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「人生の特等席」なんていうタイトルだったので、お仕着せの人間賛歌の映画かと思いきや、頑固おやじに頑固娘あり・・・の溝がだんだんと埋まっていく父娘の再生の物語で、じわじわと感動が伝わり、こんな映画を見せられたら「映画は止められない」と映画はいいな、と思わせる味わいがある。
・・・
映画の原題は”Trouble with the Curve” 。
これは野球のドラフトで一番に指名された選手ボーだが、目が少々悪くなっても音でわかるという老スカウトマンのガス(クリント・イーストウッド)の長年の経験から、手が泳いでしまうので「カーブが打てない問題(=カーブが苦手)」があり、獲らないほうがいいという言葉からきている。
邦題の「人生の特等席」というのは、父親ガスは娘のミッキーに苦労させたくないので、ガスが「野球なんか嫌いだろう。あちこち移動したり”三等席”(Cheap seat)だ」というと、弁護士としてキャリアップが目前のミッキーは、「野球は大好き。(今まで疎遠にされてきたが)弁護士になれば受け入れてもらえると思った。こっちに来て、徹夜でビリヤードをしたり、まずい食事もあるけど、”人生の特等席”(Best seat in a
house)よ」からきているようだ。
イーストウッドが、「グラン・トリノ」で監督・主演して、今後は俳優は卒業して監督に専念するようなことを言っていたと思うが、いまや監督としても巨匠の仲間入りを果たしたイーストウッド。俳優だけの映画への参加は「ザ・シークレット・サービス」(原題:In the Line of Fire、1993)以来19年ぶりという。
映画の冒頭、一頭の馬が走ってくる夢を見て、うなされたように起き上がるガス(クリント・イーストウッド)。トイレに立っても、小水のキレがなく、視力も劣ってきて、イスにつまずいて倒れそうになると「チキショー」(Son of a bitch!)とぼやく。馬のシーンは、ガスのトラウマであることが最後に明かされる。
「マネー・ボール」では野球のGMやスカウトの話がメインだったが、今は選手などのデータは、パソコンで管理され、直ちにアクセスできるが、老スカウトマンのガスにとっては、「野球の知らない奴がコンピューターを使っている」となる。
小さいころから親の影響で野球が好きだったガスの娘のミッキー(名前も親の好みで、有名選手のミッキー・マントルからつけた)(エイミー・アダムス)は、頭がよく、スポーツも万能のようで、ガスがいる酒場に行って、ビリヤードをしていると、男が挑戦しようとすると「そんなに負けるのが好きか?」と自信たっぷり。
野球クイズを出せば、すらすらと正解を言い当て、”弁護士で野球通”ぶりがすごい。父親の球を打てばホームラン。
ミッキーは、弁護士事務所では、すでに7年間の実績を積み、共同パートナーの地位も目前にあるほどの力を備えている。仕事もでき、自信に満ち溢れているバリバリのキャリアウーマン。だが、ひとつだけある大きな心配事は父親との関係だった。まともに話をしたいのだが、なかなか腹を割って話に応じてくれないのだ。
そんな時、父親ガスのスカウト仕事の現場に行き、そこで話をし、これまで小さいときに親戚に自分が預けられたのは、自分が拒絶されていると思っていた誤解などが解消されていく。実はまさに正反対で、不器用な父親だが、娘のためにそうしてきたことなどがわかるのだ。
スカウトマンとしての契約が3か月で終了であったガスが再評価され、契約延長の申し入れがある。ガスの答えは「考えておく」。
ミッキーも、共同パートナーのポジションが外されかけていたのだが、別の人間のプレゼンの失敗があり、会社から、「ぜひパートナーに」という打診があったが「考えさせてください」だった。
一度は、別れたボーイフレンド(ジャスティン・ティンバーレイク)が現れ、ミッキーに野球クイズ。近づきながら正解を言うミッキー。「野球の問題を出すためだけに来たんじゃないでしょ」
・・・
二人を見やってガスは、「俺はバスで帰る」。
ドラフトで、いかにいい選手に見えようとも、速球だけしか打てない選手などは「捨てる勇気も必要だ」という言葉も印象に残る。
エイミー・アダムスは「ダウト〜あるカトリック学校で〜」の若い修道女が印象的だったが、最近の「アメリカン・ハッスル」では、ジェニファー・ローレンスと”女の闘い” で存在感があった。アカデミー賞主演女優賞にもノミネートされている。
「人生の特等席」では、美人で頭もよく、非の打ちどころのないキャリアウーマンだが、”心の壁”があると友達に指摘される。友達と海に飛び込むシーンがなかなかいい。相手にあまり近づきすぎないように「安全な距離を保っている」のだが、だんだん距離がちじまっていく。
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イーストウッドの頑固ぶりは絶品だ。
ガレージから車を出そうとして、ガレージの角に車をぶつけてしまうと「ミニ・ガレージか?」とつぶやいたり、車の運転は危ないから私(ミッキー)が運転すると言ってもなかなかキーを渡さなかったり、あげくの果てに運転していて車と衝突して軽いけがをしたり・・・。ばんそうこうをつけて、スカウトの現場に行くと、知り合いたちから「どうした?」と聞かれると「カミソリでちょっと」と答えるのだが・・・。
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今回は、監督は一緒に仕事をしてきた仲間に任せたが、イーストウッドは、まだまだ
俳優として、いい脚本があれば出演するかもしれない。
映画のセリフの中に、「明日に向かって撃て!」は、ロバート・レッドフォードよりもサミー・デイビスJr.のほうがよかった、なんていう会話もあったが「?」でしょ!(笑)
ジェニファー・ローレンスよりも、エイミー・アダムスのほうがお気に入りかも。
エイミー・アダムスに進路を取れ!(笑)。
「人生の特等席」は、センターオーバーの3塁打くらいの映画でしょう。
(guchさんも絶賛だったような。笑)
☆☆☆☆
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ありがとうございました




グラントリノの時もそうでしたが、こういった頑固爺をやらせたら、イーストウッドは天下一品ですね。
私自身、超アナログ人間なので、データよりも自分の目と耳で見たものを信じるというガスには、とても共感を覚えました。
最後の逆転ホームラン的な展開は、少々ご都合主義にも思えますが、それをものともしないほどの爽快感でした。
ミッキー役のエイミー・アダムスがとても素敵でした。
2014/3/1(土) 午後 10:37
ぶんぶんさん>「グラン・トリノ」では、苦虫を・・といった表情でしたが、「人生の特等席」では、娘を思いやりながらも、ストレートに言えないもどかしさもよく表していました。
最後は、ガスの代わりにボー選手を採用した人が「お前はクビだ」は
スカッとしました。ボートも買ったし、子供は高校生で・・・なんて言っていましたが(笑)。
エイミー・アダムスは、しっかりものですが、親譲りの頑固さもあってよかったですね。
2014/3/1(土) 午後 11:00
最近のイーストウッドは自分の「老い」を逆手に
取って頑固ジジィを演じていますね〜
でもエイミー・アダムスが娘なら
かなりの恥かきっ子ですね。何歳の時の子なんだろ。
2014/3/1(土) 午後 11:27
イーストウッドって本当に息の長い映画人ですね!!
