作品からコメディーまでこなす実力派・個性派ということで、日本映画では「リンダ・リンダ・リンダ」(未見)にも出演している。有望女優の一人のようだ。
 
映画は電車の車内(遅い時間で乗客は少ない。)で、窓にもたれて座る疲れ切った中年の姿を延々と映して始まる。
 
何やら、映画全体のムードが、暗く重苦しい雰囲気。その男は、しかし、アパートに帰る時には「今帰ったよ!」と元気な声で、部屋に入る。 そして、食卓に座り、奥さん(らしき女性)と向き合って座り、「今日は、風呂はやめとこうか」など、どこにでもある平凡な家庭の一シーンだ・・・・・。
 
そこの食卓に座っているのが、人間ではなく「人形」であるということを除けば・・・笑。
 
この映画は、見方によっては、好みが分かれることになる映画かもしれない。
 
「人形」といっても、5,980円くらいの、空気を膨らまして、等身大の女性になる、疑似人間、俗にいう”○○○ワイフ”といわれるものだ。男にとっては、性的処理のはけぐちのための”空気人形”だった。(その部分を模したプラスチックを水道蛇口で何回も洗浄するシーンが出てきて、なんとも哀しい?笑)そんな人形が、ある日“心”を持ってしまうというストーリー。
 
心を持ってからは、主が昼間仕事中は、家にある洋服(おもにメイド服)を着て、嬉々として、外に飛び出して、様々な生きた人間を見るが、これらの人たちがいろいろ問題を抱えている人たち。そんな中、ビデオのレンタルショップで店員と目があって、そこで働くようになる空気人形。ある時、何かの拍子で、空気の元栓が外れて、人形がしぼみかけてしまう。水泳の浮き輪の空気が抜けたようにしぼんでしまうのである。
 
そこに、店員が口で、空気を吹き込むが、そのあたりはすこし、なまめかしい官能?がある。
人形の何かを感じる変化も・・・。
 
店員は、アルバイトが人形と知っても驚くことはなく、「自分も同じだ」とつぶやく。人形は、同類がいることに驚くが、所詮人間でも、人形なみか、人形以下の状況の人が多いというのか・・・。
 
レンタルショップには、いろいろな客が来て、「おすすめ」を店員に聞いてきたりする。
 
DVDで”警察もの”の派手なやつはない?・・・だったり。
「XXが主演で、○○の内容は、なんというタイトルだっけ・・・。といった具合。
 
(それだったら、guchさんか、たんたんさんか、fpdにでも聞いてくれ・・・と言いたくなる。爆)
 
アルバイトの人形さんには応えられるはずもなく、店長が、素早く「あれは、XXXで、それは○○で・・」と的確にぽんぽん出てくる。(タランティーノ監督もビデオ・レンタルで昔バイトをしていたということで、日本映画も、やくざモノなどを見まくっていたので、「キル・ビル」のラストに、梶芽衣子の歌:修羅雪姫、がでてきても当然なわけだ。笑)
 
この店長が、独り言で「仁義なき戦い」はよかったというシーンがある。
あの、メインタイトルの曲を口ずさむのである。「タンタン、タンタン、タンタン、タンタン、タンタン、タンタン、ッタータタタ、タンタン、タンタン、タンタン、タンタン、タンタン、タンタン、ッターーッタッタタ、タンタナタンタン〜」(というんですが・・・。)(※1)
 
アルバイトの人形さんは、とにかく一生懸命、映画のタイトルをメモしておぼえる。
 
そして、なにげなく、口をついてでてくるのは「タンタン、タンタン、タンタン、タンタン、タンタンタン、ッタタターーン、タタタンタンタンタン〜」なのである(爆)。「仁義なき戦い」の大ファンとしては、にんまり!
 
脱線しました。
 
ベ・ドゥナの動きは、ちょこまかして、いかにもロボットぽく、言葉も、たどたどしい日本語。愛らしさもある。見るもの聞くものがすべて新しいわけで、日本人が人形を演じるのでなく、韓国人、それも芸達者なベ・ドゥナが演じたからこそ、生きてきた映画といえるかもしれない。ベ・ドゥナの表情も、人形に似ていて、人形が人間に代わってもすんなり受け入れられてしまうところが、すごい。
 
この映画では、いろいろな人間が、まるで人形のように「代用品」の生き方をしているのではないかと思っている人が多く登場する。背景となる街も下町で、セピア調のカラーが「3丁目の夕日」のよう。庶民の生活の断面も見せる。人形が、人間の世界の言葉、生活に不慣れで、最初は、言葉なども物まねで覚えていく、いじらしさ。
 
監督は、「誰も知らない」の是枝裕和。「歩いても 歩いても」に続く作品。
 
人間のはかなさ、切なさにあふれた小品というところか。
出演は、ARATA(井浦新)、オダギリジョー、富司純子、余貴美子ほか、
 
☆☆☆
 
※1:「仁義なき戦い」のメロディはこちら:出だしの派手なところではなく、「タンタンタンタンタン〜」は、最後の10秒間のところが「サビ」です!⇒ http://www.youtube.com/watch?v=F--nAQHpRWk&feature=related 
 

