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fpdの「映画スクラップ帖」 (名作に進路を取れ!)
★「9月1日から「はてな」ブログに移りました。https://fpd.hatenablog.com/

書庫▶邦画'40-00年代

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イメージ 5樹木希林が亡くなり、憔悴しきった内田裕也が車椅子でテレビに映っていた。近年では、すっかり”仙人”のようなイメージだが、内田裕也自身が、破天荒なイメージが強い。
 
内田裕也が脚本を書き主演した映画「コミック雑誌なんかいらない!」は、ワイドショーの芸能レポーターを描いたブラックコメディ映画で記憶に残る映画だ。

当時起こった社会的事件をリアルタイムで取り上げ、ロス疑惑の三浦和義までが本人で登場して、映画の中で疑惑を否定するなど、スリリングだった。
 
・・・
ワイドショーのレポーター、キナメリ(内田裕也)は突撃取材で人気がある。
妻(渡辺えり子)はコマーシャル・タレントだが、二人の時間帯はまったくかみ合わない。
 
キナメリは、行き過ぎた取材に、警察ではこっぴどく叱られ、始末書を書かされるが、プロデューサー(原田芳雄)はどんどん過激にやれ、後の面倒は局が見るからとキナメリを煽る。
 
その頃キナメリは、彼のマンションの隣に住む老人(殿山泰司)が、セールス・ウーマンから金(きん)を買ったという話を聞く。疑問を抱いたキナメリは独自に、金の信用販売会社を捜索し始める・・・
 
日本のロック史に重要な足跡を残してきた内田裕也に向かって「ロックが分からん奴」と罵るシーンがあったり、小ネタで笑わせる
 
郷ひろみが本人役で出演していたのも驚いた。
片桐はいり、片岡鶴太郎なども出ていた。

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神田正輝との”世紀(=聖輝)”の結婚式を控えた松田聖子の部屋から、彼女が歌う、元カレの郷ひろみの「お嫁サンバ」が聴こえてくるなど、ユーモアのセンスが光。 

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この作品えて台本を用意せずに、ハプニングを期待して撮った場面があるから驚く。山口組、一和会の抗争時に、組員にインタビューに行くのだが実際に怒鳴られるシーンは迫力があ
 
アポなしで三浦和義への突撃取材はハラハラさせられる
内田裕也が本当に焦っている様子が伺えて、リアルだった
内田の質問に対する三浦の受け答えが、観客がイメージする“三浦和義”のイメージにぴったりだったのも驚かされる

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豊田商事の永野一男会長刺殺事件をほうふつとさせるシーンでのビートたけし演技・存在感が半端ない。こういう犯人や、ヤクザや前科者を演じる時のたけしの演技は見所だ。内田裕也が演じたレポーターは、芸能週刊誌記者として名を馳せた梨元勝(なしもと まさる、1944年12月1日-2010年8月21日とされる。
 
内田裕也は「コミック雑誌なんかいらない!」(1986)で、「キネマ旬報賞主演男優賞、報知映画賞主演男優賞、毎日映画コンクール脚本賞を受賞した。

■過去に2度記事にしている(似たり寄ったり?笑)。
 
  
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黒い家」(1999)を見た。サイコスリラー、サイコパス映画だった。
大竹しのぶが、喋りはゆっくりだが、不気味で凶暴なサイコパス(反社会性人格障害者=ぶっ壊れた人間)を演じて恐ろしい悪女ぶりを見せている。近年の「後妻業の女」もそうだが、その怪演には圧倒させられる。
 
「黒い家」に住む夫婦は保険金詐欺の悪事を繰り返すのだが・・・。
 
・・・
保険会社「昭和生命」の支社に勤務する若槻(内野聖陽)は、毎日のようにお客からのクレームを対応するという神経をすり減らすような日々を送っていた。
 
ある時電話でぶっきらぼうな話し方をする女から電話がかかってくる。
「自殺は保険金が下りるのか」と聞いてきた。電話口の若槻は「場合によります」と答える。若槻は、電話の主が自殺を図ろうとして、遺族に保険金が入るのかと聞いてきたと思い込み、「もしかして自殺を考えているのではないか。それはやめたようがいい」というと、「あんた、名前は」と聞いてくるので「若槻と申します」と答えた。
 
