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fpdの「映画スクラップ帖」 (名作に進路を取れ!)
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書庫▶邦画'40-00年代

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谷崎潤一郎の中編小説を映画化した「瘋癲老人日記」(1962)は、若尾文子が主演というので見た。若尾文子追っかけシリーズ第3弾だ。「瘋癲(ふうてん)」とは難しい漢字だが、「男はつらいよ」の「フーテンの寅」の元の言葉のようだ。

Wikiによると、瘋癲(ふうてん)とは、①精神的な疾患(→ 精神疾患②定職を持たず街中などをふらつくこと。またはその人(→ 無職③1960年代から1970年代の日本における和風ヒッピーの俗称「フーテン」(→ ヒッピー)とある。

・・・
この映画は一言で言えば、”変態老人と強欲美人嫁の物語” と言える。

山村聰といえば、「トラ・トラ・トラ!」の山本五十六役などの軍人などの重厚な役が印象にあるが、「瘋癲老人日記」では、自分の息子の嫁・颯子(さつこ、若尾文子)の美しさに溺れ執着する、色ボケの金持ち老人を演じている。

・・・
77歳になる督助(山村聰)は軽い脳溢血のために寝たり起きたりの日々を送っていた。息子の嫁の颯子(若尾文子)に3万5千円を渡す督助。「ハンドバッグ欲しいんだろ」「すいません」「手が痛むので寿司を食べさせてくれ」と颯子にせがむ督助。

「しょうがないわね、おじいちゃん。あーんして」「君、寿司ってものは手でつまんで食うもんだよ」「贅沢な病人ね。はい。あーんして、もうすぐ夏ね」と言う颯子。

「おじいちゃん。お庭、随分広いわね。プールが十分作れるわね」「そりゃ作れるけど」「もし作ってくれたら、私の泳ぐのを見せてあげるのに」「う、うん。考えておきましょう」「なぜダンスをやめた」と颯子に聞く督助。「足が醜く変形するの。見てちょうだい」「だって綺麗な足じゃないか」「もっと綺麗な足だったのよ」「そうか」「やだ。くすぐったいわ」・・・。

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        老人は自分の墓石に颯子の「足型」を刻印すると言うのだが・・・。

・・・
颯子(若尾文子)は、シャワーを浴びるときに、ドアをわざと開けて「見てもいいわよ」と挑発するので、変態老人はますます要求がエスカレートするのだが、強欲な嫁は、さらりとかわしてお金をせしめてしまう、そのあしらいの上手さには舌を巻く

颯子が「スエードのハンドバッグが欲しい」といえば、老人は35,000円をポンと渡してしまう。一方で、嫁いでいる実の娘が、お金が入用だと母親(東山千栄子)(老人の妻)を介して頼んでも、「そんな金は一円もない」と拒絶。颯子が300万円もする豪華な宝石を身につけていたのを知った母娘が訴えると、ついには「颯子に与える分はあっても、お前たちにはない」だった。

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颯子は、とにかくしたたか。「接吻をさせてくれ」と舅の督助に、「足ならいいわ」とシャワーのカーテンから足を出したり、督助が、颯子の首周りにキスをしようとすると、「年寄りのくせにネッキングなんてダメよ」。「そんな英語があるのか」(老人)が笑わせる。「本当の接吻がしたい」というと「高くつくわよ。15カラットの”キャッツ・アイ”(宝石)を買ってくれる?300万円よ」とあくまでもがめつい。「私は、強情っぱりだから、本当に意固地になっちゃうわよ」で、結局買わせてしまうのだ。

映画は、ラストシーンで庭にブルドーザーがやってきて、木などを切り倒し始める。
お手伝いなどの会話「何が始まるの? プールを作るんだって」。

・・・
颯子の夫・晴久(川崎敬三)も、踊り子にうつつを抜かして、ほとんど家に帰らないことをいいことに、妻の颯子は、”ご隠居さま”に取り入って、ゆく末短い瘋癲老人をすっかり自分の思いのままにしてしまうのだ。

共演は、若尾文子の夫に川崎敬三、そのほか、村田知栄子、倉田マユミ、藤原礼子、石井竜一ら多才な顔ぶれが並ぶ。

谷崎潤一郎の原作なので、かなり異様・異常なシーンがあるが、人間の欲の深さ、愚かさ、浅はかさをとらえた風刺コメディとしてみればおもしろい。

☆☆☆


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若尾文子”追っかけ”シリーズの第2弾は「女経」(じょきょう)(1960)。
3話からなるオムニバス映画で、監督もそれぞれ別。1960年前後の風俗がよく出ていておもしろい。この当時の日本映画は、ネオン街、夜の街や風俗を描いた映画が多い。