 

閉じる コメント(28)

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まさに人形的な動きから、心を持って人間のような動きになる様を、
ペ・ドゥナが好演しましたね。どんな人間にもなにかしらの吐け口は必要なのか、
と考えさせられるような作品でした♪。

2010/4/25(日) 午前 0:24 ffa**77 返信する

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ふぁろうさん>人間にならなければ、中年男も、人形も苦しまなかったでしょうが、実社会の人間関係では、ストレスが多いことを暗示しているようでした。TBお返しします。

2010/4/25(日) 午前 8:00 fpd 返信する

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私も予告編は観たんだけど、観たいという気にはならなかった・・・
でも、そんなに良い映画だったんだって後で知って、ちょっと観てみたい気はしています(笑)傑作ポチo(*'▽'*)/☆

2010/4/25(日) 午前 9:51 レイ 返信する

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レイさん>公開された時は、少ない映画館で地味に上映されたようですが、口コミなどで評価が上がっていったようです。

2010/4/25(日) 午前 9:59 fpd 返信する

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拝見しました。
とても現代的な素晴らしい作品。
そして孤独。
いろいろな要素が組み合わさっていますね。
是枝監督の中に出てくる「捨てる」という要素が胸をつきます。
「誰も知らない」もそうですが、ゴミのように捨てられる人々の心の病を感じ取れるかなしい作品ですね。

2010/4/25(日) 午後 8:08 [ dalichoko ] 返信する

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chokoboさん>ごみのように捨てられ、見向きもされないラストシーンは、驚き、ぞっとしました。

2010/4/25(日) 午後 8:19 fpd 返信する

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どこからが人間でどこまでが人形かその区別がつかない映像の素晴しさ。カメラワークの妙ですね。ペ・ドゥナの魅力と相俟って切なく美しい仕上がりは見事だったです。

2010/4/26(月) 午前 7:10 ヒッチさん 返信する

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ヒッチさん>変化する過程が自然な流れで見ごたえのある映像でした。あとから考えさせられる余韻のある映画です。

2010/4/26(月) 午前 7:16 fpd 返信する

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ベ・ドゥナの演技はすごくて空気が抜けるシーンにびっくりでした。
これまたイマドキの日本の生活と若者のことを切りとった作品で
地味ですが見ごたえある作品ですね。
TBさせてください。

2010/4/29(木) 午後 5:21 car*ou*he*ak 返信する

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Cartoucheさん>人形が人間に代わるところも自然の流れで驚きでした。べ・ドゥナも初めてでしたが、演技がすごいですね。

2010/4/29(木) 午後 10:13 fpd 返信する

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お年寄りと空気人形のコラボのシーンがなんとも切なかった。

2010/5/3(月) 午後 9:27 mossan 返信する

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mossanさん>タイトルで敬遠していましたが、人形が、表情を持つところが、すごかったですね。

2010/5/3(月) 午後 11:55 fpd 返信する

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さっそくTBから来ました!コレも夜中に一人で行ったので、実はちょっと恥ずかしかったです。今まで邦画もほとんど観ていないので、是枝監督作品も、徐々に鑑賞したいです。

2010/7/7(水) 午前 0:20 [ ナビィ55! ] 返信する

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ナビィ55さん>「夜中に一人で」(爆)納得です。

是枝監督は「誰も知らない」をみて、親に捨てられたあの子供たちの自然な演技に感動しました。

2010/7/7(水) 午前 6:44 fpd 返信する

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是枝裕和監督作品としては意外な設定なので吃驚しますね。
(でもベースは同じですが)
ベ・ドゥナは、これで四作目ですが、どれも別な面での好演(映画も良い映画にしっかりと出演してます)していて期待の女優です。

2010/12/19(日) 午後 10:41 [ ひろちゃん2001 ] 返信する

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ひろちゃん>ベ・ドゥナは、演技派のようですね。「空気人形」も人形が嬉々として街を歩く格好などうまいですね。

2010/12/19(日) 午後 11:23 fpd 返信する

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これは佳作ですよね。高校生の娘といっしょに見ました。
おたがい少し恥ずかしかったですね。

2011/2/27(日) 午後 1:14 [ おいちゃん ] 返信する

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ste*wag*n*488さん>高校生の娘さんとでは、少々気恥ずかしい映画かもしれませんね(笑)。映画は、人形を女優がよく演じていました。変わった映画でしたが、印象に残る作品です。

2011/2/27(日) 午後 3:38 fpd 返信する

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韓国ドラマが好きなので、その女優さんの事はよく知ってます。
興味深いですが、たぶん観ないと思います〜(^_^;)

2018/9/30(日) 午後 9:26 ゆうちゃん 返信する

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> ゆうちゃん>韓国では知られているようですね♪

空気人形…では余り見る気が起きないかも♪

2018/9/30(日) 午後 9:48 fpd 返信する

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