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日本の森林の58%は民有林です。本州やに西日本ではその民有林の大部分がスギ、ヒノキの過植栽、管理放棄林です。森林管理、間伐をしたいと森林組合に相談しても、今まで国有林や県有林の大面積を請け負って経営してきた森林組合は本来の地元組合員の依頼でも、5ヘクタール程度だとめんどくさくてやりたがりません。森林作業道を入れたいと言っても、それに関わる他の所有者との調整もやったことがなく、そもそも作業道や林道を作ったこともないので作り方もわかっていません。
ドイツでも、小規模民有林にはインフラの未整備や構造上の問題もあります。
大きな自然災害が起こると、林道などのインフラの不足、欠落や前回の図で示したような複雑な所有権の問題は、さらにはっきりしてきます。
ドイツなど西ヨーロッパでも数年に一度は膨大な数の風倒木を発生させる大嵐が発生します。2007年1月の台風Kyrill は中心気圧が964ヘクトパスカルで瞬間最大風速は50m/sを超えていました。このときには特に針葉樹のトウヒの被害が顕著でした。
日本の大型台風で数年前に紀伊半島で猛烈の暴風の被害があり、山体がごっそりえぐられて大規模な土石流が発生し、土砂や流木でせき止め湖ができましたが、その時の流木もそのほとんどがスギやヒノキの針葉樹だったと思います。
ドイツではトウヒの倒木が大量に発生すると、Bolken-kefer という木食い虫が大量に発生してしまうので、Kyrill 台風の時もとにかく早く風倒木の処理をしなければなりませんでした。
で、この大あらしの被害を受けた森の風倒木の処理の際、林道網の整備が不十分なために(日本よりはるかに密な林道網を整備しているドイツですが)倒木の伐採、運搬に手間取ることになりました。
また、林地の所有境が不明確で作業に入れない林地も多数生じました。 古くて細分化され所有境が不明確な林地の構造は施業のコストも高く、森の持つ機能を十分に生かすこともできず、持続可能な林業経営は不可能であることはドイツでも日本でも同様です。
で、ドイツ各州の森林庁や森林局はまだ十分に利用されていない民有林の森林資源を有効に活用、利用するために 「林地整理」 に取り組んでいます。今回載せた図は前々回と同様に Robert Zerhau 氏の論文からの引用で、ノルトライン・ヴェスト‐ファレン州ミルヘンバッハにおける林地整理の成果を表した地図です。
このミルヘンバッハ地区の林地は、私が所有する山梨県北杜市江草地区の森林と同様に、多くの所有者の林地がテキトーに細分化され、所有林地がめちゃくちゃに入り組んで、まったく森林管理ができない状態でした。所有面積は 5〜80ha ですが、その5ha なり、8ha が細かく、てんで、ばらばらに分布していたのです。
それを右の地図のように 『林地整理』を完成させると、その地域の持続可能な森林管理を可能にし、木材生産は2倍以上に伸びました。このように林地の構造的な改善は長期的に森の機能を維持し、経営的にも安定に林分を発展させていくことができます。
下の図をじっと眺めてみてください。今日はここまで。
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2013年01月15日
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