Gekko!の登山用品の選び方

元登山ショップ店長が、実践に役立つ登山用品の選び方を解説、お薦め品の紹介。

全体表示

[ リスト ]


天狗原から山の神尾根を辿るテレマークツアーは
思い出深い山行のひとつである。

当時の社長と二人パーティという、やや堅苦しいものの
仕事の一環としてスキーにこれるのだから文句を言う筋合いでもない。
むしろ大歓迎である。

栂池スキー場からリフトにのり、終点から林道歩きとなる。
社長はここからシールを装着。
僕はステップカットのモナシーなのでそのまま歩き始める。

この林道歩きで、ヘタレの社長はぐんぐん遅れ始める。
初めてのルートで日帰りと言うこともあり、僕は時間が気になるものの
上司なので文句を言うことも出来ない。

平日でひと気も無い広い林道を、
二人並んで仲良く歩くのも気持ち悪いので
僕は徐々に先行することにした。

すっかり差が開いてしまい天狗原の急登の手前でしばらく待つ。
なかなか現われない社長を置いて、なおも先に向かい天狗原へ。

ここから先は山の神の尾根へ向かうルートにはいるため、
眺めの良い景色を楽しみながら、コーヒーを飲んで待つことに。

米粒のように見える社長は、ようやく姿を現したかと思うと
急登の手前で、腰を下ろしてしまい動こうとしない。

後で聞いたところ、この段階で社長は体力を使いきり
天狗原へ向かうか、このまま栂池スキー場へ戻るか逡巡していそうだ。

しかしすでに天狗原にいる僕には姿は見えても、声は届かず
しかたなく、最後の力を振り絞って登る決意をしたそうだ。

ようやく天狗原で合流。
「ツアーはここからですから、気を引き締めていきましょうね」

そう声をかけ、滑走を開始。
とは言ってもダウンヒルのような斜面は無く、
尾根歩きだったり、トラバースだったり。
時に滑ったりを繰り返す。

徐々にブナの樹林帯にはいる。
広く明るい尾根で、実に気持ちがいい。
適度な感覚の木立を巻きながら、シュプールを描く。

時々登り返しもあるが、ステップカットの僕にはなんでもない。
滑っては待ち、滑っては待ちを繰り返す。

社長を待つ間に2万5千分の地形図とコンパスで位置を確認するのも忘れない。
ここはバックカントリースキーのツアーコースなので
ところどころ標識もあり、さほどルートファインディングには困らない。

ゲレンデとは打って変わって、他人のシュプールも無く静寂の中
思い思いのルートで滑り降りる。

かっとぶような大斜面こそ無いが、体中で豊かな自然を味わい
バックカントリースキーの魅力が堪能できるコースだ。
僕はこのような、自然の中にどっぷり使ったようなルートが大好きだ。

沢筋のルートになると徐々にV字谷の様相となり
最後は沢沿いを歩行し堰堤を越えると、白馬乗鞍のスキー場に出て終了。

体力に心配があった社長は
やり遂げた満足感に打ち震えている。

(この人は、本当に山が好きなんだなあ)
僕もなんだかあったかい気持ちになる。

はじめはどうなることかと心配したが
終わってみれば、適度な疲労が心地よい
しみじみと良い山行だった。

この記事に

閉じる コメント(0)

コメント投稿

顔アイコン

顔アイコン・表示画像の選択

名前パスワードブログ
絵文字
×
  • オリジナル
  • SoftBank1
  • SoftBank2
  • SoftBank3
  • SoftBank4
  • docomo1
  • docomo2
  • au1
  • au2
  • au3
  • au4
投稿

.


みんなの更新記事