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針広混交林化

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前回の解答です。3本の幼木の内でもっとも活性と通直性があり、シャフトの成長も良い左の幼木ですが、下から1/4のところに太い側枝が横に成長しています。真ん中のは細いですが、今後光を求めてより早い上方成長をする可能性もあります。先に上部に樹幹を広げれば、森林社会階層は逆転します。左の元気のいいのは頂芽が食害に合い側枝が分岐生長する可能性もあります。あくまでも可能性ですから答えは一つではないはずです。ですから、樹高15mくらいのStangenholz期までは自然の競争をじっと見守るしかありません。そのあとにZ−Baum(将来木)の選定をしていくことになります。「おいおい、そんな答えかよ!」です。
 
 日本で広葉樹を植えて混交林化していくとなると、皆伐跡地や受光伐した後の林地に人工植林することになります。ドイツでも、私が実習をやっていたカイザースラウテルン森林局周辺の、ドイツ森林法に準じた、0.5ha
以内の小規模な皆伐跡地の人工植林地では、金網やプラスチックの覆いをつけていても結構食害にあっていました。ですから森林官たちはいつも車に猟銃を積んでいます。
 
 ドイツでは以前に紹介したように大学の森林科学科や営林学科で食害獣についての科学的な研究があり、一般の人や子供たちへの森林教育を通して、個体制限の行為はその必要性が十分認識されています。日本で今後、針広混交林化を進めていくのならば、食害獣の個体の適正数の学術的な研究をもっと詳しく行ったうえで森林組合や営林署の人達が市民や子供たちに森林教育を行い、また、シカやイノシシの駆除を、たまに猟友会に任せるのではなく、森林組合や営林署の人達が狩猟免許を取得して自ら当たる必要があります。その際にはやはり、ドイツ並みに、動物学、植物学、森林・営林学、猟銃取り扱い実習、森林狩猟文化学などを狩猟免許試験で、厳しく課すことも必要だと思います。
 
 固有種の広葉樹を全部ちょん切って、拡大造林と称してスギ、ヒノキ、カラマツの線香林にしてしまって、今後混交林へ誘導していくのは並大抵の苦労ではききません。
 
そろそろ涼しくなりそうなので、次回からまた続きで、間欠(律動)生長の影響(Einfluss des rhythmischen Wachstums oder Polyzyklismus)について紹介します。
 
また夏のドイツの森の写真を載せておきます。
 
今日はここまで。
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ドイツの夏の森から

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 8月20〜30日まで10日間、半年ぶりにドイツ(フライブルグ、チュービンゲン、カイザースラウテルン)に戻りました。ドイツは熱しやすく冷めやすい大陸性の気候で、夏至の6月に30℃以上の日があり、8月の後半はたまには30℃を超える日もありますが、基本的に20〜25度くらいの気温で、朝は10度台になり、長袖が必要です。日本に戻る直前の28,29日は最高気温が18,19℃でした。
 
 フライブルグでは大学の造林学の授業の演習、試験用の発達段階Phaseごと(Dickung(若木養育木でまだブッシュ),Gestange(安定期の樹高10m位),Stangenholz(主幹育成期で15〜20m),Baumholz(成熟期))の小林分が、北西部のMoos-Waldにあるのでその夏の様子Sommer-Zustandを見てきました。大学の野外実習も夏じゃなくて4,5月(日本なら3,4月)位がやりやすいなとつくづく思える森の元気さでした。
 
 カイザ−スラウテルンでは、久々にラインラントパルツ州森林エコロジー営林研究所の皆さん方とお会いして夏のExkursion小旅行、遠足に1日参加させてもらって広葉樹の混交林のきれいな森をハイキングしたり、TrifelsというRot-Sandstein赤色砂岩の3つ(Tri-)の岩山(Fels)の上に1000年前に作られたBurgお城(のちに王様の牢獄)に上り、360度(Frankreich-Eifel-Rhein -weit Schwarzwald)景色を眺め、頂上付近のレストランでBierビール und Jager-Schnitzelブラウンソースがけのカツレツ mit Pommesジャガイモを食べ、そのあと、ドイツ連邦果樹園芸研究機関(Anweiler というライン川よりのブドウ畑の中で、ワイン用ブドウの交配、育成研究をやっている)でワインの説明を長々と聞かされて(こちらは研究所の博士たちや研究者の団体だから向こうも必死で説明してました)、そのあと6種類のワインを試飲させてもらって、最後のCalardis M(1本500mlで 7.8Euro(850円くらいで、子供のころから水代わりにワインを飲んでいるドイツ人も「Ganz anderes!別物ね」と言っていた))を2本買っちゃいました。外国から高級ワインを取り寄せて飲んでいる、ワイン好きと称する日本の人達がチョッと哀れに思える味とお値段でした。
 
