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fpdの「映画スクラップ帖」 (名作に進路を取れ!)
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高倉健を一躍スターダムに押し上げたシリーズ第1作「網走番外地」(1965)を見た。「昭和残侠伝」シリーズは、2−3本見ているので、”任侠映画”2大シリーズを見ずには死ねない、という願望は果たした(笑)。

高倉健の映画は、東映専属時代(1956年〜1975年)と独立後(1976年〜2014年)とあり、ざっくり言えば、専属時代は任侠・ヤクザ路線でヤクザを演じ、独立後は、過去を持つ無骨だが芯の強い寡黙男を演じていた。私生活を表に出すことはほとんどなく、昭和の”最後の映画俳優”とも言われた。

「網走番外地」は当初、三國連太郎が主演に予定されていたが、三國の作品が当時コケたことで、東映のトップの鶴の一声で高倉健に決まったようだ。といっても会社側は「網走番外地」にはあまり興業面で期待していなかったという。ところが蓋を開けたら、映画は大ヒット。石井輝男監督の「網走番外地」シリーズは10本(1965〜1967年)、他の監督による「新網走番外地」は8本(1968〜1972年)と計18本も製作されたのである。

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「網走番外地」は、ヤクザの切った張ったというよりも、”脱獄”映画である。タイトルは網走刑務所を意味するが、映画はアメリカ映画「手錠のままの脱獄」(原題:The Defiant Ones、スタンリー・クレーマー監督、1958)を意識したと言われている。「手錠のままの〜」は、白人と黒人が手錠に繋がれたまま脱獄する話だが、「網走番外地」は、全く反発しあう者同士が手       「手錠のままの脱獄」↑
錠に繋がれたまま、隙を見て脱獄するイメージ 7のだ。

・・・
網走刑務所に二人一組の手錠につながれた新入りの囚人たちがやってきた。そのなかの一組に橘真一(高倉健)と権田権三(南原宏治の二人がいた。貧農の生れの橘は、義父・国造(沢彰謙との仲がうまくいかず家をとびだし、やくざの世界に足を踏みいれ、親分のための傷害事件で懲役3年を言い渡されたのだった。

一方、権田は前科五犯のしたたかものだ。二人が入れられた雑居房には桑原、依田(安部徹の古参囚人に混り初老の阿久田(嵐寛寿郎)がいた。依田は殺人鬼・鬼寅の弟分と称して房内を牛耳っていた。

こんな依田に権田は共鳴し、橘はことごとく反抗した。
そんなある夜、依田と権田がしめしあわせて橘に襲いかかり、乱闘騒ぎが看守に発見されて三人はそれぞれ懲役房に入れられた。そんなとき、妹の手紙が舞いこみ、橘は母・秀子(風見章子が義父・国造の虐待で病床に倒れたことを知った。

橘は国造への怒りを森林伐採の斧にたくして懸命に働いた。そんな橘に、以前は同じみちをたどったことのある保護司・妻木(丹波哲郎)は親身の世話をしてやるのだった。

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       橘の家族の様子などを伝え、橘の仮釈放に尽力する妻木(丹波哲郎)

が、そのころ雑居房では依田、桑原、権田の三人を中心に脱獄計画が進められていた。だが決行寸前、阿久田の裏切りで脱獄計画は崩れ去った。

殺気だつ房内で阿久田は自分の正体をあかした。意外にも阿久田こそ、殺人鬼として恐れられた鬼寅だったのだ。数日後、山奥に作業に出た囚人たちは、護送トラックから飛び降り脱走を計った。

橘も権田に引きずられて路上に叩きつけられた。二人は手錠でつながれたまま雷の中をひた走った。一方、妻木は橘に裏切られた怒りを胸に二人を追った。

汽笛を聞いた二人は線路に手錠の鎖をのせ汽車に鎖を切らせた。
しかし権田は反動で谷間に落ちた。橘はそんな権田を捨てきれず、追ってきた妻木と共に重傷の権田を助けて病院に犬橇(いぬそり)を走らせた(MovieWalker)。

