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第88回アカデミー賞でブリー・ラーソンが主演女優賞に輝いた話題作「ルーム」(原題:Room, 2015)を見た。実話に基づく映画だという。
小さな「部屋」に閉じ込められた母親と小さな息子の脱出劇のようなサスペンスかと思ったら違った。映画が始まって、早い時間に「部屋」から出られてしまい、やや肩透かしかと思ったら、物語の主題はむしろ、現実世界に戻ってからにあった。母と子、家族の葛藤などを描いたヒューマン・ドラマ。 ・・・
閉じ込められた”部屋”(Room)で暮らす、ママ(ブリー・ラーソン)とジャック(ジェイコブ・トレンブレイ)。2人にとってはこの”部屋”が全てだった。5歳の誕生日を迎えたジャックに、ママは”本当の世界”を見せるため、脱出計画を図る。5歳の子供は、今まで見てきた世界と、現実の世界の違いを知ることになる・・・。
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最低限の設備だけが用意された小さな部屋で暮らすジョイ(ブリー・ラーソン)と息子ジャック(ジェイコブ・トレンブレイ)。ジョイは7年前の17歳のときに監禁され、それから一度もこの部屋から出たことがなかったのだ。現実の世界を知らないジャックに、色々と教えるジョイ。
ジョイを誘拐した男は夜になると食料を持って部屋にやってくる。男との間に生まれたジャックは5歳になっていた。そんな絶望的な状況の中でもジョイは生きる気力を失わずに耐えてきた。
そして、ジョイはある決断をする。ジャックを部屋の外に出すことだった。熱いタオルで額を熱くし、熱があり病気だとして、男に病院に運んでもらおうと試みるが失敗。
ジョイは次の手を考える。病気で死んだふりをして、カーペットでくるんで、男に車まで、車が途中で止まったところで、カーペットをくるくると転がって、抜け出してジャンプして逃げる作戦だ。その際「助けて」と書いたメモをポケットに入れさせて、外の人に見せるようにジャックに教える。
「車が止まったらジャンプして走るのよ」と教えるジョイ
ジャックが死んだと泣きじゃくるふりをして、男にカーペットにくるまれたジャックをトラックで運ばせた。車から覗き見える世界は広かった。
青々と無限に広がる青い空!車が止まったところで、スキを見てジャックは逃げ出す。ジャックが生きていたことに戸惑う男は追いかけるが、通行人に咎められ、自分だけ車で逃げてしまう。
警察官に保護されるジャック。(このあたりで、あれ、もう”脱出”できたのか、物語はどう進むのか…と疑問が残ったが)この映画は、ジョイとジャックを取り巻く家族との微妙な空気が漂う関係などが描かれていく。
7年間の空白が生んだズレも垣間見えて来る。ジョイの母親ナンシー(ジョアン・アレン)は再婚していた。離婚したジョイの父親の複雑な心境。再婚した相手の男とジャックとの関係など。
ジャックは、今まで住んでいた「部屋」をもう一度見たいといい、警察官立会いのもと、ジョイと見に行く。そこには、それまであった冷蔵庫などの備品は取り除かれ、番号と品名だけが残されていた。
ジャックは「バイバイ、冷蔵庫」「バイバイ、○○」と一つ一つに別れを告げ、母親も小さく「バイ」と言葉を発した。そういえば映画の冒頭の方で、母親からジャックは、現実にあるものと、空想のものなどについて教えられていた。
映画の冒頭で、部屋にあるもののひとつひとつに「おはよう、冷蔵庫」「おはよう、XX」と語りかけていた。ラストシーンは、それらのもの(狭い閉ざされた空間にあるもの)に対する決別の言葉でもあった。
部屋から見えた外の世界は「天窓」から見える光の空間だけだった。
ジャックの一言が印象的だ。
「この”部屋”は縮んでしまったの?」
今まで世界の全てだと思っていた「部屋」は、現実の青々とした空を見ると、なんとちっぽけで狭い空間だったことか。ジャックを演じた子役のジェイコブ・トレンブレイが名子役ぶりを見せる。髪をのばしっぱなしで、少女のように見える。髪をカットしないのは、髪にパワーがあるからとそのままにしておく。
警察官に保護された時に名前を聞かれて「ジャック」と答えると「ほかに名前はないの?」と聞き返される。外見で女の子と思っていたからだろう。
バアバ(祖母)から髪を切ったら・・・と言われていたジャックが、ついに髪を切る決断をする。それは、入院した母親ジョイにパワーが伝わると考えてのことだった。
ジャックが初めて本物の犬に触れるシーンはなかなかいい。
主人公ジョイの母親(ジャックから見ると祖母:ばあば)を演じているジョアン・アレンは、「ザ・コンテンダー」で主演女優賞を1度、「ニクソン」と「クルーシブル」で助演女優賞を2度の計3度ノミネートされている。 ほかには「きみに読む物語」「ボーン・スプレマシー」「HACHI 約束の犬」などに出演している。
■キャスト
出演 : ブリー・ラーソン、ジェイコブ・トレンブレイ、ジョアン・アレン、ウィリアム・H・メイシー
■スタッフ
監督 : レニー・アブラハムソン
☆☆☆
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