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イモトアヤコと名倉潤が司会するテレビ番組で、外国から来て日本に住む子供たちに 「日本」 vs 「母国」 でどっちがいいかを答えてもらう、というのをやっていた。
アメリカ、アジア出身など大概の子供たちは、「安全だから」とか「食べ物が美味しいから」と「便利だから」というような理由で圧倒的に 「日本」を支持していたが、ドイツから来た子供だけは、男の子が「日本の夏は暑すぎるから」、女の子が「日本は古いお家をすぐ壊してしますから」などという理由で 「ドイツ」と答えていた。
確かに日本は蒸し暑い。・・・論点はここではない。
急にブログを書き出した理由は、ドイツの女の子が指摘した「日本は古いお家をすぐ壊す」というところだ。
今から30年前の学生時代、教養部の地理学の授業で、教授が夏休みの宿題として 「自分の出身地の伝統的な家屋を調べる」 という課題を出した。私は出身が九州の佐賀県なので、今も有明海側に多く残る 「くど造り」 の家を取材して宿題として提出した。日本各地には、例えば、岩手の、馬と一緒に住む「曲がり屋」や 岐阜、白川郷の「合掌造り」、奈良の「 ?何とか造り」(忘れた)とか、・・・いろいろある。その地理学の教授の授業は興味深かった。
しかし、・・・だ。日本各地の、その地域、気候風土に根差した伝統的な家屋は、そのほとんどが守られることなく、高々100年ぽっきりの科学技術を取り入れ、地域、気象環境を無視して、新聞やテレビ広告で無理やり全国展開する大型工務店がつくった、全国一律の、「在来工法」の、何の個性もない安っぽい家に、そのほとんどが建て替えられてしまった。
日本にしか住んだことのない人はそんなことは思いもしないかもしれないが、古い伝統的な住居や街並みを守りながら、改修、補強して維持し続けるドイツの家屋や町並みは本当にきれいである。 ・・・だから、「ドイツ、ロマンチック街道ツアーだ、 〜何とか街道ツアーだ」と、日本からわざわざ、大勢の観光客がドイツやヨーロッパ諸国に訪れるわけだ。
・・・で、だ。
「興味深いな」と思った地理学の教授の授業は、結局、その日本の伝統的な家屋の保存には、残念ながら、全くつながらなかった。というより、つながってはいなかった。
何を言いたいかというと、・・・結局、日本の大学教授の研究は 「大学で指導、教授すること」 のみがその目的で構わないということだ。
もっと手前のところを追及すると、日本で大学の教員になるためには林学であろうが、地理学であろうが、物理学であろうが、経済学であろうが、その学問分野に一切関係なく、一般的には大学の組織の中だけで、その組織に何らかのつながりがあって、その研究が認められれば、教員や、研究員に採用されるということだ。
そこには採用に向けた 「公開募集」 という発想は全く存在していない。そして、実務、実業に関連する分野でも 「実務経験」 は募集要件にない ということだ。
上で取り上げた地理学の「伝統的な日本家屋」の研究が、 県や市が行う「伝統家屋の保存、維持」や 「歴史的に貴重な町並みの保存」 の活動に全くつながっていないのは教授自身に、そのための県庁や市役所での実務経験が全くないからに他ならない。
・・・もっとも最近は、元鳥取県知事の片山さんが慶応義塾大学の教授だったり、と一部の有名人に関しては「実務畑」から教授に招聘されるケースは多くなっているようだが、
ただし、これも・・・ドイツの経済学や工学、森林科学分野のように
①研究実績 ②学位あるいは教授資格 ③実務経験 など
が採用要件になっていて、公募して 採用されたわけではない。
数学や芸術の教授はただのへんちくりんでも、凄い人はすごいから、社会で使えなくても構わないかもしれないが。
森林科学の分野は、 「 学問研究が実社会で使えない 」 「 学者が浮世離れしている 」 では、困る。
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ドイツでは効率的な林業経営のために1960年代からインフラ整備に対する補助を各州が行ってきたので、林道の新設については、現在は今まで積極的な森林管理を行わなかった民有林の一部で行われるくらいです。一度造成された林道の寿命は40年を目安としています。ただし、その間に、ドイツでも大雨や暴風雨に10年に一度は見舞われていますから、随時林道の補修、保安は行われています。
林道の新設、補修工事で使われているのが、大型のトラクターに地ならし機やローラーを取り付けた「R2−Geräte」です。写真は Waldwissenn.net から引用した写真です。
日本の林野庁は新しい林業機械の開発を大金を投じて民間の業者に入札、発注するようです。ヨーロッパでは、Valmet(Komatsu)社やJohn-Deere社の最新の林業機械がすでに活躍しているので、何を今さら無駄金を投じて林業機械を研究、開発するのか、よく分かりませんが…。
何で、自分とこの、確か、八王子かどこかにある「林業技術研究所?で研究、開発ができないのか?
