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「櫻の園」(1990)をようやく見た。
吉田秋生の同名マンガを、1990年に中島ひろ子主演で映画化した「櫻の園」は、日本アカデミー賞優秀賞をはじめ21もの映画賞を受賞した名作。
劇中に特に大きなドラマがあるわけではないが、女子校の演劇部を舞台に、チェーホフの戯曲「櫻の園」上演に取り組む高校生の青春、葛藤、表情を見事に切り取った中原俊監督の手腕は、各方面から高い評価を受けた。
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私立櫻華学園高校演劇部。創立記念日恒例のチェーホフの“桜の園”上演のある朝、しっかり者の部長・志水由布子(中島ひろ子)はいきなりパーマをかけてきた。
さらに、前日、部員の杉山紀子(つみきみほ)がタバコを吸って補導されたというニュースに動揺する部員たち・・・。女子校生たちのリアルな会話や、うわさ話、人間関係などが生き生きと描かれていて、驚嘆させられる。
タイトルはチェーホフの「櫻の園」からとっているが、短大までの女子一貫教育の女子高を舞台に、演劇部員たちが創立記念日に毎年上演される「櫻の園」の上演をめぐって日常生活がみずみずしく描かれている。登場人物の女子校生たちが、まるでアドリブで自然体でしゃべっているような錯覚すら覚える。脚本がよくできているということかもしれない。
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女子生徒などの登場人物が多く、名前と顔、関係性などを1回だけで頭にいれるのは大変だが、演劇部では、緊急事態時の連絡網があって、”杉山事件”も前日に全員に伝わっていたはずだが、舞台監督のかおりは外泊していたり、噂が噂となって・・・。
女子生徒が、教師たちの話をしている時に「松村先生」「有田先生」と先生と呼ぶのに対して、「坂口」先生の場合だけ、「坂口」と誰もが呼び捨て。映画には、坂口はわずかなカットだけ登場するが、その嫌われぶりが分かる。演劇部の担当の里見先生は、坂口の教え子だったということで、里見先生を先生扱いしていないこともわかってくる。
この映画の物語としては、チェーホフの「櫻の園」を演ずる演劇部の、朝から昼頃までのごく短い時間を描いた作品だというのが驚きだ。とくに驚くような出来事があるわけではない。それでいながら、いつの間にか引き込まれてしまうのは中原俊監督の巧さか。
女子高生の会話のタッチが、小気味いい。普段の会話と、舞台を演じるための芝居がかったセリフの組み合わせがうまい。女子高生たちのはしゃぐ動き、何気ない陽気な動きをうまく取り込んでいる。映画としての格式を保ち、女子高生のリアリティを捉えた映画としてすばらしい。 例えば、ある生徒が「清水先生は、(恐れをなして)ばっくれたんじゃないの」(ばっくれる=知らばっくれて姿を消す?)と言うセリフがあり、清水先生が、それを聞いていて、立ちさろうとすると、生徒が「どこへ行くんですか?」と聞くと、「ちょっとばっくれてくる」というのだ。なかなか当意即妙のセリフだ。
また、頭をパーマにして教師から注意を受ける清水は「演劇が中止になるよう”暴動”を起こしたい」と言っていたが、結局、劇は実施されることになり、同級生から「清水さん、”暴動”できなかったですね。残念?」と聞くと、「残念」という返事だった。
エンドロールで登場人物と名前がでてくるが、あの名前があの女優だ、というようには結びつかない。中島ひろ子くらいは知っているが、ほとんどが無名の役者のようだ。
見た目による周りの判断と本人の悩みのギャップなども描かれている。
背が高く、さっぱりしているとみられる倉田は、もうすこし(背も低く)女らしく生まれてきたかったと思っていた。また、倉田に想いを寄せる清水は、しっかりもののように見られるのが嫌だった、というふうに。
この倉田と清水がツーショットでカメラをで写真を撮るシーンは、だんだんと脚立に設置されたカメラに近づいてきて、何度もリモコン・シャッターを押すのだが、二人がだんだん顔を近づけていくシーンは、ドキっとさせられる。
もう一度見てもいいような映画だ。
ひろちゃんは数年前に記事にしているが、その時点で7回見たというが、その都度引きこまれると書いていた。
☆☆☆
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ありがとうございました




昔に原作漫画を読んでいます。2008年版は見ていますがこっちは未見ですね。出来はこちらの方がいいという評判ですよね。
是非見たい作品です。
2016/4/5(火) 午後 5:10
> atts1964さん>2008年版は未見ですが、評価が低いようですね。1990版は高評価のようです。
2016/4/5(火) 午後 5:17
ひろちゃんさんの記事で本作のことは知りました。
タイトルはチェーホフの「櫻の園」から取っていたのですね。
「登場人物の女子校生たちが、まるでアドリブで自然体でしゃべっているような錯覚すら覚える」…書かれていますが、脚本が良いからなのでしょうね。
その滑らかな雰囲気、味わってみたいです。
2016/4/5(火) 午後 5:45
もう一度見てもよい、、ですか?こりゃ見るっきゃないでしょう?