3話の中では、第1話の若尾文子のしたたかで、アバズレ的な中に男を惹きつける演技は絶品。第2話の山本富士子といえば、1950年に第1回ミス日本の座に輝き、翌年ミス日本の肩書きで公式渡米し、マリリン・モンローらに会っている。53年に映画界入りした。「女経」では、登場したときは、セリフの棒読みかと思ったら、すべてが策略で、裏がありあっと驚かされた。第3話の京マチ子は、姐御肌で、きっぷがいい役が多いが、この映画でも堂々としていた。

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耳を噛みたがる女」(主演:若尾文子
紀美(若尾文子)は隅田川にもやうダルマ船の娘だが、貧しい家庭に愛想をつかし銀座のキャバレー・ゴンドラにつとめて男どもを巧みにだましては金をまきあげ、株を買っていると若さに似合わないしたたかさ。

会社社長の後とり息子・正巳(川口浩)は、この紀美を陥落させて見せると友人の春本(田宮二郎)と賭けをした。スポーツカーでのドライブ、それからパチンコ屋、ついでゴンドラで飲んだ正巳と紀美はホテルの一室へ落ち着いた。

正巳を好きでたまらないという紀美。翌朝、紀美の寝ているうちに正巳はホテルをぬけ出した。ついに賭けに勝った。が、正巳にはどうもスッキリしない後味だった。どうも紀美は商売ぬきで本気に自分を愛していたのではないか・・・。

実は、この日、正巳は父の命令で好きでもない娘と結婚式を挙げることになっていた。昨夜は、いわば自由と恋愛の最後の夜だったのだ。好きでもない女と結婚するより、自分を本当に愛している女と・・・。正巳は紀美を探しに出た。そのころ紀美は友人の五月(左幸子)のアパートで、五月あての正巳の結婚披露の挨拶状を見つめていた。

そこへ正巳が飛込んできた。正巳は紀美の心を確かめようとした。が、紀美は、昨夜のお金を頂戴と手を出した。怒った正巳は部屋を飛び出した。正巳の将来を思う紀美の心も知らずに。今夜からまた男をだまして金を巻上げよう・・・。紀美の顔に悲しいかげが走った。「兜町(かぶとちょう)へ行ってくる」と出かける紀美だった。

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物を高く売りつける女」(主演:山本富士子
流行作家三原靖氏失踪か! 自殺の恐れあり」と新聞が報じたころ、当の三原氏(船越英二)は空ろな眼をして湘南の海岸に身を横たえていた。その彼の眼前を一瞬よぎった白い顔の女。三原氏はギョッとした。翌日三原氏は砂浜に泣く彼女(山本富士子)の姿を見て再びギョッとした。

夜、女は燃える手紙の束を見ていた。三原氏は彼女の傍に立った。女は死んだ主人の手紙を焼いていると言った。激しく惹かれた三原氏は彼女の眼を盗んで手紙の端をポケットに入れた。

翌日、一軒の別荘の前に彼女が立っていた。三原氏は招ぜられて中へ入った。
風呂をすすめられた。湯舟につかる三原氏の前に白い裸身の女が入ってきた。
上気した三原氏は女の頬に思わず接吻した。

女は、主人がお風呂のとき、いつも私に背中を流させました、あなたの背中を主人と思って流させて頂きありがとうございましたと礼を述べた。そして、女は実家も主人の家も東京にあり、この家は売りに出してあると話した。

三原氏は好奇心にかられ、この家を女もろとも買うと言った。
売値は六百万。契約の日、三原氏は百万円を持って女の家を訪ねた。
売買契約書を持った女の態度は大へん事務的だった。

翌日、三原氏が女を訪ねると誰もいず、売買契約の事務は不動産がやるとの女の置手紙があった。そのころ、女(土砂爪子)は不動産から売買手数料の五万円をもらっていた。

女は美貌を資本とする住宅ブローカーだった。してやったり、ところが彼女のアパートに三原氏が訪ねてきた。驚いて謝る爪子。しかし三原氏はあの家を売って五十万円儲けたと言った。氏は爪子が燃し残した請求書から、彼女のからくりを知ったのだ。“君と結婚すればノイローゼにもならないし、小説の種もつきない”三原氏はにやりと笑った。