その研究所は一体何のためにあるのか?、
非常に不思議でならないのですが…。
(林野庁が発注する研究・開発事業を実際に受注しているのは、林野庁の官僚さん達が天下りしてお偉い役職についている、いわゆる林野庁とツーカーの民間事業体で、「できレース」以外の何物でもないです。私の大学時代の先輩の航空測量の会社も林野庁からの天下りさんが居座っていて林野庁の事業をたびたび受注しているようですが、会社で森林バイオマス関連の事業を企画しようとすると「・・・そんな新しい事業を今の林業界で進めようとしても無理だよ…」などと、極めて後ろ向きで横柄な態度だそうです。)
で、先程の「R2−Geräte」ですが、この機械は今から40年以上前に、Bayern州Seeshauptの森林局長だったDr.Ressingerさんが自分で考えて開発したものだそうです。ドイツでは森林庁の高級森林官(本庁の役人や研究所の研究者、森林局長クラス)は大学や研究所、民間の林業事業体、林業機械メーカーなどをキャリアアップのために転々と移動していますから、森林局で必要な機械は自分で開発できるわけです。
先程の私の先輩の航空測量の会社は、例えば、森林GISなども林野庁からの研究・開発事業を受注して作ったいるはずです。数百万円か、数千万円か知りませんけど・・・。
何で林野庁の官僚君たちは自分で作れないの?ドイツのように、必要なシステムを作れる人を、外部から雇えばいいのに・・・。何でそれができないの…?。日本の官僚システムというのは誠に間抜けで、ヨーロッパの森林官からすると理解不能だと思いますよ。
林野庁の地方森林管理局の発注する事業の入札要件がまた不思議…。北海道の森林管理局の間伐事業の公募の要件を覗いていたら、・・・、
「どういう間伐事業ができるかを企画書で出せ」とか、
「森林関係のボランティアに参加した企業は何点のポイントが付く」とか、
なに?それ。
ドイツじゃ、州森林庁でそれぞれの事業に対する応札の資格や使用機材、使用燃料(バイオ)が規定されていて、入札を希望する事業体は誓約書にちょこっとチェックしてサインして森林庁に申し込み、落札したら、事前に森林官がマーキングした区域を粛々と列状間伐したり、森林官がスプレーでしるしをつけた木を何人の作業員で、何時間に、何本伐倒する、とか決められた通りやるだけなのですが…。
要するに日本の林野庁や都道府県の林政課、林務課は自分で森作りができないっていうことかな?そんで、意味不明な膨大な量の入札関係の書類を作って、応札された書類を意味不明ないろんな観点を作って点数付けて、・・・と無駄に膨大な仕事を自分で作って、忙しそうにしているわけですね。
写真には、林道の両脇の側溝を掘る機械も載せてあります。簡単ですよ。四角い箱上のショベルの角で、がーっと掘るだけですから。ドイツではこの側溝に草を自然に生やすことも大事なポイントです。さて、どうしてでしょうか?わかるかな?
今日はここまで。
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前回はドイツにおける森林の区画整理事業を紹介しましたが、日本には全く参考になりませんか?
” Doch(ドッホ)!” と答えてくれる人はいるかな?山梨県や北杜市の林政課や森林組合は自分で動かないしね。
さて、ここで久し振りにドイツ語講座。(英語でも理屈は同じ)
「参考になりませんか(ね)?」というように、相手が否定の疑問文を投げかけた場合、
①それがその通りで、参考にならない時
・・・日本の人は「そうですね。」と頭の中で考え、それをつい、「Ya」とか「Yes」と言いがちですが、ダメです!
