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 森林政策、森林行政についてはしばらく、後回しにして、せっかくロッテンブルグ専門大学に移ったので、大学の授業のトピックを少しずつお伝えします。


 Ruge先生の「Botanik(植物学)」の中から、今日は 「Cytologie(細胞学)」のお話です。Protoplasma(原形質)、Zellkern(細胞核)、Chloroplasten(葉緑体)など日本の大学の生物学科でも詳しく学ぶと思います。

 私の大学は営林専門大学ですので、 細胞学の講義の中でも特に、木の「細胞壁(Zellwand)」にまつわる話題がいちばん興味を引きました。大学で生物学を専攻していた人はしばらく目をつむっていてください。「何だ、その程度か!」ですから。


 植物細胞はその細胞壁にいろんな機能を持っています。細胞内の原形質を守る機能、水分を輸送する機能、植物(木)に強さを与える機能、などなどです。細胞と細胞を区分けする境目を「Mittellamelle」、さらに、Primär(第1)-,Sekundär(第2)-,Tertiär(第3)-Wand(細胞壁)と、何層もの細胞壁が、その内側に細胞核、葉緑体などを含む原形質を取り囲んでいます。第一細胞壁はその容積の10%がセルローズ・ミクロフィブリレという繊維で、第2細胞壁は90%がミクロフィブリレ繊維です。

 それはまるで、今、日本の住宅建築業界ではやりの「集成材」のような構造で大変丈夫になっています。さらに、それぞれの細胞壁の中のミクロフィブリレ自体が、まるで、コンクリートの中の鉄筋のような役目をしています。わざわざ健康を害する化学接着剤を使って、集成材なんか作る必要はありません。



 この第1、第2、第3細胞壁には小さな穴(Hoftüpfel)があいていて、そこから、境目のMittellamelleという薄い層を通して、水分が根から木の幹、枝、そして葉っぱへと輸送されます。もし、木が外部から損傷を受けると細胞内に外気や細菌が入るので、それを防ぐため、その穴の中の薄い細胞の境目の部分(Torus)が損傷を受けていない細胞側へ移動して、穴を完全にふさぎ、外気や細菌の侵入を防ぎます。

 よく、半分腐りかけているようになってるのに、上のほうは緑の葉っぱがちゃんと生い茂っている木を見かけますが、それは上記のような細胞の働きのおかげなのですね〜! 

 植物(木)は、すごい !!


 次に、細胞壁を作るセルローズ(Cellulose)について。

まず、βGlucose分子がくっついてCellobioseを作り、それが2000から15000のつながりで結合したミセレン(Micellen)という糸状の分子の結合体を作り、それが束になったのがMicellarrstrangとなり、さらにそれが束になって、5〜30nmのミクロフィブリレ(Mikrofibrille)を作ります。そのミクロフィブリレがさらに束になったのが、マクロフィブリレ(Makrofibrille)と呼ばれる、コンクリートの鉄筋のような繊維です。

 神戸と淡路島を結ぶ明石海峡大橋の鋼鉄のワイヤーの束みたいなものです。


セルローズ・ミクロフィブリレの凄いところはミセレンの束の間を水分が埋めていて、それが繊維の硬さや弾力性を強めているということです。ただの鋼鉄のワイヤーの束ではないのです。

 さらに、さらに、ミクロフィブリレの束の隙間を、皆さんご存知のリグニン(Lignin)が満たしているわけです。このリグニンは、製紙工場で木材から紙を作る際には分離して捨てて、セルローズだけが紙の原料として、普通、使われています。スウェーデンのある会社ではこのリグニンが将来石油に代わる資源になることを見通して、すでに、燃料として開発しているそうです。

 このリグニンはセルローズ、細胞壁をさらに丈夫にしています。これが、木材の持つ押し、引き、たわみ、ねじれに対する強さのもとになっています。

 木材というのはこれほど凄いものなのです。


で、こんなことは、生物学、細胞学の専門家なら知っていることでしょう。

 
 でも、問題なのは、こんな素晴らしい性能、性質をもった木材が、日本の住宅建築で十分に知られていない、生かされていないことです。「石の国」ドイツから、本来、「木の国」であった筈の日本へ、今さら、わざわざ木の素晴らしさを伝えなければならないこと自体が、どこか間違っているということです。


 鉄や釘、コンクリートは、高温多湿の日本にはなじまないから、だから、何千年もの間、素晴らしい伝統の木造建築が日本を代表する文化になってきたわけじゃないですか!もし、法隆寺が、釘やコンクリートをつかっていたら、地震や台風、湿気、シロアリの被害にあわずに2000年もつとは、誰も思いません。200年も前の古民家が今でも、頑丈に、その姿を保てるのも、日本の伝統的な建築技法だからではないですか!

 この私、昔からの大工さんの技を生かす建築方法の「伝統構法」を復活させたくて、・・・、そのためには、日本の林業にも復活してもらわなければならないのです。

 佐賀県にある私の生まれた実家は、いわゆる、石場立ての、釘など一本も使っていない、地元の山の木を使った、「伝統構法」で作られた家です。頑丈で重要文化財に指定してしまいたいくらい素晴らしい家です。

 そんな「伝統構法」で家が建てられないなどというのは、どう考えても、いまの住宅建築行政や建築基準法がおかしいと思います。

 興味のある方は  「伝統構法の会」 http://www.dento-koho.org/  へアクセスしてみてください。

 ああ、もう大学のEDV室が締まります。今日はこれまで。

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