・・・
マイナス20度という極寒の地、網走刑務所にトラックが到着し、次々に手を繋がれた犯罪者が収監される。「冬が越せるかな」という年寄りの受刑者がいたり、監獄の中では、新米の自己紹介が行われ、刑務所の主のような立場の依田(安部徹)が、橘真一(高倉健)に向かって「どこかの一家のものか」と聞いた。橘は「そんなようなもんですが、筋が通らないことだけは大嫌い」と応えた。

依田は、8人殺しの”鬼寅”の子分だと吹聴し、放火などで15年の刑だと自慢。
その中に、ひとり「42番」という老人がいた。老人が「(刑期は)あと21年残っている」というと、まわりからざわめきが起こる。よほどの極悪の罪を背負っているらしい。

イメージ 5脱獄計画を阻止してしまうのが、この老人だった。計画を台無しにされた依田たちは、老人に詰め寄ろうとした時に、老人は、どこからか手に入れたナイフを持っていた。

そして、自分の名を名乗った。

ワシが”鬼寅”だ。こんな年寄りにも、一人くらい冥土に付き合ってもらいましょうか」 嵐寛寿郎の貫禄と迫力!

・・・
高倉健がこの映画では、ひょうきんなところも見せている。
下にぃ、下にぃ〜♪と阿波踊りのようにおどけて見せたり、タレ目の囚人・大槻(田中邦衛)の顔真似をして、”アカンベー”をするように目を吊り下げたりするのだ。

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                 おどけてみせる橘(高倉健)

あと半年で仮釈放の身であった橘は、手錠を繋がれた権田(南原宏治)が、輸送トラックから脱走を図ったため、巻き添えを食った形で逃亡することになった。仮釈放のために尽力していた保護司・妻木(丹波哲郎)の善意にも背くことになり、妻木から「大馬鹿者だ」と追われることになった。
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手錠をいかに切断するか。
なんと、鉄道レールをまたいで、鉄道車両で切断しようとするのだ。

列車を待つ、うつ伏せの囚人二人の緊張感や、トロッコの追撃戦は見ごたえがった。


出演:
橘真一 - 高倉健 (トップクレジット)
保護司・妻木 - 丹波哲郎 (エンドクレジット)
権田権三 - 南原宏治
依田 - 安部徹
阿久田(鬼寅) - 嵐寛寿郎
大槻 - 田中邦衛
橘国造 - 沢彰謙
橘秀子 - 風見章子
パチクリ - 杉義一
囚人 - 潮健児滝島孝二三重街恒二ジョージ吉村
沢本:佐藤晟也
教育課長:関山耕司
冬木部長:菅沼正
担当看守:北山達也
秩父一家の親分:志摩栄
橘道子:宗方奈美

劇場公開:1965年4月18日
製作・配給: 東映
監督:石井輝男東映
公開時の併映:鶴田浩二主演「関東流れ者」。
シネマスコープ、モノクロ92分。

☆☆☆


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の・ようなもの」(1981)を見た(再見)。
映画「の・ようなもの」は、若手落語家の青春を描いた森田芳光(1950年1月25日 - 2011年12月20日)の監督デビュー作。

森田芳光監督は、この作品以降、シリアスなドラマから喜劇、ブラックコメディー、アイドル映画、恋愛映画、ホラー映画、ミステリ映画など幅広いテーマを意欲的に取り扱い、話題作を数多く発表。

特に印象に残る作品としては「家族ゲーム」(1983)「失楽園」(1997)「間宮兄弟」(2006)「武士の家計簿」(2010)などがある。

今年1月には、「の・ようなもの」のその後を描いた「の・ようなもの の・ようなもの」(2016)が公開された。生真面目でさえない若手落語家が、もう一度高座に立つよう兄弟子を説得するために始めたおかしな共同生活のゆくえがつづられているる。

「の・ようなもの」では、1980年頃の東京の下町の時代背景が描かれていて、今見直してみると新たな面白さがあった。風俗(トルコ)嬢を演じる秋吉久美子をはじめ尾藤イサオ(今でもいつまでも若い)、でんでん(髪がふさふさの30代で若い!)、三遊亭楽太郎(現・円楽)、小堺一機ラピッド関根(関根勤)のふたりが”おすぎとピーコ”を連想させるオネェキャラで出演。