参考にならないときは、「ならない」→したがって、「Nein(No)」 と答えてください。
②自分には参考になる、と思ったら
・・・日本の人は 「いいえ、いいえ、なりますよ」と考えて、つい、「Nein,Nein(No,No)」と答えがちですが、
参考になるのなら、「なる」→したがって、ドイツ語では「Doch(ドッホ)」と答えてね!(英語だと「Yes」)
なんか一人で頑張ってても、当事者の大学の森林学の先生たちも県や市の林政課の人も、現状のすたれた林業でちゃんと給料もらえているから自分で全く動こうとしないし、森林組合は林道の「り」の字も考えた事がないみたいだし・・・。(林野庁は out of , out of question)(問題外の外)
「いや、まだ何とかしようとしている人たちはいる!」 「あきらめるな!」と、天の声が聞こえたので、続けます。
日本では細分化された森林の『団地化』の取り組みは奨励され、取り組んでいるところはあるはずです。昭和30〜40年代の林業バブルを体験して、その頃のおいしい思いが忘れられない困った年寄りたちも、もうそろそろ・・・で、あと10年もすれば森林環境問題を真剣に考える若い世代に代替わりしますから、新しい動きに賛同も得られる時が近づいているのではないでしょうか?
農業の耕作放棄地問題や民間企業参入問題と同様に、林業についても、興味のない森林所有者や都市に住んで不在地主化した所有者に対して、森林の売買や整理・交換などを、林地の集約化や林道、作業道の作設によるメリット、将来的な森林の維持・管理のしやすさ、環境にやさしい近自然型の森づくりの方向性とともに丁寧に説明していけば、話に乗ってくれそうな気が・・・する?しない?
写真と図は「Waldwissen.net」から拝借してきたスイスのGraubünden地域の林道、作業道作設に関するものです。スイスやオーストリア、南ドイツでは日本と変わらない険しい山岳地帯で林業を行うために林道網が作られています。この地域は険しい山岳部なので、ヘクタール当たり11.6mで、スイス全体からみるとはるかに低い林道密度のようです。
大型林業機械や木材運搬車両の走行のために森林作業道の規格は最小で道幅3.25m、縦断傾斜は12%(最大15%)、最大荷重は28tを想定しています。
1.の山側ののり面は傾斜を1:1まで削り、岩盤の場合は1:0.2〜0.5くらいまでありのようです。
2.の谷側ののり面は4:5を標準にしているようです。
3.の走行路は2.の谷側の盛り土部にはかからないように設計されています。
次回は林道の整備の状況や側溝を掘るR2を紹介しますね。
今日はここまで。
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引き続き、ドイツ、ノルトライン−ベストファレン州における林地の整理の例を
Ulrich Pawig の ” Neue Strategien der Waldflurbereinigung ”から引用して、ご紹介します。
この州はドイツの中でも特に、相続のたびの所有森林の細分化、無秩序な分散が顕著にみられる地域です。持続可能な森林管理にとっては非常に不利な条件となります。多くの場合、これらの小規模な林地の森林資源を利用するには林地を整理することが必要になります。
区画を整理、統合することで森林資源の大口での集約、市場への安定した供給が可能になり、競争力も増すことになります。そして、長期的な伐採、搬出に有効な林道、作業道の開設も可能になります。
この林地の区画の整理、統合あるいは交換の際、林道開設の経費の前に、交換の際に必要な林分の計測、収益性などの評価を行う経費も勘案しなければなりません。
そして、区画整理、交換、統合をできるだけ簡単に、迅速に、経費をできるだけかけずに行うためには戦術を立てなければなりません。
ドイツでは土地整理法(Flurbereinigungsgesetz(FlurbG))に従って、林地の価値の評価を単純化するようです。
日本の「土地区画整理法」は元々はドイツのFlurbGを参考にしているはずですが、日本ではその対象は都市計画区域の土地であり、宅地や農地の整理がその発想の根本にあるようです。ドイツのFlurbGが森林の区画形質変更や整備もその対象にしているのとは、チト、違うようです。
ドイツではできるだけ短期間に林地の整理を行うためには、まず第一に、森林局や林業事業組合などと、扱えそうな森の領域を適切に選ぶ事から始まります。まあ、実際にはそこが一番難しと思いますが。