 翌日はカイザースラウテルン森林局に顔を出して、Forstamt-Leiterinウテ・フェンクナーギース局長やBüroleiterのラウプ事務長と日本の森林、林業、森林政策について雑談してきました。「日本では中央の林野庁の官僚が国全体の森林計画や政策決めて地方に指示するんですよ。」と、改めて日本の実情を話すと、局長は、実務面でも学術面でも一流のDr. 博士であり、州の高級官僚でもあるので、怒ったような、あきれたような表情で「中央政府がそんなことをやるのは無理だし、現場の森を把握していないのだから意味がない。」と、苦笑いをしてました。友人が広島大学で教えていて、2〜3年に1度日本に来ている日本びいきなので、日本の森林、林業関係者がラインラントパルツ州に研修やExkursion巡検に来るなら、要望に応じて喜んで対応すると言ってました。
 
 ドイツに戻ると、100年、200年の混交林の林分が主体で、やっぱり森の成熟度やきれいさが違うんだよな〜と、つくづく思い知らされます。なんで日本は広葉樹の大径材の多様な用途や高価値に気付かずに、全部スギ、ヒノキの針葉樹林にして、柱材だけしか考えず、50年程度の短い伐期で回転を速めて収益性を上げようなんてバカなことを考えてしまったのか、広葉樹は細いうちに切ってキノコの原木や炭の材料としての用途しかないと思いこまされたのか、なんとも解せない。理解に苦しみます。そんなもん、大径高価値材育成過程での間伐、除伐材を回せば、より効率的にすべてを有効利用できるだけのことなのに!
 
 結局、「皆伐」という発想が、日本林業の諸悪の根源であり、学術性を放棄して多様な環境や用途を不可能にしてしまったのです。それを主導してきた人達と連綿とつながる関係を断ち切れずにいる林野庁の官僚諸氏や森林研究所、森林管理局、大学林学科を変えるには、ここで一発、林野庁だけ道州制の先行(試行)実施しかありません。他の省庁の道州制や地方分権はなかなか難しのかもしれませんが、森林行政だけは地方の森は地方に任せてもらわないとね〜。でも、菅総理はアップアップだしね。
 
 
 ということで、今日は帰国後久しぶりのブログ更新なので、ドイツからみた雑感を徒然なるままにかいてしまいました。でもこれだけでは終わりません。
 
 <問題> 写真は、林道わきのブナの3本の若木です(本当は林内の植生がいいのですが)。上空は、Locker から  Licht くらい 樹冠一つ分位光が入る空間が空いています。「広葉樹の形態学と主幹の形成」、「森林社会階層の順位変動」という視点で、将来木Z-Baumの選択にどのような可能性が考えられるか、述べなさい。
 
 今日はここまで。
 
 1週間ほど夏休みをとって、遠出もせずに、藤沢で2年ぶりにクソ暑い日本の夏を半ばやけくそ気味に過ごしておりました。古いクーラーの排熱用室外機から発火して火事になることがあるというニュースが流れていたので、昼間は近所の辻堂図書館で涼みながら読書しとりました。日本の森林科学関係の本は、中身がドイツのそれとは全然違うんですね。普通は文系でも理系でも専門書というのは世界中、だいたい同じような内容になっていると思うのですが、森林科学関係はなぜか違うのです。ドイツで学んできたことを日本の専門書で確認しようと、国会図書館や八重洲ブックセンター、神保町の三省堂などで探すのですが、項目や中身が違います。日本の専門書はその中身の毛色がなんとなく、みんな似ているんですね。
 