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物語の舞台は東京下町(足立区千住界隈)
若手落語家(二ツ目)の志ん魚(しんとと・伊藤克信)は、23歳の誕生日記念に初めてトルコ(ソープランド)へ行く。相手を務めたエリザベス(秋吉久美子)は、実はインテリで落語にあまり興味がなかったが、裏表のない性格の志ん魚と何となくデートを重ね相談相手もする奇妙な関係になる。

ある日、女子高校の落語研究会を指導するはめになった志ん魚は、その中の一人・由美(麻生えりか)を好きになる。エリザベスに相談するものの、どちらの関係も絶ちがたく二股交際を始める志ん魚であった。

由美とのデートの帰り、由美の実家へ立ち寄った志ん魚は両親を紹介され古典落語「二十四孝」を披露する。しかし、由美の父(芹沢博文)から「なってないねぇ。どうやって生活しているの?」と心配され、古今亭志ん朝立川談志と比較された挙句、由美からも「下手」と駄目を押される始末。

失意の志ん魚は家を出るが終電は既に無く、堀切駅から浅草へ向けて歩き出す。深夜の下町を「道中づけ」しながら歩き続け、浅草へ到着したとき夜は明け心配してスクーターで駆けつけた由美が待っていた。

その一方、パッとしなかった志ん魚の一門の先輩・志ん米(尾藤イサオ)が真打ちに昇進することとなり、関係者は沸き立つ。エリザベスは引っ越して新たな道を歩むこととなり、取り残されたような気持ちになった志ん魚は自分の将来や落語界の未来について真剣に考え始めるのだった(Wiki)。

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セリフのやりとり、会話が面白い。
主人公の志ん魚(しんとと・伊藤克信)は、誕生日祝いに、落語仲間がカンパを集めて、その集まったお金で初めてトルコ(ソープランド)に行く事になるが、トルコに行ったら、何を話せばいいのかね」と不安。仲間たちは、「芸能界のことでも話せばいいんじゃないの」と送り出す。

「和風トルコ 歌川」という看板の店に入る志ん魚(しんとと)の前に現れたのは、エリザベス(秋吉久美子)と名乗るトルコ嬢。エリザベスは「生活をにをわせる顔をしている」と志ん魚に言うと「風呂が付いている部屋っていいですね」だった(笑)。あまりにも純朴と思ったのか、「トイレも台所もついてないわよ」だった。

エリザベスは、「また来てね」と志ん魚に言うが、「もう来ない。友達のカンパできたんですから」と志ん魚がいうとエリザベスが店にいる時間帯が書いてある名刺を渡し「遅番、早番、休みの予定」と説明し、「今度ご飯食べに行こう」ということになった。

セリフの面白さ、当時流行った時代背景などが垣間見えて興味深い。
エリザベスが、志ん魚に言うセリフ。「”狼たちの午後”(1976年3月公開)のアル・パシーノ(当時の表記はまだアル・パチーノではない)に似てるわね。アル・パシーノって好き」だった。

志ん魚がエリザベスのマンションを訪ね「いい暮らししてますね」というと、「キャリア・ガールだから。でも東京だから高いわ」というエリザベス。

エリザベスが志ん魚を一流レストランに招待。
メニューが英語で、さっぱりわからないという志ん魚は、エリザベスの注文するものと同じ注文でいいという。「ボジョレとテンダーロイン・ステーキ、レアで。エスカルゴのブルボーに、ミソ・スープ。 あとエスプレッソ」だった。

これを聞いた志ん魚は、「すごいっすね。ジェームズ・ボンドみたいっすよ」「あたし、食べるの好きなの」。「これなんですか」「かたつむり」「でんでん虫ですか」。

”おすぎとピーコ風”の小堺と関根が、若手落語家を食事に誘うのだが、落語家が、明日は「稽古で、その次も稽古があって」というと、「けいこ、けいこって、松坂だって、竹下だって、けいこよ!」も笑わせる。

末広亭の前で、二つ目などの若手が「深夜落語」の呼び込み、客寄せで声をかけている。若い男女のアベック(カップル)が店の前で入ろうか迷っていると、呼び込みのあんちゃんが「ホテルじゃないんだから、恥ずかしがらずに入ってください」だった。