一番好きなのはベン・ショックリーですね。
2014/3/1(土) 午後 11:31
GH字幕さん>しわだらけの爺さんですが、まだまだ頑固ジイサンで行けそうですね。
「マジソン群の橋」のときでも年寄りすぎという印象でした。
47,8歳くらいではないですか。エイミーが役柄で33歳でしたから。
2014/3/1(土) 午後 11:34
MARUMAさん>テレビの「ローハイド」シリーズ(1959年〜)も見ていましたがあの時で26,7歳のころで、その前の1954年からから活動しているといいますから今83歳で、ちょうど60年の映画人生ですね。
2014/3/1(土) 午後 11:37
「スペースカウボーイ」「グラントリノ」と齢を重ねたイーストウッドだからこその映画に
この「人生の特等席」も鎮座、ですね!!
ガレージのシーンなど、老いを真正面から描いている点に好感が持てました。
野球と、父と娘のつながりと・・いい作品ですね。トラバさせてくださいね。
[ maru ]
2014/3/2(日) 午前 0:51
これは映画館で見ました・・・
坦々と流れているけど観終わった後、じわっといい映画だな〜て感じですね(*^_^*)
☆オールポチ☆
2014/3/2(日) 午前 8:32
maruさん>ますます、老いて渋いですね。
まだまだ、名優の演技が見られそうですね。
父娘の関係の変化がうまく描かれていました。
TBありがとうございます。
2014/3/2(日) 午前 8:43
レイさん>劇場で見ましたか。
タイトルがいかにもというので敬遠していましたが、評判もよく見ましたが、地味ですが、親子の関係などがうんなく描かれていましたね。
☆オールポチ☆感謝!
2014/3/2(日) 午前 8:45
早速来てくださって古い記事を読んでいただいて嬉しいです!!
トラバさせてね〜〜〜
2014/3/2(日) 午前 9:22
レイさん>前にコメントしているのを忘れていました。
試写会でしたね。確かに、一瞬「こっくり」するかもしれません(笑)。
TBありがとうございます。
2014/3/2(日) 午前 9:41
『魔法にかけられて』以来のエイミーファンです。超強敵ぞろい(もうひとりの御ひいき、ケイトもいるのでなんですが-笑-)、ぜひ今日は『オスカー』を握ってほしい、っす(笑)
2014/3/3(月) 午前 4:27
sadaさん>エイミーは、「ダウト」で、メリル・ストリープと共演の若い修道女もよかったですね。「ハッスル」では、競争相手がそうそうたる女優で、難しそうですね。
2014/3/3(月) 午前 8:06
野球を通じた父と娘のドラマを、いい形でイーストウッドと、エイミーが演じていましたね。これは邦題もよかったと思います。
TBお願いします。
2014/3/3(月) 午前 8:22
atts1964さん>エイミーアダムスを見直しました。
クリント・イーストウッドも、脚本が気に入ったんでしょうね。
自ら4年ぶりに俳優復帰でした。
ジェニファー・ローレンスともども「アカデミー賞」にノミネートされている「アメリカン・ハッスル」…どこまで行くか注目して追います。
2014/3/3(月) 午前 8:59
fpdさんの記事に二度もコメントしていましたね。
読ませて頂き、必ず見ようと思って、半年も時間が経ってしまいました。
この時期に見て良かったと思います。
多くの方がこの“優しい”映画を評価されていますね。
余りに真っ直ぐな展開に「出来すぎ」という気持ちになりましたが
少しも不満ではありませんでした。
主人公は、イーストウッドにしかできない役でした。
2014/10/12(日) 午後 10:09
alf.momさん>「グラン・トリノ」と同様、苦々しい表情で、頑固な性格は、イーストウッドにぴったりですね。
2014/10/12(日) 午後 10:20
ああ〜、いつの間にか☆☆☆☆作品がトラバってた、、((´∀`))
2019/5/2(木) 午前 8:25
> guchさん、TBは弾(たま)よりも早く、高いビルディングも一飛び〜、鳥だ、ロケットだ〜いやfpdだ!
2019/5/2(木) 午前 10:15