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恋を忘れていた女」(主演:京マチ子
お三津(京マチ子)は京都の修学旅行専門の宿屋の主人だ。
昔は先斗町の売れっ妓。碇家に嫁ぎ主人に先立たれてから舅の五助に楽隠居させ、木屋町に酒場、先斗町にお茶屋を経営する働き者である。

死んだ主人の妹・弓子が恋人吉須と結婚するため金を借りにくるが、碇家の財産を狙ってきたものと思い、いい返事をしない。この碇家に名古屋の小学校の団体が宿泊したが、生徒の一人がオートバイにはねられて重傷を起し大騒ぎ。そこへ、お三津の芸妓時代の恋人・兼光(根上淳)から電話がくるが、お三津は居留守を使う。

何やかやでクサクサしたお三津は自宅へ帰るが、一度関係を持ったことのある五助(二代目中村鴈治郎)は、お三津に迫る。五助を突き飛ばして自分の酒場チャイカへ走ったお三津は、そこに彼女を待っていた兼光の傍へ座って泣き伏した。

が、昔のことを思って訪ねてきたと思った兼光に二百万円の手形を割引いてくれと切出され、お三津は彼との情愛に水をさされた。そのとき、刑事が入ってきた。九州で詐欺をやった指名手配の男、兼光を逮捕に来たのだ。

兼光は抵抗も空しく捕った。そこへ碇家から、怪我した生徒が重態という電話。
病床に駆けつけたお三津は子供の苦しそうな姿に輸血を申し出た。助かった子供の感謝の眼は、自分のことしか考えずに生きて来たお三津に新しい喜びを与えた。

東京へ帰る弓子と吉須が挨拶に来た。お三津は気持よく金をやった。そして自分も、刑務所へ入った男を待って女の幸せをもう一度つかみたいと明るく言った。

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耳を噛みたがる女」では、紀美(若尾文子)の妹が、「あたいも姉ちゃんのように稼ぎたいな」というと、紀美は「ダメダメ、オッパイが大きくならないとね」。すると妹は「なにかゴム製品ないかな」と自分の胸を見ながら言うと「オッパイだけじゃないよ。カラダの全部がさ、貫禄がつかなきゃ」。「姉ちゃんは立派だからね」と妹が言うと、紀美はウインクして立ち去るのだ。そんな紀美は、「男は信用できないけど、お金は正直よ。どんどん増えて楽しみだわ」と株投資に力を入れるバイタリティ。若き日の田宮二郎が出演していた。

「物を高く売りつける女」の山本富士子も、最初の登場シーンから、なにか曰くありそうだったが、やがて、その本性が明らかになり唖然とさせられる。女は怖い!だった。

恋を忘れていた女」の京マチ子は、普段は店を取り仕切る女将だったが、思いやりがあり、純情な所を見せる。

当時のパチンコの風景があったが、もちろんいちいち玉を入れていく手動式で、イスもなく全員が立ってパチンコをしている姿も、時代を感じさせる。3話では、京マチ子が「交通公社へ行ってきて」(日本交通公社は民営化され現在のJTB)だったり、オープンリールのテープデッキも登場。「ベンジン」ひと瓶30円なども。 「Always三丁目」が、当時を知らない若い監督が作り、時代考証もイマイチだったのと比べると、リアルタイムの映画は段違いに時代をそのまま反映している。

監督:増村保造
第一話「耳を噛みたがる女」
市川崑
第二話「物を高く売りつける女」
吉村公三郎
第三話「恋を忘れていた女」
製作:永田雅一


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曽野綾子原作、今井正監督の「砂糖菓子が壊れるとき」(1967)を見た。
若尾文子主演の映画を見ようと、進路を”若尾”方向に向けたところ、タイトルが面白そうだったので予備知識なしで見たら、なんと主人公・千坂京子(若尾文子)は、マリリン・モンローがモデルだということを知った。

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映画の初めから、京子の歩く後ろ姿が、モンロー・ウォークを彷彿とさせたほか、役柄が肉体派女優だったし、睡眠薬自殺を図るなど、あたかもモンローの生き様のような描かれ方だった。