 だから、このブログでドイツの森林科学を紹介することは日本の若い研究者や森林・林業関係者のためには意味深いことなのですね。ドイツから日本の林業を見ていると、「そんなことやってたら、うまく行くはず、ないじゃないですか!」と、思える事も、日本の森林科学や林業にどっぷりつかっていたら抜け出せないんですね。
 
 
 さて、引き続き、チューリッヒ工科大学のProf. Schütz のSkript  "Waldbau "を参考に引用しながら、
 
今日は、 "Morphogenese und Akquisition der Schaftform"(形態学と主幹の形成)  を紹介します。
 当たり前ですが、これはもちろん広葉樹施業に必要な内容です。スギ、ヒノキ、カラマツの一斉林施業を続けている人には関係ありません。ほっといてもまっすぐに育ちますから。
 
 で、その前に。 私がドイツ、ロッテンブルグ専門大学営林学科にいたときに、Prof.Ruge から 「Waldbau」 「 Botanik」 「Soziologisch- , Okologisch-Artengruppe」などの講義を受けたのですが、その試験は2ゼメスターに固めてあって、1ゼメスター(冬学期)の試験は「Winter-Zweige(冬芽・冬枝)」の試験だけでした。葉っぱも花も幹もない、冬芽のついた枝先(中には芽がボロッと、もげてなくなっているのもあった)だけで、学名とドイツ名を答える試験でした。大学の周囲の樹木園や住んでた家の近所で、何度も雪の中、必死でSkriptと見比べながら、覚えました。
 別に大学の試験は落っこちても構わないのですが、大学の休みに、ラインラントパルツ州森林エコ研究所の Martin に会いに行くと、必ず、猟(Jagd)行こうと誘われて、猟場の森の中で、いつも、「これは何という木か、わかる?」と冷やかされて、悔しいので、そういう理由で、「Winter-Zweige」の試験はただ、必死で覚えただけで、何でこんな試験があるのかとかは、あまり深く考えてませんでした。
 
 日本に帰ってきて、森林学の本を探したら、辻堂図書館に「冬の樹木」とかいう本(図鑑)が一冊だけあったのですが、これは類似した4〜5種類の樹木別(必ずしも、ある属が全部まとめてはなかった)に冬芽、冬枝の特徴から、種を特定するようなまとめ方でした。日本ではこの50年スギ、ヒノキの針葉樹林の拡大造林一辺倒でやってきて、広葉樹は雑木として、森林学や林業の対象外としてしまって、造林学的に、冬芽のつき方と樹木の形態を広葉樹の高価値木生産と関連づける研究もなく、必要もなかったのだと思います。
 
 ところが、広葉樹を長伐期で育林して大径材の高価値木を生産する天然更新主体の循環型、近自然型持続林を作るとなると、冬芽Winter-Zweigeの勉強は実は、重要なんです。(日本に帰ってきて、今頃気付いた!)
 
 
 そこで、Bedeutung der Schaftarchitektur für den Waldbau (シャフト形成の造林学的意味)
 
 樹形、形態成立の種類と様式はその成長の際にいろいろ異なります。シャフト形成モデルやその形成理由の研究は造林学的に大事な意味を持ちます。
 実際、樹木は必ずしも通直な直情型の主幹(枝)をつけるのではなく、特に、広葉樹では枝分かれして上方成長します。図を今回、引用して載せます。(Abb. 2.9 Die Schaftverzweigungsformen am Beispiel der Buche ---Roloff.A (1985) "Morphologie der Kronenentwicklung von Fagus silvatika L(Rotbuche) unter besonderer Berücksichtigung möglicherweise neuartiger Veränderungen  "  Diss G.A.Univ.Gottingen からの引用)
 
 Abb.2.9 にはブナの2つの通直に生長する基本タイプと、枝分かれの3タイプが示してあります。形態は先天的な形質を受け継ぐだけでなく、光や温度など外的な影響による発現でもあるので、このブナのように同じ樹種でもいろんな枝分かれのタイプが観察されます。このことは、ブナやコナラ(日本で言うとミズナラ、コナラなど)のように事業体の経営的に重要な樹種に顕著ですが、Linde(菩提樹?)や Ulme(ウルム)でもみられます。
 