ある日、菰田重徳(西村雅彦)という契約者に呼ばれ、彼の家へと向かう。
重徳は、隣の部屋の義理の息子を呼ぶが出てこないので、若槻に息子に声をかけてくれと頼む。そして、若槻が息子の名を呼び襖(ふすま)を開けると、息子の首吊り死体があった
 
警察は自殺と判断し、若槻の会社は保険金を払う事を決定する。
しかし、若槻は彼の家庭に何かよからぬ計画を感じ取り、独自に調査を開始するのだった。
 
すると、重徳の妻である幸子大竹しのぶと重徳は、保険金のためなら自ら指を切り落すような異常な人間である事を知る。
 
心理学の専門家・金石に菰田夫妻のプロファイリングを依頼したところ、彼らは心がない人間(サイコパス)であるとの判断を下す。若槻はなるべく菰田夫妻とは関わり合わないようにしようと決意する。

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しかしその金石が何者かに惨殺され、さらに重徳が自ら両腕を切り落とすという事態を迎えると、さすがの若槻も部外者ではいられなくなってくる。
 
悪質な契約者に対応する専門家である潰し屋・三善(小林薫)を幸子の元に派遣して様子を見るが、逆に三善は幸子の返り討ちにあい、同じように惨殺されてしまう。
 
さらに激怒した幸子はついには若槻の自宅に侵入、若槻の恋人、黒沢恵田中美里を拉致してしまう
 
恋人・黒沢恵を救うために幸子の家へと向かった若槻は、を救う事が出来るの
 
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・・・
サイコ・ホラー映画だが、今見ると、ツッコミどころも多い。
主人公の保険会社社員・若槻があまりにも小心者で、落ち着きがなく間が抜けた臆病者で、恐怖に対するリアクションがオーバー。全く共感できない。
 
幸子を演じる大竹しのぶが圧巻。
保険会社に電話するときに車から電話しているが、衣装は黄色。
見ていると、泳ぎの水着も黄色。サングラス、マニキュアの色も黄色。
得意なボーリングの球も黄色。子供が小さい頃魚釣りに出かけたが、ジャンバーは黄色。黄色に執着している。

このボーリングの黄色い球が、この映画の大きなポイントとなっている。
黄色といえば、映画の冒頭で黄色い「ひまわり」が登場していた。恵が拉致され猿ぐつわされていたが、そのテープまで黄色だった。

幸子は、性格が破綻していて、全く平常ではない。
保険について、自殺の場合、保険の「約款」があるというと「やかん?」だったり、「故意に保険金目当ての自殺は、保険金が出ない」というと「恋だか愛だか知らないけど、証拠でもあるなら見せて」と凄みを見せる。

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再婚した夫・菰田重徳西村雅彦)は、幸子以上に、異常性格者。
息子を殺し、自殺に見せかけているのは明らかだが、連日、保険会社に押しかけて、「保険金はまだ降りないのか」と繰り返し、言いに来る。「そうか。まだなのか」と目はうつろで、わなわなと体を震わせて、繰り返すばかり。

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見ている方が、保険会社と悪質契約者との神経戦に苛立ちを覚える。
しかし、悪の栄えたためしはなく、最後は壮絶な結末を迎える。
 
・・・
1999年11月13日松竹配給で公開。キャッチコピーは「この人間には心がない」。原作者の貴志が営業マン役で出演。
 
監督:森田芳光
脚本:大森寿美男
音楽:山崎哲雄
エグゼクティブプロデューサー:原正人
製作総指揮:角川歴彦、大谷信義
配給:松竹

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出演:
若槻慎二:内野聖陽
保険会社「昭和生命」北陸支店で働く査定や保全担当の会社員。真面目だが気弱な性格で、話し方も大人しい。趣味は水泳だが泳ぎ方にクセがあり、しぶきが隣のレーンの人にかかるぐらい立つ。
菰田(こもだ)幸子:大竹しのぶ山岸里紗(少女時代)
常に夢うつつのような個性的な話し方が特徴。重徳とは再婚。
趣味はボウリング。黄色が好きで、作中では普段着ている服や水着、サングラスのフレームなどに黄色いものを取り入れており、ボウリング場で使うボールも黄色である。

