|
コメントに質問があって近自然型造林概念が途切れていたので、今日は続き。
まず、ドイツの林業事業形態(Betriebsart)別の造林概念の違いを整理します。
[A]Holzplantage ・・・日本でやっている造林事業の形態はこれに相当します。「木材プランテーション」です。
・農業のようなもの。
・単相(単一樹種、原生種のみで構成されている)、極端な場合遺伝的にも限定された1樹種のみ。
・林地の土壌を耕起する。大型機械を投入。
・生物起源の森林被害要因(キノコ、木食い虫)に対して薬剤による予防的な処置をとる。
・養分や窒素分の流亡を補うために、施肥。
・短い生産期間(<25年)
・機械的に、皆伐による収穫。
これに対して
[B]Naturnaherwirtschaftswald・・・近自然型営林
・多くの樹種、多様な原生種、遺伝的にも多様性を持つ。
・林地の土壌はほとんど、耕起しない。大型機械投入は極めてまれ。
・生物起源の被害要因に対して、自己回復が難しい場合のみ薬剤の投入。
・この形態では、土壌の養分、腐葉土の流亡はそもそも、ない!酸性土壌に対しては土壌の健全性の維持のためにのみ、施肥。
・長い生産期間(>80年)
・可能な限り、個々の樹木の生長に応じて収穫。
ドイツの上級森林官(Revier-Leiter)を林野庁の事業で日本の5か所で招いて、林道造成や造林手法を導入しようとしていますが、彼ら森林官が日本の森を見たら、「Unglaublich!Das ist echte Holzplantage!」と驚愕すると思います。
さて、次は 樹木の等級(Baumklasse) についての概念を紹介します。
林分を構成する樹木の等級付けですが、基本的には
・森林社会内での成長力による階層
・樹冠やシャフトの性質
・生命力、健康状態
が、等級付けの基本要素になります。
DENGLER ,Waldbau Ⅱ(1990) S.182 の "Die KRAFT'schen Baumklassen"の図を引用しながら、図中の樹木の下の数字と対応させて説明を加えます。
1.Vorherrschend (極めて優勢) ・・・特別に、例外的に元気な、全方位によく発達した樹冠を広げる木
2.Herrschend (優勢) ・・・よく発達した樹冠を持つ、主要林分となる木
3.Mitherrschend (中庸) ・・・周囲の樹木に少し制限された、発達の不十分な樹冠を持つ木であるが、それでも普通の樹冠ともいえる。
4.Beherrschend (被圧) ・・・(a)樹冠の成長が妨げられ、狭められていて、上方にのみ隙間がある、 か、(b)頂芽のみ成長可能な状態。
5.Unterständig (被覆) ・・・完全に周囲の樹木に、先に成長され、上方を覆われている木。
古くは、国際営林研究機関連盟の次のような樹木等級が使われていた。(JUFRO,1956)
A、森林社会階層 Gesellschaftliche Stellung
a. 高さ等級 ・・・100=上層 、200=中層 、300=下層
b. 活性度 ・・・10=生い茂った 、20=普通 、30=貧弱
c.発達傾向 ・・・1=突き抜けた 、2=周囲と均等 、3=埋没
B,造林的等級 Waldbauliche Baumklasse
a,価値等級 ・・・400=極上 、500=有用 、600=損傷
b.シャフト品質 ・・・40=高価値(材積の50%が) 、50=普通(材積の50%) 、60=損傷(普通材部が50%以下)
c,樹冠等級 ・・・4=樹高の1/2以上の長さ 、5=1/4 から1/2 、6=1/4以下
次回は、間伐の概念図 や 伐採の種類 を紹介します。
8月の20日から29日まで、久し振りにチョッと、ドイツに戻ります。航空券を買ったら、何故か翌日、ラインラントパルツ州森林エコロジー営林研究所の Thomas からメールが入ってました。フィアンセのニーナさんがニュージーランドでDozentin (Doktor-Arbeit)をやっていてさみしそうで、本人も10月にニュージーランドに移る準備をしているようです。彼は森林土壌学のDr.で、ドイツ、フランス、イギリスの気候変動会議のコーディネートもやっています。顔も広いから仕事も見つかるでしょ!
今日はここまで。
|
全体表示
[ リスト ]