モンローが実人生で結婚歴のある野球選手、作家なども登場、映画賞に縁はなかったが劇中劇の新作映画「砂糖菓子が壊れるとき」では、「ナポリ映画祭」で最後の作品が主演女優賞を受賞したという、多少の味付けはある。そういえば、モンローが主演した「お熱いのがお好き」のモンローは、”シュガー”という名前だった!(笑)。

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千坂京子(若尾文子)は肉体派女優というレッテルのもとにスターの座を得た女だった。その派手な男性遍歴の経験からも、私生活と銀幕から与える京子のイメージは肉体派にふさわしいものと思われていた。

しかし、実際の京子は、初心で、幸せな結婚生活を求めるただの女であった。
京子はまだ女優にならない頃、自分のヌードを吾妻(根上淳)に撮らせていた。

その可憐な姿を見た映画プロダクションの工藤(志村喬)は、京子を主演に「櫛」を製作した。この映画が一躍京子をスターダムにのしあげたのだ。たちまちのうちに華やかな女優生活に足を踏み入れた京子は、活気のある毎日の中に何かもの足りない心のさびしさを覚えた。純で素朴な京子にとって、頼りになる男だけが欠けていた。

そうした京子が、この華美な世界で次々と男を求めていくのは、きわめて自然と言うことができた。監督の栗原、芸能記者の奥村(津川雅彦)、大学教授・天木(船越英二)などがその相手だった。

奥村は京子のヌード写真が公表され、芸能界のスキャンダルとして騒がれた時、失意の京子に近づき、慰めてくれたものの、京子の身体が目的であった。芸能界での唯一の友人として奥村を信頼していた京子には打撃であった。

また、教養を身につけようと聴講生として大学に通った京子が天木教授を知った時、彼女は自分に必要なのはこの人だと考えて喜んだが、天木に肉体を求められ、彼女は再び深い絶望に陥らねばならなかった。

こうして、真の人間としての男を求めている京子は、逆にその男性遍歴を一人の男に満足できないセックス女優として、芸能誌に書き立てられていった。そんなある日、ホームラン王の土岐(藤巻潤)を知った京子は、間もなく彼と結婚した。健康で明朗な土岐は彼女の、満されぬ心の空洞をうめてくれるはずだった。

彼女をよく知る友人で、付人の春江も、京子と土岐の結婚を喜んだ。
だが彼女の思惑とは異なり、二人の間には何の精神的な結びつきもなかった。

失意の京子は、春江と二人で八ケ岳山麓のホテルを訪れた。そこの透明な澄んだ空気を吸った彼女は生き返る心地がした。そんな時、京子はホテルで作家の五木(田村高廣)に会った。

五木は京子と話合った後、京子の過去を分析し、京子は一人で生きていかなければならないと教えた。それ以来、五木は京子の支えになった。しかしある日、付き人の春江(原知佐子)が電話で、京子のナポリ賞受賞を知って、京子の寝室に行くと、京子は受話器を手にしたまま死んでいた。京子が最後に電話をしようとした相手が果して誰なのか誰にも分らなかった(MovieWalker)。

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映画はオープニングから、インパクトがある。
女優の京子(若尾文子)が、撮影のため、ミンクのコートを着て撮影現場を訪れるのだが、付き人の女性が、衣類は「こちらに脱いで」というと、「(コートの)下にはなにも着ていないわ」と、コートを脱ぐと全裸で、撮影に臨むのだ。

京子が、映画で脱いで体当たりの演技をしているのは、その背景には、病気の母親にギャラの一部を仕送りしていたのだった。

京子の元に台本が来た時に、キスシーンの相手役が気に入らないから「別の人にしてほしい」とわがままを言ったり、道を歩いていて、ファンに取り囲まれサインを頼まれた時に、ふと耳にした言葉「カラダはいいけど、ちとアタマの足りん役ばかりだよな」という声が耳から離れないのだ。

京子は、知性や知識の面でコンプレックスがあったようで、友人の芸能記者・奥村(津川雅彦)が結婚するというと、「(相手は)学問のある人?」と聞くのだ。奥村は、京子に遠慮して語ったのかわからないが「右を向けといえば、3年も右を向いているような人だよ」と返していた。

京子は、映画の新人賞を取れると期待したが、選考委員会のベテランらしき女性の委員が「演技もなくストリッパーと同じ」で、取れなかったのだ。

モンローと結婚した野球選手のジョーディマジオを彷彿とさせるホームラン王の土岐(藤巻潤)は、直情的で、妻がスクリーンでとは言え「裸を売りものにしている」のに腹が立ち「(妻を)布でくるんで箱に入れて鍵をかけて」鍵を胸にしまい込みたいなどと子供じみたことを言う。その挙句、「女優か妻か」の選択を迫り、離婚した。

