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「地上より永遠に」(原題:From Here to Eternity, 1953)を8年ぶりに再見。タイトルは「ここよりとわに」と読む。今回はじっくりと見たので、軍隊の中の群像劇がよくわかった。アカデミー賞で「作品賞」ほか8部門を受賞した名作。モノクロ、118分(約2時間)。
戦争映画の形をとっているが、戦闘シーンはなく(最後に日本軍の真珠湾攻撃の始まりを描いているが)、軍隊生活の中身を描いて、後の「M★A★S★H」(1970)「キャッチ22」(1971)「フルメタル・ジャケット」(1987)などに影響を与えている。軍隊内の上下関係や理不尽なイジメや無意味な労働をさせるなどの軍内部のシステムを批判する内容となっている。
ハワイが舞台で、この映画でモンゴメリー・クリフトなどが着ていたアロハ・シャツが人気となって、アメリカ本土でも着られるようになったという。
・・・
第二次大戦直前の1941年夏、ホノルルのスコーフィールド基地。兵営にロバート・E・プルウィット(モンゴメリー・クリフト)という青年が転属してきた。プルウ(プルウィットの仇名)は上官に反目したため一兵卒に落され、転属の憂き目となったのだ。
ダナ・ホルムズ大尉、ウォーデン軍曹、プルウィット
この新しい部隊の中隊長ダナ・ホルムズ大尉(フィリップ・オーバー)は、ボクシング競技に夢中で、プルウが以前、隊でミドル級のチャンピオンだったことを知って、下士官(士官の下で、曹長・軍曹・伍長など)に昇進を条件に彼にチーム入りをすすめた。
だが、プルウはかつてボクシングで戦友を失明させて以来、2度とボクシングはやらないと誓いをたてていた。そのため即座に断った。
実質上中隊の支配者であるウォーデン軍曹(バート・ランカスター)は、プルウに反抗はやめろと警告したが、強情なプルウは聞き入れなかった。
そのためホルムズ大尉のプルウに対する圧迫は次第に強くなり、彼はしばしば虐待行為を受けた。一等兵のアンジェロ・マギオ(フランク・シナトラ)はひょうきんなイタリア系アメリカ人で、ただ1人プルウの味方になった。
ホルムズ大尉の妻カレン(デボラ・カー)は、G・Iの間に噂の的となっている女性で、冷酷で不貞な夫を憎んでいた。そんな中、ウォーデンは、ホルムズ大尉が不在のカレンの元を訪ね、密会、不倫関係になった。
アンジェロ・マギオ(フランク・シナトラ、右から二番目)
週末の外出に、マギオはプルウをクラブに連れていった。
プルウはその店でアルマ(ドナ・リード)という女と知り合い、恋に落ちた。やがて彼はアルマに結婚を申し込んだが、今の稼業から足を洗い米国本土で更生を夢見るアルマは、彼の申し込みに応じなかった。
アルマ(ドナ・リード)とプルウ(モンゴメリー・クリフト)
プルウに対する虐待行為は依然つづけられたが、彼は決して屈せず、ウォーデンも驚くほどであった。真珠湾攻撃直前のある日、マギオが無断外出して酒に酔い、MPに逮捕されて営倉入りとなった。
ここでマギオは営倉係の”巨体”ファツォー(アーネスト・ボーグナイン)にひどい虐待を受け、脱走してプルウの許に逃げのびたが、極度の内出血のため絶命した。
プルウは心に固く戦友の仇討を誓い、ある夜、町かどでファツォーと決闘した。プルウはついにファツォーを倒したが、自らも重傷を負ってアルマの家に身を隠したのだが・・・。
・・・
プルウィットを演じるモンゴメリー・クリフトがすばらしい。
ラッパ(トランペット)吹きの名手にして、ボクシングも強い。理不尽な上官の命令やシゴキに耐えながら、従っていたが、ボクシングのリング周りの掃除をしている時に、上官がわざとバケツの汚水を流した時には、堪忍袋の緒が切れて、反発するところは、見所の一つ。しかしそのためにしっぺ返しがある。シャベルで穴を掘らせて、終わったらすぐに穴を埋めろと命じたり理不尽な上官の要求はエスカレート。
カレンから「有能(efficient)だと聞いているが。なぜ有能なの?」と聞かれたプルウィットは「生まれつきです」というと「よく言うわ」といった会話も面白い。
軍隊組織の中で、ソツがなく要領よく立ち回っているのがウォーデン軍曹(バート・ランカスター)。プルウィットにも「要領よくやれ。中隊長に逆らうな」と釘を刺すのだが。ウォーデン自身は、中隊長や上官には逆らわない。不倫相手のカレンがウォーデンに上官になるよう勧めても、乗り気ではなく、結局、二人の関係は終わる。ウォーデンも、軍人から抜けだせない。
アメリカには映画の検閲の「ヘイズコード」が1934年から実施されていた。
1950年当時は不倫を描くことも禁止されていたが、ギリギリの限界で通ったとされる。ヘイズコードは、1968年にMPAA独自のレイティングが設定されたため廃止となった。
映画のポスターなどでは、波打ち際でのバート・ランカスターとデボラ・カーのキスシーンが有名で、ラブストーリーの印象があるが、不匠の男女の物語はあるものの、根底は、軍隊の実情は飲んだくれている姿を描き、一方で軍隊の協力を得るために、敵側(日本軍)が攻めて来た時には、女を諦めて、戦うという男の姿も描いている。