さてどうするか??結構言うはやすしでイザ見るかとなると難問が、、桜が散ってもダメかも、、タイトルの字からチェーホフってのは判るのですが、、。
2016/4/5(火) 午後 6:37
この作品で無名の中島ひろ子が一躍スターになりました。
一学年下のつみきみほはすでにアイドルスターでしたし、中島ひろ子と同学年の白島靖代もそこそこ売れていました。
ナイス&村クリック!
2016/4/5(火) 午後 6:48
脚本はいいですね。
同じ題材での続編は、作り物なシナリオで「同じ監督なの?」と吃驚とするくらいの不出来であったので間違いないです。(笑)
[ ひろちゃん2001 ]
2016/4/5(火) 午後 7:17
この映画良かったですね〜…。全く説明臭さが無いんだけど、妙な雰囲気がしっかりと演出されてて。
良い映画でした。
2016/4/5(火) 午後 7:48
確かキネ旬1位の作品でしたよね。バブルがはじける直前のソバージュだらけの女子高生だったかな…青春ドラマ仕立ての1本でしたね…😰😧😉😂😊
2016/4/5(火) 午後 7:55
> alf's momさん>映画は脚本が決め手のようですね。
俳優陣(女性のみ)も生き生きしていました。
2016/4/5(火) 午後 8:23
> guch63さん>例の外国で見られない「Gyao」の配信でした。
DVDでもあれば魚雷に乗せて送るんですが・・・。残念。
2016/4/5(火) 午後 8:26
> ぴくちゃあさん>つみきみほはすでにアイドルスターでしたか。
ナイス&村クリック感謝。
2016/4/5(火) 午後 8:28
> ひろちゃん>脚本の出来が良かったようですね。
リメイクはダメでしたか。結構今の人気女優が出ていますね。
2016/4/5(火) 午後 8:29
> WANTED222さん>女子高の雰囲気が、よく出ていましたね。
なかなかの映画でしたね。
2016/4/5(火) 午後 8:30
> ノブGさん>その年の各種賞をとったようですね。
女子高の中身はまるで知らないので、雰囲気が出ているようでしたね。
2016/4/5(火) 午後 8:39
「桜の園」と言ってもこれは日本の映画でしたか〜
青春映画ですね(^^♪
☆彡オールポチ☆彡
2016/4/6(水) 午前 8:06
> レイさん>そうです、青春映画です。
実は「Gyao」で配信しています(笑)。
☆オールポチ☆感謝。
2016/4/6(水) 午後 4:05
この映画は未見です。
ところどころは観ているのですが…。
そうそう、意外なキャストが出演してますよね。
私も機会が有れば観てみます(^o^)丿
2016/4/6(水) 午後 11:19
> Genaさん>会話がリアルで自然なのが良かったです。
登場人物の名前を覚え、理解するのが大変でした。
2016/4/6(水) 午後 11:26
TB、させてもらいました。
2016/4/8(金) 午後 7:15
> ぴくちゃあさん>TBありがとうございます。
2016/4/8(金) 午後 7:52