若い女性がひとりで映画館に入って、席はガラ空きなのに男が隣に近づいてきたとい「痴漢かもね」。これを聞いたエリザベスは、「女の子がひとりで映画を見るコツは、通路側に座って、隣の席に荷物を置くのよ」だった。

ちり紙交換”のトラックがやってくるのも今では珍しい。
新聞紙や漫画雑誌の束を持ってくると、トイレット・ペーパー(量によって1個〜3個)と交換してくれるのだ。

でんでんが、付き合っていた女から「男と女の付き合いをやめて、中性の付き合いをしましょうよ」といわれる。「中性ってなんだよ。洗剤じゃないんだぜ」。

二つ目の若手同士の会話。
「落語は会社のように潰れないですかね」というと「潰れないさ。潰れるときは、日本が潰れる時だろうね」だった。

この映画は、落語を目指す若者の青春模様を描いているが、落語を援護射撃するような映画だったのかもしれない。

予告編で雰囲気を(笑)。
 予告編
こちらから:https://youtu.be/n2ILT3n6g-c

「の・ようなもの の・ようなもの」(2016)も見たくなった。


☆☆☆

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松たか子の初主演映画「四月物語」(1998)を見た。
岩井俊二監督作品で、67分という短い映画だが、爽やかな瑞々しい青春映画となっている。

イメージ 3若々しい松たか子がいい〜い!

松たか子は、1996年の「ロングバケーション」1997年の「ラブジェネレーション」のドラマですでに人気を不動にしており、1996年には、史上最年少(19歳)でNHKの「第47回NHK紅白歌合戦」の紅組司会に抜擢されるほどだった。1997年には歌手デビューを果たしている。

ストーリー:
四月、桜が満開の季節。
家族に見送られて、東京・武蔵野にある大学に通うため、北海道・旭川市から上京してきた楡野卯月(にれの・うづき、松たか子)。

慣れない土地で独り暮らしを始める。おとなしい性格の彼女は、ズケズケとモノを言う変わった性格の友人・佐野さえ子(留美やアパートの隣人の北尾照子(藤井かほりなど、個性の強い人々との触れ合いの中で、次第に心を開いていく。

だが、そんな卯月もさえ子に大学の志望動機を聞かれた時だけは、思わず言いよどんでしまった。実は、卯月には人に言えない不純な動機があった。それは、高校時代に憧れていたひとつ上の先輩・山崎(田辺誠一と同じ大学に通いたかったからだ。

山崎を追って上京してきた卯月は、彼がバイトをしている「武蔵野堂」という本屋に頻繁に通うようになる。ある日、山崎はついに彼女のことを想い出してくれた。卯月は、都会の片隅で愛の奇跡を信じるのであった。

・・・
映画の中で、”劇中劇”として「生きていた信長」という時代劇映画を卯月は、数人の観客の中で見る。映画は、本能寺で殺されたのは信長ではなく家康だったという設定の映画だった。劇中劇で侍を演じていたのは江口洋介伊武雅刀など。

卯月の座っていた座席の近くにいたサラリーマン風の観客(光石研)が、空き缶を下に落としたふりをして、徐々に卯月に近づいてきたので、カバー付きの本を席に置いて、その場を逃げ出してしまう。自転車で逃げる卯月を追いかけてくる男は、忘れ物だと言って、自転車の前かごに本を投げ入れるが、卯月はひたすら自転車をこいで立ち去った。都会は変な人間(痴漢など)がいると思ったことだろう。

それは1年前。卯月が高校3年に進級した時に、片思いだった山崎先輩が東京に行ってしまったのだった。先輩は、伝え聞くところ「武蔵野大学」という大学に入ったらしい。どうやら有名大学らしい。

卯月も、国木田独歩の「武蔵野」という本を読んで、その響きに惹かれたこともあって、武蔵野大学(映画の公開時は、架空の大学名で、のちに同名大学ができた)を受け、合格した。

卯月のナレーション:「担任の森山先生は、出来の悪い私が大学に受かったのは
”奇跡”だというが、これは”愛の奇跡”と呼びたい」と期待を膨らませる卯月だった。

映画の冒頭、卯月を見送る両親役に松本幸四郎藤間紀子 兄の市川染五郎姉の松本紀保など、実の家族が特別出演している。ほかに、塩見三省津田寛治など。

イメージ 2初めて一人暮らしをする、どこにでもいそうな女子大生を、自然に演じる松たか子の演技が光っている。特に事件もおこらないが、クラブ活動か、学生同士の自己紹介のシーンなどがリアル。