 基本的には、(a)Wipfelschäftiger Typ(通直主幹タイプ)の枝分かれしない幹と、2つ、あるいは、もっと沢山に幹が枝分かれする強い傾向のある(c)Zwiesel-schäftiger Typ(分岐主幹タイプ)があります。
 
 (c)が主軸に対して鋭角に枝がでるのに対して、(a)は側枝が横へ張っていきます。この二つの間に(b)の中間タイプがあります。
 
(a)単幹タイプの、通直で幹分かれしていない、明確な主幹軸を持つ直上樹形で造林的視点では理想的な形
(b)灌木のような中間型でよく見かける形成型、このタイプは箒状(Besen-Typ)と呼ばれます。
(c)分岐主幹タイプ、これはいつも分岐する強い傾向があり、Aruswaldt(1950)は、このタイプをさらに2つに分けています。1.継続的分岐  2.時間とともに修正して分岐した一部が主幹に近い優越性を獲得し、その他の枝が大きな側枝へと退行するもの。
 
 伐期での木材価値の80%以上が、下部のシャフト部分なので、シャフト形態の現象の研究理解は、高い価値を持った木材生産にとって重要になります。早い時期に、極上木に成長する、好ましいタイプの樹木選択を可能にし、造林措置で適切に支援するべき対象として明確にすることが可能になります。これらの型が早い時期に認識できるかどうかは重要なのです。
 
 Krahl-Urban(1959) "Die Eichen. Forstliche Morphologie " --Parey Hamburg & Berlin --は基本的な型は、3〜4mくらいの樹高の大変早い時期に認識されるとしています。(Abb. 2.10)
 
 
次回は主幹形成過程についての予定です。20日からドイツへ行くので帰ってきてからになるかもしれません。
 
今日はここまで。
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続き。森林社会の中の階層については以前に5つの階層の定義を紹介しました。
0. Vorherrschend   :極優勢木
1.. Herrschend     :優勢木
2. Mitherrschend    :中庸木
3. Beherrscht      :被圧木
4. Unterdrückt(ständig):被覆木
ある森林社会の中では、数10cmの小さな成長の差が光を求める競争の中で、個々の樹木に異なる階層を与えることになる。林分が密であればあるほど、また、競争が長期になればなるほどその違いは著しくなります。また、樹冠の閉鎖は階層のより強い差別化につながります。
 Dickung(若木養育期:約8mまで)には不明確な階層が、Stangenholz(安定期から確立期:樹高約20mまで)になると階層化が明確になります。4. Unterdruckt(被覆木)のような下位の層では枯死して本数は減少していきます。
 しかし、この競争は周囲の樹木に囲まれることで自然に下枝を抑制する効果が働きます。下枝を太くさせない、あるいは枯れ上がらせる効果があります。
 
 ただし、近自然型造林の観点では、密植によりこのような効果を求める事は次の2種類の視点から危険であるとして制限すべきと考えます。
 
 ①密植、競争での階層化による効果の利用は、日本の単相単層一斉林のような同じ形質、同じ種類の林分のみに有効である。これは、鉛直の混交形態を持つ近自然型複層林の階層的な林分には使うべきではない。
 ②詳しく観察すると、混交樹種の相互の関係、相性、生長速度の違いなど、実際の持続的な森林社会の成長、階層化の現象にはいろいろな変化、変遷がある。
 
 「日本の今までの皆伐、一斉林施業の発想で、針広混交の近自然型複層林作りをやってはいけません!」 と、言うことです。
「近自然型造林は全く別物であるということを理解してください!」 
と言うことです。
「密植して下枝を枯らし、無節性、通直性のみを追う、スギ丸太生産林業とは違います。」
と、言うことです。(チョッと、しつこかったです。)
 長い伐期で多様な樹種の広葉樹の大径材を生産、利用するドイツ型の林業では、上級森林官が個々の樹木について、
「活性度(Vitalität)」、
「直径成長(Durchmesserwachs)」、
「針広混交の樹種の組み合わせ(Kombination der Baumarten)」
などの視点で細かく追跡していくものですから、日本で混交林化をする場合は、発想を完全に変える必要があります。密植による競争の効果は、樹種による直径の変化に及ぼす効果を、むしろ、調べていくべきです。
 
