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 日本の「森林法」では
第一章 総則
  (定義)
第二条 この法律において「森林」とは、左に揚げるものをいう。但し、主として農地又は住宅地若しくはこれに準ずる土地として使用される土地及びこれらの上にある立木竹を除く。
一 木竹が集団で生育している土地及びその土地の上にある立木竹
二 前号の土地の他、木竹の集団的な生育に供される土地
2 この法律において「森林所有者」とは、権原に基き森林の土地の上に木竹を所有し、及び育成することができる者をいう。
3 この法律において「国有林」とは、国が森林所有者である森林及び国有林野の経営管理に関する法律第十条第一号に規定する分収林である森林をいい、「民有林」とは、国有林以外の森林をいう。
・・・

第二章 森林計画等
  (全国森林計画)
第四条 農林水産大臣は・・・・全国森林計画をたてなければならない。
・・
  (地域森林計画)
第五条 都道府県知事は・・・・地域森林計画を立てなければならない。
・・
第二章の二 営林の助長及び監督
・・
第三節 森林施業計画
第十一条 森林所有者等は、単独で又は共同して、これを一体として・・・・・森林施業計画を作成し、・・・・・認定を求めることができる。

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 第二条はたった10行ほどの文章で、実に不鮮明な文章になっている。日本の法律の、お粗末で、不明確で、不親切な典型例だ。
 
 第二章は二度手間になっているだけだ。「全国森林計画」は、ただ、画一的、中央集権的発想でしかなく、官僚の上意下達のシステム作りの意図しか伝わらない。 森は地域によって気候も土壌も違い、そこで暮らす人の生活も文化も違うから、木材の需要傾向も地域により異なる。国の林野庁、農水大臣の仕事は「木材貿易・輸出入戦略計画」を立てることであり、国が国内の森作りの指示を画一的に全国一律にやる意味はない!地域主権、道州制になれば、道州の森林計画だけで充分!
 
 第十一条の条文は何の意味もない!!「・・・認定を求めることができる。」じゃ、それ以下に続く条文は全く意味がない。「木材が安いから、施業計画なんか立てません。」と言われたらそれでおしまいで、実際、民有林所有者は現状の木材価格で施業したくないから、この条文は森を荒れ放題する元凶になっている。

 森の荒れ放題の現状や林産業の厳しい現状を改善するためには、森の持つ多様な機能を発揮できるように民有林所有者にはその管理・育林を義務付け、同時に、民有林所有者にその裏付けとなる支援を受ける権利を与えるというような、利害の調整の仕事を、州や県に要請するような条文にしなければならない。

 しかしながら、森林法制定当時の昭和三十年ごろは、民有林の木材生産事業は大変活気があったから、国がいちいち、民有林の森のありようや施業の計画作成を要請し、それを認定するなどということを民有林所有者に押し付けるような面倒なことはやりたくない、自分たちは国有林事業でおいしい思いをして忙しいから、民有林にはかまっていられない、というスタンスの条文になっている。森林、林業に関わる環境が今とは全く違う50年前の状況から作られた条文だ。

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 一方、ドイツ森林法
第一章 総則
第二節 森林
(1)この法の意味において、森は森林の植栽のある土地である。すでに伐採された、あるいは、採光のために切り開かれた林地、林道、森を区別する境界部や緩衝地帯、森の中の露頭や空き地、草地、牧草地、土場、ないしは、森とつながり森に付属している土地もまた、森として扱われる。
(2)単一の樹木群、樹木列、あるいは生垣が植えられている、あるいは、育苗場として使われているような土地や整地された一帯にある小さな土地は、この法の意味においては森として扱わない。
(3)州はこれ以外の土地も森として扱うことができるが、装飾用の樹木の育苗場、ないしは、居住地にある駐車場は森の概念に入らない。