中には「帰国子女です。」という女子もいて「英語はできるの?」と英語で話しかけてきた男が、デートを申し込んできたが、「タイプではない」と流暢なネイティブ英語で返されるシーンもいい。

卯月の自己紹介の順番になると「北海道旭川の出身です。性格は明るいほうだと思います。趣味はレコード鑑賞です」だった。のちに「釣りサークル」に誘われることになる佐野さえ子は「なんで、この大学に来たの?」としつこく聞いてきたが、「うーん」と返答に窮してしまう卯月。確かに楡野卯月という名前は覚えにくいが、「名前はなんだっけ」と何度も聞いてくる佐野さえ子は、かなり変人だった。

引越し業者が、アパートに荷物を運び込むシーンで、卯月も手伝いたく、何か自分でも手伝えないものかとうずうずするするのだが、なかなかタイミングが合わず、体をよけたりする動きが面白い。作業員からみれば「手伝わなくてもいいから邪魔をしないでくれ」と言いたくなるだろう(笑)。

狭い部屋に荷物がいっぱいになり、運送作業員の一人が、ベッドがあるのだから、布団2枚はいらないでしょう、と勝手に発言。すると、ほかの作業員は「お客さんが来た時など必要でしょう」というと、別の作業員は「いらない、いらない。俺の場合はいらなかった」というのだ。お前の事など誰も聞いていない(爆)。

気楽に見られて、後味のいい映画だった。松たか子のための映画と言える。
Gyaoの「昭和TV」で配信中。

岩井俊二監督作品と言えば「Love Letter」のほか「リリィ・シュシュのすべて」「花とアリス」などが有名だが、現在、最新作「リップヴァンウインクルの花嫁」(2016)が公開中。

☆☆☆

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映画「櫻の園」(1990)

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櫻の園」(1990)をようやく見た。
吉田秋生の同名マンガを、1990年に中島ひろ子主演で映画化した「櫻の園」は、日本アカデミー賞優秀賞をはじめ21もの映画賞を受賞した名作

劇中に特に大きなドラマがあるわけではないが、女子校の演劇部を舞台に、チェーホフの戯曲「櫻の園」上演に取り組む高校生の青春、葛藤、表情を見事に切り取った中原俊監督の手腕は、各方面から高い評価を受けた。

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私立櫻華学園高校演劇部。創立記念日恒例のチェーホフの“桜の園”上演のある朝、しっかり者の部長・志水由布子(中島ひろ子)はいきなりパーマをかけてきた。

さらに、前日、部員の杉山紀子(つみきみほがタバコを吸って補導されたというニュースに動揺する部員たち・・・。女子校生たちのリアルな会話や、うわさ話、人間関係などが生き生きと描かれていて、驚嘆させられる。

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タイトルはチェーホフの「櫻の園」からとっているが、短大までの女子一貫教育の女子高を舞台に、演劇部員たちが創立記念日に毎年上演される「櫻の園」の上演をめぐって日常生活がみずみずしく描かれている。登場人物の女子校生たちが、まるでアドリブで自然体でしゃべっているような錯覚すら覚える。脚本がよくできているということかもしれない。

イメージ 3杉山紀子が、土曜日の夜、他の女子高の生徒たちと喫茶店でタバコを吸っていたところを警察に見つかり、楯突いたということが校内で大問題となった。場合によっては、「櫻の園」の上演は中止か、といった騒動の中で、里見先生の涙の訴えなどでなんとか上演は中止にならずに済んだのだが・・・。

・・・
女子生徒などの登場人物が多く、名前と顔、関係性などを1回だけで頭にいれるのは大変だが、演劇部では、緊急事態時の連絡網があって、”杉山事件”も前日に全員に伝わっていたはずだが、舞台監督のかおりは外泊していたり、噂が噂となって・・・。

