Gekko!の登山用品の選び方

元登山ショップ店長が、実践に役立つ登山用品の選び方を解説、お薦め品の紹介。

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忘れられない山のひとつに、北ノ俣岳がある。
積雪期にテレマークスキーを使った単独行。
誰一人居ない雪原でテント泊した、あの感じをどう説明したらよいのだろうか?
大自然の中に抱かれる感じ、あるいは自然に対する畏怖の念。
そんな感情が湧き上る、数少ない山行だった。

飛越トンネルに向かう車道を、行けるところまで車で登る。
雪で行き止まりになったところから、歩き始める。

トンネル脇の夏道を直登する。
スキーをザックにくくりつけた状態で、樹林の混んだ急登が辛い。
尾根上に出て、ようやくテレマークスキーを装着。
ここからシールを付けての楽しいスキー歩行だ。

樹林のアップダウンが続くが、気持ちの良いルート。
神岡新道との出合いを北へ向かう。

体力を温存するつもりで、寺地山の山頂を避け、右斜面をトラバースする。
これが失敗で、ぐずぐず崩れる雪の斜面に、かえって体力を要してしまった。

避難小屋を右手に、いよいよ北ノ俣岳の大斜面を登る。
上部斜度がきつくなると、ジグザグに詰める。
ところどころ這い松に赤布があるが、ガスると迷いそうな大斜面である。

スキーを履いたまま登りきることができた。

広い尾根を太郎山へ向けて滑降。
疲労のせいで踏ん張りが利かず、華麗なターンとは程遠い。
滑りきった太郎山との鞍部でテントを設営。

太郎平衛平まで行きたかったが、ここで力尽きた。

陽が暮れる中、食事をし、酒を飲む。
誰一人合わず、トレースも無かった。
凛とした冷たい空気が、静かに流れ過ぎる。

月明かりで、雪原が嘘のように明るい。

この大自然の中、周囲数十キロにわたり、人間は僕一人しかいないのかもしれない。
風も無く静寂の中、大自然の懐に抱かれる快感を、心行くまで味わう。
こんな贅沢な時間を、僕は他に知らない。


翌早朝は昨日滑ってきた斜面を登り返す。
滑降を楽しみにしていた北ノ俣岳の大斜面は、朝時間が早いせいでガリガリのアイスバーン。

このコンディションで、重荷を背負ってのターンに自信がない。
斜度が緩むところまで、ガリガリと横滑りで降りる。
中間部から、滑降を始めるものの、滑りに関しては不完全燃焼。

往路を戻り、最後の夏道の下山を避け、手前から左に派生する尾根を進む。
地形図で見る限り、滑り降りることが出来そうだ。

狭い尾根ながら、きれいにターンが決まる。
道路脇のコンクリの側溝手前まで、滑りおりることが出来た。
スキーをはずし、車道に出て振り返ると、きれいな僕のシュプールが残っている。
ほんの短い距離だが、この最後の滑りは、大斜面での欲求不満を解消してくれる会心の滑りだった。

終わりよければすべてよしである。
雪の中から顔を出しているふきのとうを、袋一杯採っておみやげにした。

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