…<州森林法ではもっと細かく定義されています。>

 ラインラントパルツ州森林法
第二編 所有者の権利と義務
 第一章 営林の基本原理
第4節 基本的義務
 森は合法的に、継続的に、計画的に、専門知識で管理されなければならない。管理には環境への配慮も含まれる。
第5節 合法的営林
 (1)合法的営林とは、学術的に確かな知識や林業の実践の確証を受けたやり方に従った、森の利用、更新、育成、や保護という営林学的な林地の利用を言う。それは土壌の豊かさの恒久的な維持や植物相・動物相の豊かな生命環境の保持のために必要なことである。
1.生物学的に健全で、安定な森やその縁辺の育成・保持、
2.量・質ともに持続可能な木材生産の確実性とその向上、
3.天然更新、植林あるいは種子・幼木ないしは計画的な自然遷移による未植林地や不完全な植林地の、早急な再造林、
4.正しい原産地確認・選択をされた樹木種や、天然更新の援助、
5.土壌、立木の状態や景観を最大限いたわることによる、需要に適合した森林開発、
6.立木の現況や土壌をいたわる技術の適用、
7.植物用農薬の基本的な排除、
8.森林被害の回避のための処置を基本的に行うことなく、造林事業目的に到達できるような、自然な状態への誘導

 この場合、以下のことは禁止される、
1.0.5ha以上の皆伐; これは事業体の経営状態や造林の理由から行われる2haまでの一斉林には適用されない。火事や自然現象、ないしは、植物・動物の過剰な増殖の理由による立木の除去は皆伐に当たらない。
2.・・・以下省略

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 いずれも分かりやすく、時代の要請にあった形で詳しく書かれています。 
 また、この州森林法の条文から、その周辺の施策として何が必要かも見えてくるわけです。


 そこで、日本の地域主権に向けた新しい「森林法」「森林行政システム」づくりのために、少し提案します。



 日本の場合、その分布と所有形態は、簡単に言うと、奥地林や急峻な山岳地帯の森林が国有林や県有林で、その他の森林が民有林になっている。

 国有林、県有林の中の、特に固有の植物相、動物相を保つ貴重な自然の森林が、国立公園、国定公園に指定されている。これらの地域は、様々な樹種からなる天然の混交林で、「森林・林業基本法」にうたわれている(多面的な機能)を本来的に持つ、営林に関わる施業をするべきでない貴重な森林地帯である・・はずである、林野庁が余計な営林的施業をしていなければの話だが。これらは林野庁ではなく、環境庁が「自然保護のための監視官」を置いて、登山道、観察道などの管理に当たるべき地域である。もし、分収林として営林に関わる施業をしてしまった所は、在来樹種の森林に誘導して、後はサッサと環境庁に引き渡すべきである。

 となると、現行システムの、営林的施業をまで行っている林野庁の国家公務員「森林官」の仕事は極めて限定的になる。


 そこで、です。

 今後、地域主権、地方分権が実現されることになるとしたら、まず、「国立公園」「国定公園」「営林に関わる施業をすべきでない森林地帯」を「国の環境庁」に、すべて、移管すべきです。

 そして、それ以外の国有林、県有林、および民有林について、上位の「国家の森林法」を簡潔なものに改めます。その中で、各州(あるいは県)が詳細な下位の「州(あるいは県)の森林法」を地域の独自性に応じて定めるように命じます。

 これで、霞が関の林野庁職員はこれまでのような、予算を握って思いつき政策を作るような無駄な仕事がなくなり、大幅に、人員削減できます。生き残った林野庁職員は、各州(あるいは県)からのデータを分析して、国内外の利害を調整して、木材の輸出入の関税の引き上げ、引き下げなどの国の大まかな方向性を決める実務にその仕事を限定します。国の「森林総合研究所」はそのためのシンクタンクとしての人員のみにして構いません。

 その他の現行「森林総合研究所」の研究員は、「各州法」により必要となる、各州の「森林管理、営林の研究所、機関」、あるいは、森林・林業の高等教育機関(ドイツのフライブルグ大学やゲッチンゲン大学の森林科学環境学部、ロッテンブルグ営林専門大学のような)や「地域の森林官」を育成する森林設計・監理・技術教育の「州立職業専門学校」の講師、研究者として、各州で活躍してもらいます。

 現行林野庁の、地域主権、地方分権で削減対象になった職員は、各州の「森林・環境庁」で雇ってもらうことになります。州の研究所や森林局からのデータを集約、分析し、州内の林業事業者や個人の森林所有者との間の利害を調整しながら、あるいは、林業と一般市民の間の利害を調整して、最適な広報活動、支援活動等の実務を行うことになります。



 などなどが、必然的に出てくるような「森林法」を作っていかなければなりません。

今日はここまで。

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