Gekko!の登山用品の選び方

元登山ショップ店長が、実践に役立つ登山用品の選び方を解説、お薦め品の紹介。

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はじめは、登山道を歩くことにドキドキした。
僕は登山を始める前の長い間に、ずいぶん耳年間になってしまっていたのだ。

新田次郎の山岳小説はすべて読破していた。
その中には、一種独特の山屋の世界が描かれていた。
粗野で、ストイックで、そして純粋な人々。
大いなる自然と対峙し、共生し、時には自然の怒りをかい、命を落とす。

そんな、足を踏み入れがたい特別な世界が僕のイメージの中に作り上げられていたのである。

僕のような男が、登山者面していいのか?
計画を立てているときでも、正直どこかに登山に対する恐怖感を感じていた。

乗鞍、横尾、御岳、涸沢、木曽駒ケ岳・・・
小さな経験を積み重ねるにしたがって、自分がよそ者という意識が徐々に消えてゆく。
気が付くと、自然体で山に入れるようになってきたのだ。

口で説明すると、妙にぎこちなく、わかり辛い。
しかし山を始めたときって、みんな同じような思いを感じているんじゃないだろうか。

そんなこんなで、巡ってきた夏。

初めて本格的な登山計画を立てた。
単独行である。

起点は大好きな上高地以外考えられない。
ここから蝶が岳へ登り、いったん横尾に下り、穂高を目指す。
奥穂、前穂とつないで、岳沢に下り、上高地に戻る。

北アルプス南部が満喫できる素晴らしいコースである。
これは初心者の僕が、単独で無理なく行けるコースとして、練りに練った計画だった。
テント泊の2泊3日の山行の始まりだ。

(1日目)

荷物の重量は、はっきり覚えていないが15〜20kgくらいだったと思う。
容量がさほど大きいザックではないので、詰め込んでもそんなもんだろう。

トレーニングを続けていたので、重荷は負担にならないが、結びつけたロールマットが樹林帯で引っかかりわずらわしい。

長塀山まで来ると、穂高連峰が姿を現し興奮してくる。

(よ〜し、待ってろよ〜!)

疲れ知らずで好調に飛ばし、蝶ヶ岳に到着。
広々とした稜線にたくさんの登山者がいる。
眼下に下界が広がり、振り返れば穂高連峰の勇壮な姿。
素晴らしい絶景。

(来たね〜まずは来たね〜蝶だね〜!)

テントを張って、ビールで一人乾杯。
このときの装備を振り返ってみる。
写真を見ると、相変わらず服装はオール綿である。
綿シャツに短パン、この頃の僕はまだ機能素材は買えていないようだ。

ソックスは靴を買うとき一緒にあつらえたウールの登山用である。
靴下も靴のうち、ここはセットで考えなければならない。

テントは登山用ではなく、ツーリング用のテント。
軽量なテントにしたくて、友人から借りたものだ。
強度に問題があるものの、この当時の僕の装備はテントに限らずすべて寄せ集め。
登山用に揃えたのは、登山靴と靴下、ザック、レインウェアくらいだった。

レインウェアもゴアテックスなんて高価なものでなく、エントラント。
一応透湿性能を保持しているという謳い文句だが、蒸れ蒸れである。

完璧な装備には、ほど遠いものの、知識はそれなりに詰め込まれていたようである。
あとは経験が少しずつ、装備の不足を補ってくれることに期待する。

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(2日目)

夜明け前に起きて、ご来光を眺めると、出発だ。
今日は横尾まで下り、その足で涸沢まで行く予定。

この下りが予想外にきつかった。
兎に角、一気に標高を落としていく。
ガンガン膝に衝撃がつたわり、誠に辛い。

ようやく眼下に横尾の山小屋の屋根が小さく見えて、やれやれと喜んだのだが、それからの長いこと。
歩いても歩いても近づかない、つづら折れの山道が延々つづく。
ペースは遅くは無かったが、横尾に着いたときは、早くも体力を使い果たしていた。

(もう、動けん・・・。今日は横尾泊まりだ)

そう決め込み、売店で缶ビールを買い飲み干す。

(乾ききった体に染み渡るぜ!もう一本!)

