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目には見えない一線がある
「加害者家族の保護」という視点にたった物語というのは、洋画などでは見かけることも多い。でも邦画でここまで生々しく描いた作品は稀かもしれない。
犯罪者の身内であるということで、なぜ犯行を行った当事者のように扱われるのかという問いかけと、真に向き合っていくストーリー。ただ、それだけに、当たり前のように出てくるマスコミの過熱取材や、ネットでの誹謗中傷、信頼していた恋人の突然の裏切り。現実に迫るという意味では最もな描写だけど、加害者家族にあてる「悪意」としてはありきたり過ぎる気がした。
もしそう描くのであれば、なぜ過熱するのか、匿名で情報を発信するのか、その背景にはそれを欲する「受け手」がいるということも盛り込んでほしかった。その部分を深く追及すれば心のどこかで、観客に後ろめたさを感じさせてしまうと思う配慮のようなものが見え隠れしたシーンもかなりあった。もったいなかったなと思った。
夫婦は一度離婚して妻側の性に変更する淡々とした作業など、逃避行への序章ともとれるエピソードの細部の描き方はすごかった。刑事と少女の間で生まれるある種の絆も、感動的なものではなく、どこかぎこちなく、やはりそこには目には見えない一線があるという表現もまた秀逸だった。
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