女子生徒が、教師たちの話をしている時に「松村先生」「有田先生」と先生と呼ぶのに対して、「坂口」先生の場合だけ、「坂口」と誰もが呼び捨て。映画には、坂口はわずかなカットだけ登場するが、その嫌われぶりが分かる。演劇部の担当の里見先生は、坂口の教え子だったということで、里見先生を先生扱いしていないこともわかってくる。

この映画の物語としては、チェーホフの「櫻の園」を演ずる演劇部の、朝から昼頃までのごく短い時間を描いた作品だというのが驚きだ。とくに驚くような出来事があるわけではない。それでいながら、いつの間にか引き込まれてしまうのは中原俊監督の巧さか。

女子高生の会話のタッチが、小気味いい。普段の会話と、舞台を演じるための芝居がかったセリフの組み合わせがうまい。女子高生たちのはしゃぐ動き、何気ない陽気な動きをうまく取り込んでいる。映画としての格式を保ち、女子高生のリアリティを捉えた映画としてすばらしい。

例えば、ある生徒が「清水先生は、(恐れをなして)ばっくれたんじゃないの」(ばっくれる=知らばっくれて姿を消す?)と言うセリフがあり、清水先生が、それを聞いていて、立ちさろうとすると、生徒が「どこへ行くんですか?」と聞くと、「ちょっとばっくれてくる」というのだ。なかなか当意即妙のセリフだ。

また、頭をパーマにして教師から注意を受ける清水は「演劇が中止になるよう”暴動”を起こしたい」と言っていたが、結局、劇は実施されることになり、同級生から「清水さん、”暴動”できなかったですね。残念?」と聞くと、「残念」という返事だった。

エンドロールで登場人物と名前がでてくるが、あの名前があの女優だ、というようには結びつかない。中島ひろ子くらいは知っているが、ほとんどが無名の役者のようだ。

見た目による周りの判断と本人の悩みのギャップなども描かれている。
背が高く、さっぱりしているとみられる倉田は、もうすこし(背も低く)女らしく生まれてきたかったと思っていた。また、倉田に想いを寄せる清水は、しっかりもののように見られるのが嫌だった、というふうに。

この倉田と清水がツーショットでカメラをで写真を撮るシーンは、だんだんと脚立に設置されたカメラに近づいてきて、何度もリモコン・シャッターを押すのだが、二人がだんだん顔を近づけていくシーンは、ドキっとさせられる。

もう一度見てもいいような映画だ。
ひろちゃんは数年前に記事にしているが、その時点で7回見たというが、その都度引きこまれると書いていた。

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岸恵子「高崎映画祭」特別賞を受賞する要因の一つとなった「ここに泉あり」(1955)を見た。この映画は日本でも3番目に古いと言われる群馬交響楽団(地方楽団では最古)の誕生と楽器・音楽の持つ力を描いている。モノクロスタンダード、150分。

高崎の市民オーケストラが、群馬交響楽団へと成長する草創期の実話を舞台としたヒューマンドラマ。作曲家の山田耕筰、ピアニストの室井摩邪子がそれぞれ本人役で特別出演している。第29回キネマ旬報ベスト・テン第5位。

監督は今井正。岸恵子、岡田英次、小林桂樹のほか、加藤大介、東野英治郎など名だたる俳優が出演。低予算映画で「撮影は苦労したが思い出深い」と岸恵子は3月27日の高崎映画祭授賞式で撮影当時のエピソードなども交えて語っていた。

・・・
人心のすさみきった終戦直後、群馬県高崎市に生れた市民フィルハーモニーは、働く人や小学生に美しい音楽を与えようとしたがマネージャー井田(小林桂樹)の努力にも拘らず、楽団員の生活も成りたたない有様だった。

楽団で唯一人の女性佐川かの子(岸恵子)は、音楽学校を出たばかりのピアニストだが、田舎では腕が落ちるのを悩んでいた。新しく東京から参加したヴァイオリンの速水(岡田英次)は彼女を励ますが、彼自身も同じ苦しみを味っていた。

生活の苦しさに脱退する者もあったが、深山の奥の小学生や鉱山やハンセン病療養所などに出かけて、音楽を喜ぶ人々を見ると、一切の労苦も忘れた。

速水とかの子は結ばれて結婚したが生活は苦しく技術への不安も大きくなるばかりだ。軍楽隊上りの工藤や丸屋は、仲間の楽器を質に入れたり、チンドン屋になったりしたが、それでも頑張っていた。