次に来るのが、ドイツの発想としては、新規に作る林道網をどのように整備するか、ということです。とにかく適切な林道網を作らなければ、ドイツでも、日本でも経営的にやっていけないのです。
ドイツでは区画整理よりも何よりも、より理想的な林道、作業道を設計、作設することが発想としては先に来るようです。日本のように細い急な山道をかき分け、かきわけして森にたどり着くのでは、すでに労働安全の面から不適切な労働環境であるということです。
図面上で設計したコースを現場で実際に伐開しながらトレースして確認していくようです。このお仕事はFlurbGにより、それを専門に担当するお役所のお仕事になります。
日本で農地の土地改良事業を県の農政課がきちんとやってくれるのと同じです。
まあ、そんな感じで、林道網が最小のコストで、理想的に効果的に測量、設計されたところで、どの林分はその林道や作業道によってどのくらいの評価をすべきか、交換、整理していく林分の評価見積もりをしていき、最終的に対象となる所有者に助言し、協議して林分の再構成をやっていくようです。
下に載せた図面だけをみると、ただきれいに土地の区画が整理された日本の農地の区画整理事業のように見えますが、この中には林道、作業道の効果的な設計、開設が重要なポイントとして隠れています。
今日はここまで。
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日本の森林の58%は民有林です。本州やに西日本ではその民有林の大部分がスギ、ヒノキの過植栽、管理放棄林です。森林管理、間伐をしたいと森林組合に相談しても、今まで国有林や県有林の大面積を請け負って経営してきた森林組合は本来の地元組合員の依頼でも、5ヘクタール程度だとめんどくさくてやりたがりません。森林作業道を入れたいと言っても、それに関わる他の所有者との調整もやったことがなく、そもそも作業道や林道を作ったこともないので作り方もわかっていません。
ドイツでも、小規模民有林にはインフラの未整備や構造上の問題もあります。
大きな自然災害が起こると、林道などのインフラの不足、欠落や前回の図で示したような複雑な所有権の問題は、さらにはっきりしてきます。
ドイツなど西ヨーロッパでも数年に一度は膨大な数の風倒木を発生させる大嵐が発生します。2007年1月の台風Kyrill は中心気圧が964ヘクトパスカルで瞬間最大風速は50m/sを超えていました。このときには特に針葉樹のトウヒの被害が顕著でした。
日本の大型台風で数年前に紀伊半島で猛烈の暴風の被害があり、山体がごっそりえぐられて大規模な土石流が発生し、土砂や流木でせき止め湖ができましたが、その時の流木もそのほとんどがスギやヒノキの針葉樹だったと思います。
ドイツではトウヒの倒木が大量に発生すると、Bolken-kefer という木食い虫が大量に発生してしまうので、Kyrill 台風の時もとにかく早く風倒木の処理をしなければなりませんでした。
で、この大あらしの被害を受けた森の風倒木の処理の際、林道網の整備が不十分なために(日本よりはるかに密な林道網を整備しているドイツですが)倒木の伐採、運搬に手間取ることになりました。
また、林地の所有境が不明確で作業に入れない林地も多数生じました。 古くて細分化され所有境が不明確な林地の構造は施業のコストも高く、森の持つ機能を十分に生かすこともできず、持続可能な林業経営は不可能であることはドイツでも日本でも同様です。
で、ドイツ各州の森林庁や森林局はまだ十分に利用されていない民有林の森林資源を有効に活用、利用するために 「林地整理」 に取り組んでいます。今回載せた図は前々回と同様に Robert Zerhau 氏の論文からの引用で、ノルトライン・ヴェスト‐ファレン州ミルヘンバッハにおける林地整理の成果を表した地図です。
このミルヘンバッハ地区の林地は、私が所有する山梨県北杜市江草地区の森林と同様に、多くの所有者の林地がテキトーに細分化され、所有林地がめちゃくちゃに入り組んで、まったく森林管理ができない状態でした。所有面積は 5〜80ha ですが、その5ha なり、8ha が細かく、てんで、ばらばらに分布していたのです。
それを右の地図のように 『林地整理』を完成させると、その地域の持続可能な森林管理を可能にし、木材生産は2倍以上に伸びました。このように林地の構造的な改善は長期的に森の機能を維持し、経営的にも安定に林分を発展させていくことができます。
下の図をじっと眺めてみてください。今日はここまで。
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