付き人の女性が映画「砂糖菓子が壊れるとき」で、ナポリ映画祭の主演女優賞を京子が受賞したという電話を受け、それを伝えに行くが、京子は睡眠薬の飲み過ぎで亡くなっていた。奥村(津川雅彦)は「自殺か事故死か、睡眠薬の飲みすぎか。(京子が受話器を握っていたので)どこへ(電話を)かけるつもりだったのか」というと、春江は「天国かもね」とつぶやくのだった。

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若尾文子は、お色気ムンムン(当時33歳)で、絶頂期だったかもしれない。
芸能プロ社長役で志村喬も出演。死ぬ間際に、京子にプロポーズするのだが・・・。

1960年代の邦画も面白い。

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ビジネス・パニック映画として公開された映画「金融腐蝕列島呪縛]」(1999)を再見した。高杉良の経済小説が原作で、監督は原田眞人。この監督の作品は、ドキュメンター的な色彩が強いようだ。

日本の銀行証券会社など金融業界の内情、とくにバブル景気崩壊後の1990年代後半から2000年代にかけての総会屋事件などを描いている。

公開時に劇場鑑賞しているが、Gyaoで配信していたので再見。
仲代達矢が、銀行相談役としてワンマンぶりを見せるほか、仲代主宰の無名塾出身俳優である役所広司、若村麻由美などが主役で出演。


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1997年、東京・日比谷。丸野証券の利益供与事件による総会屋・小田島の逮捕により、300億円という不正融資疑惑が持ち上がった朝日中央銀行(ACB)本店に東京地検特捜部の強制捜索が入った。
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ところが、ACBの上層部は責任を回避しようとするばかり。そんな上層部の姿勢に腹を立てた”ミドル4人組”と呼ばれる企画本部副部長の北野(役所広司)、同部MOF担の片山(椎名桔平)、同部副部長の石井(矢島健一)、広報部副部長の松原(中村育二)らが立ち上がる。

彼らはボード(役員)を総辞任させ、”ブルームバーグ・テレビジョン”のアンカーウーマン・和田(若村麻由美)の力を借りて新頭取に中山常務(根津甚八)を推すと、真相調査委員会を結成。

ACBを闇社会や古い慣習などの”呪縛”から解き放ち、再生させようと東奔西走する。しかしそんな事態に至ってもなお、佐々木相談役(仲代達矢)だけは最高顧問としてACBに居座ろうとしていた。

佐々木の娘婿でもある北野は、身内と対決しなければないないことに苦悩しながらも、小田島と佐々木の癒着が記された自殺した久山幹部の遺書を武器に彼を辞職、逮捕へと追い込む。

それから数日後、 ACBの株主総会が行われた。中山新頭取を中心に、北野たちは闇社会との繋がりや行内の膿を放出することを株主に確約してこれを乗り切ることに成功。こうして、ACBは再生への一歩を歩き始めるのであった(Movie Walker)。

・・・
出演:役所広司(北野浩)、仲代達矢(佐々木英明)、椎名桔平(片山昭雄)、風吹ジュン(北野今日子)、若村麻由美(和田美豊)、佐藤慶(久山隆)、根津甚八(中山公平)、矢島健一(石井卓也)、中村育二(松原秀樹)、石橋蓮司(中澤専務)、遠藤憲一(大野木検事)、もたいまさこ(一条弁護士)、本田博太郎(陣内新副頭取)、黒木瞳(佐藤弘子)、丹波哲郎(川上多治郎)、多岐川裕美(青木伸枝)、田口トモロヲほか。

・・・
企業(銀行)の特殊株主(=総会屋)への利益供与(名目は融資)などの不正を正すべく、行内の北野などの若手4人が立ち上がるのだが・・・。銀行の悪しき呪縛(じゅばく)を解くことが出来るのか・・・。

バブルのはじけた後とは言え時代を感じさせる言葉が登場する。
こんな腐った銀行はやめてしまいたいと、若手行員たちの飲み会での会話だが、
「植木屋をやりたい」「実家に帰って坊主を次ぐ」といったもののなかに、「ノーパンしゃぶしゃぶ」の店でもやるというのもいた(笑)。