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菰田重徳:西村雅彦小川恵光(少年時代)
旧姓小坂。常に体を揺らし、ぎこちない喋り方をする。過去に障害給付金を詐取するために自分で自分の指を切断する「指狩り族」として保険に加入していた。実は小学校は幸子や大西光代と同じ。小学6年生の時の遠足で同じ学年の女の子が池で亡くなった事件があり、重徳が好意を寄せていたことから、彼女を殺した疑いがかけられたことがある。
黒沢恵:田中美里
若槻の恋人。大学で働いており、同じ大学の助教授である金石については、人にレッテルを張るようなものの見方をすることに抵抗があると評している。
葛西好夫:石橋蓮司
若槻の直属の上司。ベテラン職員で知識も経験も豊富であり、様々な保険加入者のクレームや難癖をなんとか穏便に対処する術を心得ている。
松井刑事:町田康
金沢中警察署の刑事。常に右足を引きずって歩いている。金石の遺体の身元確認で、遺体が若槻の名刺を持っていたため引きあわせた。
三善茂:小林薫
問題のある顧客の応対を得意とする保険外交員。普段は穏やかな口調だが、どこか凄みのある人物。葛西によると実は元極道関係者で結婚を機にカタギとなり、保険会社に転職したという。

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金石克己:桂憲一
犯罪心理学が専門の大学助教授。怪しげな雰囲気を持つ人物。重徳(名前は伏せた状態)の小学生の時の作文を読むなどして「情勢欠如ではないか」「サイコパス」と判断した。
角藤:伊藤克信
昭和生命の保険加入者。同社の1回の入院給付金の限度日数が120日で、ちょうど120日ごとに病名を変えて入院を続けているが、若槻たちに難癖をつけて契約解除に応じようとしない。作中では診断している病院もグルで、角藤は給付金をもらって入院しており、昼間はいつもパチンコに行っているとされる。
大迫外務次長:菅原大吉
木谷内務次長:佐藤恒治
橋本教諭:小林トシ江
幸子と重徳の小学5年生の時の担任教師。幸子については目立たない性格ということもあり「あまり良く覚えていない」、重徳については「色々と問題のある子だった」と語っている。国語力をつけさせるため、作文が苦手な子でも個性的な文章が書けるという理由で自身が担当を受け持ったクラスの児童に「夢(昨夜見た夢など」について作文を書かせている。
大西光代:友里千賀子
元保険外交員。幸子とは同じ小学校の同級生だが、それほど仲が良かったわけではない。務めていた保険会社のノルマもあり、偶然再会した幸子に保険を薦めた。
波多野医師:鷲尾真知子
重徳が働いている工場での事故により腕を切断した時の様子などを若槻に説明した。
菰田和也:針谷俊
幸子の連れ子。両親によって保険にかけられていたが、自宅で縊死した。死体発見者は若槻であるが、保険を受け取るために殺された疑いを持ち、若槻が調査を始める。
高倉嘉子:西美子
守衛:荒谷清水
昭和生命の建物を担当している警備員。作中では夜に会社内を見廻っており、時々残業をしている若槻に声をかけている。
営業マン:貴志祐介
出前持ち:山崎まさよし
  
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クローズZERO」(2007)を見た。
高橋ヒロシの漫画原作。監督三池崇史主演小栗旬

不良たちが集まる男子高校を舞台男たちが闘い、熱く生きる姿がリアルに映し出されているその後2009年にクローズZEROⅡ2014年にクローズEXPLODEが公開されシリーズ化された。暴力に明け暮れる若者の青春群像劇。 
 
イメージ 9物語は、主人公・滝谷源治小栗旬が鈴蘭制覇のために鈴蘭男子高校に転入してくることから、勢力争いが勃発してい
 
共演陣では、山田孝之第50回 (2007年度) ブルーリボン賞助演男優賞に20代でただ一人ノミネートされた。

山田孝之はこの映画からワイルドな役などが多くなったと言われる。ほかに、やべきょうすけ黒木メイサ桐谷健太波岡一喜といった若手のほか、岸谷五朗松重豊、強面(こわもて)の遠藤憲一塩見三などが出演。
 
・・・
イメージ 7鈴蘭男子高等学校の名前をカメラがサササ〜と流れるように映し出す。

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やがてカメラがとらえるのが壁一面に殴り書きされた名前の数々。

一番上には「鈴蘭の頂点(テッペン)」と書かれ、その下には、代々高校を支配した、いわゆる頂点を極めた人間の名前がずらりとあった。「頂点」のすぐ下に書かれた最も新しい名前は「芹沢多摩雄」とあった。