 
 次に、「 Umsetzungstendenz der sozialen Stellung (森林社会階級の順位変動の傾向)」
 
これは、上の②でも述べたように、特に、Dickung(樹高8mまでの若木育成期)〜Stangenholz(樹高20m位までの確立期)の期間では、実際には、諸条件で時間的に階層、順位がかなり変化します。この変化を 「 Umsetzung 」と呼んでいます。この時期に優位な地位を得るのは、
「偶然」なのか、あるいは、
「よりよい素質の表れ」なのか
、これは森林社会の発達の研究として重要なテーマだと思います。
 
 ヨーロッパでは、Delvaux(1981)が、トウヒ林分での研究で、偶然による条件の要素が、社会階層に影響を与えることを示しています。
 一方、遺伝的条件による成長の相違も階層の変化にある役割を果たしているとの報告もあります。ある林分の優勢木が、明らかに平均より多い 「異種交配(Heterzygoten)」をして、よりよい成長素質を獲得しているとの報告もあります。
 
 Leibundgut(1976)は、コナラの幼木期について、特に、天然更新由来の密生した幼木群中では、幼木期の終わりに上位の樹冠層を形成した樹木の20〜40%が、中庸木(Mitherrschend)から、優勢木(Herrschend)へ、階層順位が上がり、6〜8年でプラスに順位変動したことを報告しています。
 
 陰樹種については、Thiebaut et al(1992)が、天然更新由来のブナについて、2〜18年生で、数多くのプラスへの社会的順位変動を報告しています。
 
 この分野については、「広葉樹の育成と利用」(鳥取大学広葉樹研究刊行会 編)〜海青社 の中で、小笠原隆三先生が「コナラ二次林における個体の順位変動」という研究で極めて興味深くて、明解に紹介しておられます。ヨーロッパやドイツの研究よりも明解な整理の仕方で感動しました。是非、お読みください。(日本の広葉樹研究者には素晴らしい方々がおられたのですね!何で、こういう方が林野庁の森林再生プログラムの各種検討委員会のメンバーになっておられないのか!結局、林野庁の官僚君たちは権威主義で、お飾りの教授先生を並べて、結局、官僚君たちやその取り巻きのの好きなようにまとめてしまうのでしょう。残念!)
 
さて、ここでの結論ですが、簡潔にまとめると、針広混交複層林の除伐、間伐は、樹高成長ではなく、直径も含めた樹勢、成長力、形状で育林経費の関係で臨機応変に判断していかなけらばならないということになります。
 
 その後の成木林での順位は、樹齢とともに成長力は弱くなるので、優勢でない樹木が競争して、生長の遅れを取り戻して上位に上がるチャンスは少ないと考えるべきです。この時期には森林社会的階層は確立され、順位変動することはほとんどないと思われます。将来木(Z-Baum)をマーキングして適度に競争木を残して、生長の間に天然更新させていくということになります。
 
今日はここまで。
 続きです。
・日本のように、スギ、ヒノキの単層一斉林を短い伐期で皆伐を繰り返すような「大量生産品」を求めるのと、
・ドイツのように針広混交林施業を長い伐期で、個々の樹木の特性や多様な用途を活かしながら「高い価値の森林産品の創造」を求めるのとでは
その生産目標の設定の違いは、すなわち、「造林の概念」自体が、完全に別物になってしまいます。
 
 片や「大量生産品」は、自然にお任せで、かつ、時間はあまりかからないから、最も安上がりなのは適当に放置して、ガバッと皆伐、最終利用となります。収益性を考えたら、密植して枝落としの手間を省き、間伐も最低限しかやらない、ということになってしまいます。
 一方、「高い価値の創造」は、生産経費と多様な木材の価値の間の微妙なさじ加減を常に要求されます。
 
 ただし、現在の社会には、「エコロジー(Ökologie)」と、「エコノミー(Ökonomie)」の両方の要求がありますから、今日的な森林資源の利用を考えたら、「多様な機能の要求」と、「所有者の利害」を同時に守り、「エコ」と「社会経済」を両立させなければなりません。・・・・・ということで、造林学は「近自然型」へ進歩していくことになるわけです。
 
 
「 Die Formen der Waldentwicklung oder Sylvigenese(Forstdynamik) 」
近自然型の森林の形成には、世代交代(更新)、ないしは、育成の形の種類や方法によって特徴づけられる2つの基本型があります。
 