・・・
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銀行の会長、頭取が総入れ替えとなり、副頭取の陣内が佐々木相談役(仲代達矢)の調査委員会のヒアリングに同席。佐々木にしてみれば、新任の副頭取など「お前は誰だっけ」といった小僧扱いだが、皆のいる前で「この陣内という男はね、フランスのトイレで、間違って女性用に入ったんだ。そこにブリジット・バルドーがいて、なんて言ったと思う。メルシー(ありがとう)って言ったんだ。これがバルドーに大受けでね」などと話の本題からそれた事を言うのだ。弁護士のもたいまさこが、「時間は有効に使わないと」とたしなめていた。

この映画の当時は遠藤憲一は知らなかったが、東京地検特捜部の責任者で、銀行の強制捜査を指揮していた。外資マスコミのブルーンバーグのアンカー・ウーマンの若村真由美と組んでいたが、遠藤が「振り上げた拳は、どこかに下ろさないとケリがつかない」というと、若村は「どこかって、どこですか」。「お前の一番の敵役はどこだ」。この若村アンカーは、いつも冷蔵庫からペットボトルを取り出して飲んでいるが、途中まで飲んで、そのまま、次のボトルを開けてしまうクセがある。

映画の題材になったのは、実際の銀行の不祥事のモデルがあり、その後、銀行の大型合併などが相次いだ。総会屋というのは、銀行が正常化に向かうための儀式として存在し、司祭の役だったというのが、最後に語られていた。

以前の記事:椎名桔平と「金融腐蝕列島 呪縛」

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映画「怪談」(1964)

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怪談」(1964)を見た。”学校の階段”でも、”四谷怪談”でもない。小泉八雲原作の「怪談」に収録されている「黒髪」「雪女」「耳無芳一(みみなし・ほういち)の話」「茶碗の中」の4つの怪談話を映画化したオムニバス作品。

文芸プロダクションにんじんくらぶ製作、東宝配給。
監督は小林正樹183分。途中で「休憩」が入るほど長いが、日本が「東京オリンピック」で湧いていた時期に、構想10年で、9ヶ月の撮影期間と多額の予算、豪華俳優を擁した映画が製作されていたとは驚きだ。ただ興業的には失敗し、製作会社のにんじんくらぶは倒産に追い込まれたという。

映画は、第18回カンヌ国際映画祭審査員特別賞を受賞したほか、アカデミー賞外国語映画賞にノミネートされた。「キネマ旬報」ベスト・テンの2位の作品。

■「黒髪」
昔の京都。貧しかった武士の男(三國連太郎)は、妻(新珠三千代)を捨てて遠い任地に向かい、良い家柄の娘(渡辺美佐子)と結婚する。しかし、その娘はわがままで冷酷な女だった。

男はいつも前の妻のことを思い出し、自分の身勝手さを反省した。やがて任期を終えて京にもどった男は妻のいる家に向かうが、そこには機織をしている妻の姿があった。男は今までの自分を詫び、妻をいたわり、一夜を共にするが、夜が明け男が目を覚ますと横に長い黒髪があった。それは妻の髑髏(どくろ)の頭から生えていた。

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・・・新珠三千代が健気に夫に尽くして、完璧だったのだが、男は「貧しさに疲れた」と言って無分別の若い時代に立身出世に目がくらみ、家を出てしまう。隣の芝が青く見えたというのがわかり、反省して戻った時には、恐怖が待ち構えていた、というのが怖い。一瞬、「サイコ」のラストシーンを彷彿とさせた。
■「雪女」
武蔵国の巳之吉(仲代達矢)は、茂作と森へ薪を取りに行くが吹雪にあい、森の中の山小屋に一泊することになった。その夜、巳之吉は白い着物姿の女を目撃する。女は茂作に白い息を吐いて凍死させ、巳之吉に「今夜見たことを誰にも話してはいけない。もし話したらお前を殺す」と言って小屋から消えた。

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一年後、森へ薪を取りに行った巳之吉は、その帰り道で若くて美しいお雪(岸恵子)という女性に出会い、彼女と結婚し3人の子宝に恵まれた。

村の女たちからも羨ましがられて幸せに暮らしていたある吹雪の夜、巳之吉はお雪の顔を見て、ふと10年前に山小屋で会った雪女のことを面白おかしく話し出してしまう。戸惑いながらも話を聞き終えたお雪は「その女は私。さても子らを不幸せにすれば命は無いものを・・・・」と、言い残して吹雪の中へ消えていった。

