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「この世界の片隅に」(2016)を見た。昨年は邦画の豊作の年で「シン・ゴジラ」「君の名は。」「湯を沸かすほどの熱い愛」「怒り」などが記憶される。
とりわけアニメでは「この世界の片隅に」は、第40回日本アカデミー賞最優秀アニメーション作品賞、第90回キネマ旬報ベスト・テン日本映画第1位などを記録。キネ旬ベスト・テンの10作品の中の未見作品の1本だったが、動画のオンライン配信(有料)で見ることができた。
参考:キネマ旬報ベスト・テン
1位:「この世界の片隅に」☆☆☆
2位:「シン・ゴジラ」☆☆☆
3位:「淵に立つ」 ☆☆☆
4位:「ディストラクション・ベイビーズ」
5位:「永い言い訳」 ☆☆☆
6位:「リップヴァンウィンクルの花嫁」☆☆☆
7位:「湯を沸かすほどの熱い愛」 ☆☆☆☆
8位:「クリーピー 偽りの隣人」 ★★
9位:「オーバー・フェンス」
10位:「怒り」☆☆☆
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映画は、ザ・フォーク・クルセダーズの2枚目のシングル曲である「悲しくてやりきれない」(1968)がコトリンゴのカバーとしてオープニングで使われている。
♪悲しくて悲しくて〜とてもやりきれない このやるせない モヤモヤをだれかに 告げようか♪という曲である。映画のテーマにあったモチーフとして使われていたのだろう。
映画は、昭和19年(1944年)に広島市江波から呉(くれ)に18歳で嫁いだ主人公すずが、戦時下の困難の中にあっても工夫を凝らして豊かに生きる姿を描く。
ぼう〜っとした性格の主人公”すず”のほんわかキャラと、とぼけたユーモア。前半は、のんびりしたなかにも日常をコメディタッチで描く面白さがある。
日付を追って刻々と移り変わる状況の中、食糧難や灯火管制、空襲の恐怖などがあるが、すずだけはポジティブで楽しそう。好きな絵を描いたり、道草を摘んだり、武将の考案したという節米料理を作るなど楽しい経験に変えてしまうのだ。
しかし、後半にはいると、日本軍の戦局の悪化に変わり、ほのぼのとしていた雰囲気からB29による爆撃により、防空壕に入ることを余儀なくされるなど厳しい現実に直面する。牧歌的な生活が丹念にユーモラスに描かれてきただけに、後半は胸をえぐられるような喪失感を感じさせるのだ。
能年玲奈改め”のん”が広島弁で声を演じるすず。
「〜じゃ」「〜じゃろが」「〜しとるけ」「〜じゃけ」「〜しとったんよ」「〜かのう」「〜あるけ」「〜(大丈夫)かいね」「こまいのう」「ほいで」「〜ますけ」・・・など(舞台がジーナさんの出身地、広島界隈でもあり、イチオシのお気に入りというのがわかります。笑)。
「べっぴんさんになったがね」といわれたすずの「アホか!」というのがいい(笑)。
すずの夫・周作が、すずの描いた絵に対して「どれくらい男前に描けたんじゃ」と聞くと、「いけん、いけん。これは重要機密じゃ」といって絵をバッグに収めてしまうのだ。
すずと周作が口論していると近くにいた男から、夫婦喧嘩を迷惑そうに「お二人さん、そりゃあ、今しなけりゃならないケンカかね!」というのがおかしい。
憲兵というのも話には聞くが、かなり高圧・威圧的だったようだ。
すずが、軍艦をスケッチしているだけで、絵は没収され、調査しているのではないか、暗号を送ろうとしているのではないかと疑われ、厳重に戒められるのだ。
戦時中の配給制度、闇市、ご飯を5倍に薄めておかゆにするなど、食料不足も描かれている。鉛筆を使いきれないくらい短く削ると「短かっ!」といわれるほどだ。
呉から、広島に投下された原爆も「いま、何か光ったね」「雷じゃろか」と大きな雲の形でさりげなく映し出す。時系列で、昭和18年あたりから終戦を告げる玉音放送、戦後の昭和21年あたりまでの呉に住む人々の一般市民の生活を淡々と描いている。戦時中の記録という意味でも、リアルに再現されていて価値がありそうだ。
映画は、第29回東京国際映画祭にてワールドプレミアが行われ、2016年11月12日に日本国内で封切られた。当初の封切り日の公開館数は63館だったが、徐々に規模を拡大し、累計360館を超えた。
累計動員数200万人・興行収入25億円を突破。
これはミニシアター系の映画としては異例のヒット。日本国外では世界44の国と地域で上映。製作の足がかりとなる資金をクラウドファンディングで一般から調達したことでも知られる。映画のラストで、調達者の名前が紹介されている。
外国では、6-7月の「台北映画祭」に招待され上映されたほか、今月から米国で一般公開される。
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