2本飲むと眠たくなり、木のベンチにごろりとなり熟睡。
目を覚ますと、気分爽快。
さっきまでの疲労感が嘘のように吹き飛んできた。

(これは行けるぞ・・・)

不思議なくらい元気が沸いてきた僕は、当初の予定通り涸沢を目指すことにした。
前回の涸沢行での失敗を繰り返さぬよう、スピードに気をつけて歩く。
また、定期的に小休止を入れることも行動パターンに組み込んだ。

そのおかげで、樹林の急登もバテることなく歩き続けることが出来た。
心地よい雪渓を踏みしめ涸沢に到着。

今日は涸沢にテントを張る予定なのだが、以外にもまだまだ余力たっぷりなのだ。
ここから穂高岳山荘までは今までに無く、急な登りとなる。
雷も心配ではあったが、思案の結果、一気に白出のコルを目指す。

(よっしゃあ!いくぞー)

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再びザックを背負い、力強く歩き出した。

ザイテングラートを半ばまで来た頃には、雷が蝶ヶ岳方面から近づいてくるような気配。
時折唸る雷鳴に気が焦る。

夕方前には無事白出のコルに到着。

ザックを置いて空身で涸沢岳に登ると、既に日が傾いていた。
始めての穂高で、予想を超える力を発揮した自分に、僕は酔いしれていた。

正面に鎮座する蝶ヶ岳を眺め

「俺、あそこから一日でここまで来たんすよ〜!」

満足感で一杯の一日。
こんな体験をしたら、山にのめりこまないわけがないよね。

(3日目)

今日は日本で3番目に高い山、奥穂高3,190Mの頂を目指す。
ここの取り付きの梯子場は、かなり急峻で、登山者待ちをしているときに
強風が吹き付けると、ヒヤッとしたこともある。

それでも計画のときにびびっていたほどではなかった。
何度も写真で見た光景が、目の前に広がっているのに感動しつつ歩いていると奥穂についた。

ジャンダルムが間近に見える。

イメージ 4


まだ先は長いので、あまりゆっくりもしていられず、前穂を目指す。
奥穂は人だかりで、せわしかったのだが、前穂は静かだった。
ザックを下ろし小休止。

絶景を眺めつつ、コールマンピーク1でコーヒーを沸かす。
1服つけ、今までの行程を思い浮かべ、再び満足感に浸る。
そして、この景色を目に焼きつる

イメージ 5


あとは岳沢に向けて下るだけだ。

蝶ヶ岳から横尾への下りも急だったが、ここの下りはそれ以上だ。
所々鎖場を交え、一気に高度を落としていく。
足腰への負担が半端ではなかった。

それでも、前回の涸沢の苦しさに比べれば、まだまし。
涸沢ピストン山行を経験したことは、のちの登山において精神面でずいぶん助かっていたようだ。
あの苦しみを思い出すと、多少心にゆとりが生まれるのである。

ここからは、途中の岳沢ヒュッテにも立ち寄らず、一気に上高地まで歩き続けた。
さすがにばてて、早く終わりにしたかったのだ。

疲れ果てて、しかし今まで味わったことの無いような満足感を抱いて、上高地に到着。

河童橋から穂高を振り返る。
このときの気持ちを、言葉に言いあらわせることは難しい。
でも山登りをする人にはきっとわかるでしょう。
あのなんとも言えない充足感が・・・。

今でも上高地は僕にとっての特別な地である。

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おぉっ〜!
蝶ヶ岳⇒奥穂高岳登頂おめでとうございます!

これも良き思い出ですね・・・♪
私なぞ過去十数年の間、3回同路を辿りましたが・・・
天候不順=悪化などの様々な要因で、断念しています。
けど、基本的には満足しています。けど、いずれ…?
現実はこんなモンですよね…苦笑。

最近、私も今月の登山記録を作成していましたが・・・
PCが…急病になり緊急入院中!

独自情報の予備確保の大切さを改めて・・・感じ入っています…!
これ、店頭展示品より…。 削除

2008/6/29(日) 午後 1:58 [ 槍穂高の雫 ] 返信する

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槍穂高の雫さん、こんにちは。
PC入院大変ですね。私のPCも結構長きに渡り酷使していますので、いつ逝ってもおかしくない状態。
こまめにバックアップを取らねばと思いつつもなかなか出来ていません。
槍穂高の雫山の登山記録も完成楽しみにしています。
ブログに掲載するのですか?
完成したら教えてくださいね。

2008/6/29(日) 午後 2:40 Gekko 返信する

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応答、ありがとうございます。

私もIT上で個人の世界を構築しようか?
と、思っているのですが…
登山と同様に思い描いたように具体化ができていません…。
ブログか?HPか?
まだまだ、IT事情の基礎研究中…って所です…。 削除

2008/7/2(水) 午後 1:35 [ 槍穂高の雫 ] 返信する

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槍穂高の雫さん、私もブログとHP両方手がけていますが、手軽なのはブログ、拡張性のよいのはHPていう感じでしょうか?
楽しみですね。

2008/7/2(水) 午後 7:15 Gekko 返信する

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こんにちは 初めてみさせていただきました。穂高大好きです。上高地ブログ作成しました。これからもよろしくお願いします。

2010/7/3(土) 午後 0:09 [ masudakun ] 返信する

masudakunさん、こんにちは。
先ほどブログにもお邪魔させて頂きました。こちらこそよろしくお願いいたします。

2010/7/4(日) 午後 6:37 Gekko 返信する

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