イメージ 3・・・岸恵子は当時32歳で、その美貌が光るが、雪女の岸恵子は、能面のようで、目つきからして怖い。仲代達矢は当時31歳くらいだが、19歳の若者と30歳くらいを演じているが、流石に10代は無理があった。
■「耳無芳一の話」
盲目の琵琶法師の芳一(ほういち)(中村賀津雄は、ある夜、彼の前に現れた甲冑姿の男(丹波哲郎)に「高貴な人に琵琶を聴かせるために迎えに来た」と言われ、ある場所に連れていかれる。

芳一はそこで「平家物語」の壇ノ浦の合戦のところを琵琶で奏でて唄う。
それから武士は毎晩、芳一を迎えに来て、芳一も繰り返し琵琶を奏でるのだった。

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寺の住職(志村喬)は毎晩どこかに出かける芳一を心配して寺男の矢作(田中邦衛と松造に芳一の後をつけさせる。その夜、芳一の後をつけた寺男が見たのは、人魂が飛び交う平家の墓場の前で琵琶を奏でる彼の姿だった。

イメージ 5住職は平家の怨霊に取り憑かれた芳一の体じゅうに般若心経を書きつける。その夜、いつものように芳一を迎えに来た武士は何度も芳一の名を呼ぶが、返事がない。しかし、空中に耳が二つ浮かんでいたのでその耳を引きちぎって持って帰っていった。

両耳を押さえ悶絶する芳一。住職は芳一の耳にだけお経を書くのを忘れていたのである。その後芳一は”耳無芳一(みみなし・ほういち)”と呼ばれ、その名声は遠方まで聞こえたという。
・・・壇ノ浦の戦いは、栄華を誇った平家が滅亡に至った治承・寿永の乱の最後の戦いだが、亡くなった平家一門が眠る墓の前に死者が芳一を呼び寄せ、最後の合戦の模様を芳一に聞かせて欲しいと所望し、芳一が琵琶(びわ)を奏でながら平家の最後の状況を語るシーンは、まるで歌舞伎を見ているような錯覚すら覚えた(歌舞伎は見たことはないが・・・)。死者の霊に対抗するために?芳一の体中に墨で経文をぎっしり書いた光景は、異様だった。ただ、四篇中では、一番印象に残るエピソードだ。

■「茶碗の中」
中川佐渡守の家臣の関内(中村翫右衛門)は、年始廻りの途中、茶店で水を飲もうと茶碗に水を汲み、顔を近づけるが、茶碗の水に見知らぬ男の顔が映っているのに気付く。水を入れ替えたり茶碗を変えたりしても同じ男の顔が映っていた。

結局彼は男の顔が映った水を飲み干した。その夜、夜勤している関内のもとに式部平内(仲谷昇と名乗る一人の若侍が現れる。その男は昼間茶碗の中に現われた男だった。

関内は彼を斬りつけるが消えてしまった。屋敷に戻った関内は三人の侍の来訪を受ける。平内の家臣と称する三人は「主人があなたに斬られて療養中である。来月十六日に必ず恨みを果たしに来る」と言った。関内は三人に斬りつけるのだった・・・。

この物語は、明治32年(1899年)、作家(滝沢修が結末のない奇怪な物語として書いたものである。作家のもとに版元が訪ねる。おかみさん(杉村春子)は作家を探すがどこにもいなかった。版元(中村鴈治郎は作家の書きかけの原稿を手にした。「人の魂を飲んだ者の末路は・・・」そのとき、おかみさんが水瓶を指さして悲鳴を上げた。版元も水瓶に近づくと、水瓶の中に作者が映り、手招きをしていたのである。

・・・四つのエピソードの中では、今ひとつピンと来ないのが残念。

3時間の時間が長い。
四つのオムニバスだが、3つくらいにして、コンパクトにしたほうが見やすい気がする。背景は全てセットで、広大なスペースに池なども含め大屋敷を設置したようだ。雲のかなたに大きな人間の目が不気味にこちらを睨んでいるのが印象的。3時間、身構えて見ないと睡魔に襲われるかも知れない。

監督:小林正樹
製作:若槻繁
脚本:水木洋子
原作:小泉八雲
撮影監督:宮島義勇
音楽音響:武満徹

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