ここから本文です
fpdの「映画スクラップ帖」 (名作に進路を取れ!)
★「9月1日から「はてな」ブログに移りました。https://fpd.hatenablog.com/

書庫全体表示

 
イメージ 1
 
 
そこのみにて光輝く」は、芥川賞候補に幾度も名を連ねながら受賞がかなわず、41歳で自ら命を絶った不遇の作家・佐藤泰志の唯一の長編小説が原作。
 
「オカンの嫁入り」の呉美保監督がメガホンをとり、愛を捨てた男と愛を諦めた女の出会いを描く。綾野剛、池脇千鶴主演。
 
(あらすじ)
仕事を辞めブラブラと過ごしていた佐藤達夫(綾野剛)は、粗暴だが人懐こい青年・大城拓児(菅田将暉)とパチンコ屋で知り合う。ついて来るよう案内された先には、取り残されたように存在する一軒のバラックで、寝たきりの父、その世話に追われる母かずこ(伊佐山ひろ子)、水商売で一家を支える千夏(池脇千鶴)がいた。世間からさげすまれたその場所で、ひとり光輝く千夏に達夫はひかれていく。しかしそんな時、事件が起こる。
 
・・・
 古いアパートの一室で、雑然とした畳の部屋で短パン一つで横たわっている男(綾野剛)がいた。男は仕事もせず、パチンコと散歩をするだけが毎日の生活。無精ひげで、過去の事件を引きずっているようだ。男は、パチンコ店で知り合った拓児(菅田将暉)という若者から、家に来て飯を食べないかと誘われついていく。
 
男は佐藤と名乗り、食事を作ってくれた女は拓児の姉で、千夏(池脇千鶴)と名乗った。ショートパンツ姿で、むっちりタイプの千夏は、ワケありの雰囲気。

家には、母親と、脳梗塞で寝込んだきりの父親がいた。
母親のかずこは、佐藤をみて「前科の友達か」と不躾に聞く。
拓児が、事件を起こして仮釈放中の身であることがわかってくる。
 
千夏は、佐藤達夫に「何してる人?」と聞くと「別に何も」、「奥さんは?」「いないです」といった他愛ない会話が続くと弟・拓児は「何?」と質問をうるさそうに遮る。
 
夜、達夫がバーらしき店のカウンターに顔を出すと、店のママが、「一人、空いたけどどうする?」と声をかけてきた。バーの名を借りた風俗の店だった。達夫はかなりベロベロに酔っていたが、なかから出てきたのが、千夏だったことに驚く。千夏は、達夫に向かって「こういうとこにくるんだな」。酔った勢いで、口論となる千夏と達夫。
 
別の日に、達夫は、千夏の家を訪ねると、千夏から「あんなところでカラダ売っているのがおかしかったんでしょ。笑っていれば」というと達夫は、酔っていたので謝りに来たという。
 
千夏は、妻子持ちの中島という男の愛人だった。中島は刺青もあり、地元では市役所などにも顔が利く男のようだが、千夏に暴力をふるい、人の弱みにつけこむ質の悪い人物だった。
 
中島の会社で働いていた千夏の弟・拓児から、中島が千夏をおもちゃにしていることを知り乗り込んでいく。「なんだオメエは」という中島に「千夏と別れてくれませんか。」というが「オメエ、誰に向かって言ってんだ」と食ってかかってきた。「家族を大事にしたらどうですか」というものの「大事にしてるからおかしくなるんだべ」。
 
千夏に、達夫は、「もうこんな仕事は辞めれや」というと、「私だって昔、運送会社の事務をやったことがある。一ヶ月持たなかった。毎日会社へ行って、飲みに行って。私には居場所がないんだよね。そういうのわかんないっしょ」。
 
千夏はさらに「あんた、何様。一回やったぐらいで。稼がなけりゃならないの。わかるよね。何なのよ」。達夫は「聞こえないのか。腐れ縁、切りたくねえのか」と返すが、千夏は「あんたさあ、私と結婚でもしたいの。バカだと思われるよ」と取りつくシマもない。
 