この学校に転入してきた一人の男が、白のスプレーで「芹沢」の名前を消し、そこに名前を書き込んだ。
 
その名前は「たきやけんじ」だった。
滝谷源治(小栗旬)は、物語の主人公であり最凶の転入生。
G.P.S(GENJI.PERFECT.SEIHA)と呼ばれるグループの中心者
実家は、父親・英雄(岸谷五朗)が、ヤクザ組織・劉生会滝谷組の組長を努めている。父親も鈴蘭のOBあり、かつてすずらんを制覇した。

源治が鈴蘭に転校してきたのは、父を超えるのが目的だった。

「ぜってい、鈴蘭とってやる」が口癖。

対人関係が苦手で、口数が少ないが、滝谷組をもらうべく不可能と言われている鈴蘭制覇を本気で目指すのだった

一方、迎え撃つ芹沢多摩雄(山田孝之)は、芹沢軍団のナンバー2で、源治とは中学時代の友人である辰川 時生(桐谷健太に対しては「俺とお前の上には誰もこない。お前はのんびりしていればいい」というのだった。

・・・
監督三池崇史ということで、バイオレンス描写が多い。PG-12。
男の友情、仲間意識、ライバル意識なども描かれる。

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                        今や人気の桐谷健太と山田孝之

イメージ 5原作と映画の違いは、新たなキャラクターとして、普段は店番をしているボーカルの女性歌手(黒木メイサ)が登場し、バンドをバックに歌うシーンがある。

雨の中、二つのグループの壮絶な殴り合いの戦いが描かれるが、画面がスローモーションで、バックに歌手が歌うシーンは印象的だった。

この合戦シーンは、過去の「七人の侍」や「ワイルドバンチ」などの影響を受けているかもしれない。西部劇を現代の高校を舞台に移し替え、暴力に走る若者の青春映画とも言える。
 
イメージ 2冒頭のシーンで、チンピラがヤクザの組長(遠藤憲一)に「こうしないと組員に示しが付かないんでな。悪く思うなよ」と、男は銃で背中を撃たれて、海に投げ込まれ、沈んでいく。男は親友を殺せという命令に「できません」と背いたからだった。

このシーンは、ラストシーンだった。あっと驚く仕掛けがあって、男は海中で目を覚まし、這い上がってくる。

なぜ?
 
そのワケが、味がある。自分の噂があると、その人がくしゃみをするというが・・・。
組長が銃で撃って、車に乗り込む前に、鼻をかむシーンがある。「いいね!」。

暴力、喧嘩のシーンは、壮絶で、誰にでもおすすめという映画ではないようだ。
 
☆☆☆
 
 
 
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陸軍中野学校(1966)を見た。
舞台は実在した日本初のスパイ学校。主演は大映のスターだった市川雷蔵
有名作品でありながら見逃していた作品で、今見ても面白い!後にシリーズ化され4本の続編が作られた

とくに増村保造監督一作目は、”スパイ学校”そのものを描いた点が面白い。
インテリで奇才で呼ばれた増村保造監督がドキュメントタッチで中野学校の実態をクールに描き、主人公をヒーローとせず、時代や組織にのみ込まれた犠牲者として描いてい
 
1960年代の初め頃は「007シリーズ」を始め、世界的なスパイ映画ブームだった。
日本映画界は、東宝・東映・大映・松竹・日活の”5社体制”時代。

東宝は「国際秘密警察シリーズ」(三橋達也主演)、東映は忍者・裏切り者映画などを丹波哲郎主演で撮っていた。1968年に陸軍諜報33という中野学校出身のスパイが活躍する映画を製作日活は1964年に間諜中野学校 国籍のない男たち」。そんな中、大映は暗くて重い「陸軍中野学校」で日本のスパイ育成そのものを描いたのだった。
 
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世界情勢が緊迫しつつあった昭和13年1937年)、陸軍少尉の椎名次郎市川雷蔵は、草薙中佐加藤大介と名乗る人物から口頭試問を受け
 
「将来は何になりたいか?」「銀行員か会社員です」「この地図の中のXX島はどこにある?」「この地図にはありません」「地図の下の机の上には何がある?」「文房具、カバン、万年筆、湯飲み茶碗、タバコ・・・」「タバコはなんだ?」「チェリーです。マッチ、灰皿」「灰皿の中には?」「吸殻が2本ありました」・・・。「では、次にいくつかの質問をするからまとめて答えろ。一晩にどれくらいのお金を扱えるか。キリスト教と仏教の違いを5つ。共産主義の長所と短所はなにか。今、この場で腹を切れるか」・・・など奇妙な質問だった、と次郎のナレーション(回想)で物語が始まる。