井田は東京から山田耕筰指揮の交響楽団とピアニスト室井摩邪子を招いて合同大演奏会を開いた。余りに大きな腕の違いに一同は落胆したが、それから二年後、山田氏は旅の途中で彼等の練習所へ立寄った。

生活と闘いながら彼等は立派な楽団に成長していた。かの子は赤ん坊を背に、皆と一緒に、野を越え山を越えて、人々の心に美しい音楽を与えるため歩きつづけた
(MovieWalker)

・・・
戦後まもない時代に、ピアノや、チェロ、バイオリンなど見たこともない山村の子供たちが初めて、楽団に触れ、楽器の紹介に目を白黒させて驚く様子がいい。今では考えられないが、楽団の音楽を聴いて、また山奥の分校に戻っていく姿を見送る楽団員の「この子らはもう二度と生の楽曲を聴くことはないだろう」という時代だった。

イメージ 3小林桂樹演じる井田が、子供たちに楽器を説明するシーンが印象的だ。

「山にもいろいろ美しい花があるように、音も様々な美しい音を持っていますよ。これがバイオリンです。」と紹介しバイオリンの演奏の後、「バイオリンのお兄さんと言えるのがビオラです。」といった具合。

「お兄さんの次はチェロ、またはセロというものです。セロは、男らしく、力強い音を出しますね。」 「次は、おじいちゃんかな。コントラバスです。もっぱら低音をあつかいます」。「ホルンです」というと、子供たちからは、”でんでん虫”みたいだという声。「自然音を奏で、管弦楽ではなくてはならない楽器です」。「これがトランペット。そしてピアノは楽器の王様です」。

楽団の楽器の紹介が終わると、誰でも知ってる曲を全員で歌おう、ということになり、「赤とんぼ」を全員で合唱した。

・・・
東京交響管弦楽団との合同演奏があり、ピアニストの演奏が華麗で抜群であるのを目の当たりにした時、同じピアノを担当するかの子(岸恵子)は、驚愕し自信を失うが、数年後には、かの子のピアノ演奏の上達ぶりは目を見張るものがあった。

イメージ 4・・・
数年後、東京交響楽団の指揮者・山田耕筰が、軽井沢に出かけた折、列車の案内が「次は高崎」というアナウンスがあったとき、同行のスタッフに「あの高崎の楽団はどうしただろうか」「潰れたと聞いています」「降りてみようか」「どこへですか?」といった会話の後に、3年前に合同演奏会を行った市民交響楽団は存続していたことを知る。その演奏光景を見て、山田耕筰は自ら指揮をとり、その成長ぶりに驚くのだった。

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ラストは、楽団が山の彼方に向かって歩いていく。
その光景は、「サウンド・オブ・ミュージック」の”すべての山を上れ”のように団員たちはキラキラと輝いていた。

イメージ 5岸恵子は、「ここに泉あり」の撮影時は21歳だったが、20歳の時の1953年から1954年にかけて映画「君の名は」3部作が大ヒットして以降、松竹の看板女優として絶大な人気を誇った。一方、「ここに泉あり」の撮影の年の1954年には有馬稲子久我美子とともに「文芸プロダクションにんじんくらぶ」を設立した。

「君の名は」はラジオドラマでも放送され、岸恵子が演じる真知子の”ほっかぶり”のようなマフラーは、”真知子巻き”として一世を風靡どころか、全国の女性が真似をしたといわれている。「君の名は」が放送される時間帯には、町の銭湯はガラガラになり、お風呂屋さんもお手上げだったようだ。1960年代半ばに「君の名は」はリメイクのテレビドラマとして放送されたが、これは見ていたが、すれ違いメロドラマに泣かされた記憶がある。

この8月には「君の名は」の新作アニメが公開される。新海誠監督の最新作「君の名は。」で、神木隆之介&上白石萌音が声優に挑戦する。新しいファンが増大しそうだ。上白石萌音といえば「舞妓はレディ」で新人賞を受賞したが、ようやく始動、これからも注目されることになりそうだ。

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