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ロッテンブルグは南ドイツ、バーデンビュルッテンベルグ州にあります。シュバルツバルト(黒い森)という、最高が標高1500m位の南北に走る山地の、北東側です。ライン川上流のネッカー川の河岸段丘の上のほうにあり、周りにはすでに営林的な措置が施された、トウヒ(Fichte),赤松(Kiefer),モミ(Tanne),ナラ・カシ・シイ(Eiche)などの混交林になっています。 シュバルツバルト(黒い森)は日本の社会科の教科書にもよく載っています。日本が昭和40〜50年代の高度経済成長期に見られた大気汚染やほかの公害問題が顕在化していたのと同じ時期、ドイツでもルール工業地帯などの石炭火力を利用した鉄鋼業などの重工業が発達し、大気汚染などの日本と同じような公害問題が発生しています。シュバルツバルトなどの森の木々が枯れ、ケルンの大聖堂が煤で真っ黒になった写真がよく教科書の口絵に載っていました。 この1960〜1970年代、ドイツでは森林・環境保護のための研究が各州で始まっています。このブログで依然、紹介したラインラントパルツ州の森林エコロジー研究所もこの時期からの森林環境に関するデータを蓄積しています。林況、土壌、植生、動物生態、雨水、森林気象などが現在も継続して調べられ、それらのデータをもとに、現在の気候変動や森林環境問題などの政府の取り組みが、ドイツを中心としたヨーロッパ諸国の主導のもと行われてきたのも、これらの地道な森林環境の研究、データ蓄積があるおかげだと思います。 バーデンビュルッテンベルグ州でもフライブルグ大学、フライブルグ森林研究所などに大勢の森林科学・環境学の研究者がいて、また、ここの出身者が連邦や州の森林・環境行政で高級森林行政官として、また各森林局の局長として働いています。また、今私が学んでいるロッテンブルグ専門大学でも教授や講師として、営林学科、バイオエネルギー学科、水資源管理学科で教鞭をとっています。 さらに、このロッテンブルグ専門大学で学んだ人たちが、ドイツ中の各森林局や営林署で、上級森林官として、国有林、州有林、団体林、民有林の営林を指導しています。ドイツ森林法では、営林学的な専門知識を持った高級あるいは上級森林官が営林指導をしなければならないと定めています。日本のように民有林を、その所有者が、木を打っても利益にならないからと、森を荒れ放題のほったらかしにすることはありません。上級森林官がその専門知識で営林指導し、伐採、販売、再植林など林業経済的な側面でもアドバイスを無料で行います。 それにより、ドイツの林業は経済的にも成り立ち、その森林は環境、土壌を保全し、日本のように巨大なダムや砂防ダムを造ることなく治水の効果を発揮し、また、市民の保養効果も発揮して、誰もがいつでも森に入り、森を楽しむことができるわけです。 そのような高級、上級森林官の仕事をドイツの子供たちは学校の森林教育で直接、森林官から話を聞き、一緒に森に入って学びます。また、民有林所有者の子供は常に、上級森林官の仕事を身近にに聞きしてきています。あるいは、15歳で職業学校に入り、森林局で森林官(Forstwirt)として働く若者や林業企業体で森林作業士(Wald-arbeiter)として働く若者は上級森林官の仕事の重要性をさらに身近に感じてることができます。また、さらに、大学で精神心理療法を学んだ学生が、森の人への保養効果を知って2-te Studium(二つ目の専門)として、森林学・営林学を学びに来ることもあります。 というわけで、私の在籍するロッテンブルグ専門大学営林学科の同じ1-ste Semesterには、上で述べたようないろいろな動機で入学してきた学生が混じっています。ですから、18歳から25〜26歳まで学生の年齢幅は実にひろく、そこにさらに日本から来たおっさんの私まで混じっています。 日本はみんな一緒に18歳で、みんな同じく普通高校を卒業し、その6割が大学に同じように進学し、みんな一緒に卒業式を迎え、みんな都会のオフィスビルの会社にホワイトカラーとして働くものだと、子供たちも、親も、挙句の果てには先生までもそう固く信じ込んでいます。一歩道を外れれば、即、いじめの対象になってしまう。 自分で体験し、自分で考え、自分で判断した道を、年齢や仕事場、などにとらわれることなく選べるような社会になってほしいものです。 本日も大学のEDV室からお送りしました。今日はこれでおしまい。
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