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それから1週間後、次郎のほかに17名の陸軍少尉が靖国神社の近くにあったバラックに集合させられ。そこは諜報部員を養成するスパイ機関の陸軍中野学校だった・・・
  
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日中戦争の引き金となった盧溝橋事件の翌年にあたる1938年(昭和13年)、日本陸軍は「防諜研究所」を新設した。2年後に「陸軍中野学校」と改称される諜報員の養成学校である。
 
畠山清行が1965年から週刊サンケイ誌上で「秘密戦士 陸軍中野学校」という連載を始めたことで注目が高まり、同連載をもとに大映が映画化に乗り出した。
 
・・・
1938年10月、三好次郎陸軍少尉市川雷蔵は所属する連隊で草薙中佐加藤大介と名乗る男の訪問を受け、次々と質問を浴びせられる。1週間後、三好は陸軍省に出頭せよとの極秘命令を受け、母と許嫁の雪子小川真由美には出張と偽って東京に向かう。

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翌朝、靖国神社近くのバラックには三好をはじめ18人の若い陸軍少尉が集められていた。彼らの前に現れた草薙は、1年間のスパイ教育と軍服の着用や軍隊用語の使用の禁止を命じる。
 
草薙は陸軍士官学校出身の純軍人で構成された参謀本部とは違う世間離れしていない優秀なスパイを養成すべく、陸軍予備士官学校出身者である彼らを集めたのである。
 
変名を与えられた三好らは、軍隊用語は話さないようにしなければならなかった。訓練は柔道から飛行機の操縦までわたり、政治、経済、外交問題については大学教授の講義を受けた。しばらくして、彼らは九段から中野電信隊跡に移動した。
 
ここでは、諜報において必要な技術 - 変装、ダンス、更に名の知れた金庫破りによる窃盗術や生理学者による女の肉体を喜ばせる方法までもが教授され、サラリーマンの団体を装った遊郭での実習まで行なわれた。また、二つ以上の外国語の習得や、職業も洋服屋とコック(料理人)というように2つ以上を身につけさせられた。
 
一方、音信不通の三好を探していた雪子は、消息不明の三好をさがす手がかりをもとめて、参謀本部の暗号班にタイピストとしてつとめはじめる。
 
過酷な訓練で自殺者を出しながらも1年間の訓練を終えた彼らに卒業試験として与えられたのは、英国領事館の外交電信暗号コードブックの内容入手であった。
 
三好は、アメリカ帰りの洋服屋に成りすまし、ポーカー仲間として領事館の暗号係のデビットソンに接近する。

さらに、出入りの中国人コックを買収して領事館に侵入し、コードブックを撮影して見事内容入手に成功した彼らであったが、コードブックの内容はすぐに変更されてしまった。参謀本部の前田大尉待田京介は、作戦に失敗した中野学校の存在に苦言を呈する。
 
三好らは、参謀本部から情報が漏れたのではないかと感じ、参謀本部を訪れるが、そこで雪子の姿を見る。雪子が参謀本部にいることを不審に思った三好は、雪子がラルフと紙片のやりとりをしているのを目撃する。
 
引ったくりを装って雪子から鞄を奪った三好は、その紙片から雪子が英国諜報機関の手先(スパイ)であることを知り、前田大尉から機密が漏れたことを確信する。

ある晩、三好は雪子の元を訪れ、ホテルに誘い、毒殺してしまう。雪子の筆跡を真似て「私はスパイでした」という遺書を残して・・・。

そして身も心もスパイになりきった次郎たち十六名は、陸軍中野学校第一期生として世界各地にちらばっていった。ちょうど欧州では第二次大戦か始まっていた。
 
・・・
政府諜報機関といえば、MI6(軍情報部第6)正式にはSIS・情報局秘密情報部(英国)がジェームズ・ボンドによって、その名は世界的に有名冷戦以降はソ連KGBとの熾烈な諜報合戦を繰り広げた。
 
CIA(=Central Intelligence Agency、米中央情報局)は、諜報機関の代名詞とも言える組織。アメリカには情報機関が多数ありインテリジェンス・コミュティーを形成しているが、その頂点でもある。
 
