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 ドイツは、連邦共和国(die Bundesrepublik Deutschland)で、各州(Länder)がそれぞれ主権を持ち、独自の州法を制定しています。森林法の場合,ドイツ国家の法律(Ober Gesetz(最上位の法律))として、「ドイツ森林法(Bundes Wald Gesetz)」があり、その下に各州の法律(unter Gesetz(下位の法律))として、「各州森林法(Landes Wald Gesetz)」が制定されています。

 今後、日本の「地域主権(地方分権)」が進むと、必然的に、ドイツの仕組みと同じ形をとることになります。 (ドイツには地域主権、地方分権というドイツ語がありません。それが当たり前だからです。)

 この地域主権の場合、国家の法律は、国全体の方向性を示し、かつ、各州がその州法の中で規定すべき事項を指示する、大まかなものになります。州法は国法が指示する事項を詳細に規定しています。さらに各州の行政府は州法に沿った具体的な法令を制定しています。州法以下は、その内容に曖昧さを一切排除し、行政あるいは官僚は対立する利害の調整役としてのみ、その機能、役目を発揮するように規定されています。(分かり易く言えば、予算を握った官僚がその将来の天下り先においしい事業計画をつけるようなことはできないということです。)

 日本に「地域主権」が実現されれば、まさに、今後の日本の中央政府(霞が関)の官僚には必然的に天下り先はなくなるということです。さらに、道・州法をドイツように、すべて目に見える形の詳細な内容にしてしまえば、法の内容に沿って、日々新たに生じる課題を把握し、調整する実務的なことが地方官僚の仕事になります。新たな政策・新法の策定などはあくまでも議会、政治家の仕事です。


 で、「森林法」について、です。

 何はさておき、法律の冒頭に示される「法律の目的」が、その法律のその後に続く内容を支配しますから、最も大事なところであり、その後に続くすべての内容を象徴するように簡潔に述べなければなりません。


〜〜〜まず、日本の「森林法」
  第一章 総則

 (この法律の目的)
第一条 この法律は、森林計画、保安林その他の森林に関する基本的事項を定めて、森林の保続培養と森林生産力の増進とを図り、もって国土の保全と国民経済の発展とに資することを目的とする。

〜〜〜つづいて、「森林・林業基本法」
  第一章 総則
 (目的)
第一条 この法律は、森林及び林業に関する施策について、基本理念及びその実現を図るのに基本となる事項を定め、並びに国及び地方公共団体の責務等を明らかにすることにより、森林及び林業に関する施策を総合的かつ計画的に推進し、もって国民生活の安定向上及び国民経済の健全な発展を図ることを目的とする。

〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜
 現在の日本の「森林法」はこれがすべてです。文章の構造を噛み砕いて解釈すると

・・・この法律の第二条以下に「森林計画」「保安林」「その他(その他ですから、その他程度ということ)」の基本事項を定めなさい。それでもって、培養、増進させます。そのことで発展することを目指します。・・・

と、なります。 「森林・林業基本法」も同じ文章の構造です。

・・・施策について、基本理念、基本事項を定め、責務を明らかにしなさい。それによって推進します。そのことで発展することを目指します。・・・


現在の「森林法」には、下位の法律がありません。(自治体で条例を定めることは可能ですが。)
したがって、命令の内容は「森林計画」「保安林」「その他」について、命令の対象は「農林水産大臣」「都道府県知事」「市町村の長」であり、同じような内容がつらつらと繰り返し登場するだけです。

下位の詳細な法律もなく、これ自体、具体性もない法律です。



 何を言いたいかというと、・・・ようするに、何をするのか、国民の代表の国会議員もわからない。だから、予算を握った中央官庁の官僚が、フリーハンドで、全国一律に政策を作って、おろし、何をするのかわからないから、地方は中央にお伺いを立てる、官僚支配のシステムができあがった訳です。

 さらに、具体性がないから、官僚が法を独自に解釈して、自分の都合にあった美味しい政策にできるわけです。

 ( 下位(道州)の詳細な法律がないこと )これが腐敗と無策の元凶です。


 そう言われても、日本の法律しか見た事がなければ、何がどうなったら、どこがどう変わるのか、さっぱりわかりませんよね!


〜〜〜そこで、ドイツの国の「森林法(Bundes-wald-gesetz)」

<Gesetz zur Erhaltung des Waldes und zur Förderung der Forstwirtschaft>(1975)
<  森林の維持 と 林業の支援 のための法律   >(二〇〇六年改訂)

〜〜〜(これが正式名称です。まず、そもそも法律の名前に具体性があります。)

  第一章 総則

第一節 法律の目的
 この法律の目的は特に、次に示される、
1.森林を、その経済的な利用(利用の機能)のために、そして、森林の環境に対する意味、特に、自然の状態の持続的なその効力、気候、保水力、空気の浄化力、豊かな土壌、景観、農業基盤、そして、市民の保養(保護と保養の機能)に対するその意味を保ち、必要な場合にはよりゆたかにし、そして、その合法的な管理を持続的に確実にすること、
2.林業の支援、そして、
3.一般市民と森林所有者の間の利害を調整すること、にある。

〜〜〜さらに、その下位にある、たとえば、< Landeswaldgesetz >「ラインラントパルツ州森林法」

  第一章 総則

第一節 法律の目的
(1)この法律の目的は、
1.森林の効用を持続的に保ち、保護し、必要な場合はより豊かにし、かつ、営林によって涵養、発展させるためである;森林の効用とは、管理された利用、環境への貢献、特に、自然状態、気候、保水力、空気の浄化、土壌の豊かさ、遺伝子資源、景観、さらに、市民の保養・治癒回復への貢献などへ、持続的にその効力を発揮することである;その考えは自然の側に立った森林の管理であり、
2.森林所有者、営林・森林研究は、(1)1.の目的の実現のために支援され、
3.一般市民と森林所有者の間の利害を調整することにある。

(2)州のすべての行政と公的機関はこの法律の目的の実現を、その権限の枠内で支援しなければならない。

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 極めて明確です。官僚、行政の役割は何であるか、何を目的としているのか、そのために何をしなければいけないのか、が!

 スーパー林道など作れません。民有林も一般市民に開放します。利害の調整として、民有林に手厚い補助がなされます。地元の森の役割、林業支援の方策を調査研究しなければなりません。そのためには、研究機関が必要だし、森の効用を保つためには、森林官の育成のための教育システムも必要です。

 今までのブログの中で、いろんなことを紹介してきましたが、その背景はドイツの法律の中にあるのです。

 ブログの訪問者も少ないので、今後このブログ、どーしよーかなー、と考えてしまいます。
でも、実は、森林の再生や日本の林業の復活はそれだけには留まらないのです。例えば、地震にも実は強い日本古来の「伝統構法」という素晴らしい建築技術の継承は、古民家を含め、日本の大切な人や技術、文化を守り育てていくという観点で大変重要です。でもそれは、建築の世界だけでなんとかなるものではありません。林業や地方が再び活性化することも必要です。失ってしまった大切なもの、日本古来の価値観、例えば、物を大切にするとか、地元の気候、季節に合った暮らしをするとか、家族や地域社会が助け合うとか、をもう一度思い出して、見直してみる、お金だけじゃないんだということに気づくことも必要です。

 いろんなことを考えています。日本に戻ることも含めて。今日はここまで。 

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