1.完全に不均質な森・・・・・これは択伐林に見られるような、生産性、生産力の自然発生的で連続的な回復や独自性でで特徴づけられ、これは、伐採、皆伐による森林構造の中断のない森であり、鉛直方向の混交形態をもつものです。
 択伐林の場合、古木を生かすことで、自然な森の形成過程ですべての林齢をその内部に織り交ぜる事が可能になります。また、上位の木々は相互に調和しながら上位構造をつくり、その下では同時に、若木が成長できます。それは森の自主的な調和の中で、持続可能な更新ができ、それによって、持続可能性が確保されるように森林構造は組み立てられています。
 
2.皆伐後のような、明らかな世代交代を伴う更新や、傘伐システム(Femelschlagasystem)の中のようなある樹木の集合体の枠の中で形成される森林・・・・・この場合、最終的には均質な高木林が形成され、最上部の林冠付近の限られた層の中での競争が、決定的な役割を果たします。
 その植生は密で、抑制され、一方、水平方向には統一のとれた樹冠を持つ均質な森を形成します。一般に、個々の樹木の林冠空間は樹高とともに対数的に増加するので、生長速度が速ければ、競争は目に見えて著しくなります。樹種が限定されたような自然の林分では、樹冠がだいたい同じ高さにありますから、競争状態は特によく分かることになります。
 
 
 
 基本原理として、鉛直構造を持つ択伐林では、下層グループに必要な日射量がその更新を決定づけ、持続的な森の確立を決定づけます。この長所は、森の成長の独自性や生産面での成果の連続性にあります。
 
 一方、皆伐跡地に始まるような水平構造の森林更新システムでは、すべて同齢の林分要素の樹冠層の中の競争がその森の確立を方向づけます。この競争は、下枝の抑制や通直性などの面では好ましい育成効果を生みます。
 
 
「 Soziale Differenzierung 」
樹冠閉鎖(Kronenschluss)と競争の開始Beginn der Konkurrenz)
 
 木は樹高8m位までの「 Dickungsphase (幼木期)」に樹冠層を形成し、樹冠閉鎖が出来上がります。それは、樹木の集合体としての生存競争の始まりであり、また、樹冠領域での競争開始を示すので、これは重要な段階と言えます。
 
 高さが増すとともに、木々はいつも、より大きな樹冠と、適当な立地空間を必要とします。樹冠が触れ合うまでは若木はそれぞれ、林床植生との競争の中にも置かれます。その間は力を根系の発達に集中します。林冠閉鎖の完了はそれにより、太陽光が直接地面に当たることが避けられるというプラス面がまず、みとめられます。それは林分内に微気象をつくりだし、植物や生物学的活動に最適な空気中の温度、湿度環境を作りだします。これまでの観察から、樹冠閉鎖後の若木は、閉鎖されていない、空間的に余裕のある植栽状態よりも上方生長速度が速いことが分かっています。
 
 樹冠閉鎖とともに、競争は個々の樹木間で始まります。樹高生長が速ければ速いほど、個間競争も厳しくなります。樹高成長速度のピーク(樹高8m以上のStangenholz(若木発達段階))で競争は最も激しくなります。
 
 
 この場合、遺伝的な条件から来る生長の違いは、樹木の集合体の中に作られる「 森林社会階層の差別化(Soziale Differenzierung) 」につながります・。競争が厳しければ厳しいほど、長く続けば長いほど、差別化は著しくなります。
 その競争の始まりに、何らかの要因で明らかに優勢な森林社会階層にある個体は、光環境に対する不均質な戦いの中で、より良い場所を占める事になります。それは、優勢で居続ける良いチャンスを持っていることになり、決して、不利な競争に巻き込まれることはありません。その優勢な個体はしかし、決して、絶対に遺伝的な素質、能力が必要なわけではありません。遺伝的な素質は潜在的な成長の効率面だけであり、競争に勝ち抜く可能性があるという程度です。
     偶然の良いポジションや競争の出だしの条件次第なのです。
 
 
「 Klassifikation der sozialenStellung nach Kraft 」 は、次回にします。
 
今日はここまで。

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