営倉を担当する巨漢のファツォー(アーネスト・ボーグナイン)と一等兵のアンジェロ・マギオ(フランク・シナトラ)との喧嘩が面白い。ファツォーは、マギオを”猿ヅラ”といえば、マギオは、ファツォーを”巨体”と罵り、険悪な一触即発の状態となるが、ここでうまく間に入り、仲裁するのが、ウォーデン軍曹だ。ファツォーは、マギオが営倉に来たら痛めつけてやると豪語していたが、現実にそうなるのだ。
ちなみに「暴力脱獄」(1967)のなかで、ポール・ニューマンが、ボクシングはやらないというとボコボコにされたり、無駄に穴掘りをさせられるシーンは、「地上より永遠に」と同じ。
■主な出演者:
ミルトン・ウォーデン曹長:バート・ランカスター
ロバート・E・リー・プルーイット:モンゴメリー・クリフト
カレン・ホームズ(ダナの妻):デボラ・カー
ロリーン(アルマ):ドナ・リード
アンジェロ・マジオ:フランク・シナトラ
ダナ・ホームズ中隊長(カレンの夫):フィリップ・オーバー
ファツォー・ジャドソン:アーネスト・ボーグナイン
バックリー伍長:ジャック・ウォーデン
ガロヴィッチ:ジョン・デニス
■アカデミー賞受賞:
「作品賞」
「監督賞」フレッド・ジンネマン
「助演男優賞」フランク・シナトラ
「助演女優賞」ドナ・リード
「脚色賞」ダニエル・タラダッシュ
「撮影賞」 (白黒部門)
「録音賞」
「編集賞」
ノミネート:
「主演男優賞」バート・ランカスター、モンゴメリー・クリフト
「主演女優賞」デボラ・カー
「衣裳デザイン賞」(白黒部門)
「ドラマ・コメディ音楽賞」
☆☆☆☆
※この映画が”超”お気に入りのguchさんは何回もこの映画を見て、セリフ(もちろん英語)をほとんど暗記しているという。スゴ〜ィ!
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ありがとうございました




今、NHKでザ・サイタマ特集やってますよ、、こんなにコケにしやがって札幌に住んでいてもアタマに来る、、、でもこれは”埼玉より永遠に”なのかも??」
2019/5/16(木) 午後 8:04
> guchさん、「大宮」が世界を変えた…。春日部は、東京の守護神…。本庄は自転車の発祥の地…。すごいですね、埼玉は…笑。
このところ、埼玉の取り上げ方が ”半端ない”!ですね。
・・・
埼玉に移住したくない・・・ていうのはどこのドイツだ!(85%以上の関東のやつめ!)。
2019/5/16(木) 午後 8:48
第一子が生まれる前、陣痛に耐えながら日曜洋画劇場で観ていました
guchさんとは違った意味で思い出深い作品です。
埼玉、今 注目度が一番高いのでは?
2019/5/17(金) 午前 2:33
これはDVDですがブルーレイも持ってますので(笑)
2019/5/17(金) 午前 3:44
> アンダンテさん、それは映画に集中できませんね(笑)。
昨日は、NHKまで、予想もしないような埼玉特番でしたね♪(笑)。
2019/5/17(金) 午前 6:20
> ギドラさん、前に見たのは、パソコン(小画面)だったので、今回は42インチで見たので、DVDでもモノクロ画質はシャープでした。
ブルーレイがあるなら…特典候補に(笑)。
2019/5/17(金) 午前 6:21
昔、見たのですが、日本の軍隊と比べ、あまりにも別世界だなと思った記憶があります。客観的に見直して見たいです。(笑)
2019/5/17(金) 午前 7:59
> ギャラさん、アメリカ軍の様子は悲壮感もなく余裕が感じられますね。コーラを飲んで、酒場で飲んだくれて・・・笑。
2019/5/17(金) 午前 8:06
あぁぁぁぁぁぁぁぁ〜!まだ未見です(>_<)
令和元年のうちに観なくては…。
2019/5/17(金) 午後 3:00
> Genaさん、残り半年で果たして見られるでしょうか(爆)。
2019/5/17(金) 午後 4:08
こんにちは(/・ω・)/
私もこの映画は何度かみています(^^♪
題名が良いですね〜〜〜〜〜
また見たくなりました!!
2019/5/17(金) 午後 4:16
> レイさん、タイトルがいいですね。
第二次大戦前夜のアメリカ(ハワイ)を描いているところが面白いですね。
2019/5/17(金) 午後 4:25
この邦題を読めないファンはモグリですねw
でも、若い世代は読めるのでしょうか、疑問ですね
[ wan**ra0*28 ]
2019/5/17(金) 午後 6:00
↑わあ〜、、レイさんから嬉しいコメが、、確かにこのタイトルは素晴らしい、、まあ原題をそのまま訳しているのですが、。ここととわにに読ませるのが素晴らしい、。
2019/5/17(金) 午後 6:21
wanparaさん、「幸福の黄色いハンカチ」を「こうふく」と読むくらいモグリですね(笑)。
2019/5/17(金) 午後 7:10
> guchさん、一人でも多くの人が見てくれたり、再見してくれると嬉しいですね♪
2019/5/17(金) 午後 7:11
好きな作品ですか?
2019/5/18(土) 午前 1:34
> MARUMAさん、見るたびのその良さがわかりますね♪
2019/5/18(土) 午前 5:35
さぼって、脱走して、酒を飲んで大騒ぎして、捕まって、苛められて、また脱走して、トラックから落ちて死亡って〜要領悪すぎ!
でもジンネマン様だから、これが当時の軍隊だったのかなと〜と自分を納得させました(*´▽`*)
2019/5/18(土) 午後 2:18
> ベベさん、要領が悪いと損という、軍隊組織でした♪
2019/5/18(土) 午後 4:16