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先日、同じロッテンブルグ営林専門大学に通うIshii君が日本での実習先を探しているという件で、山梨県の北都留森林組合と連絡を取り合っていたら、中田さんから「持続可能な森林経営研究会30の提言」 http://www.sfmw.net/proposal/proposal130-091214.pdf というファイルを送っていただきました。 日本の森林・林業のそれぞれの分野の専門家の方々がまとめられているようですが、日本が今問題にしている点は、すべてドイツではクリアーして進行している内容ばかりでした。 例えば、提言1の森林境界確定は、ドイツでは州森林局が民有林についても行っています。今のドイツの問題は「Flurbereinigungsgesetz(林地耕地整理法)」を使って、1ha以下に細かく細分されてしまって林道整備や育林・伐採などの施業が十分に行えない林地を、等価交換して、いかに効果的に再編するか、について取り組んでいます。 提言2のIT化による森林植生の把握は、私は順序が逆だと思います。まずはフィールドワークであり、そのデータの整理・分析にGISが有効になるのであって、IT化はあくまでも、フィールドワークの補助にしかならないと思います。その前に、民有林の森林現況調査ができないのは「森林法」が不備なためだと思います。 提言3の「森林施業計画」については、この、そもそもの大事な目的は「皆伐」や「違法な林地の転換」を防ぐことです。法律は何を規制すべきか、「施業計画」は何のために必要なのかが、十分認識されていない気がします。 途中省略して、 提言6に皆伐規制がありました。この提言では、保安林は5haまで、一般の民有林は10haまでに規制するというものでした。 ところが、この提言は、急峻な日本の地形・不利な労働条件や林道・作業道未整備、林野事業の赤字などの諸問題から来る妥協の産物になっています。 ドイツでは10haもの皆伐は、子供たちへの森林教育上でも決して容認されるものではありません。 そこで、皆伐について。
皆伐(Kahschlag)は天然萌芽更新(Naturverjüngung)との絡みで、ドイツでは1920年代から研究が進められてきています。
Möller(1920)は、1.森林生態系の保全 2.天然萌芽更新 3.毎年の継続的な木材収穫 4.価値の高い木への成長、林業の高い収益性 などの観点から、森を「生きた有機的組織」と考え、高い生産性を上げるためには「健全」でなければならないと考えました。そして、皆伐はその有機的組織の連続性の切断につながるとし、そこから「Dauerwald(持続林)」や「Struktur und Mischung(階層構造性と混交)」という概念を発展させてきました。 そののち、Heyder(1980)の「Plenterartige Dauerwald(選択的な持続林)」、そして、「Naturliche Waldwirtschaft(自然な営林)」が「 Künstliche Waldwirtscaft(人工的な営林)」との対比で発展してきています。 また、 Weck(1947)はその、「Wachstumsdynamik(成長動向)」の研究から、a.皆伐跡地の植林された松(Kiefer)と b.択伐林の松の 1.直径の成長曲線 2.樹高の成長曲線 の研究成果を発表しました。 1.と 2.ともに a.皆伐跡地の松は 初めの60年くらいまでは急激な成長を示しますが、直径では約120年でプラトーを迎えて成長が著しく低下し、逆に60年以後の急激な成長を示す b.択伐林の松は150年後には、直径では2倍近くにまで、樹高では1.5倍くらいまで成長する事をグラフを示して発表しています。
それ以後の階層構造をもった混交林への考え方の発展については、いろんな専門書でも紹介されているはずです。
(引用:「Strukturierte Mischwälder」Marie-Stella Duchiron <Parey Buchverlag Berlin2000>![]() 日本では相変わらず皆伐で、雨水が大量に表層を流れて表土は流出し、土砂災害を誘発し、砂防ダムやコンクリートの堰堤の建設につながって、「生きた有機的組織」などというものからは程遠い、「死んだ森づくり」を税金を投入して営々と続けてしまってます。 ついでに一言。日本では台風や大雨による山のがけ崩れ、土砂崩れの災害現場は、遠くから役場の人が観察して、すぐ、コンクリートの吹き付けや金網を張る作業を急いで土建会社に発注して工事に取り掛かります。が、すぐに土木工事をしないで、崩れるべくして崩れた地質的理由や表層水・地下水の状況、地表の植生の原因性や人為性などを、たまにはじっくり長期的に観察してみてはいかがでしょうか?自然の森の復元過程が詳細に長期的に観察できるいい機会だと思うのですが? 大学も休みに入り、今週初めは Fasching謝肉祭カーニバルでドイツ中、仮装した人がうろうろしてました。私はアムステルダムへ旅行したのですが、最近はドイツ鉄道は遅れるのが当たり前で、乗り継ぎの特急ICEに間に合わず、乗り継ぎ乗り継ぎでケルンでまた、2時間待ちになりました。で、駅前のケルン大聖堂広場では仮装行列大会やってました。そのあと、Düsseldorfを過ぎて、列車のシステム故障でバスに乗り換えさせられ1時間半かけてオランダまでバス旅行になってしまいました。 ドイツではコペンハーゲンCOP15の鳩山総理の90年比温暖化ガス25%削減案なんて全く、無視で何の報道もありませんでしたが、トヨタのアクセル不具合のリコール問題は、まるで親の敵のように毎日毎日大々的に報道してました。国を挙げてのネガティブキャンペーンです。ドイツ鉄道のICEの車輪のひび割れなんか、しょっちゅうなのに!相手をたたいて自分有利に持っていく。それがドイツなんですね! それじゃ、日本はどうするべきか?おんなじようなことをやったら、日本人の心まで、つまらない西欧化になりますしね!日本の文化や心を守ることは、今の消費社会が行き詰ったときにきっと大きな力と魅力になると思いますが、その前に日本の森林が荒廃しきって林業が潰れてしまっては、日本文化は守れませんしね!原木市場を守ったら、林業がつぶれる。難しい問題です。ムムム・・・。 今日はここまで。
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