日本でそれにあたるのは公安警察か公安調査庁か内閣情報調査室(CIRO サイロ)そして防衛省情報本部(DIH)など。しかし海外の諜報機関に比べて規模が格段に小さい。また特殊工作(暗殺や破壊工作など)は行っていないとされる。
 
日本映画としては異色の映画で興味深かった。
市川雷蔵がクールで非情。小川真由美が健気で魅力的。
小川真由美は、その後「女ねずみ小僧」シリーズなどでアクションもこなし活躍。

加藤大介も、「七人の侍」では、侍集めに奔走していたが「陸軍中野学校」でも、東大卒などの国際的に通用するエリートを集めていた。「通信研究所」という名前の学校と言っても施設は、古びた空家の建物で、”寺子屋”のような環境だった。スパイ教育が目的だったが、やがて、暴走して、殺人マシーンになる怖さも描かれる。

中野学校に集まった学生たちは、将来は医者、弁護士、政治家などになることも可能だったが、なぜ誰にも知られずに死ぬことも厭わないスパイになったのか? その理由とは・・・?

主な出演者:
市川雷蔵- 三好(椎名)次郎
小川真由美- 布引雪子(次郎の恋人)
加東大介東宝) - 草薙中佐
E・H・エリック- オスカー・デビットソン
待田京介- 前田大尉(陸軍参謀本部)
ピーター・ウィリアムス- ラルフ・ベントリイ
早川雄三- 岩倉大佐(陸軍参謀本部)
村瀬幸子- 三好菊乃(次郎の母)
仁木多鶴子- はつ恵(バーのホステス)
三夏伸- 手塚(中野学校生)
仲村隆- 杉本(中野学校生)  
井上大吾- 甲斐(中野学校生)
森矢雄二- 久保田(中野学校生)
九段吾郎- 宮木(中野学校生)
喜多大八- 森(中野学校生)
佐山真次- 浜田(中野学校生)
南堂正樹- 中西(中野学校生)
河島尚真- 高山(中野学校生)
守田学- 連隊区司令部将校
伊東光一- 中野学校教官A
杉森麟- 中野学校教官B
夏木章- 中野学校教官C
飛田喜佐夫- 中野学校教官D
中条静夫- 中野学校教官E
小山内淳- 中野学校教官F
大橋一元- 中野学校生A
伊達正- 金庫破りの名人
中田勉- 佐倉連隊准尉
高村栄一- 警視庁捜査係長
志保京助- 原口(洋服屋)
橋本力- 憲兵少佐
新宮信子- 伯爵夫人
三島愛子- 芸者A
田中三津子- 芸者B
松浦いづみ- 芸者C
穂高のり子- バーのマダム
松村若代- ラルフ邸の家政婦

上映時間:96分、モノクロ
 
1974年、第二次世界大戦終結から29年の時を経て、フィリピン・ルバング島から日本へ帰還を果たした小野田寛郎(おのだ ひろお)も陸軍中野学校の出身だった。

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大林宣彦監督のふたり(1991)を見た。
原作は赤川次郎小説。大林監督の出身地である尾道が舞台。
タイトルは単純にみえるが、才色兼備の姉ドジな妹の姉妹のふたりのことで、姉はある事故で亡くなり、残された妹が、姉の記憶をとどめるために小説を書こうとした時のタイトルでもある。
 
出演は、この映画がデビュー(第1回主演作)となった妹・美加役の石田ひかりのほか、しっかりもので美人の姉・千津子役の中嶋朋子、その両親役に富司純子岸部一徳。そのほか吉行和子、尾美としのり、ベンガル、竹中直人奈美悦子島崎和歌子頭師佳孝など。

音楽は、クインシー・ジョーンズから名前をとったという久石譲(「おくりびと」など日本を代表する作曲家)。全編に流れる愛のテーマである「草の想い」が印象的。詩は大林宣彦監督によるもの。大林宣彦監督は、原田知世など新人をスターにするアイドル映画の第一人者と言われた。
 
・・・
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ドジでいつも姉に頼ってばかりの少女・北尾実加石田ひかりは、しっかり者の美人で、勉強もスポーツもピアノもそつなくこなして周囲に慕われる姉千津子中嶋朋子と、父母岸部一徳・富司純子の四人で暮らしていた。自分とは正反対の姉だが、実加にとって姉は憧れの存在だった。
 
ところが、ある日姉の千津子は、忘れ物を取りに帰る途中の坂道で事故に遭い、トラックに積まれた材木の下敷きになって亡くなってしまう。

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  「忘れ物があるからもどるね」と姉・千津子(左、中嶋朋子)。このあと思いもかけないことが。
    