達夫は、かつて石堀りの仕事をしていた時に「ハッパ」(ダイナマイト)の事故で、仲間を死なせたことに対する自責の念を持ち続けていたが、その石堀の仕事の責任者・松本(火野正平)から、「達夫のせいではないから、戻って来い」という誘いを受けていた。その男に「金がほしいだけだ。貯金が底をついたこともあるが、家族を持ちたくなったんだ」という。松本は、「バカが、俺をみれ、だーれもいない。それでいいんだ」。「オレはあんたと違う」と達夫。
 
・・・
池脇千鶴は、ポッチャリ体型で、ショートパンツ姿が多いが、中島という男が、車の中でも、要求してくるので、男に向かって、「早く済ませて」というシーンで、壮絶な演技を見せて、体当たりだった。
 
千夏が、中島から乱暴され、顔に傷まで出来て、家に戻ったので、弟の拓児もさすがに状況をつかむ。 中島が社員たちと飲んでいる場所に向かい、中島を睨むが、中島は「座って、飲め」と何事もなかったようないつもの態度。中島は「お前には用はない。お前を必要としている人間はいない」というので、ついにキレてしまう拓児。
 
ナイフで中島を切りつける拓児。
結局、失血するものの死にはいたらなかった。
 
登場人物全てが、居場所がない人間のようだ。
 
イメージ 2
 
イメージ 3
 
 
ある日、二人で海で泳いだこともある海辺を千夏と達夫が歩く姿があった。
これから、光輝くことはあるのか。海で泳いだシーンは印象深い。
 
映画は、身も心もずたずたになった男と女が、自分たちの居場所を求めてもがく姿が描かれている。暗く重い映画だ。綾野剛はテレビドラマ「空飛ぶ広報室」で初めて見たときは、好青年といった役柄だったが、過去の作品を見てくると、屈折した若者を演じる役が多いのに驚いた。池脇千鶴は、どんな激しいシーンも演じてしまう女優魂のある女優だ。R15+指定映画。
 
主な出演者:
佐藤達夫:綾野剛
大城千夏:池脇千鶴
大城拓児:菅田将暉
中島:高橋和也
松本:火野正平
大城かずこ:伊佐山ひろ子
大城泰治:田村泰二郎
 
監督:呉美保
原作:佐藤泰志
脚本:高田亮
音楽:田中拓人
製作:永田守

☆☆☆(←★★から格上げ)
 
↓↓↓↓↓↓↓↓↓↓↓↓↓↓↓↓↓
「にほん映画村」に参加しています:
ついでにクリック・ポン♪。

  • 顔アイコン

    好きだった映画「海炭市叙景」の原作者ですので、
    本作のことも気になっていました。

    綾野剛は先日見た「あぜ道のダンディ」での短い登場シーンで
    初めて演じているところを見ました。短い演技ながら、とても印象に残った人でした。

    R15+指定映画。「見る人を選ぶ」…そういう作品のようですね。
    私は選からもれるかもしれません。

    alf's mom

    2014/11/27(木) 午後 6:17

  • 顔アイコン

    alf.momさん>「海炭市叙景」は、原作者の出身地「函館市」が舞台で、「そこのみにて〜」も函館市が舞台でした。思い入れの深い場所を舞台にしているようですね。

    どうしても、表現上で、直接的な描写などは不快に思ったり、グロい映画でも、受け付けないというのはありますね。

    某監督の「悪の○典」(見ました)や新作の「だるまさんがなんとか」など目を覆う殺戮シーンがあるので、ひいてしまいます。

    fpd

    2014/11/27(木) 午後 7:31

  • 顔アイコン

    池脇千鶴が出ているので興味は有ったのですが、賛否両論映画だったから、観ていません。
    最後まで「救いがない映画」は、食指が動きません(T_T)

    Gena

    2014/11/27(木) 午後 8:28

  • 顔アイコン

    ジーナさん>映画は後味がいい作品がいいですね。この映画は、限定公開だったようですが、娯楽映画ではないですね。

    池脇千鶴は、すごいです。竹内結子だったら、この役は受けません(笑)。

    fpd

    2014/11/27(木) 午後 8:46

  • アバター

    佐藤泰志という作家は知らなかったです。
    本を読んでみたくなりました。
    ☆オールポチ☆

    レイ

    2014/11/28(金) 午前 9:21

  • 顔アイコン

    レイさん>佐藤泰志は、知りませんでしたが、原作はいいかもしれませんね。

    ☆オールポチ☆感謝。

    fpd

    2014/11/28(金) 午前 11:03

  • 最近池脇千鶴は重い役が多いですね。
    どうしようかな〜?