それからというもの、母はショックで憔悴し、ノイローゼのようになってしまう。
家の中は火が消えたようになってしまい、実加は家族を元気づけようと明るく振る舞い、姉の代わりに自分がしっかりしようと努める。
 
そんなころ、夜真っ暗な中を歩いていた実加は変質者に襲われるが、その時姉・千津子の幽霊が現れて実加を助ける。

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それから千津子はよく実加の前に現れるようになるが、なぜか千津子の姿は実加にしか見えない。だが、いつも困っている時に現れてくれるので、”ふたり”で一人、千津子は実加の支えになっていった。
 
千津子の代わりを務めようと奮闘する実加は、千津子が得意だったピアノやマラソンなどに取り組むが、姉と正反対だった実加にとってなかなか困難な試練だった。
 
卑屈になり、本当は私が死んでお姉ちゃんが生きていた方が良かったんだとこぼすこともあった。しかし、千津子がいつも見守っていてくれるので実加はそれらを乗り越えていった。
 
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大林宣彦監督は、広島県尾道市出身で、尾道を背景にした「尾道三部作」(「転校生」「時をかける少女」「さびしんぼう」))があり、「ふたり」は「新・尾道三部作」の第1作。NHKのテレビドラマとして製作され、テレビ放映後再編集して劇場公開された。

当初から劇場公開を想定しており、外部演出家である大林の起用や35ミリフィルムでの撮影などNHK作品としては異例の要素が多いという
 
主人公の実加が、仲が良かった家族がばらばらになる中で、様々な経験を重ねて成長していく姿を描いている。今まで頼りっきりだった姉との別れこそが、成長の証となった。
 
映画の導入部で、小学生の少女ふたりが歩いていると、坂道で千津子の顔見知りの婦人(藤田弓子)が「千津子ちゃん、いつも明るく元気だね」と声をかけてくる。そのうしろでややふてくされたような顔で人見知りする女の子。「妹が忘れ物をしたので、取りに帰って遅れた」と説明する千津子。この幼い頃からの性格の違いが、のちのちまで影響している。画面はモノクロで、一箇所だけ花の色が赤かった。場面は一転して現在になりカラーになり尾道女子中学校を舞台に物語が進む。見事な導入部だ。
 
そんな妹だが、姉が事故で亡くなってからも、妹にだけ見える存在として登場する姉・千津子。姉は妹を励ます。「あんたは、自分を外から眺められる。どんなに落ち込んでいても、自分を見てくれる(もうひとりの)自分がいるのよ。それが財産」と。

長女を失って、精神のバランスを崩す母親は、夫が転勤で小樽に愛人を作ってしまい、その愛人(増田恵子)が、家族のいる家に押しかけてきて「この人を好きになり、いないと生きていけない」というのだ。ドロドロのバトルになるはずが違った。

妻の方が「私は夫がいなと生きられないので、ごめんなさい」と謝るのだ。あとで、娘からもそれはおかしいと言われる始末。

岸部一徳が声は変わらないが若い。優柔不断な男を演じている。
富司純子は、のんびりした口調で、お人好しにも程があると思わざるを得ない。
美加と「おい、親友!」と呼び合う同級生の真子柴山智加)は、ボーイッシュで、美加に意地悪をした同級生のもとに押しかけようとするとき「本当に乙女なんだから。討ち入りだ」と着物の裾をたくしあげて、美加にカツをいれるシーンがいい。

ドジでグズで間抜けと自信のない実加が、幽霊の姉から「相変わらずぶきっちょっだね。悪いわね、手伝ってあげられなくて」と言われながらも前向きに成長していくところが見所だった。島崎和歌子は、今ではテレビで、毒舌を吐くタレントに見られるが、10代半ばの頃は?かわいかった(笑)。

大林宣彦監督の作品は、男女が入れ替わったり、時代がタイムスリップしたり、幽霊が登場したりと独特なタッチの映画で、好みが分かれるかもしれないが、どれも独自の世界観でインパクトがある。
 