    MARUMA

    2014/11/28(金) 午後 2:55

  • 顔アイコン

    MARUMAさん>暗い映画がお好みならお勧めです(笑)。

    fpd

    2014/11/28(金) 午後 3:52

  • 今年なかなか評価の高かった映画でしたね。
    まだ見てないんです><
    「オカンの嫁入り」もそう言えば評判が良かった。
    どちらかでも、近々見たい映画ですね。

    WANTED222

    2014/11/29(土) 午前 0:18

  • アバター

    池脇千鶴が熱演でしたね。このところスーパーサブぶりが冴えてましたが、
    本作では堂々たる主演でした。居場所がない二人が、
    なんとか居場所を見つけられそうなラストが救いでした♪。

    ffa**77

    2014/11/29(土) 午後 0:04

  • 顔アイコン

    WANTEDさん>相当に重い映画ですが、俳優・女優の演技は見ものでした。「オカンの〜」は評価が高いですが、私も未見です。

    fpd

    2014/11/29(土) 午後 1:34

  • 顔アイコン

    ふぁろうさん>最近の女優は、池脇千鶴も真木よう子も、必要とあらば、なんでも取り組み頼もしいですね。

    最後は、救いが見えていてほっとさせる終わりかたでした・・・。

    fpd

    2014/11/29(土) 午後 1:39

  • 顔アイコン

    登場人物全てが、居場所がない人間、でもどこにも行けない、悲しいです。池脇千鶴、菅田将暉がよかったな。コメントもらっていましたがTBしますね。

    シーラカンス

    2014/12/3(水) 午後 11:16

  • 顔アイコン

    シーラカンスさん>重い映画でしたが最後は少しは明かりが・・・。
    TBありがとうございます。

    fpd

    2014/12/3(水) 午後 11:26

  • 顔アイコン

    将に池脇の演技に圧倒される作品であり彼女の代表作ですね。
    「なぜ女優賞がとれなかったのが疑問です」(安藤の二本はまだ未見ですが)
    最近の女流監督の映画も良いですね。
    TBします。

    [ ひろちゃん2001 ]

    2015/2/21(土) 午後 7:35

  • 顔アイコン

    ひろちゃん>池脇千鶴の新たな代表作になりましたね。

    「百円の恋」を見てしまうと、これまでの安藤サクラでは一番の作品で、軍配を上げざるを得ないですね。

    fpd

    2015/2/21(土) 午後 8:12

  • 顔アイコン

    池脇千鶴の追加TB、させてもらいました。

    ぴくちゃあ

    2016/11/24(木) 午前 3:12

  • 顔アイコン

    ぴくちゃあさん>追加TB、ナイス&村クリックをありがとうございます。

    fpd

    2016/11/24(木) 午前 5:51

  • 顔アイコン

    確かに登場人物は、彼の作品ではこの世間に居場所を持たない者ばかりですねー。「オーバーフェンス」でもそうでした。しかし、その境遇でもがき苦しみながら、人生の目的や意義を掴もうとあがく姿がまた、光輝くのですかね⁉

    [ 流石埜魚水 ]

    2016/11/26(土) 午前 10:47

  • 顔アイコン

    > 流石埜魚水さん>どこかに光り輝く居場所を求めてもがいているような映画でしたね。

    かなり暗い映画ですが、わずかに希望を感じさせる終わり方でした。

    fpd

    2016/11/26(土) 午前 10:50

開くトラックバック(30)

fpd
fpd
非公開 / 非公開
人気度
Yahoo!ブログヘルプ - ブログ人気度について
1 2
3 4 5 6 7 8 9
10 11 12 13 14 15 16
17 18 19 20 21 22 23
24 25 26 27 28 29 30
検索 検索

過去の記事一覧

ブログバナー

最新の画像つき記事一覧

よしもとブログランキング

もっと見る
本文はここまでですこのページの先頭へ

[PR]お得情報

話題の新商品が今だけもらえる!
ジュレームアミノ シュープリーム
プレゼントキャンペーン
ふるさと納税サイト『さとふる』
実質2000円で特産品がお手元に
11/30までキャンペーン実施中!

その他のキャンペーン

みんなの更新記事