スタッフ
監督: 大林宣彦
脚本: 桂千穂
音楽: 久石譲
美術: 薩谷和夫
撮影: 長野重一
編集: 大林宣彦
製作者: 川島国良、大林恭子、田沼修二
プロデューサー: 大林恭子、太田智朗、小出賀津美
映画ポスターの原画:野口久光
製作: ギャラック、ピー・エス・シー、NHKエンタープライズ
配給: 松竹
主な登場人物:
北尾実加石田ひかり
尾道女子中学校の2年生。子供の頃から名前で呼ばれるより「(優秀な)千津子ちゃんの妹」と呼ばれることが多い。存在感が薄く、何かにつけて優秀な姉と比べられるので、自分に自信が持てずにすぐ諦めようとする性分が身についている。「ドジでグズでマヌケな私」と自他ともに認めている。部屋は散らかっており、よく忘れ物や無くし物をしており少々だらしない性格。趣味は小説のようなものを書くこと。千津子からは「自分のことを客観視できるのがあなたの取り柄」などと言われている。いつしか姉の恋人だった哲也(ともや)に淡い恋心を抱くようになる。
北尾千津子 中嶋朋子
実加の姉。高校2年生の秋のある朝、たまたま忘れ物をして家に取りに戻ろうとしたところ事故に巻き込まれ亡くなる。その後、実加にだけ千津子の幽霊が見えるようになる。実加とは対照的にしっかりもので近所では有名だった。学校に入ってからも成績優秀、ピアノも上手く、中学3年生の頃にはマラソンで活躍し、高校生の頃は演劇部で主役を務めるなど周りから一目置かれる存在。
北尾治子富司純子
実加の母。いつも和装で過ごしている。元々おっとりした性格だったが、千津子が亡くなったことで精神的に弱くなっている。千津子がいた頃はしっかりものの千津子に頼っていた。
北尾雄一岸部一徳
実加の父。落ち着いた物腰の性格。家族想いで千津子を失、情緒不安定気味の治子やマイペースで子供っぽい実加を気にかけている。実加の学校行事やピアノの発表会にも夫婦で見学。サラリーマンで出張も多く、その後小樽への転勤単身赴任。
神永哲也(ともや)尾美としのり
広島工科大学船舶工学科の3年生。生前の千津子の恋人。毎年行われている第九の演奏会に来ており、千津子が亡くなる前の年にここで会う約束をしていた。千津子が死んだことを知らずにこの年も演奏会に来て、ここで実加と知り合い、親しくなる。
長谷部真子柴山智加
実加の親友。クラス委員を担当。明るく素直でさっぱりした性格、曲がったことが嫌い。実加に対しては友情に厚く、いつも実加の味方。万里子が実加へ嫌がらせをした時は、わざわざ万里子の家まで「討ち入り」と称して実加を連れて押しかけた。
前野万里子中江有里
哲也とは、いとこ関係。お互い一人っ子で兄妹のように仲良く育てられてきたので哲也を実の兄のように慕っている。生前の千津子に嫉妬して邪魔に思うようになり、その妹である実加を敵視するようになった。
中西敬子島崎和歌子
実加が高校1年の時に入った演劇部の上級生。
長谷部真子の父ベンガル
由緒ある旅館兼仕出し屋を切り盛りしていて、料理を作っている。一人娘の真子をかわいがっている。
長谷部真子の母入江若葉
旅館兼仕出し屋の女将。
前野万里子の母吉行和子
担任の先生奈美悦子
心配な実加のことを相談に来た治子に対し、実加は問題無いとした上で「千津子さんはしっかり者だがまだ子供なので気をつけてあげてください」と助言するなど教師として生徒をしっかり見ている。
実加を襲う男頭師佳孝
街で何度か見かけたことから実加を気に入り、ある時、夜道にあとをつけて襲った。しかしこのことがきっかけで、亡くなった千津子が実加の前に現れるようになった。
運転手大前均
重い木材を積んだトラックの運転手。事故により千津子を死なせてしまう。命日には事故現場に献花する。
治子の主治医 - 竹中直人
明るいキャラクターの医者。母親が入院した時に世話をしに来ている実加のことを「親孝行娘」というアダ名で呼んでいる。
内田祐子増田惠子 (ピンクレディ)
転勤中の北尾雄一の不倫相手。
坂道の婦人藤田弓子
小学生の千津子と美加とすれ違い声をかける。



 
 









主題歌:愛のテーマ「草の想い


☆☆☆

【参考】この映画は、3月の「オールタイム日本映画」投票で3人が投票し、堂々の33位にランクインした作品。

33位: ふたり146(あきりん)5(ギドラキュラ)
3(やまちゃん)
                             (敬称略)

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